まず、今回は写真はありません。
そして、釣果もありません・・・。それでも見てくれる方は有難うございます。
2月2日 予定していた朝まずめは仕事の都合により出来ず。午前10時頃に家を出発した。沖磯初釣行ということもあり、準備にとまどい、また足りない物を買足しながらの南紀入りとなったのだ。
なんだかんだで熊野入りしたのは午後三時を過ぎた頃。
雨あがりということもあり、小河川の河口に入ってみる事にした。
夕まずめ一本勝負である。
結果としては何もなかった。分かりやすい沖への流れを粘ってみたが全く何も起きなかった。
急いで南紀へ向かう。
南紀到着にかなり時間がかかった。あたりはもう真っ暗である。この日初めての食事をとりながらゆっくりする。
移動中、携帯にメール。
今回の沖磯の最終決断がくだされた。
日ごろ色々と釣りの事でご相談にのって下さってるT氏からのメールであった。今回の沖磯釣行はT氏とその友人のY氏の釣行にご一緒させて頂くというもの。初心者の自分の参加をありがたくも快諾して下さったのである。
渡礁先は・・・・
南紀の超一級磯であった!
メールを見て、予想はしていたのだが、あらためて緊張したのだった。
のんびりと夜はアオリをなんて思っていたのだが、これはのんびりしていられなくなった。気力、体力とも温存しておかなければと。
そして早めの車中泊をする事に。
お二人の到着時間は予想より早かった。アラームで目覚めた頃、もうすでに南紀入りされていた。
コンビニで買出し、いざ渡船屋さんの駐車場を目指す。
到着するとすでに一台の1ボックスが。
出船時間までにはまだ3時間強ある。さっそくの仮眠をとろうとするが・・・
期待と不安(大)の為、まったく寝ることは出来なかった。
その間もぞくぞくと駐車場には車が入ってくる。
見るからに磯釣りマニアの方々と分かる仕様の車である。
寒グレのシーズンであるから当然ではあるのだが(笑)
いよいよ乗船前、さっそく昨日買っておいた酔い止めを飲む。
夜中じゅう、風はゴウゴウと音をたて海はやかましく荒れていた。
いざ乗船! おっと!と思うほど、静かな船着場であるにもかかわらず船は揺れていた。
やがて釣人をしっかり乗せた船はスルスルと動きだした。
ザッパーン!! まともに波を受け、水しぶきが顔に当たってくる。
なんという揺れだ!! まともに立ってられやしない。必死に船にあるロープを握りしめ、数々の磯に順番にお客を降ろして行くのを待つ。
おいおい、本当にこんな状況で磯に乗るのか!?
そんな状況であった。船長の声がモニターから聞こえてくる。
もうすでに、しっかり聞けるほどの余裕はない。
T氏の話だと、次に行くのは我々が立ちたい磯であるとの事であった。
次の瞬間、我が目をうたがった。我々はこんな小さくて低い場所に乗ろうというのか!! 目には今にも水没してしまいそうな岩が見えている。
本当に乗るのか・・・正直そう思った。
必ずここに乗ると思われていた、船の先端で待機する方々はいっこうに動こうとしない・・・。
どうやら我々しか乗らない感じであった。
もう一気に磯によじ登った。躊躇などしていられなかった。
急いでポジションに向かい荷物をおろす。
いったい、なんていう凄い風であろう!! 風、波・・・
もうひたすら中腰でふんばっているだけで限界であった。
T氏がピトンを打ち、万が一の為にロープを張って行く。
もう、すさまじい風と波にただただ立っているのが精一杯である。
風速何メートルとか、波高何メートルとか、そういう数値的な事ではない。
本当に、ともすれば風でよろけ転んでしまいそうである。
そして時折大きい波が来て、足もとをあらい、打ちつけた波を頭からかぶる状況なのである。
両氏は朝イチはヒラ狙い。するするとタックルを準備され始めておられる。自分は・・・まだ立っているのが精一杯、もう必死でロッド、リールを出し、やっとの思いでルアーを結んだ。
とてもじゃないが、自分の力量ではヒラ狙いでピンスポットに打てる状況ではない為、一番強いタックルに18センチの重量級のペンシルベイトを選んだ。
まずは風下に向けフルキャストする。軽く100メーターは飛んで行く!
それほどに風が強いのである。
しかし少しでもズレると、ラインが一気に風にとられ大きく膨らんでしまうのだ。リトリーブするととんでもないスピードでルアーが海面を滑って行く。
そしてトラブル発生。何度キャストしても必ずラインがグシャグシャのダンゴになってしまうのだ。
何故か考える余裕は全く無い。頭から波を浴び、突風にふらつきながら必死でラインをほどいて行く。
トップで粘りたかったのだが、仕方なく120グラムほどのジグに交換する。とにかく、しっかりとテンションをかけながら飛ばしたかったし、巻きあげてきたかった。
しかし、ジグをもってすら状況は変わらなかった。どうしてもラインが毎回ダンゴ状に絡んでしまうのだ。こんな事は初めてだった。
いつもの自分ならば、きっとすぐさまイラっとしてやめていただろう。
しかし、その時はもう無我夢中でダンゴをほどき、キャストしてはまたほどくといいった事を繰り返していた・・・。
飛ばないのは分かっている、もう仕方なく風上に向かってフルスイングするしか方法は無くなっていた。
重量級ジグをもってすら、飛距離は40メーター程しか出ていない。
おまけに潮が速く、着底より先に手前にジグが流されてしまう。
少しでも風でラインがふくらめば、まったくジグが沈下しない状況であった。それでも続け何とかシャクリ上げる。
そんな釣りを続けていると、目に見えて分かる位の高い波が少し沖に見てとれた。
ヤバい・・・・。
構えるやいなや、その波はあっと言う間に近づき磯の先端に打ちつけた。ッドッバーンっと凄まじい勢いで砕ける波!
一気に自分めがけて大量の水の塊がすっ飛んで来た!!
ドフォーっと全身を包み込む様に波をかぶる。構えていた為、何とか耐えることが出来たのだが、知らずに食らっていたら絶対に落水していただろう。
ネックウォーマーは一気にネッククーラーに早変わり!!
首を伝って背中に恐ろしいほど冷たい水が流れていく。
もはや濡れていない場所は無い。
そこに絶え間なく吹き付ける強風。足や両手の指先からジンジンと痛みだし、あまりの冷たさに感覚が無くなって行った・・・。
これでまだ満潮には遠い・・・風はどんどんと強くなっている。
もし、これ以上の風が吹き、そして何回かに一回の大波が来たなら・・・
全員が流される姿が脳裏をよぎった。
恐怖を通りこし、それは確信へとなって行く。
いわゆる覚悟を決めるというヤツである。
落水を覚悟した瞬間であった。
さすがに平気ではないが先輩達は釣りをされていた。
一人、餌師も何とか釣りをされている。良型のグレ、イサキを釣ってみえた。自分はただただ凍える体でキャストを繰り返していた。
まだ心は折れてはいなかった。しかし・・・
荒れた海を船が近づいてくる。
そう、お弁当を届けに来てくれたのだった。
Y氏がさっそうと波をかぶりながらお弁当を取りにいって下さる。
なんと!!Y氏はこの凄まじい状況の中、立ってお弁当を食べているではないか!!
凄い・・・きっとこの方は地球滅亡のその瞬間でも強く生きているに違いない。ちょっとそれを見て元気になった。
しかし、おそらく船長もこの状況に不安を感じたのだろう。
お弁当を渡しいったん安全な沖に出るも、しばらくそこで待機してみえる。
それを見て心が折れて来た。もう限界かもしれない・・・・
そこにT氏から磯変わりするか!?っとのお言葉。
おそらく彼らはまだやれる・・・しかし自分は・・・。
つらい決断ではあったが、そのお言葉に甘える事を選んだ。
もう限界を少し超えていたのである。
船にやっとの事でよじ上り、椅子に腰かけたところで安堵してきた。
船長、ヒラスズキ釣りに行くかーっ ヒラしかおらんでーって。
しばらくすると、さっきより全然穏やかな場所に移動していた。
岸近くの一見、地磯の様な場所であった。
岩山が風をさえぎり、一気にのんびりとした状況となった。
磯に降り立ち、溜息が洩れる・・・。
やっと生きたココチが戻ってきたのだった。
ずぶ濡れの服を脱ぎすて、予備のカッパを着こむ。
確かにシャローではあるが、ヒラが出そうなサラシがたえず出ている場所であった。
荒れたサラシさえ、さっきと比べたら和やかに感じた。
今まで自分達がいた磯を遠くに見る。
磯、いな岩は白波の中にあった・・・。
ここでしばしのんびりと日光浴し様々な釣りをするも、何も変化無い時間だけが過ぎて行った。
ただピクニックの様に時間を過ごすか、いっそ陸にあがり地磯でチャレンジしてみるか・・・・
答えは一つであった。
さっそく荷物をまとめ船長にコール、急いで陸に上がる。
車を走らせ慣れた磯に向かう。
しかし・・・ここでも強風は吹き荒れている。
何とかやれる事を試したのだが、まったく魚の気配すら感じなかった。
沖磯で使用したルアーを投げてみる。
慣れた場所でどうアクションするか試してみたかったのだ。
このルアー、すこし水にまとわせ、一気にリトリーブしてやると凄まじく荒っぽく暴れてくれる。
その姿・・・自分でもすこぶる逃げ惑う巨大ベイトに見えたのだった。
そう思ったのは自分だけではない。
いつの間にかカモメがルアーをロックオンしていた。
急降下して様子をうかがっている。
再度、激しいリトリーブを入れポーズさせると・・・・
カモメはまず口を使い、今度は足を使った!
しっかりと両足で握ろうとしている。
今度は空中で静止しながら口を使い、何とかくわえようとしているではないか!
正直、鳥をごまかしたのは初めてである。
反射喰いではなく、しっかりと見て喰わせているのだった。
勿論、フッキングは絶対にいれません(笑)
何度も一生懸命にバイトしている鳥が可愛く見え、自然と笑いがこみ上げてきたのだった。
今回、本当に沢山学ぶ事ばかりであった。
また、苦渋の決断もあった・・・
しかし、結局は生きてこその釣りであるはず。
事故を起こしては絶対にならないのである。
もっと修行しなければいけない。
いつかここで再び釣ると心に誓うのであった。
今回、貴重な体験をさせて頂いた両氏に心から感謝しています。
2010年02月
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