2011年03月

磯上の理想郷

3月24日の日記


前日、長時間にわたってキャストを続けた疲れは結構なものでした。
筋肉モリモリのマッチョではない私。
ヘビータックルを一日振り回していますと体中が筋肉痛となります
夕方からアオリ釣りでもしようと車中に散らかった道具を片づける。

しまった!!

あろう事か、家にギャフを忘れてきてしまいました。
こりゃ、ハンドランディングかズリ上げ出来る場所へ行くしかないな・・・。
そんな事を考えながら休憩してたらいつの間にか寝てしまってました(笑)
目が覚めたのは夜中チーン
外は結構な強風が吹いているので二度寝してみました。
明日の朝がんばろ


再び目覚めたのは午前5時であった。
移動時間を考えるとギリギリである。
二日目ともなると心に余裕が無いホリデーアングラー(笑)
今日はカタく、メジロを狙おうっと、大急ぎでポイントに向かうのだった。
駐車場に着くと和歌山ナンバーの車が二台。
前にも見たかな!?って印象だった。
急いでトランクから道具を出しているとアングラーお二人の姿が。
今まさに磯に向かわれるところであった。
すぐに私も歩き始めたのだが、お二人の姿は全然見えてこない。
いったい、どんな速度で歩いてみえるのだ!
ほどなくして先端にたどり着くと、すでにお二人はタックルの準備をされてみえた

ご挨拶をしてこちらも準備にかかる。
暗くてハッキリとお顔は見えないが、どうやら前にも会っている方々の様であった。
やがてヘッドランプ無しでも歩ける様になる頃、期待を胸にファーストキャストを繰り出すRockBeachであった。


まだ海面がよく見えないのでまずはミノーで探って行く。
今日の海は風も波も無い。
凪に近いが、薄暗い海面にはワナワナと動く潮が見える。
いかにも出そうな感じだ。
おそらく、もうすぐヤツらは回ってくる、ロッドを持つ手に力が入る。









グルグルグルー


はっ!
こんな時に
アレですっ 持病の下痢が襲ってきたサウンドであります。
我慢や・・・集中するんや!









ゴロロッ
いかん!! 絶対いかん!!
きっとスゴイのがやって来る。









冷静なうちに道具を置いて向かわなければ
そしらぬ顔をしながら荷物の所に戻るワタシ。
静かにトイレットペーパーを握りしめダッシュです




無い、無い、どこにもナイ!
こそっとシャガめるポイントが無ーい
見渡す限りマル見えの地形が続いている。
とうとう冷や汗が・・・。




これはもう登るしかおまへん!
お腹痛いのに何とロッククライマーの真似事である
5メートルほどの岩壁を這い登りやっと理想郷を発見した!












ぷりっ








事をいたしながら見る景色は何と美しいのでしょうか
何故にか生きている事を実感する(笑)
キレが悪い事などどーでも良くなります。
てか、やっぱ早起きしてちゃんとトイレは済ましておかないとね~




ガケの上にブツを置き去りにして急いで戻ります!
隣のアングラー達は不思議そうに振り返りますが・・・。
さて、そろそろトップのコイツで炸裂か!なんて思っていますと。
先端にいたアングラーのロッドがぶち曲がっているではないか!
リールのハンドルが巻けていない
こりゃデカイぞ・・・。
巧みなロッドワークでそれでも上手く寄せるアングラー。
このお兄さん、相当に場馴れしているな、下手な私にもすぐに分かる程、落ち着いたファイトで浮かせにかかります。
最後はリーダーを持って腕力でブチ抜いた!


あのメジロ、いったい何キロあるねん!
絶句する私。
サイズ的には80前後だと思われますが、見た事ない程にパンパンに太っているのです。
6キロは間違いないはず。
キャスト&リトリーブの傍らでその光景を見ていましたが素晴らしいファイトであった。


群れが回ってきたぞ!!っとは何故か思わなかったのである。
おそらく、数少ない個体が、しっかりとルアーを見てそれでもヒットしたのだと思った。
ここでマシンガンキャストはナンセンスではないか!?
胃が痛くなる程の緊張を押し殺し、ゆっくりと丁寧に見せて行く作戦をとったのである。
おそらく、魚は遠くから自身の繰り出すアクションを見ている。
少しでも違和感を感じたら見切られてしまう。
まったく静かな海を前にそう感じるのだった。



結果として私の操るルアーには奴らが反応する事は無かった。
奴らが朝の食事を済ませ、また小腹がすく頃まで粘ったが何も起こせなかった。
悲しいかな、今の自分にはこんな釣りが限界であるのだ。
見えないし、ボイルもナブラも無い。
そんなのは他のソルトのルアー釣りではよくある事。
でも、そこに奴らはいる。
誘い出しという言葉がよく使われる昨今ではあるが・・・。
そもそも、ルアー釣りの多くは誘い出し?ではないかと思う。

それでは
















九時間の内の 「10 Seconds」

3月23日の日記


この度の、東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。




私の日常でも色々とございまして、お恥ずかしながら、ただ今、財政危機のピークが続いております。
そんな理由から数週間、まったく釣りに行けない日々が続いていました。
行けない!っと割り切る為に、海況をチェックする事も止めましたし、すすんで仲間の釣行話を伺う事もしませんでした。
私の好きな三重、そして南紀の海がどうなっているか殆ど分からなくなりました。

連休がもらえる事になって釣行を計画し始めた頃。
先輩や仲間からも景気の良い青物の話が徐々に届く様になりました。
釣行前の三連休には、かなり良い思いをした方、悔しい結果にはなったが、興奮する釣りをされた方々も
各地でメジロが好調との事でした。

ただ、どうしても、私には釣れるイメージがわいて来ないのでした。
何故かは自分でも分かりません。
元気がないからなのか、海から遠ざかっているからか、はたまた海況データを見て感じたのか・・・。
この好調が自身の釣行日まで続くとは思えませんでした。
しかし、貴重な釣行ですから無駄には出来ません。
やるからには本気で。
久々の釣りの準備に、かなりの時間をロスしましたが南紀に出発です!
おへそがかなーりヒン曲がっているRockBeachですから
好調とのメジロ釣りには向かいません。
とりあえず、初日はシオ釣りをしてみる事にしました。



ポイント到着は午前6時頃。
ずいぶんと日が昇るのが早くなった。
この頃にはもう、十分に空は明るくなっている。
しかし何という風か!!
薄暗い内は微風でしかなかった風が、ポイント到着と共に体感で10メートル程に変わったのだ。
幸い、このポイントでこの風向きでは横から風を受けはしない。
真正面から受けるかたちになるので、とりあえず釣りにはなる。
しかし、30グラム程度のルアーでは20メートルほどしか飛距離が出ないのであった。
その潮目に、その流れに、またヨレや緩みにルアーが届かない。
仕方なく、潮が動いてはいない足元の沈み根周辺を丁寧に探って行く。
しかし、何の変化も無いままに朝の時間は過ぎて行った。

完全に空が明るくなるとしばらくして、流れの変化にベイトが集まってくる様になった。
ベイトを確かめようとミノーを意地悪に通してみる。
途端にピチピチとベイトが水面を舞うのだが、体長にして約3センチほどだろうか。
何の魚の稚魚かは分からないがかなりサイズが小さい。
トウゴロウやキビナゴ、イワシなどのベイトを探してはみるが、目で見える範囲には泳いでいない様子だ。
ともかく、シオ、そしてマシなベイトの回遊を待つ長期戦を覚悟した。

使えそうなルアーを数個、アクションやスピード、レンジを変えながらローテーションをして行く。
しかし、全くチェイスは無い。
ベイトがボトムに張り付いてやしないかとジグで底を探ってもみる。
しかし反応は無い。
久々のジグではあるが、正直、まったくきれいにジグを泳がせている感覚がなかった。
ジグは本当に難しい。
見えないから想像や感触に頼るしかないが・・・。
どうやら、ジグが釣れないのではなく、私にはジグで釣れる動きが出せていない様に思うのだった。
今、ここでジグの練習などしている場合ではないと思った。
ジグにてカバーするレンジの仕事を、プラグでやるしかないと判断。
小柄でしっかりウエイトがあるプラグでジグに近い動きを与えて行った。

何時間キャストを続けても全く何も起きない。
海はその間にも変化を続けるのだったが、これは!!っという流れになかなか変わらないのだった。
不眠不休で来ているので、場を休ませる為にもここで少し磯寝をする。
起きたのは11時頃だったろうか、小一時間ほど眠っていた様だ。
眠気まなこを擦り、ぼんやりと海を眺めていると、一瞬とんでもない光景が飛び込んで来た。
何かが跳んだが何だったのか・・・。

再び戦線復帰してしばらくすると、ようやく良い感じの流れとなってきた。
よし!っと気合を入れ直し、沖の流れを攻めていた時。
足元から一瞬、バシャ!っという音が聞こえてきた。
すぐに、隣にいたグレ師が、兄ちゃん!今ここで、その白い泡が浮いている辺りで出たぞ! はよう投げえーっ!!と言ってくれる。
シオなら反転してもう潜っているなとは思ったが、せっかくだし
ポイントまで空けて頂いたのでキャストさせて頂いた。
やはりというか何も起きなかった(笑)

更に時間だけが過ぎて行った。
一時間、二時間、まったく何も変わらない。
簡単に言うとハズしたのである。
予想では・・・おびただしい数のシオが狂喜乱舞する予定であった(笑)
情報からの予想(予定)ではなく、この潮ならば高確率で来る!
そう読んでいたのだった。
休憩中、その場のグレ師数人と談笑させて頂いた。
数日前からこの場所に通ってみえる方がお二人みえた。

話によると、昨日、そして一昨日は凄かったと言う。
海一面がシオだらけになり、逃げる小魚で海面は真っ白に見えたと興奮して話しておられた。
オキアミには食わんのじゃーっと苦笑いしてみえる
それがどうも、昨日の午後位から何か潮が変わった様だと。
何に対して、その潮が肝心なのかは分からない。
ベイトに対してなのか、シオに対してか。
また、その他のものに対してなのか。
いずれにせよ、今まで想像やイメージでしかなかった事が実際、身で感じれた事は大きな収穫であった。

そろそろ心身ともに限界が近づいてきたのでラスト30分にかけてみる。
もはや、自身の引き出しは全て使い果たした。
困った時、私は広範囲をゆっくりとミノーで探って行く。
何十回と投げては巻きを繰り返している内に、心が無心になってくる。
海面をぼんやりではあるが広範囲に見ながら巻いて来る。
すると、視界の片隅で何かが動いた気がした!
すぐにそちらを見るとグレー色の魚が水面直下を走ってきた!!

やっと、シオの登場である。
かなり遠くから一気に近づいて来る。
ルアーまで約5メートル程の所に来て、一瞬、速度を緩め身構えている様に見えた。
それは奴が攻撃態勢を整えている様に思った。
澄み潮で底まで見える程のシャローにいた為、姿がハッキリと見える。
体長約50センチ、グレーの魚体に目元の濃いライン。
しかし、私が知っているシオとはどうも体型が違う。
少しだけ頭が小さく、やけに目立つ背ビレが目にとまった。

休まずリトリーブを続けると、再び勢いよく追ってきた。
しかし、もうルアーを上手く泳がせるには、足元近くまで来過ぎている。
いつもこうだ(笑)
少し巻く速度を落し、トゥイッチ入れた瞬間だった。
奴はそれがベイトではない事を理解し、ヒュンっと身をひるがえし沖に消えて行ってしまった。

多くのシオが群れでいる事が多いのだが、今回はコイツ一匹だけの単独行動であった様だ。
その後も海を凝視しながらキャストを続けたが二度と目にする事は無かった。
食わせるのがとても難しいシオ。
それも一匹で、一瞬のチャンスでは手強すぎる
厳しすぎるこんな時、やはり僅かなチャンスをモノに出来るのと、そうでないのとでは雲泥の差があるのではないか。
とても悔しいが、ルアーでもタックルのせいでもなく、やはり自分の腕をみがくしかないのである。
ムキィィィィィー!!!

それでは














釣れないのも・・・。

3月2日の日記


釣行前の前日、私の住む地域ではまとまった雨が降っていた。
南紀の天気も雨との事だったが、その雨がどの程度かは分からない。
嵐にでもならない限りは行く
天候や海況で釣行日を選べない、プチ遠征&サラリーマン釣師の宿命である(笑)
そんな天気も災いしてか、朝からどうにも体調が悪いのであった。
釣行の為、前の晩はしっかり寝たはずだったのだが・・・。
そんな事で、仕事から帰っても心も身体もシャンとしない
ゴロゴロと過ごし、結局、準備が整ったのは午前1時前であった。
寝る時間は無いなと、覚悟して南紀特急に乗り込んだ。


南紀到着は午前4時頃だった。
少し時間があるので、ちょっとエギングでもと寄った漁港は爆風である。
風を背にして何とか頑張るのだが、まったくアタリが無い。
離れた場所にいる釣人は頻繁にヘッドライトをつけ、海面を照らしているのでおそらく釣れているのだろう。
それでも頑張って続ける。
冷たい風がどんどん体温を奪っていく。
手先もジンジンして感覚が無くなってきた。

全神経を集中させて釣りをして行く。
そんな中、グウーっと重くなる様な感じで、やっと待望のアタリが来た!
イタダキ!っと思って大きくアワセを入れる。

ドン!!














じゃっぽーん!!




何と! アワセの衝撃でタックルを海に落としてしまった!!
あれよあれよと、アタリの主に引っ張られて行くタックル。
ほーっと感心して見ている場合ではない!
急いでギャフを伸ばし、今にも消えてしまいそうなロッドにギャフを掛けるのだった。
無事、生還を果たしたタックルの先にアオリの姿は無かった
急いでトイレに直行しリールを洗うのだった。



とんだ失敗からスタートしてしまったがメゲてはいられない。
張り切って、暗い内から磯に向かい夜明けを待つ。
今回は体調が良くないのでエントリーの楽な場所に立った。
まだ真っ暗な磯を容赦なく強風が吹きつけている。
これはやっかいな風だな・・・。
やっと明るくなって来た頃、ヨシ!っと気合いを入れてキャストを始めた。

しかし、投げた瞬間から横風に大きくラインを持って行かれてしまう。
何もしなくてもルアーは泳いでしまっているのだ。
当たり前だが、ルアーは飛ばないし、狙ったラインも通せない。
それでも良い時は、バシュッ!と出る事もあるので、我慢して我慢してキャストを続ける。
今回、使いたかったルアーの殆どが使えないのだった。
どんどん風は勢いを増してきて、いよいよ爆風となってくる。
立ち位置やキャストポイントを変えてみるが、もうどうにもシックリ来ないのであった。

いよいよ明るくなってきて海をしっかり見てみる。
まず目についたのはその潮の色であった。
何というか、緑色系の乳白色をしているのだ。
この辺りはそんなにも雨が降ったのだろうか!?

続いてじっくりと潮の流れを観察する。
流れてはいる、だがしかし、とても勢いが弱い。
いつもはこっちから流れ、あっちからの流れと当たって払い出して・・・。
その潮も無いのであった。
おかしいなあ、潮が止まっているのかな?
そう思い、しばらく待ってみる。
しかし、一時間たっても二時間たっても全然変わらないのだった。

その間もまったく風は止まない。
むしろ、どんどん強くなって行っている様子だった。
どれほど目を凝らして見ても、まったくベイトの姿も見えなかった。
青物が現れないかと、今か今かとキャストを続けるのだが反応が無い。
苦行の様な釣りに疲れ、腰かけて煙草を吹かしている時、やっと気づいたのであった。




この風のせいや・・・。




いつもは左手から打ち寄せる波、そして流れを、右手から吹きつける強烈な風が押しているのだ。
左手から来る強い流れが弱まり、逆に弱いはずの右からの流れの方が勝っている。
どうりでいつもと違う感じや。そんな単純な事やったんか・・・。



それから少し粘ったのだが、結局、どうにも釣れる気がしないのでその場をあとにした。
磯から戻り、さっき思いついた事を確かめたくて少し車を走らせてみた。
するとどうだろう、わずかに場所を移しただけで全く別の海が広がっているではないか。
沖からは勢いのある潮が磯に当たっている。
潮の色もいつも通りの澄んだブルーをしている。
生命感というか、雰囲気にあふれ、水鳥も沢山見えるのだった。


もっと、ポイントの事を知らないとな・・・。
おそらく何年もかかるだろう。
しかし、出来る事から始めよう。
そう、そっと心に決めたRockBeachでした。

それでは









プラッキング修行4 Day2降り止まない雨

2月24日の日記
前回の日記の続きです。



とても小さいですが、憧れ続けたマサに出会え、意気揚々と磯から上がったRockBeachでした。
いつもの寝場所に向かう道中に思い出します。
家を出る際、母親から、「もうイカが無いから釣ってきて!」、っと言われていました。
夜磯の本格的なアオリ釣りは自信がありません。
ですから、そんな私にも釣れるアオリを探していつもの漁港に向かってみました。







DVC00013


こちらも、小っちゃいですが、すぐに数杯の捕獲が出来ました。
すると、急に大粒の雨が落ちてきました。
車に戻る頃には、もうズブ濡れとなってしまいました。
寝床に向かう道中、雨はいよいよ勢いを増してきます。
時折、稲光の閃光が走り、海は真っ白なモヤで見えなくなってきました。


予定では、夕方から本気でアオリを狙ってみるつもりだったのです。
とてもではありませんが、真っ暗闇の磯で初心者がやれる感じではありません。
意気消沈しながら、海沿いの道で南紀特急を走らせていますと、凄い光景が目に飛び込んで来ました。
凄い数の海鳥達が、まさにナブラを待つ感じで群がっているのです。
急いで車を停め、合羽を着てダッシュしました(笑)
かなり遠くですが、時折、雷鳴が響いています。
雷はまだずっと遠い・・・。
しかし、竿への落雷は怖い。
しかーしっ、まだずっとずっと遠くにカミナリさんはいるし・・・。


メジロのナブラ ≫ 落雷の危険 !!


瞬時に回答が出ました
近づいてきたら、絶対にすぐ撤収!
そう肝に銘じて、いざ竿を振りかぶろうとした時です!
上空かなた・・・しかし、間違いなく頭上にて地響きがする位の音が鳴り響きました!!
咄嗟にタックルを放りだして逃げるワタシ。
腰が抜けかけたオッサンがそこにはいたでしょう。
私がとった行動は大間違いです。


自分の命 ≫ メジロ捕獲のチャンス !!


これが正解であります。
ちなみに私は一度、落雷した経験があります。
ドリフのコントみたいなヘアスタイルになりましたが、超能力が開眼する事はありませんでした。


コンビニでチープな食事を購入している頃、更に雨は強くなってきました。
もう、本当にバケツをひっくり返した様な状態です。
軽い食事を済ませ、とにかく、まずは貪る様に眠るのでした。
どの位の時間が流れたでしょう、変な息苦しさに目覚めた私。
気が付くと、胸の上にリールを詰め込んだバッカンが落ちてました
まだ、夜中の事です。
曇って真っ白な窓ガラスを拭いて外を見ると、依然として雨が降り続いていました。
この雨はきっと明日も止まないだろう・・・。
ここで、迷いが生まれます。


今から帰れば、明日はゆっくりと体を休める事が出来る。
もう、十分に満足しただろう!?
魅惑的な声で私の悪魔が囁きました。
いやいや、今の海は本当に最高だぜ! 明日も何が待ってるか分からないよ!?
やや弱い声で私の天使が囁きます。
一時間位、シケた海を眺めぼんやりと考えていました。
明後日からまた退屈な日々が始まるんだよ!?
悪魔と天使、二人が呟いたかもしれません。


よし! 決めた!!
今日の感じは一年前にそっくりだ!
寝ぼけた頭で急に直観しました。
でも、眠いからもうちょっと寝る!!
こんな感じで、本日のRock'n'RollFishingのStartぉぉ~



もうちょっとダケよっと眠りを貪っていて、ハッ!っと飛び起きたのは午前5時半過ぎであった。
しまった!!
周りに数台いた釣り師の車達はもうすでに無い。
慌てて南紀特急に暖気の為、喝を入れる。
その僅かの時間に今日、これから戦う磯を決めて行くのだった。
様々な場所が浮かんでは消えて行く・・・。
しかし、あてずっぽの釣りをしているのでは無いと我に返った。
過去の自身の経験、そして我が身で集めたデータをふるいにかける。
だとすれば、今から向かうのは二か所しか無い。
同時に、南紀特急のクラッチを蹴り、ギヤをローにシフトしたのだった。


ポイント近くに来ると、もうすでに空は白々とし始めていた。
駐車場に車を停め、少し歩いて海を見る。
昨日からの小嵐のせいで、前日より更にひどくウネリが出ていた。
とてもではないが、釣りが出来る状態ではない。
すぐに小移動し、馴染み深いこの場所を選ぶのだった。


幸いにして、まだ雨は強く降っている。
いつもより少し、プライムタイムは長く続くだろうと磯までの道のりを行く。
しかし、今日、私が言うその時間とは、予測不能の事が起こるかもしれないという意味でのものである。
過去の経験、そして最近の情況から推測するに、本当の特別な時間はもっとずっと後だろうと考えていた。


ポイントに着き、すぐに釣りの準備を整えて行く。
目前に広がる海は、もうこれでもかという位に荒れている。
荒れは大嫌いだが、ここならば安心して釣りが出来るという、私には数少ない場所の一つである。
足元から沖に約3.5メートルほどの、鋭くエッジがきいた沈み根が張り出している。
そのエッジの切れ端と、少し深場に続く水道にあたる部分では、過去に何度か茶色いヤツを目撃していた。
また、そこらじゅうにストラクチャーが点在し、浅い場所では2ヒロも無いのでは? といった感じの場所である。
また、穏やかな海の下では単調な流れしか出ない。
しかし、一度荒れると、四方八方から潮が集まり、とても複雑な流れを生む場所であった。
それゆえ、まず普通のミノーではまともに泳ぎきらないのだった。


幸いにして、釣りの妨げになる様な嫌な風は吹いていない。
タックルも、結ぶルアーだけを残し準備が出来た。
わずかなら、魚にラインをやれる事は出来るかもしれない。
しかし、一度、走り出した魚を止めるのは容易ではない。
ドラグを強くすればまた、自身に返るリスクもまた大きくなるのである。
それは身で学んでいたのだが、それでもあえて今日は決めた。
約10キロ、それで勝負する。
譲歩など糞喰らえだと思った。
今日は絶対に喧嘩してやるのだと胸に誓った。


万が一の事を考え、足元にはすぐに伸ばせる状態でギャフを置いた。
更に、海を見つめながら、今日のルアーをバッカンから取り出して行く。
選び抜いたルアーは4つ。
早速、一つを結びキャストを開始した。
しかし、どうして、全くルアーが気持ちよく泳いではくれない。
やはり、強く複雑な流れが生じているのだ。
すぐに回収し、次のルアーを結んだ。
たとえ、一投でも無駄にはしたくない。
しかし、このルアーもまた理想とはかけ離れた泳ぎとなった。
結局、私が求める動きをしたのは二つのみであった。
今日の釣りは、ただひたすらにこの二つを信じる事にした。


風を感じ、また、潮を見て、一投一投と真剣なキャストを繰り返して行った。
おそらく、出るとすれば、約30メートルほど沖にある、あの複雑な流れが生まれている場所ではないか!?
全く、何の根拠も無いのではあるが、ここ最近の釣りではそういう事を考えて打っているのである。
それがどういう流れで、どう潮が動いていて、地形によりどう生まれるのか・・・。
残念ながら、今の私には分からないから説明は出来ない。
ただ、予感のするままにそこを攻め、またそれとは別に広範囲にわたってキャストを繰り返すのだった。


無情にも、何も起きないままに私のプライムタイムは終了する。
本当に予想している時間ではないが、それでもズシっと心に重くのしかかってくる。
釣りをすればする程に、釣りは自身の弱いメンタルとの闘いではないかと感じるのだった。
場を休める為にしばらく休憩を挟む。
そこに魚はいるのに、ルアーに反応させれていないのではないか!?
この時、あえてそれは考えない様にした。
それもまた自分の釣り、また、自身の腕なのではないか。
今の自身の釣りにおいて、呼び寄せる事の出来ない魚は、私の魚ではないのだと自分に言い聞かせるのだった。
背伸びをしたって仕方ない。
等身大の釣りをするしかないのではないか。
非常に強引ではあるが、私の魚はまだ回遊して来ていないと確信する。


ここで、もう一つのルアーに交換してみた。
どこにでも売っている、人気のヘビーミノーである。
ただ、ここでの複雑な流れに負けない様に調整をしてはいる。
フックサイズもセオリーとはかけ離れた物を使用している。
これが絶妙にもマッチしているのだった。
全方向に打ってさえ、どんな引き方をしても安定して泳ぐのだった。
ブリブリと動きすぎる訳でもなく、巻く手によって、また操る竿の動きによって思う様に泳がせる事が出来た。
こういう、不思議なルアーとの一体感が最近、凄く心地よいものとなっているRockBeachです。


ひたすら、魚が入ってくるのを待ってキャストを続けて行った。
時に休憩し、何の確証もない自身の予想にただ向かうのだった。
真剣に釣りをしていても、何もなく足元に戻ってくるルアーを見ては溜息が自然に出てくる。
その度に自身を奮い立たせて行く。
奴がこの磯に近づいた時、ベイトよりも先に俺のルアーを見せてやる!
何度もそう言い聞かせた。
今日も間違っていたかと不安に押しつぶされそうになる中、それでも無心にキャストし、引いてこれる時間があるのだった。


無心になっていたので時間の感覚は無い。
それはいつも、唐突に起きるのではないだろうか。
確か、フルキャストし、沈み根の脇をかすめ真っ直ぐに泳がせていた時であったと思う。
約10メートルほど沖にルアーが差しかかったその時、一瞬、ルアーの後ろにグレーの影が見えた気がした。
即座に緊張が走る!
リールのハンドルを二回転ほどした時、まぎれもなく魚影が見えた。
一瞬の事であったが、やけに背中がギザギザした奴だと思った。
もう岸際までは僅かしかない。
おまけに、足場が高く、足元まではきっちりと泳がせられないのだ。
ハンドルをもう二回転ぐらいした時、奴の姿が表層でしっかりと見えた。


真冬のカンパチであった!


お前を探して今回は来たんだ!!
全く節操のない動きで狂った様に身をよじらせるカンパチ。
しかし、どうしようにも、ルアーはうまく操れない位置に来ている。
ギュンギュンと身を翻しながら追ってくる!
後が無い・・・。
もう巻けないので、仕方なくその場でミノーを左右に振ってみた。
辛抱たまらなくなった奴は静かに水面に出たのだった。


ジュボ!!!


ほぼ磯際、真下で喰らいついた。
しかし、いつもの事だった・・・。
ルアーから僅かそれたスプラッシュに向けて食ったのである。
違和感を感じた奴は、大きく身体を反転さたかと思うと、一瞬にして沖に消えていった。
真下でしっかりと確認した。
目測で約65センチ位の奴であった。
おそらくだが、さっきの奴はもう二度と追っては来ないだろう・・・。
だが、もしかしたら奴の仲間がいるかと、回収したルアーをすぐにキャストしたのだった。
奴らはルアーを見切るのはとても上手く、そして速い。
三投ほどキャストしたが、私の繰り出すアクションにはもはや、何も追ってはこなかったのである。


カンパチの生態はよく分からない。
しかし、自身の経験からすれば、奴らは何かのサインであった。
賢く、機敏で、また獰猛な性質とは裏腹に、意外ではあるがメジロと一緒に行動していた時も多かった。
いったんキャストを止め、瞬時に頭を整理させる。
目の前の海からは、言いようの無いオーラの様なものを感じた。
分からないが、おそらく眼前に広がる海には今何かがいる・・・。
それが痛いほど伝わってくるのだ。
例え、何がいようとも、コイツにかけてみる!
ポケットに入れていたルアーを即座に結んだのだった。
おそらく、勝負は一瞬でつく。


結びかえての第一投、誤って少し違う流れに投げ込んでしまう。
途端に全く潮をかまず、滑る様に水面を走って行った。

もう後が無い!!

それさえ、魚はしっかり見ていて、不自然な物と学習したのではと思った。
チャンスはおそらく数投しかない。
ずっと気になっていた、怪しい流れを生み出しているその場所に、自然と竿先を向けたのだった。

全神経を集中させてロッドを振った。

私にとっては珍しい事であるが、まさにドンピシャでその流れの最高の位置にルアーを届ける事ができたのである。
呼吸さえ殺し、ますは一回目のアクション。
約2メートル程を泳がせてみる。

僅かのタメを置き、すぐに二度目のアクションを入れた瞬間であった!!
波の音にかき消されている・・・。
しかし、目には猛然と水面を割った姿が飛び込んで来たのだった。


いかにも重そうな魚体がうねった!
グリーンの様で、また灰色のそれは、一瞬、激しく脈動する筋肉を見せ一気に海中に消えたのだ!
すぐにでも竿をかなぐり上げたい衝動にかられる。
一呼吸して、やっと竿先に奴の鼓動を感じるのだった。

躊躇なく強くアワセを叩きこんだ!
ドン!!っという衝撃を感じ、はっきり覚えていないが、動きながら、また巻きながら、更に強いアワセを二回叩き込んだのである。
瞬時にファイトを開始した!
今日は魚と喧嘩するつもりだった。
魚の気持ちなど知った事ではない。

Z6000のハンドルを巻いた。
おそらく、呼吸すら忘れて巻きまくっただろう。
魚がどの様に動こうが、全く無視をした。
殴る様に、ただハンドルを無我夢中で正転させて行く。
抵抗を受け、それでも10キロ程に決めたドラグは、時折、ジッ、ジッっと小刻みに出ている。
それでも、まったく気にせずに巻き殴った。
一瞬、動かなくなったが、グッと竿を使ってコッチに向けた。

やがて水面に姿を現す奴。
作戦はうまく決まり、足元の嫌な根の少し前で完全に水面に出た。
途端に、口元のいやおうない違和感に狂った様に首を振る。
フックを外そうと、奴らは最後の抵抗を見せる。
外されない様、わざと少しラインを送り、潜らせてそれを阻止するのだった。
完全に横を向いて浮いた頃、勝利を確信するのだった。
そこには、私が思うより、ずっと立派な脂肪が見てとれた。
しかし、この高い足場では抜き上げも、ズリ上げも難しく思った。


早速、足元に置いてあるギャフのシャフトを伸ばす。
巡り巡って、ギャフのシャフトは金属製の物にたどり着いていた。
片手にロッドを持ち、もう片手にギャフを持ってランディングに挑戦した。
しかし、打ち寄せる波は高く、波のアップダウンにて、魚は足元で大きく上下しているのだった。
また、少し油断すると、体力を回復して一気に走る。
片手に持ったロッドでいなすには、調子にのった青物の力は強すぎるのであった。
ギャフ掛けの失敗が続くうちに、とうとうそのシャフトの重みで満足に腕が動かなくなってくる。
ギャフを諦め、一気に抜こうとしてみたが、大きく弧を描く竿を見て、嫌な記憶が蘇った。
今、この大事な竿を追ってしまう訳にはいかないのだ・・・。
再びギャフ掛けに戻り、最終的には、泣きそうになりながら、まったく力の無くなった腕でついに獲物をとらえた。

自身で決めたファイトタイムは10秒であった。
結果として、約10秒で完全に浮かせ横たえた。
しかし、何とランディングには、おそらく3分程かかってしまった。
セルフギャフがこんなにも難しいとは思わなかった。
しかし、ついに自身の釣りの歯車がガッチリと噛みあった瞬間だった!!














P1000899

本当に美しいと思うのです。
いくらでもいる魚かもしれませんが、磯の上で戦う釣師ならば、その価値は金額には換算出来ないのではないでしょうか。











P1000897

興奮して、うまく写真が撮れません。
ボディフックのみが、奴の口深く突き刺さっておりました。
はたして、その掛かり方が正しいのか否か、今の私には分かりません。
ただ、どうあがいても、外れない刺さり具合に満足するのでした。
少し落ち着き、時計を見るとほぼ正確に、自身の想定した時間にヒットが得られていたのでした。












P1000895

滅多に無い事なので、更に撮影しております。
何度見ても、その顔には感動するのです。













P1000893

メジロ
77センチ、5キロ。
くしくも、四ヶ月前に釣れた魚と全く同じサイズ、重量でありました。
80cm、5Kg、超えの壁はとても高く感じます。
いつか、そのサイズを獲ってみたいと心に刻むのでした。




もしかしたら、同じ様な魚が他にもいたかもしれない。
しかし、私にはもう十分すぎる程に満足なのであった。
この気持ちのまま、次の魚を狙う事に意味は無いのではないか。
感謝を込めて、丁重にメジロをシメました。
エラも、そして内臓の処理も、いつもより更に丁寧にこなして行った。
胃にはかなり消化されたベイトがあった。
以前の様に、食べたばかりのベイトは皆無であった。
想像に過ぎないのだが、おそらく、狙い通りベイトに気付く前にルアーに反応してくれたのかなと思った。
そのメジロが食っていたベイトは、今日の磯において、表層には全く見えていないものだった。

トライ&エラーの連続であったが、やっと思う様な釣りが出来たのがとても嬉しかった。
また、信じたファイトスタイルにて勝負できた事も良い経験となった。
この四ヶ月にわたる鬱憤を、一気に爆発させれた事は至極、痛快であった。
はたして、本当にそれが自身の読み通りであったか、数々の偶然が重なった幸運であったのか、それは今の私にはまだ分からない。
それはこれから、じっくりと経験して行こうと思います。


無事に磯から上がり、子マサの冷えているクーラーにそっと横たえたのだった。
厳寒期のメジロ、おそらく相当に美味しいだろうと丁寧に冷やす。
しかし、まだ何か忘れている気がするのだ
中途半端にしていた釣りを思い出したのである

少し前、どうにも落ち込んで楽しめなかった釣りがあったではないか。
最高の干物、そしてフライを求めポイントに向かうのだった。
ボイル、そしてナブラ打ち・・・。
いつも、私はジグで狙うのである。
例えそれが可笑しくても






DVC00001

真昼間のアジング、とても癒されました。
これにて、丸二日間の釣りは終了です。

それでは




タックル

Rod   MC Works RAGING BULL 100XF-1
Reel  DAIWA SALTIGA Z6000
Line  YGKよつあみ  PE #4
Leader VARIVAS NYLONE 100LB







































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