2011年08月

Zealot

8月24日の日記







前回の釣行もまた、自身の釣りにおいてとても貴重な体験となりました。
しかしながら、やはり、あの黒い怪物が頭から離れませんでした。
帰宅してまた、様々なデータを見て行く毎日となりました。

勿論、今の私には学者の様な専門知識はありません。
むしろ、感覚的な事や経験を頼りに、勘で行動する事が多いと思います。
分からないなりにも、様々なデータと自身の経験、そして仲間の経験を重ねて行く。
そして魚を探して行く。
今まさに、そういう事がとても楽しく面白いのです。
そして、魚に会えた時、その喜びは更に大きくなります。






実は今回、黒い奴とは別の魚達も意識してはいた。
それはまた、大きく離れた地域の事であった。
さかのぼる事、約15日ほど前よりその傾向は見られた。
今回の釣行日が近づくにつれ、更に状況は好転している様に思えた。
南紀の西側と比べ、数度低い水温で安定していた様子であったが、
ここに来て、ふっと黒潮の影響が強まったと思われる。
詳しい理由は分からない。
しかしそれは、単純に水温が上昇したというものではないだろう。
その潮、水質自体に何か理由があるのかもしれない。



釣行日の前々日まではこの地域を調査するつもりであった。
何かしらの発見があると思った。
勿論、魚と出会える可能性もある。
しかし、釣行前日となり、急遽予定を変更するのであった。
南紀の風が変わる予報となったからである。
私が通ったエリアでは、実に三週間以上も強い西風が吹き続けていたのだ。
しかし、ついにこの夜から全く違う風が吹く。
真逆の東、北東風に変わるとの事なのだ。
波高2メートル、東の風3~5メートル。
おそらくは凪すぎだろう。
しかし、どうしてもこの大きな変化がある海を見ておきたかった。
可能性は極めて低く、全く博打の釣りである。
再び、「Black Monster」、に挑むのだった。








お盆を過ぎると急に色々な事が変わる気がする。
この日もそんな事を思うのであった。
少しではあるが、日の出が遅くなって来ている。
自ら歩いて行く、地磯の釣りではさほど影響はしないだろう。
その時刻に合わせ、スタンバイしていれば良い。
しかし、渡船となるとそうはいかないのだ。
船頭の気分次第である。
本当はもう釣りをしていたい頃、まだ船のエンジンさえ始動してはいない。
乗船前に船頭が皆に言う。
潮が止まったと。
ここで言う潮とは俗に言う、下り潮の事である。
ルアーマンは私一人であったが、落胆の声をあげたのは大勢いた餌師の方々であった。
それ程に大きな影響力を持つのであろう。
はたして、この風向きの大きな変化が原因かは定かではない。





渡礁後、すぐにキャスト体勢に入って行った。
僅かな時間さえ惜しいので、ローテーション予定のルアー達は全てポケットに詰めていた。
結束金具を結びすぐにキャストして行く。
前途した様、ルアーマンは私だけなので広範囲に打つ事が出来た。
しかしながら、困った事に流れらしい流れが全く見当たらない。
おまけに、風波さえも立たず、ベタ凪の海が広がっている。
こうなればもう、届く範囲全てにキャストして行くしかない。
どこで出るか見当もつかないし、また、何が起きるか分からないからだ。



絶対的な信頼をおいているポッパーにて一通り探ってみる。
ここ最近、今位の時間になると一気に沸いてくるシイラ達の姿も無い。
やはり何かが違うのだろう。
そのかわり、小型のダツが大量に群れていた。
大型のオキザヨリではなくダツである。
これもまた何度か経験していた。
経験からの固定観念ほど恐ろしいものはないだろう。
意識的にその感情を振り払って行く。





しばらくキャストを続けて行くと、やっと4~5匹の小型シイラ達が寄って来た。
約70センチ程の群れであり、一瞬にしてルアーを奪い合っている。
一匹がフックアップして、そっとリリースした。
先程の群れがまだウロウロしているので、ここでルアーを交換する。
結んだのは、ローデッドの180mmであった。
フックの選択を換え、その魅力的な泳ぎにしばし見とれていた。
しかし、次にキャストしたその時、悲劇は起きたのである。
振り抜きざまに、バン!!っとした破裂音が響き渡った。
すぐに衝撃が手から腕にまで伝わる。
やってしまった!
愛竿、「RAGING BULL 100XR-2」、が無残な姿となっていた。
緩かったジョイント部分から破損したと思った。
しかし違った。
ジョイントよりまだ少し上の方から、真っ二つに折れてしまったのである。
ショックであった。
金銭的な損害よりも、このロッドには数々の思い出が詰まっている。
それは、ブランドイメージでも、スペックでもない。
自分らしさかもしれない。



しかし、起きてしまった事はもう仕方がない。
出来るだけ飛散した欠片を集め、そっとロッドケースにしまって行った。
それでも、しばらく呆然として海を眺めていた。
半ば無理矢理に気持ちを上げ、スペアである、XR-1ともう一台のリールを組んで行く。
ルアーも再び交換し、執拗に水面を躍らせて行くのだった。






最早、シイラさえも寄らない海となってしまった。
時折、棒キレの様な小さいダツが遠くから、ピョンピョンっと近づいてくるのみである。
おそらく、今日はトップ及びサブサーフェスには出ないだろう・・・。
そんな気がしてならなかったが、それでも更に続けて行った。
ヤツの行動などとても読む事など出来ない。
何度ももう潮時だと思ったが、あえてまだ続けて行ったのである。
開始から三時間が過ぎる頃、ついにヤツとトップで出会う事を諦めた。
ならばと、自身の感覚に正直になってみる事にする。



大きな影響力を持つ潮が流れていない。
皆が言う様にダメだと諦めるのは簡単だろう。
潮の変動が激しいエリアだからこそ、ここの魚達が潮に敏感なのは百も承知だ。
何故、厳しくなるか具体的な事は分からない。
分かるのは、猛々と沸き上がるかの様な潮に包まれた時、
そこに見える魚達全てが嬉々として見える事だけである。
ならば、もしかすれば、そこに魚がいないのではなく、いるレンジが違うとかまったく覇気が無いかではなかろうか。
真相は深い海の中ではあるが、釣りに来ている以上、出来る全ての事をしたい。
そう思い、これならばというジグを結んだ。
そしてまた、この動きならばというアクションだけで行く。





一投、二投と真剣に攻める。
時に執拗すぎる程に細かく、狭く、ジグを見せて行く。
ボトムから表層まで、くまなく探って行った。
しかし出ない。
もう少し、もう少しと続けるが、次第にやはりかという諦めの感情が顔をのぞかせる。
負けるか!という気持ちは強いのだが、それは油断となり心の隙となったのだろう。
ボトムから引いてきて、宙層でステイの間を置き、表層で最後のアクションを入れ回収に入ろうとした時であった。

ガバッ! バシャッ!!


水面から体半分くらいを出し、身をよじらせながら飛びかかってきたのである!
良型のメジロほどの大きさ、そして肉感。
少し茶色がかったグレーの姿。
カンパチのアタックであった。



しかし、ジグが既に水面から出ている為、上手い様に喰う事が出来ない。
フロントにシングルでフックを装着しているのみなのである。
手元に衝撃が伝わる事は無かった。
残念ながらフックには触れなかったのだ。





もちろん、その魚がいたであろう部分にも、何度も好みそうなプラグは通してはいる。
表層まで出せない程の水深がある訳でもないのだ。
しかし結局、こうして出たのである。
それも水面を割って。
やはり、厳しい状況でも何が起きるかは分からない。
そしてまた、もしかすれば、プラグでは釣れない魚がいるのかもしれない。
それを再び、心に刻む出来事であった。
おそらく、何度となく経験し感じている事ではある。
しかし、通い込む程、固定観念に縛られてしまう。
その殻を破らなければ、更に先には進めないのかもしれない。





















P1010069

余談ですが、最近は自作のアシストフックを使用しています。
タイトに攻める為、ご覧の様にささくれ、すぐに傷んでしまうのです。
ちなみにこの時は、ザイロンノット40号、SJ43 5/0を使用しています。
改良が必要でしょう。
動きが妨げられない程度に、何か保護する物が無いか模索中です。










磯上がりの15時まで粘ったが、シイラを一匹だけ追加して終わった。
精神的にとても辛い一日となった。
陸にあがって、すぐに食事をして眠りについた。
南紀特急の屋根を、激しく叩きつける雨の音に夜中に目を覚ます。
大粒の雨が降っていた。
天気予報を見ると明日も強い雨との事。
次の日も休みだったが、そのまま帰宅する事にした。

次の日の夜、体調が急に悪くなって行った。
激しい嘔吐、下痢、胃痛、そして発熱。
あまりの苦しさに二日間も会社を休む事になってしまった。
まさに本末転倒である。


それでは



タックル

Rod   MC Works RAGING BULL 100XR-2(殉職)
Reel   DAIWA SALTIGA Z6000 with Dogfight spool
Line    YGKよつあみ PE #6
Leader  VARIVAS NYLONE 130LB


Rod    MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel    DAIWA SALTIGA Z6500EXP
Line     YGKよつあみ PE #5
Leader  VARIVAS NYLONE 100LB










黒い奴にとりつかれて

8月16日、17日の日記






前回の釣行で見た、黒い怪物。
帰宅した後も、脳裏に焼き付いて離れないのでした。
確かに自身のルアーを喰ったのです。
しかし、その口元にフックを掛ける事は出来ませんでした。
まさか、狙いに行って、すぐに出るとは思ってもいなかった。
しかし、冷静になって考えると、おそらく何年かに一度あるかどうかの事だったろうと。
はたして、それを体験したのが幸運だったのかは分かりません。
正直、また頑張ろうという前向きな気持ちではなく、どうしてあの時失敗したんだと、後悔する毎日でした。



次の釣行に向け、タックルやルアーの準備を整えて行きました。
そして毎日、周辺の海況を見て行く毎日が続きました。
気象の事を知らない私には理由は分かりません。
来る日も来る日も、強い西の風が吹く毎日でした。
西向きの風、約5~7メートル。
天気予報でのそれは、おそらく磯に立てば10メートル前後となるでしょうか。
時折、南西や西南西の風も吹きつけています。
この風が吹くと、このポイントに立つ事は絶望的とも思えました。
結局、釣行前日までこの状況が変わる事はありませんでした。
だが、行ってみなければ分からない。
様々な状況に対応出来る様、入念に装備をし南紀に向かいました。









今日も南紀到着は午前3時すぎであった。
最近、走行ペースを約2時間半から、3時間少々に遅らせている。
安全運転はもちろんであるが、ACをかけている為、燃料消費が著しいからである。
勿論、単独釣行の為、釣行費用をワリカンにする事は出来ない。
独りは好きだが、つまらない事にも苦労は多い。



午前4時すぎ、馴染みの渡船屋に向かう。
自身の盆休みを終えていた為、すっかり忘れていたのだが、
世間様はまだお盆の真っ最中なのだ。
驚く程の車の数にやっと気づいたのだった。
しばし様子を見ていると、殆ど全てが底物師の方々であった。
それも、何度もお見かけする常連さんのコアアングラーばかりである。
ざっと人数を数えながら、知っている底物ポイントを思い出して行く。
どう考えても定員オーバーなのである。
おそらく、この風、海の音を聞く限り、目標の磯には立てそうもない。
そこがダメならば、また多くの底物師もあぶれてしまう。
そう思っていた矢先、一台のワンボックスが到着した。
一見して分かるルアーマンの車であった。
それを見て移動を決断する。
申し訳ないと、おかみさんにお詫びしてすぐに南紀特急に乗り込んだ。
時間は午前4時半をまわったところである。
大急ぎで次なる候補地に向かった。








午前4時50分、何とか目的の渡船屋に到着する。
出船は5時との事で、大急ぎで受付を済ませ準備をして行った。
他には三名の餌釣りの方が待っていらっしゃる様子だ。
何とか5時までに用意を終えたが、ここはいつもノンビリしている。
船頭とそのお客さんが談笑した後、ゆっくりと船のエンジンがスタートした。
陽はもうずいぶんと登っていたが、今日の海には好都合だろう。
ここでも強い西風のせいで、海はかなり時化ているのである。
外洋向きの荒磯に一人立つのだから、何よりも安全の確保を重視したい。
ゆっくりと、港を出て内湾を進む船。
黒い怪物は見送る事になったが、新しい期待に胸が高鳴って行った。





もし、本命の場所に立てないならばと、他の場所にも魚を探してはあった。
前回の釣行の際にも自分なりに調べていたのである。
仲間内にもその情報は伝えてはいたが、自身がまだ竿を出してはいなかったのだ。
おそらく、魚がいるのは間違いない。
しかし、自身が体験してないならば、ただの口先ダケ男になってしまうだろう。
冒険や夢と言って、幻の大魚を追っているのも悪くはない。
だがしかし、中身の無い情報発信者にはなりたくはない。
そんな事を思い出しながら渡礁の時を待った。
狙うは、シオ、そしてカンパチである!






ここは磯というよりは、小さい島の様な感じである。
潮の当たる外洋向き、そこから続くワンド、また静かな内湾向きと、
およそ、歩いて行けば様々なポイントを狙う事が可能なのである。
まず、穏やかな内湾向きからそっと渡礁する事となった。
高台に荷物を置き、まずはポイントを見て回った。
外洋向きの先端では、すこぶる潮が当てており、青々とした潮色をしている。
雰囲気は申し分ないのだが、時折、足場は波に消えてしまうのだ。
潮位も高く、風も強い為、それら外洋向きのポイントは諦めた。
凪いでいる内湾向きでしばらく探ってみる事にする。
潮は当たらず、波気もないが、なかなかどうして、しっかりと水深はありそうだ。





まずは、ミノーから始めてみる事にした。
陽は登り行き、光量も十分にある。
既に魚は瀬際に寄ってやしないかと、まずは小さなサラシを狙ってみた。
ゴンッ、ガツっとすぐに当たってくる。
オキザヨリではなく、正真正銘のダツの皆さんであった。
より小型で口が細いのでまずフッキングはしない。
リーダーの傷みを点検しながら、ダツをかわしそれでもサラシを狙ってみる。
しかし、どうもダツ以外の魚は反応してくれない。



続いては、朝の豪快なジャンプが見たくなってトップを大遠投してみた。
シイラはいてくれるんじゃない?
しかし、この期待はすぐに消えてしまった。
全く、何の反応も見られないのである。
少しスローに、水面直下をチョンチョンっと探ってみたり。
出そうで出ない海が広がっていた。
これはプラッキングでは難しいかもと、いきなり本命のジグを結んで行った。
まず、100グラム程のジグで様子を伺う。
フックは先日、自作してみたSJ-43 7/0を使用する。
ちょっと小型には辛いかなって大きさだ。


開始早々、ゴンっとした魚信が伝わる。
すぐに合わせをいれると何か掛かった様だ。
ヨシヨシっとニヤケ顔で巻き上げてくると、何と!チョウチョウ魚のスレであった。
ゴメンな~っとすぐにリリースして再開する。
しかし深い!
ラインがいくらでもスルスルと海中に入って行くのだ。
最近、比較的シャローエリアばかりで釣りをしている為、懐かしいこの感覚に少し戸惑った。



いつ、魚達のスイッチが入るだろうと気長にシャクリ続けてみる。
海中で群れるベイト達を、遠巻きに見ているヤツらがそう簡単に捕食モードとなってくれるとは思わない。
こちらの操るジグの動きだけで、そのスイッチを入れる事は難しいのではないか。
自身はその様に思っている。
海中での何かの変化、そしてその際の魅力的なジグの動き、それらがプラスして結果が出る気がしている。
だから私は、その時が来るまでノンビリとやってみる。
どれだけ経った頃か、シャクリ上げ、止め、再び落とすという一連の動作に違和感を感じる。
ガツンとか明確なアタリではないのだが・・・。
フワっとしたり、モワっとしたり、ぐーっと重くなったりがあった。
アワセを入れてはみるが何も掛かりはしない。
潮の加減か、それともストラクチャーなのか。
はたまた、フックが大きいのか、結局はヒットには至らなかった。






この時点でもう、午前11時前となっていた。
随分と粘ってシャクッていたのだろう。
照りつける太陽に負けずに頑張っていた。
少し休憩を挟み、外洋側へとタックルを持って歩いて行く。
潮位も下がり、波の勢いも弱まって、先程よりは幾分とマシに見えた。
それでも、先端はやはり波を被っている。
少し奥まったワンドに入ってみる事にした。
先程までの内湾と比べると浅い様子だ。
おそらく、いつもよく釣りをする水深10メーター未満に思われた。
大きく波がアップダウンしていてトップは難しい感じである。
おそらく、風速10メーター近い風が沖から真向に吹いているのだ。
トッププラグならば、この風を突き抜け、狙いのポイントに届けれる物もある。
しかし、それではミスアクションが多発してしまうだろう。
よって、波が高い時の切り札のミノーを二つ取り出した。
問題はどちらを選択するかである。

飛ぶが、複雑な潮流の中では泳ぎきらないもの。
飛ばないが、ほぼどんな流れの中でも安定して泳ぐもの。



今回はそんなに肩肘張ってはいない為、結局はどちらも投げてみる事にした。
やっぱり、やってみないと分からないからである(笑)
まず、飛ぶが、泳ぎが不安定なミノーから始めた。
やはり、しっかりと泳いではくれない。
流れをみて、こちらが積極的に操作してやらないと泳がない。
そして、おそらくは遠投しても魚はいない感じに思えた。
そのルアーのまま、手前にある根の周りを丁寧に探ってみる。
上手く流れを掴み、何とか綺麗に泳がせた瞬間、どこからともなくグレーの影がやって来た。
サラシも無く、比較的クリヤーな潮色の中、全く何の躊躇なく喰ってくれた。
























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シオが釣れました
朝からなかなか厳しかったので嬉しかった~
すぐにシメて大切にキープする事に。
カンパチとはとても呼べないサイズですが、
お刺身にする位の肉厚はあります。














今度は、飛ばないが、安定して泳ぐミノーにかえてみた。
やはり、どの様な難解な流れの中でもしっかりと泳ぎきるのであった。
すぐに、同サイズのシオがすっとんで来て、またもや何の躊躇も無くヒットした。
残念ながらこちらは掛かりが甘く、すぐにフックアウトしてしまった。
どうやら、シオはある程度、群れている様である。
何投かしているとまたヒットした。
先程よりも少し小さいが美味そうなのでキープする。
今が時合いかと急いで戻った。
しばらくして、少し良いのが喰ったが、これも残念ながらすぐに外れてしまった。
少し反応が遠退いたので、ジグを結んでみる事にした。
約15メーター程投げてボトムをとる。
そこから、一気に表層まで引いて来る。
それを繰り返し、足元までシャクリ上げてみると、ワラワラと小型のシオが数匹追って来た。
どうやら、群れは底付近にいて、活性の高い少し大きな奴だけが表層にプラグを追ってくるのかもしれない。
4~5回、同じ様にジグでやってみたが、チェイスは確認出来るものの、フックアップする事は無かった。
今一歩のアクションでしかないのか、はたまた、フックが大きすぎるのかとても難しい。
再びミノーに戻すが反応が薄い様子であった。
少し立ち位置を変えて、様々な箇所を狙ってみるが、どこからも魚は出てこない。
今日のこの海況では、魚が着く場所は決まっているのかもと思った。
打ち続けるのも何なので、しばし休憩し場を休ませる事にした。






小一時間くらい休ませて再び再開してみる。
同じ様なラインをトレースして来て、手前にある流れにそっと乗せる。
するとどうだろう、やはり、どこからともなく現れ、一気にルアーに喰いついて来た。
やはり、何かの法則性がある気がしてならないのだった。
ギュン、ギュンっと竿を締め込む感じ。
やはり、小さくても、カンパチのDNAである。
最高の瞬間に暑さも、時間も忘れ夢中になった。

























P1010045

今日イチのシオです。
40センチちょっと
それでも、ST-56 の1を丸のみにしてくれました。
ミノーのお尻から吸い込んだ感じでした。
喰い気満々だったのかな?
小型でしたが、とても楽しく満足できた瞬間でした。
やったね!











次の日、8月17日は、三重の熊野の大花火大会である。
いつもの時間まで釣りをしていては、おそらく渋滞に巻き込まれてしまうだろう。
今日は比較的、短期決戦とした。
磯上がりは午前10時とした。
しかし、この日は魚の姿を見る事は無かったのである。
昨日にも増して、海は時化模様であった。
いたる所に真っ白なサラシが生まれ、波は大きなアップダウンを繰り返す。
サラシは魚の警戒心を解き、目の良い奴らを誤魔化す事もあって好きではある。
しかしながら、そこには何故か魚がいなかった。
サラシが悪いのではなく、それ以外の現象が邪魔をしているかもしれなかった。
目が良くて、ルアーをよく見切るシオ。
今回はサラシの無いクリアーな場所で鋭い活性で喰って来た。
しかし、サラシていると全く何も無い。
不思議な体験であった。
海で体験する全ての事が貴重である。



それでは





タックル

Rod  MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel   DAIWA 10 SALTIGA 5000 NEW!!
Line  YGKよつあみ PE #4
Leader VARIVAS NYLONE 80LB




















Black Monster

8月10日、11日の日記







猛暑が続いています。
皆様は元気に過ごされていますでしょうか。
年齢を重ねるごとに、仕事でかいた汗の香りにウンザリする毎日です
今年は少し早めのお盆休みをもらいました。
暑いのはとても苦手ですが、灼熱の磯で過ごすのは大好き
ワクワクしながら指折り休みを待ちました。



今回、頂いた休暇は、10日から12日までの三日間でした。
なんと! 三日間続けて釣りが出来るのです。
さすがに嬉しくて色々と準備してみました。
まずはコチラ。






















DSC_0088

なかなか、自分の求めるセットは置いてないんですよ。
抜けたらどうしよう・・・。
そんな不安で一杯でしたが、見よう見まねで作ってみました
結果的には、初期投資にけっこう出費しました
今回はとりあえず、カタチにするだけでめいいっぱいでした。
使ってみてですが、色々な不安が出てきましたから、今後はもう少し工夫してみるつもりです。
とりあえず、以下の様なもので作ってみました。


Cultiva SJ-43 7/0
YGKよつあみ ザイロンノット 40号
リング、伸縮チューブなど







続いてルアーも購入してみました





















DSC_0089

イエーイ!!
職場で休憩時間に撮影しちゃいました。
ピットで道具をかりて少し調律してみました。
夏ですね











最後はコイツです。
ずっと欲しかったけど買えなかったヤツ。



























DSC_0081

10 SALTIGA 5000

本当に長かったです
車一台、バイク一台、リール三機、ロッド二本など売却しました。
ご購入頂いた方々には誠に感謝しております。
投げ続ける釣りにおいては、わずか200~300グラムの差が大きく響きます。
ルアーローテーションに合わせ、メイン機と合わせて行く予定です。





準備は整いました。
今夜も南紀特急の暖気から集中力を高めて行きます。
Rockbeachのお盆の始まりです!









南紀到着は午前3時を過ぎた頃であった。
予報通りに西風が強く吹いている。
夏磯で私に欠かす事の出来ない物を、コンビニで購入する為に車を停めた。
駐車場の旗がバタバタと音を立てていた。
ブロックアイス二つ、1リッターのお茶、それに冷凍ペットボトルを5つ。
あと数点の品を購入して店を出た。
今日、目指すのは沖磯である。
食糧はいらない。
するめが一袋あれば十分である。
少しの塩分と飲み水さえあればいい。
これで、約10時間闘いきるつもりだ。
早速、馴染みの渡船屋に向かった。





ゆっくりと支度をしているが、未だ他のお客さんは来ない。
やがて空が白々してきた頃、3台ほどの車が停まった。
おそらく、本格的なお盆を前に、皆仕事におわれているのかもしれなかった。
結果的には、底物師が三名、ルアーマンは私一人であった。
風は強さを増す一方であった。
希望する磯に乗れるかどうか危うい感じである。
心配を胸に乗船し、船はすぐに大海原へと進んで行った。
あの磯を越えれば、すぐに目的の磯が見える。
今日はどうか。
視界がひらけると、予想に反して静かな海が広がっていた。
船頭は何も言わない。
よし、乗れる! 少なくとも満潮が近づく昼まではやれる。
滅多とない好機に胸が高鳴って行く。
やがて、ゆっくりと船は磯についた。
既に日は登って来ている。
一分、一秒が惜しいのだ。
朝の勝負タイムではあるのだが、そこはニュータックルを試してみたいのが性である。
早速、10 SALTGA5000 をセットしてみた。
メインにPE4、リーダーは100LBのナイロンをセットしている。
まずは得意のポッパーからキャストして行った。







しかし、何という向かい風だろうか。
風を切り裂き、低弾道で送るキャストでさえルアーは思う様に飛ばない。
風の合間をぬって、しっかりとロッドの曲がりを追従させて振り抜くが、それでもその流れに届かないのだ。
おそらく、それは普段の6000番とのスプール径の差であろうか。
あと、気持ち10メーターが届かないのであった。
ルアーが着水するとすぐ、ラインスラッグが舞う。
丁寧にさばいているつもりでも、とうとうローター下部に巻き込んでしまった。
いつもなら、すぐにハンドルを止め、スルスルとラインをほどいて復帰する。
しかし、新しい、SALTIGAはラインを噛み込んでしまっていた。
勿論、ローター内部にではない。
僅か1ミリにも満たない隙間にラインが食い込んでいるのである。
半ば力ずくで引き抜くと、予想通りにPEが毛羽立ってしまった。
飛ばないとはいえ、フルキャスト先での傷みである。
このミスは致命的に思えた。
潔く、すぐに6500EXPに換える事にした。






おそらく、シイラや小型青物に照準を合わせていたなら続行する程の傷みの程度であった。
しかし、今日、ここに来た理由は彼らではないのだ。
今回もまた、自分なりの夢を描いて来たのだった。
妥協はもうしたくない。
それでも足りないのだろうが、少なくとも自身の妥協から後で後悔はもうしたくない。
手慣れた6500EXPは全く不安のない働きをしてくれた。
釣り手の私のミスをも、やんわりと包んでくれる様な感じであろうか。
やがて、海面にはおびただしい程のエメラルドグリーンがひしめく。
80センチからメーター近くのシイラ達が回遊して来たのだった。
今はまだ、君達には喰ってもらう訳にはいかない。
止めたり、激しすぎる動きをしながら、すんでの所でシイラ達のバイトをかわして行った。
それでも喰う魚がいるのだが、ラインをフリーにさせて、一瞬だけテンションを与えると、決まって高々とジャンプしてくれたのである。
大抵はこれで無事にフックアウトしてくれた。
むやみに魚を傷つけずに済んだ。
しかし、あまりに魚影が濃い為、時には走ってスレ掛かりする魚もいる。
なるべくそっと取り込み、即座にリリースしてキャストを再開して行った。






しばらくすると、一通りのシイラの回遊が一段落した様であった。
この時点ですでに入れ食いだった為、かなり疲れてしまっていたのだろう。
無意識に全く何も考えずにルアーを放った。
スルスルとスラッグを取り、何げなく入れたワンアクションの直後であった。








ゴバァ!!







聞いた事の無い低音でそれは響き渡った。
気が入っていない為、即座にまだそれを理解出来ていない自分。
頭が分かる前に、光景としてとてつもない波紋がそこに広がっていた。




!!!!!





やっと理解し、少しだけ喰い込んだのを感じた。
ワンテンポ遅れて、高く、レイジングブルを振り上げた!



ぶぅん・・・。



太い風切り音を残しロッドは空を切る。
虚しくもフックは何も捉える事は無かったのである。
即座にパニックアクションを叩き込む。
喰え、喰え・・・喰え!!
喰わせる間を与えたが、それはただストップに終わってしまった。
ルアーが起こしたスプラッシュから、ゆっくりとソイツは前に出て来た。
そのまま、少しだけ前に進み、気がついた様に目の前で大きく身をよじった。
更にゆっくりと、大きく反転して行く。



あああああ!!!!




ハッキリとこの目に映るその姿。
それは、まぎれもない私の夢であった。
漆黒の魚体、あまりにも力強いそのシルエットが朝の陽の中に歪に照らされる。
ともかく、ともかく黒く、その姿は邪悪にさえ感じた。
目測ではあるが、はるかにメーターなど超えていたのであった。
まるでその姿を見せつけるかの様にゆっくりと横を向くと、
ドン!!っという勢いで加速して彼方に消えて行ってしまったのだった。
やっと正気を取り戻した私は、急に手足がガタガタと震え立ちすくんでしまった。
まさに、戦慄すべき光景であった。





その後、再びヤツの仲間が出ないかと必死にキャストを続けた。
何となく分かってはいたが、二度とは現れる事は無かった。
幸いにして、今日はおびただしい数のシイラ達がいる。
釣行初日から、このまま落ち込んでしまっても仕方ない。
半ば自身に言い聞かせるのだった。
すぐに数匹の80センチクラスが釣れてくれた。
5~10匹が束になってルアーを激しく襲う。
競い合うから、更にその攻撃は増して行く。
ルアー着水と同時に、背びれを出しながら超速度でどこからともなく飛んでくるのだ。
まるでそれは魚雷であった。
ドン! ドン!っと立て続けに被弾する。
いったい、どれだけいるのだろう。
少し休んで写真を撮ってみた。





















P1010037

やはり?勢い良く突っ込んで来る大半はメスシイラである。
飛距離が出ないからか、どうにもオスまで届いてないのかもしれない。
もしくは、自身のルアーアクションが、オスとメスの視界の差をクリアしていないのかも。





















P1010036

メーターあるか無いかだが、それでも激流に走らせるとかなり手こずる事になる。
何本も釣っている内にそれがとても興味深く思う様になった。
海底に向け、また根に向けて突っ込んだりはしない。
しかし、その引きは十分に強いものであり、瀬際での走りは油断するとリーダーを傷つける。
たまに、目測で120センチ超のオスが掛かると喰った瞬間にドラグが走る。
一瞬の走りは相当なパワーに感じた。

わざと激流に向かわせると、レイジングブルでさえバットからしっかり曲がって行く。
磯のルアー釣りを続けていても、私には、こんなに強引な魚とのやりとりは滅多に出来る機会は無い。
単純に、今回はかなりファイトの良い経験が出来たと思う。
最終的には、やはり瞬間的なパワーファイトに出るとやりとりが迅速であった。
喰った瞬間、ゴン!っと合わせ、即座にハンドルを回転させる。
驚いた事に、シイラは全く何の抵抗もしないままに足元まで寄るのだ。
衝撃で脳震盪でも起こしているのか、はたまた、釣られた事に気付いていないのか・・・。
何はともあれ、全く何の抵抗もしないのだった。

更に面白いのは、狂った様に走りまくり、抵抗を続けていたシイラ達であった。
ベールを返し、ラインをフリーにしてやると、決まって少しだけ進み後は動かなくなってしまう。
再び凄いテンションを与えると、またムキになって暴れるのである。
ゆっくり、ゆっくりとほぼテンションがかからない様に巻いていると、次第に寄ってきて御用となるのだった。
これらはシイラだけの特性なのかは分からない。
機会があれば、他の魚とのやりとりでも試してみたいと思う。



適度に休憩を挟みながらも、時間は瞬く間に過ぎて行った。
潮が満ちてくるにしたがい、大量の波飛沫を被る様になって行った。
潮がやっと絡む様に流れ、一気に魚達が活気に満ちて行く。
グレを始め、沢山の小魚たちも表層付近まで上ずり、今にも何か起きそうな感じとなった。
しかし、ここでゲーム終了、我々の安全を一番に考える船頭が飛んで来てくれたのである。
一日目終了。











二日目の釣りでは、あっつん氏と、久々となる、Y氏とご一緒させて頂く事となった。
向かうは昨日、渡礁した磯である。
準備中、他のアングラーを見ると見たお顔があった。
確か、今年の初釣りでご一緒した岐阜からの方であった。
彼はずっと絶え間なくジグをシャクリ続ける鉄人である。
凄い方々とご一緒出来てとても楽しみであった。




渡礁後、めいめいがすぐに準備を整えて行った。
リラックスした気分で自身はキャスト体勢に入る。
再び、あの漆黒のモンスターを求めて投げ続けた。
しかし、結果的には二度と目にする事は出来なかった。
お二人はお得意のミノーイング、そしてトップと丁寧にこなされて行かれた。
陽が昇ってからは、執拗なるジグでのピンポイント狙いに移行されて行く。
そしてまた、様々なローテーションを続けて行かれた。
お二人の釣りには、彼ら流のリズムがある様に見え、とても興味深いし安定感がある。
私はこの日もジグは殆どお休みにした。
プラッキングにこだわってみたかったのである。
昨日ほどではないものの、この日も沢山のシイラの回遊があった。
ジグでボトムでも喰ってくる程であった。
岐阜からのアングラーも、ジグで数多くのシイラを釣られてみえた。
深く傷ついたシイラはキープする事にした。
海に帰しても、おそらくは過酷な自然を乗り切る事は難しいだろう。
アングラーのエゴかもしれないが、せめて美味しく頂く事にする。
しっかりとシメ、血、そしてワタを抜いたシイラはなかなかの美味である。
海外で調理される様に、油ものとの相性が良い気がする。
結局、私は二匹のシイラを持ち帰る事にした。
青物には巡り合う事は出来なかったが、何かが釣れる事が何よりも楽しいのだ。
おそらく、冬になればとても寂しい気分になるだろう。




お二人は今日一日で帰宅されるとの事であった。
二日間、のべ18時間、真夏の磯で釣りをした私もそろそろ限界を感じた。
何より、ルアーやフックなどのストックが心細くなって来たのだった。
数々のお気に入りのルアー達を、巨大なサメに持って行かれたりしていたのだ。
あと一日、休みはあるが、明日はゆっくりと休もうと南紀を後にした。
帰り道、夜の河口にてウェーディングを数時間やったのだけど・・・。
私には何も起こせませんでした。
今回も楽しかった~
あっつんさん、Yさん、今回も有難うございました。


それでは




タックル

Rod  MC Works RAGING BULL 100XR-2
Reel  DAIWA SALTIGA Z6500EXP
Reel    DAIWA  10 SALTIGA 5000  NEW!!
Line  YGKよつあみ PE #4  PE #5
Leader VARIVAS NYLONE 100LB


















夏の夜の静寂

8月3日から4日にかけての日記







連休がとれたので、アテも無く南紀でのんびり過ごそうと思っていました。
しかし、またまた台風です
釣行日が近づくにつれ、日に日に波、ウネリが増してくるのでした。
おそらく、風向きから想像するに、初日の午前中は立てない事はない。
しかし、大きなリスクを背負い、また、我慢の釣りをしいられる事は目に見えています。
同じ行くのなら、安全に気持ちよく釣りがしたい。
金銭的にも、限られた南紀釣行に賭けてみる事は今は厳しいのです。
直前まで悩みましたが、今回は見送る事にしました。



良い機会ですから、ここはやるべき事を済ませる事にします。
普段、仕事におわれ、釣りをして、色々とたまっている雑務をこなして行きます。
用事を片づけながらも、空いた時間には吸い込まれる様にして、行きつけのショップに車を向けていました。
まずは、日ごろ欲しかった品を物色して行きます
一つ、また一つと、バスケットケースの中に商品が入って行きました。
買い物に夢中になっていますと、携帯電話がけたたましく鳴るのです。
Taka氏からの電話でした。

「近場行くんやろ?」っと氏。

うん、まぁ・・・っと答えると、彼は私の一番感じる場所を、ピンポイントで突いて来るのでした。







「タイリクスズキ釣りに行ってみたら!」








ともかく、普段、あまりお目にかかれない魚には目の無い私。
「イイね~行ってみようかな」、とは言うものの・・・。
実は、ダッシュでシーバスルアーのコーナーに移動していました。
すぐに、所狭しと並ぶルアー達を見て、今夜のスペシャルを選んで行くのでした。






タイリクスズキとはいったいどんな魚か?
シーバスをあまり知らない私には殆ど知識がありません。
四国、九州などで、大型が釣れるという話を少し知る程度です。
漁港でのマイクロジグ、ミニミニミノー時代に、ある地域にて、少し変わったセイゴを釣った事はありました。
背びれから背中にかけ、黒い斑点が沢山ある魚でした。
当時、それは、「ホシスズキ」、の幼魚であると認識していました。
しかしどうやら、その魚こそが、「タイリクスズキ」、であるとの事。
そうしますと、Taka氏のおっしゃる場所はまさに、過去に自身が経験している所であった。
期待を膨らませ、夜に備えしばし仮眠をとるのでした。





準備が整ったのは21時を過ぎた頃であった。
これから向かう場所には、おそらく、南紀への時間の約半分で着けるだろう。
向かうには心軽いのだが、いかんせん、シーバス釣りを知らない事への不安が付きまとう。
タイリクがどうのと言う以前に、マルスズキすらまともに釣った事が無いのだから。
しかし、いつまでも、分からないでは何も始まらないのである。
分からないからこそ、チャレンジするのであり、そこに夢を抱く。
それが自身の釣りではないだろうか。
道具、またルアーは違えど、いつもの自身の釣りをしてみるつもりで向かった。



現地到着は23時頃だった。
不慣れなウェーダーを履き、ライジャケのポケットには、ルアーとラインを押し込んだ。
一応、スタイルだけでもと、ストリンガーも持ってみる。
当ブログを読んで下さっている方々には、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、
私は夜の釣り場がとても苦手である。
とにかく怖いのである(マジ)
数年にわたり、一人でウロウロとしていると、「あなたの知らない世界」、的な事には何度か遭遇する。
いつも、それを思うとおっくうになるのだが、今回、それよりも釣りをしたい気持ちが勝っていた。
出たら出た時の事!
思いっきり、カラ元気を出して鼻歌まじりでポイントに向かった。





やがて水辺にたどりつくと、バシャバシャと波が当たる音が聞こえる。
潮は下げているのだが、水にはとても勢いがあり、岸際で波が砕けている様であった。
暗くてよく見えないが、遠くの、海と川との境目からは、磯で聞く様な波の轟音が響いて来ていた。
おそらく、台風のせいで海は相当にシケているのだろう。
しかし、ここは河川である。
気を落ち着かせ、ゆっくりと入水して行った。
まずは、わずかな灯の明暗の境を狙って行く。
何度も何度も通してみるが、魚からのサインを感じる事は無かった。
続いては、明らかなるストラクチャーを順に狙ってみる。
しかし、こちらも反応は無い。
やはり、私にはまだ早いのか?っと諦めがちになる。
だいたい、普段、のんびりと仲良くベイトと共に泳ぐ、シーバスがルアーを襲う姿が想像出来ないのだ。
しかし、どなたもシーバスをルアーで釣られている。
情けないが、本当にそんなレベルで、不安になってしまう自分であった。




はたしていつ、シーバス達の喰いが立つのかも分からないのである。
場所は間違っていなくても、その一瞬が来なければ喰わないのか?
それとも、他にシーバスの捕食ポイントが存在するのか?
そんな迷いが脳裏を巡って行った。
待ち続けるのは苦手ではない。
しかし、自ら攻撃的に攻めるのはもっと心地よい。
結果として、待つのをやめ、大きく立ち位置を移した。
真っ暗闇での釣りにはなるが、もうなる様になれと思った。
少し歩くと、途端に漆黒の闇が辺りを包む。
ヘッドランプが照らすのは、唯一、一歩、また一歩と進む、川底だけであった。
不用意な明かりは、魚達の警戒心をつのらせるだけだと思った。
やがて、闇の静寂の中に我が身を置くのであった。




ビュンっという、ロッドを振る音が闇を切り裂く。
いつもは、波、そして川のせせらぎに消されてしまう、リールの回転音さえもが響き渡るのだ。
闇への恐怖は次第に薄れ、静けさは集中力となって行った。
最早、釣りのみしか心には無かった。
次第に目が慣れ、薄らと浮かび上がる流れに向かってキャストしたその時であった。
着水後、すぐのリトリーブに違和感を感じる。
すぐにアワセを入れた。
ドン!っとした衝撃、そしてすぐにヤツが水面を破り跳ぶ。
きた! シーバスだ。
勢いよく跳んだソイツは、ギュンギュンと絞り込み流れの中に向かった。
ロッドは綺麗な弧を描いている。
グッグッと、時折、締めこむ引きは強いものであった。
ともかく、今は巻くしかないのだ。
ウェーディングで魚を掛けた事など、一度も無いのである。
なるべく、彼ら得意のエラ洗いだけは避ける様に竿を操作した。
やがて目の前に浮かぶ、銀鱗の姿。
目測で60センチは超えている。
しかし、足元から約2メートルの所に、強い流れがあった。
すぐにその流れに魚は入ってしまう。
それまでの様に、魚は動いてはくれないのだった。
立ち往生してすぐに、フッとテンションが無くなってしまう。
フックアウト、バラシであった。





強く、鋭く、アワセを入れたつもりでいたのに。
しかし、それは普段通りのアワセであったろうか。
いつもの、レイジングブルとは全く違うロッドなのだ。
頭では分かっているつもりでも、いざ、魚を前にすると対応出来ないのであった。
今持っている竿は、大きくシナリ、曲がるものである。
気を取り直してキャストを続けるが、全く反応が得られない。
そこで、昼間に厳選したルアーに交換してみる事にした。
サイズは変わらないが、とてもファットなものであり、いささか自身のセオリーの外のルアーであった。
狙いを定め、その場所に向かってフルキャストした。
すぐさま、水流に馴染む様、急いでリトリーブして行く。
やがて水を噛んで、すぐに気持ちよく泳ぎだした。
暗闇では、穂先で感じる感覚だけがたよりなのだ。
おそらく、5メートルほど引いてきたが何も無い。
ここで、いつもの磯での癖が出る。
素早く巻いてアクションを入れ、パタッと止めてみた。
刹那、ドン!っとした手ごたえ。
喰った!!





既に反転しているかもと、即座にアワセを入れた。
大きく、力強く、思いっきり入れた。
先程とは、全く異なる重量感が伝わる。
デカイ・・・。
しかし、構わずにラフファイトで応戦する。
先程のバラシでは、約5キロほどに合わせていたドラグであったが、その後、少しだけ緩めてはいた。
しかし、魚に対しほぼ直線的に向けたロッド角度では、全くドラグが止まらないのだ。
強い締め込みをただ耐える。
やがて、姿を見せたヤツは確かなサイズであった。
黒々として体高があった。
70は余裕で超えているであろう。
しかし、やはり流れに乗って動かなくなってしまう。
タックルを信じ、半ば力ずくで寄せようとしたその時、またもやテンションが一瞬にして消えた。
ルアーを回収すると、純正採用のフック、ST46 4がほぼ真っ直ぐに伸びきっていた。
おそらく、刺さりが浅かったのだろう。
あまりの悔しさに悶絶した。




その後は反応が全く消えてしまった。
しかし、もう今夜はこの場所で粘り続ける事にする。
手をかえ、品をかえ、何度も打って行った。
前回のシーバス修行にて、これは良いかもと思ったルアーを結んだ。
直後、ゴグンッとしたショートバイトを得た。
今はコレかも知れない。
キャストポイントを変え、ゆっくりと流してみた。
グウッっと締めこむ様な違和感。
縦に、シナる様にアワセを入れた。





















P1010028

やっと、やっとの事で釣れました。
初ウェーディングでのランディングには迷いました。
傍まで寄せるが、どうして良いか分からない。
ゆっくりと、岸に向かって後ずさりしていました(笑)
やったね!














初めてのウェーディング釣果に喜び、数枚の撮影をしてストリンガーに付ける。
再び戻ると、流れが大きく変わり行くのだった。
よく分からないが、おそらくこれは好機。
5キャストに一回位のバイトを得るが、やはりどうしても寄せる内にバレてしまう。
あまりの不甲斐なさに溜息がこぼれた。
そこで、再び今日のスペシャルを投入してみた。
磯でのアクションをそのまま再現してみる。
ゴン!
嘘の様にあたった。
寄せるのもいつもの磯の様に。

























P1010030

色が違います!
そして、背びれと、身体に散りばめられた黒い斑点!!
やっと、やっと釣れました。
タイリクスズキ・・・ならぬ、タイリクセイゴです。
会えた~
やったね!!












それからは流れが穏やかになってしまった。
本当に不思議と、全くアタリもカスリもしないのである。
おそらく、そこに魚がいるのは間違いない。
しかし、自身の誘いではどうしても喰わないのであった。
もしかすれば、そこには、のんびりとベイトと共に泳ぐ彼らの姿があったかもしれない。
とてもシビアな釣りであると思った。
とりあえず、休憩と先ほどの魚を並べて撮ってみました。























P1010033

タイリクはやはり色が白っぽく、頭や口が少し小さい様に思いました。
血がにじんでいますが、これはファイトによるものではありません。
以前の経験ですが、海水ヒルが付いていたり、身が寄生虫におかされていたりと、
シーバスの生活環境もまた大変な様です。
この傷は何が原因なのかは分かりません。
とても、可哀想に思いましたが、優しく扱ってなお、とても弱ってしまいました。
蘇生を試みましたが、回復にはほど遠い感じで。
無益な殺生は憎みますが、弱った魚をリリースする事にも疑問が残る。
今回は、有難く、美味しく頂く事にしました。
早速、コンビニに向かい、ブロックアイスを三つ購入します。






その後、少し潮が変わるまで、違う場所を見て回った。
シケで濁りが強い為か、エギングでは全く反応が無い。
漁港、河口のチェックもしたが、ここでは共に難しい感じであった。
再び、同じポイントに立ったが、すぐに大粒の雨が当たってきた。
状況を一変させる、起爆剤にも思ったが、あいにく今宵は合羽の持ち合わせが無い。
止む気配が無い為、潔く帰宅する事にした。




釣行後、様々に回想してみたのだが、考えるまでもなく、バラシの多さが何よりもの問題である。
たまたま、釣れた二匹にしても、ルアーは口の外にあり、かろうじてフックだけが口、もしくはその横、アゴに掛かっているのみであった。
おそらくそれは、魚がルアーを捕える最後の瞬間に、喰らう事に躊躇した証ではないだろうか。
私的な言葉を用いれば、まさに嫌々喰ったのである。
タックルがどうの、アワセがどうのと言う以前に、やはり、ソレが自然界のものでは無いと見切られているのかもしれない。
釣れた事は嬉しいが、あらためて課題がまた一つ増えた釣行であった。
いつの日か、どの魚にもしっかりとルアーを飲みこませてやりたい。
また、新たな扉を開く一夜であった。


それでは




タックル

ROD  DAIWA Morethan BRANZINO 109ML
REEL DAIWA EXIST HYPER BRANZINO 2508R
LINE  DAIWA ジギング用 PE1.5号
LEADER VARIVAS NYLONE 30LB










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