2012年02月

釣りいろいろ

2月22日、23日の日記







一日があっという間に過ぎて行く毎日です。
釣行前日の仕事でも、後輩の二人が計休であり、残る一人が急な病欠となりました。
昼食を食べたのは16時過ぎでした。
それでも食べれるだけマシですね
本当は家でたっぷり寝て、ゴロゴロしてれば良いんでしょうけど。
私の場合、それだと余計にしんどいんです。
不思議と海に行けば風邪も治るし元気になるって事で
何も考えずに釣りに行く事にしました。
シフトの関係で連休が続きます。
よって南紀まで足をのばしてみました。








まず、朝マズメに向けて好きな磯へと向かう。
天気予報では、22日の夜より雨との予報であった。
大してそれを信じてはいないのだが、さすがに丸一日それが早まると調子が狂う。
出発の21日、23時半には、既に雨がフロントガラスを叩いていたのだった。
南下するにしたがってそれは強くなり、尾鷲を越えた辺りから本降りとなって行った。
やがて南紀に到着するがその雨は止む気配が無い。
幸いにして風はあまり無く、海から聞こえる波の音も少し大きいかな?といった感じである。
午前5時頃に磯へと歩き出した。





海は大人しい感じだったが、絶え間なく降り続ける雨のせいか人は居ない。
キャストを始めしばらくした頃、一人また一人と釣り人がやって来るのであった。
今日は大潮である。
満潮はちょうど朝のチャンスタイムと重なっていた。
まだ暗い内よりミノーにて探って行く。
しばらくして、ハッキリと飛行中のルアーが見える頃になってトップルアーへと換えて行った。
今日もやはりといった感じで、気持ち悪い方向から潮が当てて来る。
影響を受ける程の風は吹いてはいないが、この潮のせいでルアーアクションが難しくなるのだ。
波こそ穏やかなもののウネリが効いている。
弱シンキングタイプを選択したがこれは全くの間違いであった。
どうにも水面から飛び出してしまうのだ。
全く同じ形状のフローティングに換えてみる。
おそらく、ほんの僅かなバランスの違いでしかないはずだが、アクションのしやすさには雲泥の差があった。
それに気付くまでの数分にも、もしかすれば、繊細にて大胆、豪快にて臆病なヤツの不信感をつのらせる事になったかも知れなかった。
ともかく、キメのアクション、間合いを意識するも全く反応が無いのである。
すっかり明るくなってしまった今、目の前に広がる海は淀んで見えた。
水は鉛色であった。
何故にか、大潮の今日の海は思う様に動かないのであった。
勿論、流れていない事はないのだが、そこに狙いを定める様な何かが生まれては来ないのである。


結局のところ、午前11時頃まで投げ続けてみた。
はたして、投げ続ける事が正しいかは不明だ。
それが、プレッシャーを与え続ける事になるという見方も出来なくはない。
否、それがプレッシャーとなるかすら怪しいものだろうか。
魚がそこに居るか居ないか。

それさえも分からないからだ。
また、そういう魚に出会いたくて通ってもいる。
潮位が下がった今、凪ではないものの動きの緩い海が広がっているのだった。
自身として、おそらくは100パーセントの釣りが展開出来たのではないかと思う。
しかし出す事が出来ない。
やれる事は全てやった。
更に海は停滞し、やがて汚れた泡が辺りを覆って行った。
ここらが潮時だろう。
素直に磯から上がるのだった。








辿り着いたのはいつものレストランである。
未明時より、振り回し続けた道具のせいで体中が悲鳴を上げていた。
ボリュームのあるしっかりとした食事をとりたい。
注文したのは、「イノブタ」、の料理であった。
程よい脂気が口一杯に広がって行く。
吟味しながら頂く間にも、窓の外に広がる大海原から目が離せない。
豪快に白波を立てる、その潮を見るのは久しぶりの事であった。
東南東の風が強い。
安全に立つならばあの磯だろうと、キャンパー向けのパーキングより眺めるのだった。
しかし、やはりといった感じで力がみなぎっては来ないのである。
自身の中の弱気、そして打算的な想像に心は曇って行くのだった。
最後までその気持ちと闘ってはみたが打ち勝つ事は出来なかった。
仕方なく、自然に目覚めるまで眠る事にした。







目覚めると陽はかげり始めていた。
今からムキになって青物を狙うつもりはない。
というよりはむしろ、他の釣りをやってみたくて仕方がないのであった。
そこで、移動距離の少ない磯に向かう事にする。
手にしたのはエギングタックルであり、サブに青物のそれを持った。
やはり、思う様な流れは生まれず、程よいウネリの波が向かって来ていた。
手始めに派手なアクションで表層を乱す。
今か今かと誘って行くが何も無い。
陽が沈むと共に、イカ用のそれに持ち替えて行った。
広範囲にアピールしながら潮に乗せるも反応は無い。
続いてはシモリをゆっくりと探る。
一投一投と真剣にこなして行くがどうにもならなかった。
やがて強い風にラインが舞い、キャストする餌木もブレて飛ぶ様になって行った。
大量のラインをトラブルにて失い、強制終了せざるを得ないのだった。
私にとってはあまりにも難しい釣りであった。








磯から上がると予想外の風の強さに驚いた。
風が強かったとはいえ、今までいた場所はそれなりに風を遮っていたのかも知れない。
東方より吹き付ける風の体感は約10メーターほど。
漁港でさえ、漂う波飛沫が舞っていたのである。
風だけではなく、雨もまた激しく頬を打つ。
それでも、ポツリポツリとは釣り人の影があるのだが、その殆どは県外からの方であった。
しきりに仕掛けを直しているだけで全く釣れてはいなかった。
そんな中、気になっていた場所に向かう事にする。
おそらく、ここでメバルに会えるならばソコであろうと夢想していたのだった。
風は係留されている船を、まるで水面に浮かぶ木の葉のごとく揺り動かしている。
船と船が擦れて大きな音が響いていた。
軽量ルアーは殆ど飛ぶ事は無い。
それでもゆっくり探る事に可能性を求めたのだった。
























P1010354

去年の晩秋に思い立って、やっとの事で出会う事が出来ました。
サイズはあまりに可愛いのですがそれは問題ではないのです。
そこに居るだろうとの仮定にて出会えたのですから。
世間的にはあまりに平凡な事なのでしょう。
そんな些細な閃きも、いつか花開くと思いたい自身でありました。
やったねと心に刻むのでした。







その後も小さい魚信を得るのだが、雨風は更に勢いを増し移動する事にした。
最早、風を背にするしか釣りが難しくなって行く。
本当はノンビリと楽しむ予定であったが、全くもって攻めの釣りをしなければならなくなった。
はたして、強い追い風の中で魚はそこに集まって居てくれるのか?
そんな思いを胸にキャストして行く。
狙うは、先日の釣行にて火がついたアジであった。
気が遠くなる程にそのフォールに時間を費やした頃、やっと違和感を感じるのだった。


























P1010357

やはり小さいのですがそこは嬉しいものです。
オートマチックに掛かる事に期待は出来ません。
積極的に掛けて行かなければならない。
ひとえに道具のバランスの妙なのでしょう。
それでも、今は一つのタックルしか持ち合わせが無く、自身をそれに合わせて行くのみなのです。
















P1010364

小一時間もやって、たったこれだけの釣果でしかありません。
全くもってアタリが遠い夜でした。
しかし、有難い事にそのアタリの多くを掛ける事が出来たのです。
口切れしやすい透明の部分への針掛かりはありませんでした。








雨風はさらに酷くなって行った。
それだけなら、まだ耐えられない事はない。
しかし、魚信もまた遠ざかって行ったのである。
ここでまた、同時に明日の朝の磯は諦める事にした。
半分が打算的な感情からであり、もう半分はその釣りが今は楽しめそうもないからである。
理由はともかく、そこは気儘に我が心に身を委ねるのみであろう。
そう思い、元来た道を引き返す事にした。
風とは不思議なものである。

























P1010366

より東の風を受けるだろうと想像したポイントでの釣果でした。
釣ってすぐなのですが、全く生気のない目をしていますね
ここでは、大小様々なサイズのアジが混在していました。
小さいものでは10センチ程度、大きいものでは20センチ強と複数の群れがいた模様です。
泳層云々ではなく、その潮の動きによって各サイズごとに捕食スタイルが変化して行ったのです。
最終的にはより大きな魚体はライズする状況となりました。
表層のパターンをワームにて再現させると反応してくれました。







自分なりにとても興味深い釣りを体験出来たのだが、やがて土砂降りとなりアジは反応しなくなって行った。
やっとの事でバイトを得ると小型のカマスといった具合である。
その中でも良型のヒットがあり、いざ針を外そうとして息を飲んだ。
なんと、その身体には大きな蛭が付いていたのである。
シーバスへの寄生を見た事はあったが、まるで予想だにしないカマスへのそれに取り乱してしまう。
過去の渓流釣りからそれはトラウマとなり、この日もあわや失神してしまいそうになった。
オーバーだとお感じの方もいらっしゃるだろうがそれは誠である。
蛭ほど気持ちの悪い奴はいない。
それでも、カマスの身体に対しあまりに大きい蛭だったので可哀想に思った。
恐怖を噛み殺しながら、足でそれを踏みつけてカマスから外してやるのだった。
リリースした魚は元気に泳いで帰って行った。


ここで、一気に三重まで戻る事にする。
全く何の手がかりも無いのだが、熊野エリアのアジを探ってみたくなったのだ。
しかし、この想いは無情にも叶わなかった。
更に雨が強くなり、南紀特急のルーフからはけたたましい音が聞こえる様になる。
トイレへと立ち寄ったパーキングでは、その勢いに一瞬にしてズブ濡れとなってしまった。
既に合羽は裏地まで濡れてしまっており、ましてや、この雨の中では着ていないのとそう大差はないだろう。
身体も芯から冷え切っている為、ここでの無理は止めておいた。
夜明けまでそのパーキングにて眠るのだった。






再び目覚めたのは、午前5時半を少し回った頃であった。
大雨ではなくなったにしろ、まとまった量の雨が降り続いている。
眠気も薄れた事だし、なるべく家の近くまで戻ろうかと一気に走る事にした。
そのまま帰りたくなる程の天気ではあったが、やはりどうにも釣り足らないなと気持ちを新たにする。
そこで向かったのは、ディープエリアが隣接するポイントであった。
午前7時を過ぎた頃に到着するも、まだ薄っすらとした暗闇が残る。
否、正確には真っ黒な雲に空が覆われているのである。
ここでダメなら帰ろう、そう思う事で気持ちは楽になった。
まずは、良型のアジの回遊が無いかとキャストを続けて行った。
約30分ほど丁寧に探りを入れるも何の変化も無い。
しばしの中断と、根魚狙いにシフトしてみる。
竿の向きを変えると一投目から心地良い反応があった。























P1010369

ガシさんでした。
やったね!
























P1010370

続いて二投目はこの子。
久々のデイメバルさんが釣れてくれました。
























P1010373

三投目にもきました。
雲が少し薄れ、やっと朝らしくなって来ました。
まさかの入れ喰いに鼻息も荒ぶります。








もしやこれは、根魚の巣ではなかろうか
そんな妄想が膨らんでくるのだった。
落ち着いてよくよく海を眺めてみると、水の色はどうにも良い感じに見えた。
所謂、水潮の様な色ではなく、緑がかった濃い青色をしている。
また、絶妙なる濁りが入っている様にも思えた。

そこで再度、先ほどからアタリが出ているピンポイントを探ってみる。
とは言え、ピンスポットを直撃する様な狙い方はしないでおいた。
少し沖に投げ、そこから、フリー及びテンションフォールを交えながらボトム付近まで落とし込んで行く。
イメージとしては底を少し切ったレンジ、そして底ギリギリにてその場を通過させる様な感覚である。
最近、ずっと同じ号数のジグヘッドを使う事によって、何となくそのフォールスピードが分かる様になって来た。
4~5投ほどした時、ツンっとした小さい感触が伝わって来た。
何の躊躇いもなく大振りなアワセを入れた直後であった。
経験した事が無いほどの引きにドラグが悲鳴をあげた。








ヤバい!っと直感しすぐにハンドルを巻いて行く。
しかし、巻いている最中にもドラグは止まらない。
ロッドの角度を変え、ラインテンションを無理に与えてそれを止めにかかる。
その隙をみてゴリ巻きし、それでも出るならばポンピングにて無理矢理にリフトさせて行く。
しかし、いったい何という重みであろうか!
ロッドは綺麗な弧を描いている。
一時はそのまま観念するかと思われた奴であったが、その抵抗はほんの序章に過ぎなかった。
まだ魚の姿が見えない程度まで浮いた所で、それまでとは段違いの力で底に向けて突っ込み出したのである。
少なからず青物の引きを知る自身であってさえ、それは強烈と言えるものであった。
スプールを押さえ無理に止めてはライン強度に不安が残る。
かといって、巻く手を止めてしまったら奴の思うがままとなる。
何とか止めようと試みるも、絶え間のない強引にとうとう負けてしまったのである。
根に到達し、全く動かなくなってしまった。



そこで、ラインテンションをギリギリまで緩めて待ってみた。
1分、そしてまた1分と。
静かに時間だけが過ぎて行く。
はたしてまだ魚はついているのだろうか?
それとも、フックオフした勢いで、そのまま根掛かりとなってしまったのだろうか。

少しきいてみるが、全くもって魚の息吹きは感じられなかった。
おそらく、このまま待ち続けても変わらないだろう。
その決断は自身の心に重く圧し掛かって行く。
そして覚悟を決めた。
自身が選んだライン、そして何度も工夫して編んだノットを信じるしかない。
そうして力の限りリフトして行く。


切れるか!? それとも折れるか!?
そう思った瞬間、奴はバサっと羽ばたくがごとくその身をよじったのである。
よし!根から引き剥がす事が出来たぞ!!
そこからは電光石火のごとく巻き殴って行った。
強いリフトに耐え抜いたラインを絶対的に信頼した。
走られ突っ込まれたが、今度はスプールを押さえそれをロックする。
まだその姿は見えない。
幾度もそれを繰り返し、ついに魚が見えたのだった!
でかい・・・。
なんだこいつは?
その時の素直な気持ちである。
幸いにして潮位は高く、そのままの勢いで抜き上げたのであった。



























P1010377

こんなガシラを見たのは初めてです。
ハタ類とはまた違う貫禄が漂っていました。























P1010376

写真ではなかなかこの迫力をお伝え出来ません。
バス持ちして動かしましたが、暴れてその手を振り払われそうになりました。
その重さと感動で手は震えていました。























P1010381

個人的には、メジャーを置くのはあまり好きではありません。
しかし、あえて目安として今回は出してみました。
計測すると、34センチ強ありました!
もちろん、自己記録を大幅に更新です
尺をついに手にする事が出来ました。
やったね!!







感動で、最早、雨の煩わしさなど霞んでしまった。
嫌な雨どころか、まさに天の恵みではないかと思えるのだった。
時折、強さを増したそれに水面は霞んで行く。
大きな雨粒に打たれ、その潮目はよりハッキリと姿を現して行った。
おそらく、まだそこに魚はいる。
そしてまた、この様な好機には滅多と巡り合えないだろうと。
そこであえて、先程までのパターンから離れてみる事にする。
今だからこそ、確かめておきたい事が沢山あるのだから。

























P1010383

好きなジグにも反応してくれました。
激しい雨粒はカメラのレンズをも濡らして行きます。























P1010385

2投目にもヒット!
たまりません
























P1010386

また釣れてくれました!
あまりの興奮にオッサンからは湯気が立ちます。
その後、しばしアジの回遊が無いか移動してみました。
そのついでに、周囲を歩いて水の中を観察してみます。
やはり、所々のピンスポットにメバルが着いていました。
サイトで誘うと不思議とよく反応します。
やはり、何かがいつもの海とは違うのでしょうか。

























P1010387

小さいですが、デイメバルにうっとりです
嬉しい。
























P1010393

再び、例の巣に戻るとすぐにきました。
いったい、その狭いそこに何があるのでしょうか?
潜って見てみたいです






段々とアタリが遠退き、そろそろ潮時かと思うのだった。
はたして、良い時だからこそ、自身の釣りは雑になってはしないだろうか?
そこでもう一度、いつも通りに丁寧に引いて行った。
コツン。
とても小さいアタリにハッとする。
やはりそこにまだ魚はいたのだった。
アワセを入れると、またしても強い力で抵抗する。
今度はやられるものか!
すぐに、ドラグロックを入れて強引にファイトして行った。
最後に再びドラマが訪れたのである。

























P1010388

少しサイズダウンしましたがそれでもこの迫力!
本当にたまりません。

























P1010391


なんか怪獣っぽいと思いました。
有難うね!



























P1010398

たくさん釣れたので記念撮影。
そのまま帰らなくて良かった
こんな事もあるからたまりませんね。



それでは




My Tackles


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Leader SUNLINE FLUORO #1.5





読み違い

2月14日の日記





寒い毎日が続きますが、皆様お変わりはございませんか?
ワタシは相変わらずバタバタと過ごしております。
さて、今回はバレンタインに休日となりました。
確か去年はこの14日に大雪が降りました。
高速道路や数か所の峠は通行止めとなり、南紀まで約7時間かかって辿り着いた記憶があります。
そんな事を思い出していますと、もう無性に釣りに行きたくなってくるのでした。
微熱も気にせず行ってみる事にしました。







出発前の13日、今年は雪のかわりに雨降りとなった。
我が街では朝からしびしびと降り続けていた。
釣り場の天気予報を見ると、強い北西の風との事である。
それに伴い、波高は3メートルとなっている。
しかし、夜間には風向きが変わり、波も次第に2メートル程度に落ち着くとの事。
南の風が吹いた後、北東の微風に変わると告げているのだった。
ここ最近、いつも強い北西風に悩まされ続けていたのである。
私の未熟なスキルでは、どうにもこの強風の中で思い通りの釣りを展開する事が出来なかった。
雨は降り続く様子ではあったが風に比べれば全然良い。
寒いのさえ我慢すればそこはパラダイスかもしれない。
そんな淡い期待を胸に向かうのであった。






現場付近まで来て車を停める。
予報通りに風は殆ど無い。
そしてまた、風は北東の方角からであった。
しかしどうした事か、海から聞こえてくる波の音がいつもにも増して大きいのである。
数時間前に吹いていた南風のせいか、はたまた満ち潮の勢いであろうか。
その時の自身はその位に思っていた。
気温は約13度であった。
この時期の夜明け前のそれにしては随分と暖かいであろう。
雨と南風の恩恵なのだろうか。
おそらく、水温は17度台半ばまで上昇しているかもと夢想する。
波の音が気がかりではあるが、気持ちの高鳴りは最高潮となっていた。







駐車スペースに着くと一台の車があった。
トランクを開け、今まさに出発の準備をされてみえるところである。
ご挨拶をさせて頂くと同じく青物狙いとの事。
先に出発して頂き、その後に続く事にした。

ヘッドランプに照らされた磯はいつもと違って見えた。
濡れてテカテカと光るだけではなく、見えている景色がどうも違うのである。
もちろん磯が変形するわけはなく、潮位がとても低い為、普段は水の中の岩が露出しているせいである。
それだけ潮が引いているにも関わらず、かなり高い所まで白波が這い上がって来るのだ。
一度などは歩いている中、大きな波が頭から叩きつける位であった。
こんな事はこの磯では初めての事である。
心の中で自身のビビリミッターが入って行った。





やがて先端に着くと辺りが霞んでいる。
霧の様に見えるそれは波飛沫である。
見渡す限りの海がそれに覆われている。
ヘッドランプで照らさなくとも、波うち際を洗う白波がクッキリと見えるのだった。
高台に荷物を置き、そのままそこにしゃがみ込むのだった。
おそらく、今のまま波が落ちないならば無理だろう。
潮は今から満ちて来るのだ。
引き返し、もっと足場の高い場所に移動しても十分に夜明けには間に合う。
そう思った。
そこで先程お会いした先行者が話しかけて下さった。
お一人は私よりも十以上は年上の方であった。
もうお一人は逆に十以上若い方に見えた。
聞けば地元の和歌山の方々であり、なんと親子であるという。
とても気さくな方で楽しいお話を聞かせて下さった。
ではまたっと移動しようと思ったのだが・・・。
彼等はライフジャケットを着てみえないのだった。
荒れ狂う波を目の当たりにして、荒れは喰いが良くなると既にタックルをセットされてみえる。
感じの良い方であり、おまけに親子でショアジギングを楽しまれてみえる。
もし、万が一の事が起きた時、残されたお一人にもライフジャケットは無い。
そう思うと、そのままそこを離れる気にはなれなかった。
私の力など及ばぬ自然の猛威ではあるが、少なくとも私は浮かんでいられる事、そして防水の携帯を所持してもいる。
いないよりはいた方が良い。
そう思いそこに留まる事に決めた。






雨のせいで、午前6時を大きく過ぎても全く空は明るくならなかった。
暗闇の中で轟く波の音を聞いていると、夜はこのまま永遠に続くのではと錯覚する。
お二人に相談して立ち位置を決めて行くのだった。
息子さんには一番穏やかな場所に入って頂く事にした。
ゴアを纏っている私は先端に立つ事にした。
やっと明るくなって来た頃にキャストを開始した。



まずは好きなポッパーから始めてみたが、丁寧に引いてもミスアクションが続く。
波の高低差がとても大きく、すぐに水の中から飛び出してしまうのだった。
その間も絶え間なく波は打ち寄せて来る。
何度かに一度は、より大きな波がやって来て磯を這い上がる。
後ろに抜ける様な場所ではあるが、ともすれば太ももあたりまでの波を受けるのであった。
バランスを崩せば倒されてしまう勢いである。
ルアーの動きに集中していると、波への反応がおろそかになってしまう。
波に気をとられていると、今度はルアーのミスアクションが連発するといった具合である。
そしてまた、時折、彼等のいる方向を振り返りその様子を伺う。
全くもって釣りに集中出来ない悪循環であった。





しばらくすると、急に風向きが変わり沖からの風となって行った。
当然のごとく波の勢いが増して来る。
キャストする手を止め、すぐに一段高い場所へと登るのだった。
彼等の方を見ると、やはり先程よりも強い波が打ち寄せており、膝あたりまで波が洗う様になっていた。
さすがに危険と思われたのか、やはり、竿を置いて高台に移動されて行かれた。
波が落ち着くタイミングを見計らってキャストをするが何の反応も無い。
全くトップの釣りが成立しない程ではないのが悩めるところであった。
落ち着いた瞬間には、軽めのダイビング系でさえ引く事は出来るのである。
しかし、忘れた頃に大波が来てその直撃を受ける。
それが尚更恐ろしかった。

潮時であると判断されたのか、その親子は帰り支度を始められた。
去り際にご挨拶下さり、振り返ってそれに応えたところに大波が来た。
カウンターパンチを食らって前のめりに倒されてしまったが、何とか空いている手で耐える事が出来た。
大事なタックルを当てはしなかったが、膨らんだ波の中に水没させてしまった。

彼等が居なくなった、ここよりも静かな場所に移動する。
波も、強い潮流もそこは幾分かマシであり、少しだけルアーのアクションが楽になった。
おそらく、先ほどの水没にて塩が入ってしまったのだろう。
テンションを大きく受ける時、リールからはゴっと異音が出る様になって来た。
潮位も増して来て、波も更に大きくなって行く。
これ以上は無理と判断しその場を後にした。
開始から約一時間であった。
私としては早すぎるストップではあったが、最早、心は砕け散っていた。






その後、何か所かの海を見ながら車を走らせて行った。
良さそうな場所まで来て車を停めて眠る。
多少の仮眠でさえ、体力と思考力は回復すると思っているので。
やがて目覚めて窓の外の海を見る。
しかし、そのドアを開けて外に出る気が起きない。
心は沈んだままであった。
あくる日も休みではあったが、もうこれ以上の滞在は無駄であると自覚する。
火の消えてしまった自身には無理だろう。
潔く南紀を後にした。









家族の為にと、途中、お気に入りのお店にて幾つかの品を購入して行った。
寒くなった為か、選べるみかんの種類は少なくなっていた。
ポンカンと、「はるみ」、と書かれたそれを幾つか買ってみた。
お土産は確保出来たのだが、どこか心にぽっかりと穴が開いている。
熊野の美しい浜を横目で見ながら感じていた。
雨はまだ降り続けている。
ゴアの合羽は、雨と塩水で裏地までズクズクに濡れている。
それを着て向かうほどの気力は無かった。

やがて尾鷲に入った頃からは霧雨と変わって行った。
そして、海山まで来る頃にはワイパーは必要無くなった。
ならばいつもの防寒着で出来る。
早速、国道から少し脇道を入り漁港へと向かった。
幸いにして潮位も高く、程良いさざ波も立っている。
まずはオープンエリアにキャストしてみる。
一投目からココンっと当たった。
すぐに回収するとワームは3分の1ほどの短さになっていた。
底が砂地の場所である為、おそらく結構な数のクサフグが溜まっているのかも知れない。
すぐにキャスト先をシモリへと移してみた。
そのファーストフォールにまたもやココン。
しっかりアワセを入れると掛かった様だ。
こ気味良い引きは可愛いアイツだろう。


























P1010327

この一匹には本当に癒されました。
雨も風も止み、やっと思い通りの釣りが出来た瞬間でした。
天候に合わせて休みを取る事は難しい。
しかし、はたしてその自然に逆らって釣りをする事が大事なのか?
そんな疑問が、この釣行で自身の気持ちの中に生まれました。
当然に危険であるし、釣り自体の楽しさも半減してしまう。
アングラーの経験値やそのスキルにて、その尺度もまた異なる事とは思います。
荒れている方が釣れるというのもあるのでしょう。
ならば、凪の海にて違う釣法にて貴重な一匹に出会う。
そんな釣りもまた一つかもしれません。
私にとっては、厳しい表情を見せる海は向いていないのかも。









初めてのポイントであったが、幸運にも早々に着き場を探す事が出来た。
もう何匹かはルアーに反応する魚がいるかも知れないな。
そう思いキャストを続けて行く。
同じ様に探るも反応が無く不安になる。
ならばと、よりスローに見せて行った。
クっとただ少しだけ違和感を感じる様な変化が出る。
最近の自身の釣りではこのアタリが多い。
すぐに大振りなアワセを入れると乗った。
この感覚が気持ち良くてクセになる。

























P1010330

先程より少しサイズダウンですが同じ群れなのでしょうかね。
似た感じの魚が釣れてくれました。
やったね!


























P1010332

続いてもう一匹ゲットです。
あぁ楽しい








このシモリには反応が無くなったので新たな狙い目を探して行く。
やはり、何も無いところにはフグが群れている様で、すぐにワームが無くなって行くのだった。
他に目立った狙い目を見つけられない為、足下、堤防際から約10センチ辺りを岸に沿って引いてみる。
中層までは何の反応も無かったが、それより深い層にて反応が出だした。
やはりその場で止まる様なアタリであった。
























P1010334

やった!
違う群れを見つけました
色が何か違いますね。
金ピカメバルです。

























P1010338

同じパターンにて追加出来ました。
あぁぁぁ楽しい



























P1010342

最後はミニマム君ゲットです
金色は初めてで嬉しかったな~
凄くタイトに障害物についていた気がします。
習性も違うのでしょうかね?
このサイズでも一気に根に向かうのです。








雨も完全に上がり少し気持ちも楽になった。
まだまだ時間は早いので、かなり離れたエリアまで行ってみる事にした。
いつかの釣行でその姿を確認するも、どうしても反応させる事が出来なかった場所である。
季節は過ぎ、魚の中でも、もしかすれば変化が生まれてはしないかと。
幸運にもこの日、その変化を見る事が出来たのだった。

























P1010345



Oh  YES !!

良い型の子が出ました
気持ち良すぎっ!


























P1010344

もぅ
たまりません!
絶対チョコより良いっ
もちろん負け惜しみです。
























P1010350

久々のガッシーちゃんも顔を見せてくれました。
あざっすっ






























P1010351

アジです!
ちびメバと合わせてポツ  ・・・ ・・・ ・・・  ポツっと釣れてくれました。
このアジは大トロ認定ですね。
もう脂がヤバかったです。
冬アジに火がついてしまいました








帰りに楽しい釣りが出来て救われました。
これからは、もう少しだけかしこく、安全に釣りを選んでまいりたいと思います。

それでは





My Tackles


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短時間修行

2月7日の日記







この時期は何かと忙しく、休日にも野暮用が重なります。
今回はチョット大きな事もあったりで、空いた夜だけ出動してみる事にしました








現場到着は18時過ぎ。
比較的に自身と相性の良いポイントへと向かった。
いつもに比べるとまだ時間も早い為、港には釣り人以外の方も沢山みえる。
防寒対策の為に着込み、素肌が出ているのは目の辺りだけ
さぞや、その方々には怪しく見えた事だろう
人目をはばかり、そっと隅っこで竿を出すのだった。






今日は大潮である。
満潮に近いのか、とても潮位が高かった。
結構な風が正面から吹きつけ、潮も動いているせいか流れが強い。
まずは、底にはりついている奴を狙って、2グラムのジグヘッドからスタートして行く。
テンションフォールで着底を待つ間に辺りを見て行った。
何というか水面が妙に白っぽいのである。
ヘッドランプを灯してみると、まるで泥を溶かした様な水色であった。
おそらく、前日にかなり降った雨のせいだろうか。
もしくは、付近で工事でもやっているのか?
どちらにしても普通ではない色をしている。

数投でボトムには見切りをつけ、今度は宙層にいるであろう子メバルを探ってみる。
5分ほど続けてみたがコツッとも来ない。
やはり、いつもとは何かが違うのだろう。
分からないが、どうもこの水の色のせいに思った。
大潮は下げ行くのもまた速く、悠長に構えている時間はない。
すぐにロッドをたたみ車を走らせて行った







目的地に到着すると、そこは先程とは別世界であった。
クリアな水色を求め、外海に面したポイントを選んでみたのである。
しかし、さすがに風が強い!
港内でさえもザバザバと波立っているのだった
止んでいた小雨が再び降り出し、空は雲に覆われている。
明るいはずの月もその姿を隠し、辺りは重い暗闇に包まれているのだった。
ひと気も無く、風の音だけが唸り声をあげていた。







やがて堤防の先端付近に立つ。
暗い海を覗き込むと途端に妙な寒気がしてくるのだった。
幾人かの釣友から、ここでの奇妙な出来事について聞いたのを思い出していた。
ヤバイかもしれないな
しかし、眼前に広がる海は稀に見る雰囲気であった。
さざ波が立ち、少し離れた沖からは高い波が打ち寄せている。
それとは別に、風によって生まれた流れが、ある部分から沖に払い出している様子であった。


このまま、恐怖に支配されて逃げるのか?
はたまた、怖さを噛み殺してこの海を確かめるか?
もう移動している時間は無い!
それが結論であった。
出たら出た時である。
ソイツに向かって、キレる心の準備をするのだった。
貴重な釣りの邪魔をするなと







風が収まるタイミングを待ってキャストを開始して行く。
極力、ゆっくりと見せたいので、飛ばないと分かっていても、1.4グラムのジグヘッドとしてみた。
1.4gが重いか軽いかは、人によってその解釈が違うだろう。
自身のラインやリーダーではそれ自体が結構な抵抗となる。
ゆえにこのジグヘッドでも、比較的に軽いと感じている。


広範囲をあてずっぽに撃って行くと小さなアタリが出だした。
きもち大きく、太軸のフックを使用している為か乗りが悪い。
それでも、ポツリポツリと極小メバルが釣れてくる。
魚の数はとても多い様子であるが、しかし、その割にはヒットが少ないと思った。
そこで試しに足下のシェードにワームを落としてみる。
するとどうだろう!
表層を素早く滑っているワーム目がけ、数匹のメバルが凄い勢いで群がって奪い合うではないか!
そこには私が知らないメバルの一面があった。





表層をスピーディーに動くものにこんなにも反応するのか
もしかしたら、この波と強い流れの影響かも知れない・・・。
そう思い、すぐにミノープラグへと換えてみる。
結構な重量があるので、強い向かい風をものともせず飛んで行った。
着水後、すぐにリトリーブを開始する。
流れに乗っているのか、泳いでいる感覚が穂先に伝わらない。
そこで、わざと瞬間的に速く巻いて、ブルブルブルっと強い波動を出してポーズしてみた。
止めると、ゴコココ、ギューンっと元気よく走る。
小さすぎて、それでも殆ど乗らないのだが、先程のワームに比べると格段に喰いが良くなった様だ。
何度かキャストしていると、足下まで引いて来たミノーに向かって、黒い影がどこからともなく寄って来た。
ハッとしてよく見ると、どうやらメバルの様である。
しかもデカイ!
そう思った瞬間にバクッっと口を開けたではないか!!

















うりゃあ!!






























ビックリあわせでスッポ抜けてしまった。

ちーん
下手っぴ。










気を取り直して再開すると少しサイズアップした奴が喰ってくれました。

























DSC_0228

ゆうてもカワイイですけど
プラッキングに好反応な時を経験出来てラッキーでした。
その後もチビちゃんが何匹か釣れてくれました。
変な寒気はまだしますが楽しかったです








かなり熱中していて気付かなかったが、喰いが渋くなってようやくそれを知る事となる。
係留された船がかなり下にあり、足下に流れていた潮も緩んでしまった。
何かを境にして、ピタっとアタリが止んでしまうのだった。
そこで再びワームを手に取った。
レンジが変わったかもと、感覚的に宙層からボトムあたりをスローに探ってみる。
ピンッピンッと小刻みに鋭いアクションを入れ、テンションを張ってみた所で変化があった。
ヌッっとして止まる様な感触が伝わる。
間髪入れずにフッキング!
くいっと竿を絞って行く感じがたまらない。





























DSC_0230

ゆうてもカワイイんですけどネ
そこは狙い通りにきてナカナカ嬉しいものなんです。
やったね







その後、かなり潮位が低くなるまで、おチビちゃん相手に楽しませてもらった。
喰いは渋くなるのだが、ゆっくり、丁寧にを意識しているとアタリが出る。
多分、これまでの自身であればそれを捉えてはいないだろう。
思うよりまだずっと、ずっとスローなのであった。
キーパーサイズと出会う事は出来なかったが、ほんの少しだけ駒を前に進められた気がした。
しかし、どうにもこの強風はダメです。
寒いのは我慢出来るけど。
風ともう少しオトモダチになりませんとね



それでは



My Tackles


Rod 13READEN GRF-TR83deep
Reel DAIWA EXIST HYPER BRANZINO 2508R
Line  RAPALA RAPINOVA-X PE #0.6
Leader SUNLINE FLUORO #1.5





プラッキング修行9 修行再開

1月31日、2月1日の日記






思えば、このタイトルを最後としたのは去年の5月だったでしょうか。
もちろん、全ての釣行が修行と思ってはいます。
おそらく、その時の自身のスタイルの区切りとして、同タイトルを用いる事を止めてしまったのかなと思います。
ここ最近、当時の記憶と重なる事が多く、また再び始めてみたいと思いました。
自分でもよく分かりませんが、分からない事を見出したく修行再開です









今回は連休となったので迷わずに南紀行きを決めた。
行先もまた、ただ自身が好きな場所を選ぶ。
いつもながら、釣果情報はさほど気にしない旅であった
そこに魚が居るか居ないか!?
もし、そう聞かれたら、私は多分いるでしょうとお答えする事だろう。
潜って魚を見た訳ではないので、本当に居るかどうかは分からない。
だけど・・・そこはナンだ。
ワタシごときの腕前では、例えそこに魚がいようとも反応させる事すらままならない。
他の様々な釣りをする事でそれは明らかである。
はたして、青物だけが例外か!?
そう考える事の方が困難であろう。
居ないから喰わないのか、居ても喰わせられないのか!?
どこまでで、それを判断するかが悩ましい限りである。









今回も日の出の少し前よりポイントに立った。
先行者が約一名。
休日のリズムが同じなのか、はたまた毎日がそうなのか・・・。
ともかく、よく会う方である。
餌、そしてルアーと、その時々の気分で通われている様子だ。
まいどです!っとご挨拶すると、今日はルアーをやってみるよと彼。
出会って約一年ほどになるが、彼もまた少しずつその釣りを進化させてみえたのだろう。
いよいよ、我々ルアー人よろしくの道具となっているのだった。
確か去年は・・・磯竿のままドラドペンシルを結び、よくメジロを掛けて竿を折ってみえたっけ。
なかなかどうして、よく魚を掛ける方なのである!
この日、D社のショアジギング竿、リールにはツインパワー、それに幾分か細いPEとリーダーをFG風に結束されてみえたのであった。
通って通って、そして調べて辿り着いたのだろう。
何故か妙に嬉しく思った。







自身の決め手となる線と点はこの日、彼に譲る事となった。
もしそこに、当ROCKレストランの朝の開店を待つお客様がみえたならば、いつも通りの席に座り、そしていつも通りのメニューを注文するだろう。
こちらとしては、お世話になっている常連様を最大限におもてなしするのみである。
ただ、当レストランの特等席は、オープンカフェさながらの吹きさらしなのだ。
その日の天候にて、コチラのおもてなしにサービスの差が生じてしまう。
いわんや、間違いのない魅力的なメニューを提供しようにも、例えば風や波が強すぎるならばそれを美味しそうに振る舞えないのである。
要するにキメのアクションが決まらないのだ。






この日も、強風が真横から吹き付けていた。
風、そして波、潮流が全て合致して、自身の立ち場に向け真横から当てているのである。
沖を正面にして、真左からトレースするも、まったく死んだ様な動きしか表現する事が出来ない。
では、全てが追いとなる右手からはどうか!?
その勢いが強すぎて、うまく泳がせるには思う速度の三倍ほどのスピードでリトリーブしなければ泳がないのであった。
そこでルアーを換えて妥協点を探る。
5つほどのその中に、唯一、その速度の約二倍で綺麗に泳ぐものを見つける。
しかしどうか!?
はたして、今日、この日この時のお客様の気分であろうか?

結果として、神経質なお客様はその料理に手を付けはしなかった。
我々の不自然なそれを自然にいかに馴染ませるか。
簡単な話、ライン、そしてルアーを用いないならナチュラルであろう。
どれだけ風が強かろうが、波、そして潮流が激しかろうが、生きている食材ならばそれは当然の事なのだ。
その中で強く生き抜いている者達にとってそれは当たり前の姿である。
釣りであるからこそ、その制約を受けるのかもしれない。
それを面白いと思う域に自身は到底及ばないだけである。








しばらくして、我がROCKレストランのモーニングを終える事にした。
これからしばらくは、余程の変わり者か、何日も食にありついていないお客様の来店を待つだけである。
それでも、その日に出来る最良のおもてなしは続けて行くのだった。
あまりに来店が無く、新しいレシピにてオススメのメニューを模索してみる。
























DSC_0212

グルメ大国からその魅力的な食材を集めてみました。
あとは、Rockレストラン流の調理法にて美味しい料理にかえて行くのみです。
実にそれらの食材は魅力的でしたね。
どれも全く違う味わいがあるのです。
いつかの日に備え、お客様のその日のご気分に沿う様に努力するのみです!
全く、このオープンカフェならではの醍醐味でありましょうか。






その後、ランチタイムを過ぎる頃までこの日の営業を続けるもお客様は来なかった。
磯の外食産業、今や誠に不景気なのだろうか?
そんな磯を後にして、某タワーのレストランにて我が食事を頂くのだった。
今日は和食を腹一杯に食べたい!
メガ天丼のコースを心おきなく頂くのだった。
数々のショアブロガーがオススメとして述べておられます。
詳しくはソチラをご覧下さいませ。
とても美味しく満腹になります
僕的には、鮪バーガーとゆずジュースのセットがたまりません!
沢山の魅力的なお料理がありますから、噂の人気メニューだけではなく冒険して頂けると幸いです。
これは!っという品があればまた是非教えて下さい。










満腹になって南紀特急に戻る。
荷物、タックルを整理して、目指すは快適な安眠である。
寝ないで投げ続ける事・・・。
それもまた時があるのではないか。
思考力、体力の低下は時として恐ろしい結果を招くのである。
今はただ、充分な眠りをむさぼる様に求めるだけであった。
おやすみなさい・・・Zzzzz.









目を覚ますと、午後4時半となっていた。
小さな事なのだろうけど・・・最近、チョットだけ陽が長くなって来ている。
はたして皆様、毎日の中でそれにお気づきだろうか!?
チョットした変化もまた面白いと思うのである。
今宵はイカを狙ってみようと思った。
水温はダダ下がりの情況。
黒潮もあれよあれよと遠ざかる。
じゃあ、イカは何にも食べないで過ごしているの???
無論、そうではないだろう。
はたして、自身のエギングで出会う事が出来るか?
試しに向かってみるのだった。























DSC_0216

夕暮れ時の模様です。
けっこうな風の為、ラインがふけてしまい決まった方向にしか探れません。
色々と試してみますがアタリらしきものは無い。
昨年の失敗から、この日はかなりスローにやってもみました。
エギを底に置いておき、時折、チョン、チョンっと跳ね上げてみてまたじっとしてみたり。
時には底をズルズルと引いてみたりもしました。
暗くなってしばらくすると、意外にも綺麗な月が顔を覗かせます。
満月ではありませんが、十分な明るさが海を照らしていました。
しかし、イカからのサインは有りませんでした。
まだまだ、私には釣る事が出来ないのでしょう。
難しいです。







気がつけば結構な時間となった為、ワームを使ったお楽しみをする事なく就寝となった。
明日の朝にかけるのだ。
午前4時半に起床。
トイレに行きたくて、南紀特急のドアに手をかける。
しかし開かない。
ドアロックを外し忘れたか?っと一瞬思ったがそれは違った。
どうやら、強烈な風のせいで押し付けられているのだ。
外に出ると、寒さとその怖さでブルブルっと震えが走った。
詳しくは分からないが、とても風速10メーターとかといった雰囲気ではない。
まだ遠い海からも波の音が大きく響いている。
厳しいかな?
そう思いながらも向かう事にした。
周りに他の車は無い。
夜が明け行くその時まで車の中で待機するのだった。





やがて空が青紫色となって来た頃に歩き出す。
磯に出ると意外にも波の音は小さいのだった。
しかし、何という風だろう!
ただ歩いているだけなのに吹き飛ばされてしまいそうである。
バランスを崩し何度もよろけながら進むのだった。
やがて先端付近まで来るといよいよ大海原が開けてくる。
沖に浮かぶ岩に波が打ち付け、それは何倍もの大きさへと膨れ上がる。
そして、それが磯へと到達するのだった。
立ち位置はあらう波の中である。
しばらく見ていると、その中でも僅かな部分だけは直接波を受けないらしかった。
それでも尚、ヘッドランプがいらない明るさとなるまでは動かなかった。
一分一秒が惜しいのだが、暗くてはふいの波を見逃してしまいそうで怖かった。







この日もミノーからスタートしてみる。
キャストした瞬間から、ルアーは強風に乗ってあらぬ方へと飛ばされてしまう。
そして、ラインは凄い勢いで出て膨らんで行った。
それでも、リップに受ける抵抗によって何とか泳いではくれる。
風はまた、持っているロッドにも強く力を及ぼした。
ただ持って構えているだけでは、それを定位置に留めておく事が出来ないのだ。
絶えず力を入れ、何とかその風に負けまいと伸ばしていなければならない。
これにはまいった。
すぐに腕がパンパンに張って行くのだった。
まったく何という風だろう。








少しだけ風が緩んだ隙を見て、本当は投げてみたいトッププラグに換えてみる。
バランスの良いそれは風を切り裂いて飛んで行った。
飛距離は十分に取れたのである。
しかし、着水の瞬間からおびただしいラインスラッグが出てしまっていた。
それを風にとられルアーは水面を転がって行く。
まだ飛行中に無理矢理スプールを押さえラインの出を止めてもみた。
着水からのピックアップを少しでも速くする為に。
しかし、それでもあまり変わらないのだった。
今日のこの海では、自身の手持ちで勝負出来るものはやはりミノーだけであった。
しかし、何度投げようとも反応は無い。
そうしている内にも、少し風は緩んで来ているのだった。
どうしてもあのラインを通してみたい・・・。
それには、あの波があらう場所からでなければならない。
きっと大丈夫だろうとそこに向かった。









過去の釣りにおいて、すね辺りまでの波の中に立って来た事もある。
防水でかためた足もとを過信した。
キャストを開始してすぐ沖にそれが見えた。
とても大波とは呼べないものだった。
踏ん張れば大丈夫だと思った。
やがて波は磯を越えこちら目がけて向かって来る。
ドスン!とした衝撃を受けながら悟った。
甘かったと。
高さは無くともその勢いが違ったのである。
何とか踏ん張ったのだが、そのパワーに膝が折れてしまった。
そのまま前のめりにて倒されてしまう。
磯への直撃を避ける為、無意識で手を伸ばし受け身をとったのだろう。
次の瞬間、右腕にゴリッっとした嫌な感触を感じた。
幸いにもすぐに波は引いて行ったのだが、水の中に投げ出された為に頭からズブ濡れとなってしまった。
すぐに一段高い場所へと向かった。
興奮している為に痛みは感じない。
はたして怪我はないか?
グローブを脱ぎ捨てて確認して行った。
事なきを得て、次に持っていた道具を見て行く。
先程のあの嫌な感触はコイツだったか・・・。
変わり果てた姿を見て自身の軽率な行為を再認識した。



























P1010326

傷つき変形しただけではなかった。
どうやらパッキンが歪んでしまっている様である。
数秒ではあるが完全に水没させてしまった。
このまま続行は無理と判断し納竿としました。
すぐに水道水にて塩を落として行きましたが、どうやら中で何かが壊れてしまったのでしょう。
その回転は重く、シャカシャカとした異音が出る様になっていたのでした。
無理さえしなければ今も美しいままの姿だったはずです。
幸運にも今回は道具の破損だけで済みましたが・・・。
次は命にかかわる事になるかもしれません。
慣れからの油断。
とうとう自身もそうなったのかと大きく反省しています。











その後はもう釣りをする気にはなれなかった。
午前8時、早過ぎる帰宅としたのだった。
このままでは家で帰りを待つ家族に申し訳ないと魚を買って帰る事に。























DSC_0222

尾鷲市内、R42沿いにあるお店です
所狭しと商品が並べられてあるのですが、とても見やすくゆっくりと選ぶ事が出来ます。
お店もキレイですしスタッフの方も威勢が良くて気持イイです。
その中でもやはりお魚がメインだと思います。
特にひもののバリエーションが豊富で、様々な味付けにて加工されたものが揃っています。
なかなかお目にかかれない様な魚種の品もあり、寄る度にワクワクして眺めてしまいます。























DSC_0224

この日、目にとまったのはこちら!
とてもキレイなアジでした。
目も透き通っていて真っ黒です
サイズは20センチ強でパックを持つとズッシリとした重み。
こんなお値段で良いんでしょうか・・・。





























DSC_0223

それもそのはず、なんと!1.5キロと書かれていました
アジングで釣れたら最高なんですがね(笑)
迷う事なくアジを2パックかごに入れます。
右端にチョット見えているのは、ブリ(養殖)のハラスとの事です。
こちらもかなりの重量感!
1パック、300円を切っています
こちらもかごに即入れでした~




アジとブリのハラス、ムロアジのひものを買って帰りました。
ブリを煮付けで頂きましたが、もうヤバイくらいに美味しかったです!
ちくちくとイヤミを言われながらの食卓でした。
あんたが釣った魚よりウンヌンっと。


それでは




失格

1月25日の日記






今回の釣行記をアップする事には未だに迷いがございます。
釣れていない時も、ずっと、それを日記として綴って来た私。
最早、釣果の無い事に抵抗は感じません。
しかし、さすがに今回は別です。
結論から申し上げますと、釣れたのにその証が無いという事。
少なくとも、釣りのブログを書いている者にとっては致命的でしょう。
まさに、「ブロガー失格」、であると自分でも思います。


その時の記憶は私の中には残ります。
しかし、写真すら無い。
私とそこに居合わせた人以外、知りえない事なのです。
こんな、胡散臭いハナシはありませんよね。
ですので、ここから先はそれでもという方のみお読み頂けると幸いです。
尚、またいつの日か、過去を振り返る時の為に残そうと思います。
誠に申し訳ございません。








前回の釣行では素晴らしい魚に出会う事が出来た。
自然界の様々な事象から、時は来た!との思いで向かった先での釣果であった。
しかしながら、はたして、それが誠であったかは自身としても半信半疑である。
たまたま釣れたのかも知れない。
今回、休みはこの日一日限りである。
資金的にも苦しく、最近では連休とならない限り、南紀への釣行は控えているのだ。
しかし、どうしてももう一度確かめてみたかった。
また、正直、あの感触が今も手から離れようとはしない。
まるでそれは熱病の様なものである。
社会人失格のその行為を自ら止める術を知らないのであった。







現場に到着したのは、午前5時すぎの事。
車を停めるとすぐ、一台の車から、初老の方とおぼしき人影が駆け寄って来た。
そしていきなり、我が南紀特急の窓ガラスを叩いたのである。
どうやら、県外ナンバーの私に牽制のジャブを打ちに来たのではと直観する。
案の定、やはりその様子であった。
どこに立つつもりだ!? 何釣りか!?
その物腰こそ柔らかではあるが、そこはどうして目は笑ってはいない。
自分は地の者であると強く主張されるのだった。
ルアーにて青物を狙いに来た事をお伝えすると、半ばまくし立てる様におっしゃったのである。
少し先の〇〇には回遊があり、ここ最近、何匹かの良型の釣果がある。
また、少し戻った〇〇でもナブラが沸き、年末にはヒラマサやカンパチも回っていた。
自身、アジの泳がせにて、80センチのカンパチを釣ったとの事であった。
なるほど、その話しの数々に嘘は無い様である。
「話し」、として自身が知っている数々の事に相違は無かった。
しかし、親切心からだけの言葉であるかは判断がつかない。
そしてついに、ここでは釣れないと断言されるまでとなった。
続けて、何週間も青物が釣れていないという事を力説されて行く。
〇県と〇県の兄ちゃんが〇人入り、朝から晩まで投げ倒したがダメだった云々。
ブラーブラーブラー
そのお話は止みそうも無かった。
おじさん、ご親切にどうも有難うございます!
ボクはここが好きだから空いている所でさせて下さい。
そう笑顔でお応えするのであった。








ポイントに到着し、一通りの準備が整った頃にその方が到着された。
念の為、その、「地の釣師」、のご希望の場所をお聞きする。
結果として、かなり離れた場所に入れて頂く事となった。
さらにお言葉をかけ、少しジアイが早いと思うので、先に竿を出させて下さいとお願いをした。
どうぞどうぞ! まあ頑張ってよ、でも釣れないよと彼。
有難うございますと磯際に向かった。
まず、何から投げるか?
少し迷ったがミノーから始めてみる事にする。
何投かして、後ろが騒がしくなったので振り返って驚いた!
何と!私が荷物を置いているすぐ傍で焚火をしているではないか!
強風にあおられて火の粉が飛び散っている。
・・・・・。
また騒がしくなってもう一度振り返ると、猛々と燃えた何かが私の道具の上に舞っていた。
急いでそれを消しにかかる彼。
燃え盛るそれと一緒に私の道具を足で踏みつけている。
もうまったく釣りに集中できやしない!
老体にはさぞやこの冷え込みは厳しいだろう・・・。
そう思う事で何とか納得しようとした。
結局、この最中は全くもって釣りに集中する事が出来なかった。
貴重な時間を棒に振ったのが誠に残念に思われる。






さらにお一人増え、やがて彼等もまた釣り座に立って行った。
やっと気持ち良く釣りが出来る様になった。
そこですぐに、自身が好きなルアーに結び換えるのだった。
まずは、広範囲にランダムに誘って行く。
もしかしたら、そこに居るかもしれない奴に気付かせるのが目的である。
くどくならない程度にそれを終え、幾つかの違和感のある部分に狙いを定めて行った。
自身の経験では、このルアーにおいて、着水後、割と早い段階でのヒットが目立つ。
何故か、手前まで引き寄せてのヒットは殆ど無いのである。

もしかして今日もそうかと思った。
その後、ルアーの後ろに小さな波紋の様なものが見えた気がした。
波によるものか? その時点ではそれは僅かな違和感でしかない。
身勝手にも、それは魚ではなかったか?と思う事にした。
ならば、追っては来たが、出るまでには至らなかったのだろう。
そのアクションは違うとすぐに回収した。
次の一投、それに勝負をかけた。
このルアーにヒットがあった時、いつも自分はその手をどう動かしていたか!?
遠い記憶を呼び戻して行った。
こんな感じだったかな?
手が覚えている微かなそれを入れた瞬間だった。
遠い彼方にあるそのルアー目がけ、全身を露わにして奴が襲いかかってきたのである。
ルアーの進行方向の真横から飛びかかって来た。
赤紫色に霞む空にハッキリとその姿が見えた。
出るかもしれないと思っていたとはいえ、その興奮たるやたまらないものがある。
ふいに目で見てアワせそうになる自分を堪えた。
一呼吸置いて鋭くそれを一発。
さらに追いアワセを入れてファイトを開始した。






今日のドラグは少し控えめとし、約6キロほどとしていた。
着水後すぐのヒットである為、かなり沖に魚がいるが、反発も無くスルスルと寄って来る。
問題はここからだろう。
案の定、沈み根にさしかかった頃から強い抵抗が始まった。
ジッ、ジッっと小刻みに出るドラグ。
少し気を許すならば、ジィィィーっと勢いに乗って走って行く。
前回の事もあり、今日は無理にドラグを締めたりはしない。
もちろん、根は怖いのだが、ここで試さないなら何時、それを経験するかである。
そこで、自身が意識したのはロッドを立てる角度であった。
上手く説明が出来ないのだが、巻き寄せる際、ラインに対し極力ロッドが真っ直ぐになる様にすると楽である。
ラインとガイドとの干渉は僅かであり、それらの抵抗が少なくなるのが要因の一つだろうか。
いわゆる、綱引きファイトのフォームを思い浮かべて頂くと想像しやすいと思う。
逆に、魚が真下に向かって潜って行った際には、それを浮かせて来るのは相当に辛いものだ。
ラインとガイドの抵抗が増大し、時としてリールだけでは巻けない時もあった。
ドラグを一定にしている以上、止めたり出したりを任意に行うにはどうしたら良いか!?
スプールを手で握って調節するのも悪くはないかもしれない。
実際、ベイトリールを用いる餌師などは、それをフリーにしておいて、親指のサミングだけでコントロールしてみえるそうである。
今回、それは考えない様にした。
何となく集中出来そうに無かったからである。



走られると、グッっとロッドを起こし立て気味にしてみた。
それで意外にも魚は止まったのだった。
今度は出したいところで、そっとロッドを寝かせてみる。
案の定、楽に魚は出て行くのだった。
幸いにして、今日の魚にはそれらの行為を覆す様なパワーは無い様子である。
ショア、オフショアを問わず、沢山の釣りの経験を積まれてみえる方。
また、素晴らしい師匠や先輩から教わってみえる方。
そんな皆様からすれば、当たり前の事だと笑われる事だろう。
しかし、自身にはその様な豊富な経験も無いし、また、誰かにファイトを教わる事も無かった。
フルロックのガチンコ勝負、または楽に出して魚を怒らせない等々、お話やエピソードを聞かせて頂く事はあっても、そこから更に突っ込んで教わる事は無かったのだ。
だからこそ、無い頭を絞って自分なりに試すしかない。



磯際での攻防にヒヤリとする事もあったが、適度に出してテンションを緩める等の経験も出来た。
過去にはその強引すぎるファイトゆえに、何度か、身切れでのバラシに泣いた事もあった。
やがて、観念した奴は一気に浮上して来る。
潮位は十分であり、打ち寄せる波に乗せて磯上に魚を乗せた。
波が下がるのを待ち、余裕を持ってそこに降りてキャッチ。
喰わせからファイト、そしてランディングまで、その一連の流れを自身の思い通りに展開する事が出来た。
自分なりのベストな釣りに、充実感に包まれた一瞬であった。









問題はここからである。
尾ビレの付け根を握りしめて持ち、荷物のある場所へと戻るのだった。
ボディフックである、ST56 1/0はしっかりと貫通しており、最早、ペンチを使わないと外れない程である。
柔らかいファイトのおかげか、フックの曲がりは一切無かった。
釣れた魚は、大メジロかブリだったと記憶している。
撮影も計測もそこではしなかった。
目測では約90センチ、重量感は先日の魚よりは軽く感じた。


何故、急いで撮影するなり、測るなり、もしくはすぐにシメなかったのかである。
一つは、先程の餌師のお二人が見に来たから。
色々と言われる事に、正直、もうウンザリしていたのだった。

もう一つは、スケベ心が生まれたからである。
もしかして、もう一本とか出たりしないかい!?
欲の権化と化していた事だろう。
実は、以前にも一度やらかしている。
その時はちゃんと撮影をして、釣れた魚をすぐにタイドプールに泳がせていたのだった。
波の高い日であり、気がつけば忽然と魚は姿を消してしまっていた。
お土産が無くなった事に酷く落胆はしたが、それでも、デジカメにその姿が残された事で何とか平静を保つ事が出来たのである。
その時の事を教訓として、今回はストリンガーを用意して来ていたのだった。
波の無いタイドプールであれば大丈夫だろう。
それは間違いであった。
結果、ストリンガーを破壊して海に帰ってしまったのである。
血抜きの為に刃を入れる事もしなかった。
やはり、私は抜けているのだろう。






あまりに情けなくて、結局、日没まで、ほぼ休まずに投げ続けるのだった。
しかし、それ以降、再び反応を得る事は無かったのである。
残念な結果となったが、きっと悪い事ばかりではない。
少なくとも、丸一日、そこで海を眺める事が出来たのである。
目に映るその海は、まさに氷山の一角でしかないだろう。
広大な海のほんの僅かを垣間見たに過ぎない。
あまりに分からない事ばかりなのだ。
だからこそ、また海へと向かう。
近道は無い。



それでは














 


















































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