2012年06月

台風前~台風後

6月18日、20日の日記









まとまった釣行時間がとれないので、心は近場へと向いていました。
出来れば今シーズン、もう少しだけイカが釣れたら良いなと。
しかし、藻場のアオリは私には全然分かりません。
何時間も、ずっと投げ続ける事でしか自身には釣れないのです。
分からないのであれば通うしかないでしょう。
何か一つでもヒントを見つけられたらイイかな
そんな感じで行ってみる事にしました。









6月18日



最近にしては珍しく、ほぼ残業をする事も無く帰れそうだった。
最後の仕事を片付け、一服をしようと外に出た時であった。
生暖かい風が顔に絡みつく。
おそらく、これからやって来る台風の影響だろう。
はたして、海の中はどうだろう?と思った。
また、藻場の夜のアオリ釣りはどうなのかと疑問があった。
大急ぎで帰宅し、タックルを握りしめて海へと向かった。




ポイントに到着すると、嬉しい事に風は無かった。
荒れ前にも関わらず大勢の釣り人がみえる。
アオリをやる人は僅かであり、根魚やチヌを狙ってみえる方が中心の様だ。
一瞬だけヘッドライトを点けて水の色を確かめてみる。
雨は降っていないのだが、水は茶色く濁りほとんど先が見えない。
海面はおびただしい程の夜光虫で覆い尽くされてもいた。
時折、光る筋が何本も水面に浮かび上がる。
結構な数のベイトが入っている様だ。
それにつられ、パシャっと跳ねるのはセイゴであろうか。
昼間とはまた違う生命感がそこにはあった。





釣りを始めて数十分。
未だ何の変化もない。
シャクリを入れる度に水には怪しい光が浮かび上がる。
おそらく、魚達にもそれは見えているだろう。
それが、はたして本当に良くないかどうかは私には分からない。
それでも釣れたという経験が欲しい。
良くはないだろうと思いつつも釣りを続けるのだ。

その後、約一時間ほど粘ってみたが、結局、アオリからのサインは何も無かった。
釣りをしている間中、大型の蚊が絶えず顔や腕にまとわりついて来ていた。
随分と時間が経ってから、急に痒みと腫れが出て来る。
刺された何か所かが一気に辛くなり集中力が保てやしない。
情けなくも、蚊に負けて納竿とした。










6月20日



確か、19日の夕方頃だったろうか。
我が地域で一番台風が接近した時間帯である。
夕食を食べながら母が怖いと珍しく言っていた。

そんな話の途中、まったく嘘みたいにピタリと静かになったのである。
窓を打つ雨、唸りをあげる風の音が一瞬にして止んだ。
本当に不思議であった。
あくる日は休みであったが、まさかこんなにも速くに収まるとは思ってもみなかった。
故に、食事を始めてすぐ、ビールをプシュっとあけていた。
目の前にはすでに三本の空き缶が立っている。
これでは出撃出来ないので、諦めて更に飲む事にした(笑)






翌日はゆっくりと昼すぎから活動を始める。
台風後の海を確認してみたかった。
おそらく、河口に行けばシーバスは入っているだろうか。
浮気心が過ったが、そこはちゃんとイカ調査に向かわなければならない。
再び同じポイントへと向かった。






海までくると、見渡す限りが泥水の様であった。
ゴミや浮遊物の数は思っていた程では無い。
それよりも気になったのは、枯れてしまったアマモが目立った事である。
この台風がきっかけで枯れたのか、もともとが枯れて来ていたのかは定かでない。
それでも、確かこの前釣れた時には見られなかった事である。


かなりの雨が降った為、所謂、水潮となっているだろうと思った。
あちらこちらからも、釣り人達が 「水潮」 と言う声が聞こえてくる。
そこで、一体どれほど塩分濃度が下がったかを確かめてみる事にした。
波打ち際まで降りて行って、水で指を濡らし舐めてみるのだった。
なるほど、かなりマイルドな塩辛さである。

アオリは真水を嫌うというのはよく聞く言葉であろう。
しかし、自身として、大雨が降り続く中、シャローにてポツポツと一日釣れ続いた経験もある。
やはり、よく分からないから竿を出してみる。









既にショートキャストを50投ほどしたが何も無い。
ヤエンの方にも何の変化も無い様子だ。
エギンガーの姿も見えるが、殆どが投げずに集まって話しているのみである。
どうにも釣れない、これが今の現実なのだろう。


やっぱり、水潮だからダメなんだなと諦めるのは簡単である。
そうは言っても、ずっと何も無いから嫌でもそう思って来る。
そこで自身の心が闘うのだ。
だいたい、穏やかな日でも、何時間もやってふいにパタパタっと釣れるかどうかではないか!?
本当に潮が悪いから釣れないのか、今はまだその時が来ていないだけなのか私に分かるはずもない。
何度も自問自答を繰り返し、時間の許す限り頑張ってみた。






帰り間際のヤエン師が、「釣れますか?」、と話しかけてみえた。
ハッとして振り返り、全然ダメですと言いながらシャクルとトスっと何かが乗った。
あっ、今何か掛かったみたいですと私。
殺気が消えたのかもしれない(笑)




























DSC_0458

ちがーう!!

クルクルクル~
プシュプシィ!


こうちゃんかと思いましたが、上げてみて何コレ?っって。
お尻からは赤茶色の液体がポタリポタリと
かなり怖かったです。

魚図鑑で調べてみると 「シリヤケイカ」 との事でした。
どうやら、赤茶色に染まったお尻が、赤く焼けている様に見えたのが名前の由来かも知れませんね。
勇気を出して食べてみましたが、意外にも普通に美味しかったです
同じコウイカの仲間の 「カミナリイカ」 には遠く及びませんが。
地元に居る事が分かったし、何とかボウズは免れたので嬉しかったです







違う種類だったが、イカが釣れたのには間違いない。
この、シリヤケイカが真水に強いかどうかは分からないのだが。
もしかすれば、アオリのチャンスが訪れはしないかともう少しだけ粘る事にした。
しかし、結果としては釣れなかった。
夕マズメは他の釣りがしたかったので納竿する。
餌の釣りではあるが、こちらもまた撃沈となってしまった。
なかなか、厳しい地元の海であった。





それでは




ラスト一投

6月13日の日記








台風&大雨と続きましたが、皆様は大丈夫だったでしょうか?
私は、おかげ様で無事にやり過ごす事が出来ました。
そんな、悪天候だけではなく、シゴトや私生活でも荒れ模様な、Rockbeachです。
たまの休日でさえ、色々とあって、とても釣りだけに集中は出来ません。
それでも、空いた時間には竿を出しております。
おって、そちらの方も更新してまいりたいと思いますので宜しくお願いいたします。










職場の定休日であるこの水曜だが、普段ならば 「Relax」 に酔う夕暮れ時より予定が入っていた。
名古屋にて、お世話になったある方の送別会がとり行われるのであった。
簡潔に言えば、この方なくして今の私は無い。
気軽に話せる様な方ではないのだけど、その時を、今日のメインの時間と考えたのである。
勿論、毎日必死で働き、せめて、自由な時間だけでも好きな釣りに没頭はしたい。
どうすれば、釣りに没頭できるのか!?
私の場合、まったく時間を気にせずに糸を垂れる事であろうか。
家庭も無く、ステディも居ない故の泡沫であろう。











そんな中、前回の久しぶりのアオリイカの釣果に、Rock母は本気である。
母曰く、最高の烏賊は、スーパーでは庶民にはとても買えないと。
確かに、和歌山を中心として、この三重でも大きく展開されている、某スーパーには新鮮なアオリが並んではいる。
キロ前後の、丸ごとの販売を見てはいるが、なるほど、我がRock家の財政ではとても手にするのは難しい。
いわんや、アンタが釣って来たらえーやんとなる。












チョット待ってくれよかーちゃん!
春イカはな・・・ブラーブラーブラー。
いくら、釣り師としてのコーシャクを述べようが、まさにオバハンの耳に念仏なのだ。
どんだけ釣るのが大変かっ!
挙句の果てにはこんな事さえ述べるのである。













釣りに行くのを見送る方の気持ちにもなってみ。
やっぱりな、ぎょーさん釣ってきて欲しいと思うやんか。












私は家で待ってるだけやから、あんたらのロマンとか分からへん。
釣れないなら、ちゃんとその時々、釣れる釣りしたらエエやんかと・・・。
もう、ぐうのネさえ出ないRockbeachである。
母も釣りをするという事はこういう事なのだ。
わっ、分かった。
釣れる様に頑張るわ・・・。
そんな感じで出撃となった。










自身、こうしてブログを書いていても、釣れない時はどうしようもないと、実はそんなに気にはしていない。
見て下さる方々には申し訳ないなとは思うのだけど、元々が釣れた時以外にもずっと綴っているのだから仕方ない。
また、釣れなかった日記でさえ、面白ろオカシク書く様な文才も無いのである。
だからその時々、その時の気分で精一杯に釣りを頑張るしかないなと思っている。
しかし、たまに母からプレッシャーを与えられるのは別かも知れない。
少なくとも、短気で気分屋の私でも粘ってみようかと思えるのだから。










現場到着は午前10時すぎ。
ダラダラと夜更かしをしていた故である。
平日のこの時間、粘ってみえるのは年輩の方が多い。
血気盛んな、若いエギンガーが少ないのも魅力の一つである。
緩い自身のイカ釣りでは、この位のノンビリ感が丁度良いのだ。
まずは、前回のヒットを思い返し、点在する根を狙って広範囲に探って行くのであった。
しかし、この日、狙いを定めたそこから出るイカは居ない。
たっぷりと時間をかけ、足を使った探りは無駄に終わるのだった。
ならばと、あてずっぽに定めた地点に餌木を届けて行く。
偶然を期待する訳ではないが、同じ事を繰り返すだけの心の余裕が最早無いのだ。
狙って、動かしてダメならば、真逆の静けさに期待してみたいというもの。
投げてじっとするだけ・・・。
極力、静を意識して撃って行く。

























P1010921


完全に放っておいたら抱いてくれていました。
少ない経験ですが、交尾?や産卵を控えているメスが、それを意識してくれる事があるのかも知れません。
やったね!というよりは、あぁ良かったというのが本音でありました。
釣りを始めて約二時間、やっとの事でその姿を見る事が出来ました。











その後もキャスト、アプローチを続けて行くのだが全くもって反応が無い。
数人のエギンガー、そして餌釣りの誰もが沈黙しているのだった。
極力、ワンパターンとならない様にアクションの組み合わせを構築して行く。
時に本能により、また、時には頭でそれを繰り返しながら。
10分、20分、そして、30分とそれを続けて行くならば、いつしか、もう訳が分からなくなって行くのだ。


















それでも投げる!










そして沈ませて、動かして、ただその時が訪れるのを期待して待つ。
攻めてみたり退いてみたり、狙いを強くしたり、時には心を無に近づけたり・・・。
しかし、どうしても何の音沙汰も無いのである。



















今から帰って、用意をすれば余裕をもって送別会に向かえる。
いよいよとそんな時間となってしまった。
探り歩いて来たその道のりを、今度はまばらに早足で戻るのであった。
探れるのはあと数メートル。
とうとうそこまで戻って来てしまった。
小さくとも、何とか一杯のアオリは確保出来た。
これにて、母との約束をはたせた事にはなる。
しかし、自身の釣り欲を満たせたのか!?
勿論、それには程遠かった。
ただ、じっとしていただけなのだから。











時間は待ってはくれない。
ラスト一投、そこに自身のイメージする釣りを表現してみたい。
釣れないのは分かっている。
それでも、気持ち良くこの場を去りたいと思った。
思いつくままに、自身のリズムで餌木のダンスを踊る。
ただただ、それは得意の展開であった。
最後に、そこではたと果ててみる・・・。
生気を失う寸前の降下に移った。
おそらく、イメージの世界では、ここで抱くならば気持ちいい(笑)
最後のキャスト、そんな冗談で締めくくろうと思った。
しかし、ふいにマサカネと嫌な予感が交錯する。
冗談半分で軽く煽った穂先が、あるはずのないそれを捉えたのだった。














ジッっ!!っとイグジストが鳴いた。
握りしめた奴の腕を振り払い、更に貫くには弱すぎる力だったのである。
中途半端なまま、ただ、相手の重さだけが伝わって来るのだった。
その感触、ただならぬものである。





ブワッっと翻り、奴は水面へと上ずった。
その瞬間、強烈なジェット噴射と共に大量の墨が水面に向け放たれたのである!
大きく脈動するウネリがそこに生まれた。
まさかが現実となったのである。








最近、どうにもこういう事が続いている気がする。
刹那、フッとしてテンションが無くなってしまう。
盛り上がり、黒く染まった水面だけが残されたのだった。
もしかすれば、分からないオスのジアイとなったのか!?
無くなる寸前の闘志が蘇って来る。
二投、三投と、ただ自身のリズムを信じて竿を振って行った。
最早、ジャークパターンなどこれっぽっちも頭には無い。
本能の赴くままであった。
自身の動きを終え、静かに息絶える様を表現する。
もう少し、あともう少しだけ奴が油断するのを待つ。
穂先にも、ラインにも何の変化も無い。
ただ勘だけでそれを待った。
信ずるその一瞬、力の限りに竿をかなぐり上げた。













ドシッ!











緩めてあるドラグはすぐに悲鳴をあげて行った。
何時間、この瞬間だけを夢みて投げ続けただろう。
それが今、こうして現実となったのである。







強かった引きも、何度目かのダッシュには収まりをみせた。
おそらく、驚くほどのサイズではない。
弱さをみせた奴の抵抗では、じっとしていてさえロッドの反発力だけで従順に寄って来るのだった。
ギャフが届くその場所に、自身が降り行く前に波打ち際まで達する。
その吸引力で、足下のテトラにはりついて抵抗するのだった。
後は、テンションが失われない様に自身が降りて行くのみである。
不慣れなギャフで貫き御用となった。
























P1010924

もう一度、この前の再現を・・・。
幸運にも、最後のキャストがその息吹きを捉えたのです。
おそらく、今、奴らに何かが起こっている。
すぐに続投して行きました。















やはり、自身のリズムだけを信じ繰り返して投げて行った。
キャストする先は波打ち際より約15メーター先である。
身近な距離、そして3メーターにも満たない水深。
繰り出す手数は僅かでしかない。

その中でも、出来る限りに表現しようと試みた。
何度目だったか、思うよりも少し速くに抱かれていた様だ。
誘いの軽いシャクリが最後のアワセとなってしまった。
集中していてさえ、穂先にもラインにも全くもって何もサインは生じない。
よって、ただ勘だけでアワセて行く事になる。
やはりというか、その強引に一つがバレてしまった。
もう一つは最悪だ。
魚よろしく、追いアワセを入れて身切れを起こしてしまった。
今日イチのパワーだっただけに無念であった。








最後は、白と茶色にぼやけて近づく奴をサイトで狙ってみる。
警戒し、ゆっくりと距離を置いて近づく奴に対し、誘いと待ちを入れる間合いは僅かであった。
土壇場、足元のテトラ際で力尽きてやった。
鋭角的に沈むラインだけに集中する。
予想よりも少しだけ待って、小さく、ピンっとした違和感がそこに走った。
間髪入れずにフルパワーでアワセる。
ゴン!!
唸りをあげて走りまわる奴。
絶対に緩めない。
ロッドワークでそれを追った。



























P1010926

やっと、アタリをとって掛ける事が出来ました。
この瞬間の為に、何度虚しいキャストを繰り返したでしょう。
嬉しかったです。
やったね!










その後、二度ほどチェイスを確認はするが、自身の誘いではそれを導く事は出来なかった。
僅か、5分ほどのオスのジアイ。
私には、それを読む事は未だ出来ない。
投げ続ける事がはたして正しいのか!?
場を休め、自身の殺気を取り払うべきなのか!?
そんな事を思いながら納竿するのだった。























P1010930

クーラーボックスに入れる前に記念撮影。
心底ホッとしました。
良かった







それでは





My Tackles


ROD LC86widerange/longcast
REEL DAIWA EXIST HYPER BRANZINO 2508R
LINE SUNLINE PE#1.0
Leader SUNLINE FLUORO #3.0


Local

6月6日、8日の日記








南下したいのですが行けません。
そんな頃、先輩からイカが釣れてるよと教えてもらいました。
遠くには台風も来ているし
チョットだけ覗いてみようかと行ってみました。







初日。

昼前から海に向かう。
台風は過ぎ去ってはいない様子だったが、初夏を思わせる様な快晴の空が広がっていた。
スナップがきれた事に気付き、途中、行きつけのショップに立ち寄る。
車をおりてビックリ!
いつの間にか強風となっていた。
じん旗が今にも破れそうな勢いである。
やがて海に着くもやはり爆風であった。
それも、釣り座に対し真横から吹いている。
何とかやろうとするも釣りにならない。
エギはあらぬ方角に舞い、ラインが引っ張られて全く沈もうとしない。
風を避けて移動するも、うまくエギを安定させる事が出来なかった。













二日目。

家でゴロゴロしようと思ったが、やはり気になって行ってみる。
九時すぎにポイントへ到着。
すぐに、隣のヤエンの方がキロくらいのを釣った。
自身のエギには全く無反応。
続いて入ったばかりのエギンガーがあげる!
私には全くである(笑)



粘って粘ってするも、どうにも釣れない。
そこで、作戦変更する事に。
郷に入れば何とかである。
シャローエリアに移動してみる事にした。





























DSC_0427

干潮潮止まり。
トップ(笑)にてどーん!!
よく分かりません
久々の2キロクラスに大喜びでした。
やったね!










その後も粘りましたが、後にも先にもこの一杯だけでした。
春イカは気まぐれですね。
また時間があれば行ってみたいです。


それでは





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破壊

5月30、31日の日記







前回の日記で、しばらく釣りには行けませんと書きました。
すみません、嘘になっちゃいました
あの、スコールの様な雨の中で一瞬だけベイトが見えたのです。
それから、家で潮や水温などをチェックする毎日でした。
そして、それらを自分なりの季節感と擦り合せて行きました。
もう、何をしていても、頭の中はイケナイ妄想で一杯でした。
某所でそれを呟いていたので、もしかすると、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。




毎年の傾向性、その時々の海況、そしてベイトの回遊、接岸の情況。
私はそんなキーワードをもとに色々と考えるのが好きです。
予想が外れる事は当たり前。
でも、たまーにビンゴ!だと嬉しいですよ。
自分には釣れなくとも、ちゃんとそこに魚が居たら最高です!
とても、まわり道をしているのかも知れませんが、これも一つの醍醐味かと思っています。
まあ、同じ釣師の友人達でさえ、そんな妄想中の私を見て退くかもですが(笑)


とにもかくにも、これはどうしても調査する必要アリ!と行くことにしました。
釣行費!?
あぁ、レーコーディング用の機材を売り払ってつくりました
なけなしのお金を握りしめて出発しました。













まず初めに、今回ほど釣行記を書きたくないと思った事はありません。
覚え書きとしても、自身、当ブログを利用してはいるのですが、これは書かなくとも、嫌でも我が記憶にこびり付きました。
ですから、自身として少ない言葉で綴ります。








初日

職場からの帰宅、用意が遅くなり出発は午前2時前。
南紀到着は午前4時過ぎで、大急ぎで買い出しにコンビニへと向かう。
偶然にもこの釣りの大先輩と会うのだった。
目的の磯は同じであり、ご一緒させて頂く事となった。
現場に到着すると、潮流、波高とも雰囲気満点であった。
しかし、約3時間投げ続けるも何も無い。
魚の気配は 「有る様で無い様」 な感じが続く。
やがて、朝食をとろうかという頃、突如としてはるか沖にて海面が爆発した。
それはまさに、回遊、接岸を信じたベイトを狩る、大本命の魚達であった。
それが確認出来ただけで意味があった。


興奮冷めやらぬまま休憩に入ろうとすると、にわかに磯の周りに違和感を感じるのだった。
自身も、また先輩も何かその予感を肌で感じている様だった。
それからの時間の経過は覚えてはいない。




突如としてそれは起きた。
フルキャストで届くまだ50メーター程先の出来事であった。
キャスト体勢にあった先輩が投げた。
とても届かないと思った。
次の瞬間、硬直する彼の姿が見えた。
奴らの一匹が喰らいついたのだ。
それはまだ続いている。
転がる様にして磯上を走り、自身もそれに撃ち込んだ。
しかし、掛けている彼が気になってキャストを止めた。
すぐに戻り、ギャフをセットして補助にまわる。







先輩のファイトは神がかり的であった。
彼が握りしめているのは、何も特別に強いものではないのだ。
しかし、奴を相手に全く負けてはいなかった。
主導権は絶対的に彼にある。
殆ど、ラインをやってもいなかった。
体感にて、ファイトタイムは約3分ほどだったろうか。
ついに奴が水面にその姿を見せた。
知っている姿形ではあるが、そのサイズは見た事が無い。
今、ここで奴にギャフの一撃を与えるのは自分しかいないのである。
いったい、釣師のどれだけの方が、磯からこの様な魚にギャフを打った事があるだろうか?
その時の心の葛藤を、うまくお伝えする事が出来ない。








彼は落ち着いてみえた。
自身にはこれほどの事は今まで無かったのだが、ともかく大声で声を掛けあっていたと記憶している。
彼はまず、奴に大きく空気を吸わせた。
それで少しだけ静まった様に見えた。

タイミングを見計らい、ついに奴を貫いた直後である!
奴が狂った様に暴れ、一瞬にして振り払われてしまった。


深く貫いたはずのギャフは弾き飛ばされてしまう。
それを見て硬直してしまった。
鋭く尖る二本のそれが、あらぬ方向へと曲げられてしまったからだ!
単独釣行の多い自身ゆえ、セルフランディング時の軽量化をはかる為、ある方を通じて特注で製作して頂いたものであった。
はたして、ギャフの強度であったか、貫く場所を間違えたか、タイミングを誤ったかは分からない。







それにも動じず、彼は再びその時を再現しようとした。
危機感をおぼえたのか、魚はそれまでよりずっと強い力で抵抗する。
深みに潜り、流れに向かったところでテンションが無くなった。
フックアウトであった。












先輩は完全なかたちで奴を浮かせたのだ。
私さえちゃんとしていれば、絶対に獲れる魚だった。
全て自身の責任である。


もし、それが逆の立場であったならと思った。
私のいたらなさが全てであるにも関わらず、彼は自身のフッキングが甘かったと言った。
その、彼の心が余計に胸を刺した。
おそらく、私ならば攻めたてたであろう。
痛いほどの悔しさが伝わって来る。
もし、自分なら・・・。





それから、自身は全く釣りをする気にはなれなかった。
せめて、せめて、もう一度、彼にチャンスが訪れる事を心から願うのだった。
磯上がり後も、私に親切にして下さった先輩。
何と大きい方だと思った。
それ以上に、申し訳ない気持ちで一杯で、ふいに泣き出してしまいそうな衝動を抑えるので精一杯だった。








二日目





もう、何もかも放りだして本当は帰りたかった。
どうして良いか分からず、仲間達に気持ちを打ち明けるのだった。

色々と悩んだが、結果として、今、この場で唯一立ち向かえる自身が退いてはならない!
それが、仲間達の指導であり、また、最終的な自身の結論であった。
それでも、はたして、自身が挑んで良いものか葛藤する。
ともかく、前に進むしかない。
一つでも駒を進めるしかないのだと覚悟を決めた。









磯に乗ってから既に約8時間が経過した。
普段、休まずに投げ続ける私ではあるが、今回は違うものとしてみた。
獲物に対してだけではなく、ベイトにも極力プレッシャーを与えないという事。
キャストは思う最小限にとどめた。



もう、どうにも波が無く、全くもって緩い流れが続いているだけである。
ファーストキャストより、いったい何度、その時を待って夢想したか分からない。
だが、ずっと状況は変わらないのだった。
昨日の事、そして神経衰弱の様なアプローチに心はささくれていた。
当たり前に出来る事、普段、気をつかっている事すらもずさんとなって行く。
もう限界だ・・・。






喰わないヒラマサに向けぼんやりと投げていた。
あと5投、いや、10投して何も無ければ帰ろう。
そんな風に思ったかと思う。

私には、海の時など絶対に分からないのだろう。
何投目だったか、キャストして少しフォールさせていた。
ハッとして、あの、いつも忘れた頃にやって来る感触に薄れた意識が蘇る。
フリーにしているラインが、とんでもない速度で出て行っている・・・。





瞬きする、少しの間にそれを悟る。
ベールを起こしてラインを張り、力の限りにアワセを入れた。
その刹那、あまりの衝撃に、ソルティガのベールは再びオープンとなってしまう!
すぐに戻しきいてみると、出てしまったスラッグが一瞬にして無くなって行った。
そこで、グっと起こしながら追いアワセを入れる。
一瞬だけ沈黙した奴の鼓動を感じた。
有り得ない程の重量感、そして脈動する息吹きがラインを通じ伝わってくる。





ロッドエンドを太ももに、バットに近いグリップを両手で握りしめた。
半呼吸遅れて奴が動き出す。
来い!!
穂先からゆっくりと入り、やがてバットへと移り行く。
耐えきれずに、ドラグが唸りをあげるその時であった!
とても小さく、プンッとした異音が耳に届く。
強引は最早その力を無くし、意味なく握りしめた震える指先を感じるのだった。
外れた・・・。






ヒラマサ狙いのつもりの、そのフックがやられてしまったと思っていた。
巻き寄せるも軽い。
やがて、ヒラヒラと透明の糸が近付いて来た。
ラインブレイクであった。
すぐさま、もう一つのタックルに換えようとするが、無くしてしまったものと同じ動きをするルアーはもう無いのである。
極力、似たルアーを結んだが、もう、二度とは繋がる事は無かった。







帰宅後、切れたリーダーをよく確認すると根ズレの跡があった。
どうやら、軽い気持ちで投げていたジグでの時だったろうか。
軽い根がかりを数度、ジグから約一ヒロまで確認して、傷みは無かったので続投していたのである。
約三ヒロとリーダーをとっているが、切られて失ったのはちょうど一ヒロであった。
ルアーから一ヒロ、その付近にダメージがあった様子である。
これは根本的なミスだろう。
タックルやシステム、想定した限界は高いのだが、その保全、管理に問題があったのだ。
何時間と経過しても、はたして、組み立ての状態をずっとキープしているかである。
そうでは無かったからこそブレイクした。







今回、全てにおいて自身の想定力の甘さに敗れたのである。
自分だけならまだしも、同行者にまで影響する事となった。
ポテンシャル云々とよく聞く。
それを裏切るのがこの海なのだ。
はたして、それは強タックルなだけが万全ではないだろう。
先輩はそうではなかった。
釣り手の力量なのだ。
そう、すべてにおいてそれにつきる。
それを補う少しのものが道具ではないだろうか。



未だ、申し訳ない気持ちでいっぱいである。
いつか、彼の記憶に残る魚の補助に、「もう一度」、まわりたい。
その時には、絶対に間違いなくお力になれる様に精進してまいりたいと思います。



それでは


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