2014年04月

定例パトロール

4月2日、3日の日記









海に行っていますと、季節の移り変わりをよく肌で感じます。
気温はどんどんと上昇し、草花や野鳥、昆虫などにも変化が見られます。
回を重ねるごとに、うんと春めいて来ました。
もちろん、海の中にも春が訪れているのでしょう。
いつまでも同じ釣りで良い訳ではないはずです。
よって、ヒントを探しに行ってみる事にしました。

















入りたい磯には既に先行者の姿がある。
残る候補地は三つ。
仕事で疲れたまま、今日も寝ずにやって来ているので、思わずルートを思い描いてしまった。
海況や直観よりも、いかに楽に釣り座に立てるか。
情けない話だが、そんな気分の時もある。













薄明るくなって、いよいよとタックルに手を伸ばす。
しかし、まだ、もう少し早い。
投げたトップルアーが見えるその時まではあと少し。
そう思ってポケットの煙草に手を伸ばした時だった。

沖の瀬の際で突如としてナブラが起きた。
ハッとしてすぐにキャストする。
次の瞬間、魚の一匹が宙高く舞った。
その姿を見てガックリする。
河口などでよく見るあの光景。
そう、ボラのジャンプであった。


いくらまだ薄暗いとはいえ、見慣れたそれをナブラと見間違うとはどうした事か。
幾度となくこの海には来ているが、ボラの姿を見た記憶が浮かんで来ない。
いや、それだけではないだろう。
ルアーが入り、その結果としてボラが跳んだとも考えられなくはない。
私にはやはり、どうしてもナブラにしか見えなかった。
朝一、ベイトが集結しているのはその一点だろう、青物が目をつけるとしたらそこだろう。
そんな先入観が見誤らせたのだろうか。






日が昇るにつれ、沖へと流れる潮に向かってベイト達が泳いで行った。
夜間、岸にほど近い場所、おそらく少し深みで集まって身を休めていたのだろうか。
いくつかのグループがまとまって大海原へと出て行く。
複雑に絡む潮流には、いたるところにてベイト達のざわめきがあった。
そこに、またしてもボラの姿である。
ベイトを捕食しているところは見えないのだけど。
どうにも粗ぶっているのだった。
もっと大きく視野を広げてみると、流れの緩やかな方面には無数のボラが沸いている。
流れの中で、ベイト達と一緒にプランクトンの類を食べているのかも知れない。
はたまた、爽やかな潮流が、エラに当たってハイになっているのかも知れない。
何にせよ、彼らは喜んで見えるが、自身はヤル気急降下である。












それでも粘り続け、あるピンスポットにて反応を見る事が出来た。
この一点だが、特に目立った何かを自身は見出す事が出来ない。
足下から約2.5メートル程の場所である。
確かに 「流れ」 はあるのだけど。
シモリやサラシがある等、分かりやすい目印などは無い。

しいて言えば、ベイトがよくそこを通る事だろうか。
釣れなくて海を眺めていた時にそれを垣間見た。
気が付けば、ほぼ毎回何かある。
誠、偶然にみつけたピンスポットなのだ。


出ないかな?と何度かトップを通していた。
いつの間にか、下から追ってきて、ワッと思ったところでボゴンっと出て消えて行く。
これも全くいつものパターンである。
この気まぐれなヤツには本当にぬか喜びばかりだ。
出ているのに掛からない。
何が足りないんだろう。
いつか絶対に仕留めてやる。

























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お昼前まで粘りました。
後にも先にも、ヤツの一発だけでした。
仮眠をとりに磯から上がります。

































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夕方にかけて、違う磯へと来てみました。
よく覚えていないです。
よほど、何も無かったのでしょうね
たまたま魚が居なかったのか、季節と共に移り変わっているのか。
誠に厳しい感じでした。





























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セットものばかりで少し飽きてきましたので。
単品にて頼んでみました。
このチャーハン美味しいですよ!































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あくる朝の日の出です。
ドキドキ、ハラハラ。
高い足場に立ってジグをキャスティングしていました。
いつまで経っても、潮に絡む事が無かったです。
海鳥も見えず、ブルーランナーの姿も無し。
瀬際の小魚の下に大きなボラが着いていました。
ボラに始まりボラに終わる。
そんな二日間でした。


























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今一つ燃えないのがこの水色です。
釣れないかどうかは分かりません。
やはり、濃い、黒に近い青の海が好きです。
例え釣れなくとも、そんな海だと気分は高まりますから。































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帰り道もずっとこの様な水色でした。

魚はどこに居るんだろう。


次回までの課題です。



それでは





柔軟チャレンジ 後編

3月25日、26日の日記









前回の続きです。

















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桜が咲いていたので撮りました。
南紀特急(仮)と共に。










積載スペースの関係で小物タックルを積んでは来なかった。
特にする事も無いので、ゆっくりと温泉に浸かって身体を癒す。
春めいてきたとはいえ、長時間、強い潮風に吹かれ続けているとやはり体温が下がる。
最近、連休での釣行が多く、この温泉をよく利用する様になって気付き始めた。
どうやら、体温の低下は疲れに大きく影響する様である。
健康についての事は全然知らないが、どうやらこれは自身には間違いなさそうだ。
山と磯歩き、そして、釣りの疲労がかなり軽減される。
何より、気持ちが良いのでついつい長風呂をしてしまう。
まあ、人並みに年をとったという事だろう。















明日は荒れる。
天気予報はそう告げていた。
嵐の前の静けさか?
夜が深まって行っても、未だ雨も風も無いままだった。

TNK氏は順調に仕事を片付けられ、予定通りに出発されるという事である。
そしてまた、W氏など諸先輩も出撃される様子であった。

更にゆっくりと食事を楽しみ床にとついた。















やはり、慣れない車で熟睡する事は出来なかった。
寝返りをうつ度に目が覚めてしまう。
早く時間が過ぎてくれるのを願うばかりだった。
逆に疲れてしまったのでは?と思う程に身体が痛かった。

のびをしながら車のシートを起こす。
曇ったウインドウを指で拭うと、すぐ近くに、TNK氏の車が停まっているのが見えた。
紅茶を飲んだり、トイレに行ったりと朝の儀式を進めて行く。
ボチボチかな?という頃、W氏よりご連絡を頂くのだった。
M氏とN氏もお越しになってみえるとの事。
雨の為に仕事が流れてしまったのだろう。
TNK氏と共に気合いを入れてパーキングへと向かった。
















ポイント付近まで来て、ようやく、予報通りの天候となっている事が分かった。
南からの風は、7~8メートルは下らないだろう。
海岸線はどこも真っ白の波に覆われている。
暗闇の中でもハッキリと見える位であった。
幸いにも小雨である。
唯一の救いであった。

ほどなくして、先輩方と合流する事が出来た。
ご挨拶もほどほどに支度を整えて行く。

TNK氏と自身のペアは未熟である事から、その場で一番足場の高い磯へと入れて頂く事に。

そして、M氏とN氏のペアは隣の少し奥まった磯へ。

W氏は単独で足場の低い磯へと入られるとの事。






TNK氏と共にゆっくり磯へと降りて行く。
轟々とした波の音は、まるで、集中豪雨の際の川の様であった。



ともかく風がきつい!!






岩の高い部分では風で、身体ごと吹き飛ばされそうだ。
低く腰を下ろし、極力、両手を使いながら岩山を這って進む。
それでも、あわやという場面に氏は遭遇したとの事。
危なかった・・・と真剣な顔でおっしゃってみえた。
落ちれば、軽い怪我では済まないであろう。
自力で車へと戻る事も難しい。
波ばかりだけでなく、移動にも充分に気をつけなくてはならない。


歩きながら気になったのは、W氏の行く道であった。
お一人であるし、何より、一番低くて荒い磯に向かわれるのだから。
ヘッドランプの灯がついたり消えたり。
歩くルートによって、見えたり、見えなくなったりである。
氏の動きが止まり、やっと安心して釣りの事を考えれる様になった。














夜が明け始めたのでキャストを開始する。

TNK氏には有利な先端へと立って頂く事にした。
もし、大物が掛かっても、そこならばランディングに困らないという理由もある。
手前の瀬際は鋭く、エッジが突き出していて難しい。
この波では、少し下へと降りる事もままならないだろう。
自身は 「何とかなるかな?」 という微妙な立ち位置を選ぶ事とした。



釣りを開始するも、二人とも何の反応も見る事が出来ない。
暖かい雨、南風、強い潮流、そして波。
経験上、良いと信じている状況であるのに・・・。
キャストを続けながらベイトを探していた。
しかし、見える範囲にその姿は見当たらない。
そこで、昨日、感じた一つの仮説が頭をよぎった。
やはりそうなのかと思うと共に、今の釣りを諦める訳にはいかないとそれを振り払う。




雨天の為、陽が完全に登った後も薄暗い。
朝のチャンスタイムはいつもよりは長いだろう。

しかし、何度投げても、攻め手をどの様に換えても反応は無かった。
W氏の方面ではまたも鳥が凄い事になっている。

はたして、この強い向かい風の中でどう展開されているのだろう?
遠く離れている為、想像するしかないのではるが。

M氏、N氏のいる磯では何か変化があった様だ。
私も沖合に違和感を感じた。
それは二人がいる磯の方角であった。
M氏もそれを見ていらっしゃった様子であり、すぐさま、N氏に告げられている様に見えた。
無いのは我々がいる磯だけである。
少々粘ってはみたが完全試合であった。






後ほど状況をお聞きすると。
W氏の眼前はやはり凄い事になっていたそうだ。
予想通り、反応させる事はとても難しかったという。

勿論、W氏は経験済であり、再挑戦をはたされた感じであった。
驚いたのは、上ずっている魚達ばかりではなく、警戒心のとても強いアイツを惑わせ、おびき寄せてみえた事である。

この海にいらっしゃらない方にはイメージが難しい事だろう。
私からすると、あんな風と波の中、どうやったら出来るのですか!!
そんな印象であった。
やはり凄い方である。


一方、M氏とN氏のお二人の前でも魚は頭をあげたとの事。
バイトチャンスこそ無かった様だが、しっかりと魚が寄る磯を選択されたのだと感心するばかりであった。
TNK氏には申し訳ないが、我々は読み間違えただけだろう。
空腹と寝不足がそれに輪をかけて心が折れる。
スーパーの開店を待って直行するのであった。














食事をしながら、TNK氏の車でまったりと過ごした。
久々にお会いするので、釣りの事やら何やら話が尽きる事はない。
話をしているとだんだんと眠けがやって来る。


いかん・・・。


TNKさん、あかん・・・寝よう。
そう呟いて横になった。







半ば夢を見ながら、もう一人の自分が耳元で呟いた。





「寝て、起きて、風呂入って帰っちゃうの~?」

「遠いところまで何しに来たの?」

「ヒラに挑戦してみるとか、自分の仮説を確かめてみたくないの?」









だめだ!!


コイツがやかましくて寝れやしない。











すぐに、N氏に連絡をとって状況を聞かせて頂く。
そして、やはりかという感じ。
M氏は魚を見つけられたとの事であった。
ともかく、寝ていては始まらないので、M氏の元へと単独で行ってみる事にした。












すぐに到着し状況をお聞きする。
おそらく、氏は長いご経験の中で知ってみえるんだなと思った。
きっと、たまたま魚を見つけられたのではないだろう。


私は私の感覚で。
ここ最近、また、新しい思考で魚探しをしていた。
そしてまた、立てた仮説の殆どが間違いでもあった。
昨日、感じた事。
もしかしたら、たまたま合致しただけかも知れない。
だから、確証はない。


もう、いてもたってもいられなくなった。
カオスな妄想だけが頭の中をぐるぐると回っている。

だとしたら・・・。

少し前の記憶が甦る。
だとしたら、あそこかも知れないと。
氏とのお話を終え、すぐさまある海へと向かった。























そこは、見渡す限りの鳥で埋め尽くされていた。



白い鳥。

そして、最近よく見る黒い鳥の群れである。



鵜もまた少しそれに混じっている。
そして。








ナブラ







でかいナブラが岸際に、そして、沖にと沸き起こっていた。
すぐに、M氏を呼びに行った。
TNK氏にも電話をした。







M氏と共にそれを見る。

沸いている奴はデカイ。
少し離れた地点では、TNK氏もその一部始終を伺ってみえたようだ。

氏の観察眼はとても鋭い。
それに気付いた周囲の人間の行動までをもちゃんと見ていらっしゃった。
そしてどうやら、魚は鰤だけではないと。
バケモノとの混合ナブラであると氏は見ている様であった。







私はといえば?

それだけを見て、狙うという気持ちにはどうしてもなれなかったのである。
たまたま、自身の読みが当たったのか? 本当に偶然だったのか!?
対極の海をも見ておきたかったのである。


何キロも走って再び戻ってきた。
ふいに、W氏からの電話が鳴る。



「M氏、さっきの磯で一本獲ったみたいですよ!」




驚いた。
アレに届いたのか?と。
TNK氏と共に、M氏の立つ磯へと急行する。












釣れない死臭を放つ我々らしい状況となった。
到着後、すぐはまだそれはあったのである。

大規模なナブラの片隅に隠れたそれ。
M氏の目はそれを逃さなかった。
勿論、私には全く見えなかった。


シメめられて、磯に鎮座している大きなメジロ。
私も、TNK氏にも、震えんばかりのアドレナリンが噴射された事だろう。
いわゆる、脳汁にまみれるというやつだ。


M氏はご親切にも、状況やメソッドなど詳しく教えて下さった。
そして、我々にキャストスペースをお譲り下さったのである。





























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最早、終わってしまった海を前にシャッターをきりました。
リスペクトしてやまない、M氏。
短い時間でしたが、同じ岩の上に立たせてもらえて嬉しかったです。
大メジロをもって、爽やかに上がられる氏の姿が忘れられません。





最後まで、TNK氏と粘るつもりだったが・・・。
どうしようもない腹痛が襲ってきた。
違う事を考え続けたのだが、これはトイレに行かねば終わりそうもない。
後ろ髪引かれる思いで、自身はその磯を後にした。
釣果は氏に委ねよう。










トイレから生還するも、腹痛は収まることが無い。
タックルとトイレットペーパーを持って、今度は、M氏の見つけた魚にチャレンジしてみる。

車から降りた瞬間、遠いポイントでナブラが立った。
駆け足で降りると何も無い。
なんという爆風か!


良い時期なのに、誰も居ないのも納得だ。
立っていられないので、座って魚を待つのだった。
ひたすら、夕暮れまでの二時間をトイレを我慢して待った。
遠くの海には、空前絶後の鳥山、ナブラがあった。












もがいてもがいて。
釣れなかったけど面白いな。





それでは











柔軟チャレンジ 前篇

3月25日、26日の日記







立て続けに行っておりますので更新が遅れています。
記憶も曖昧になって来ました。
ですから、思い出した事、強く感じた事などを書いて行けたらと思います。

題名にもあります様に、今までは、あまりやる事の無かった事にも挑戦しております。
おそらく、全ての釣りは繋がっていて、いつの日か、自身の好きな釣りにも生きてくるかと思うのです。

よろしければみて下さい。














今回の釣行も連休を利用してのものである。
二日目には、TNK氏も出撃されるとの事であった。
久々の氏との青物釣りに心は躍る。


しかし、あいにくの天気になりそうな予報だ。
荒れが好きな方にはたまらないものだろう。
しかし、私の様な初心者には、少しおっくうになる感じの天候であった。




一日目は北西の強風。
二日目は雨、そして南からの大風である。



ともあれ、自身はこの 「風」 がどうにも苦手だ。

飛ばない、泳がない、沈まない。

私には、この三拍子が揃った印象でしかない。












初日は独りだ。
どうしても、ジグの釣りがやりたかった。
予報通りの風速、風向きならば、自身の釣りが成立しないのも分かっていた。
それでも、どうしてもしたい。
故に、ジグ場へと向かう事にする。








かなり、早くから磯へと降りたのだが、しばらく歩くと人の気配がする。
ほどなくして、先行の方に出会うのだった。

お声をかけて釣り座を伺う。
幸いにして、隣に立たせて頂ける事となった。
夜明けまでの数時間、この方としばしお話させて頂いた。








やはり、予報通りの風である。
投げたい方角へとキャストすると、強烈な北西の風によってラインを持って行かれる。
大きく湾曲したそれにより、ジグはまるで沈もうとはしない。
とりあえず、風が僅かに弱まるのを待って探ってみるのであった。




ジグをもっと、ずっと重たいものへと換えれば沈ませる事は可能かも知れない。

しかし、手ごたえから予想するに、潮は殆ど動いていない状況である。
強い風に波立ち、上潮こそは動いているのだけど。
中層以深はまるでな感じである。
今投げている、100グラムのそれでも重すぎる位だろう。
潮にジグが絡むとは思えなかった。


ラインを捌いたりと、試行錯誤しながら底へとジグを送り届けて行く。
酷い時には、それに1分近くの時間を必要とした。

いくら、潮が効いていないとはいえ、これでは水中のラインがどこへ行っているかが分からない。
ジャークを始めても感覚が違う。
やっと追い着き、程よいテンションが掛かってもその感覚は異なるものであった。
リーリングとジャークがまちまちに思え、気持ちよく竿が曲がらない。

全くジグの姿がイメージ出来ない。
いったい、どこをどう泳いでいるか見当がつかない。
しかし、これも修行だと、出来る限りの事を繰り返して行った。











予想通り、シャローエリアに動きが見られた。
薄明るくなるにつれ、どこからか、大量の鳥達がある方向へと急ぐ。
やがて、それは大きな群れとなり、海面へと降下し始めるのだった。

いわゆる 「鳥山」 である。


さすがに、今居る場所からは魚の姿は見えない。
おそらく、そこでは、水飛沫が上がっている事だろう。
ただ、餌をとっているだけの鳥の動きではないのだ。






こちらにも、ベイトである小魚が居ない訳ではなかった。
波が高い為、ボイルを見落としているかも知れないと注意深く見たつもりではある。
荒れていて、餌も豊富な状態。
しかし、それでも無かった。
きっと、青物達の 「気持ち」 ではないのだろう。









やがて、鳥山も消えて行ってしまった。
やっと、落ち着いた釣りとなる。

時には潮目へ。
時には瀬際へと。
プラグもまた泳がせてみた。
しかし、魚の姿を見る事は出来ない。
波気もあり、良さそうに見えるのだが、今日のここに気配は感じられない。
見えない何かが違っているのだろう。





数時間が経過し、気晴らしの為に高台へと登ってみる事にした。
風表に立って、悪戦苦闘しているのにウンザリしたのもある。

ちょうど、風裏となっている、少し離れた磯を眺めてみる。
するとすぐ、ボコンっと海面が盛り上がって弾けた。
2、3発、立て続けにボイルが起きる。
近いとはいえ、すぐに走って向かう事は出来ない。
故に、少し落ち着いて見る事が出来た。


再び釣りに戻り、また、小一時間ほどしてその磯を見てみる。
すると、瀬際のサラシている部分にて二発。
まったく、静かな部分にも数回のボイルが沸き起こった。


なるほどな。
そういう事かも知れないなと妙に納得する。
また一つ、仮説が自身の中に生まれるのだった。


その後、そこを撃てる磯へと移動したが、再びボイルが出る事は無かった。
皮肉だが、よくある事だろう。
そしてまた、ジグの釣りが最後まで噛み合う事は無かった。
さすがに意気消沈してしまう。

















まったく寝ていなかったので、食事をして少し車の中で休む事にした。
しかし、今日の南紀特急は軽自動車なのだ。
車検の為で仕方がないとはいえ、慣れない狭さに熟睡する事が出来ない。
眠っているのか、うとうとしているだけなのか。
断片的な思考である事を思っていた。
ここ、数回の釣行で感じている事であった。








「鳥絡み」

「ナブラ」

「ボイル」


少し違う形態を、自身はそんな言葉を用いて分けて見ている。
しかし、およそ、どの 「水面直下型捕食」 であっても、ルアーに殆ど反応しないという状況が続いていた。
自身だけでなく、上級者の先輩達や仲間も、また口を揃えて言ってみえた。
たまたま、何かの拍子に喰ったという例が僅かにあったのみである。




何週間かぼんやりと考えていたのであるが、もしかすれば?という仮説がいくつか生まれたのみである。
あまりに分からないので、何かで調べてみるという事も出来なかった。

アクションやスピード、泳がせる泳層など。
はたまた、ルアーのサイズ、色なのかもと思ってみたり。
もしかすれば、撃ち込むタイミングなのかと考えてみたり。
堂々巡りで空想は膨らむ。

しかし、そもそも、それを試すチャンスは滅多と無い。
届くかどうかさえ怪しいし、中には沸くのが一瞬であったり、とても足が速かったりなのだ。
これでは、腕の無い、経験不足の私に答え合わせは難しいだろう。
故に、更に違う視点でも考えてみたのである。










今思えば、そもそも何の解決にもなってはいないだろう。
対峙していないし、逃げであると言われればそうかも知れない。
しかし、自身はこう思ったのである。



朝のチャンスタイムだからこそ良くないのではないか?


朝だからこそ青物の活性が高いのは間違いない。
ベイトがある部分に群れをなして集まっている。
それを知っている、メジロやハマチ等の群れが食べにやってくる。
一週間、二週間と経過していても、規模の違いこそあれ、同じ様な状況となっている。




問題は今の 「ベイト」 ではないか?

まず、なによりも、その数が圧倒的に多すぎる。
何度か垣間見たが、真っ黒に見えるベイトボールがいくつもいくつもあった。
そしてまた、そのサイズは、5~6センチ程度とそう大きくはない。


もしかしたら、単純な話、エサが多すぎるだけなのではないか?

もし、私が青物だったなら、山盛りのご馳走に夢中になるだろう。
疑わしきものに手を伸ばす事はない。




ならば、ベイトが活動を開始して、群れが方々へ散るのを待てば良いのではと。
真昼間にベイトが集うポイントはいくつかある。
ベイトの大きな群れは回遊しているだろうが、定位する、逆にほどよい数の群れの方が好都合だろう。
青物の方も、皆が皆、一度に大量の捕食が出来る訳ではない。
腹が減ったら、日中でも何度か餌をとっている。






そんな風に思い、可能性の高そうな磯にて待ち伏せてみる事にした。

ベイトが集いそうな場所を、この時は 「サラシ」 であると照準を絞ったのである。
見えないシモリの場所を特定出来てもいないし、潮目などが生じるとは今日のここでは思えなかったからだ。

博打だし、出たとこ勝負である。
ともかく、今もって吹き荒れている 「北西」 をどうにかしないとならない。
狙いを定めた場所に届かないならば始まらないのだから・・・。


持っているものの中より、最善ではないかと思う道具で挑む。





































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長さは飛距離へ。
12フィートのそれを握りしめるのでした。

本当はラインを細くしたかったのです。
しかし、4号以下の持ち合わせはございません。

ガイド径を考慮し、スプールの大きさで調整をはかるのでした。


















おそらく、この時間では?という頃に磯へと降りる。

少し早くに到着出来たので、荒れている海にヒラを求めてみる事にした。
自身にはうまく出せないだろうが、分からないなりに挑戦してみる事は楽しい。

潮が下げていた為、乗った事のない瀬へと渡ってみる。
そこからは、良さそうなサラシが二つほど見えた。
丁寧に探るのだが、ヒラは全く出てはくれない。
おそらく、そこに居るのは間違いないだろう。
居ても出せないのが私、Rockbeach なのである。








ミノーをキャストしていると、遠く離れた瀬の上空に鳥の姿が見えた。
5~6羽の群れだが、一見して分かる怪しげな飛行をしている。
海面に出るアタマも、水飛沫もそこには無い。
だがしかし、鳥達は結構な速度にて海中の何かを追っていた。





来る。


今に来ると念ずる。




今いる場所から、沖に向かって正面に位置する瀬に違和感を感じた。
キャストで届く場所にはないが、凝視すればそのサラシの違和感が何となく見える。







一分、二分、じっと眺め続けた。
無いか?と思い始めた頃にそれは起きたのである。
こんなのは初めてだったので、かなりビックリしてしまった。
言葉にすると変なのだが、サラシ全体がドン!っと一発、爆破された感じに見えたのである!


ボイルが起きたとか、バシャバシャと沸いたという感じではなかった。
まるで、一斉攻撃を仕掛けたとでもいうべきだろうか。
同時に、戦隊が下から突き上げた様に見えたのである。
本当、サラシ全体が縦に爆発した様だった。






急いで瀬を渡り飛ぶ。

走りながらポケットのボックスを開けていた。
手にしたのはジグだった。
シンペンではきっと、あと僅かが足りない。
それは飛距離だけではない。
膨らむラインスラッグを生じながら、沈ませて、速く泳がせれる気がしなかったから。

これならばやれる!
このジグは私の分身。
鳥を見て、次の攻撃地点を読んだ。
そして、ここと決めたサラシが弾けた。






































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あまりに嬉しかったので叫びました。
一投一尾。


やったね!!












サラシに照準を絞ったのだが、それは魚達が集まる事を期待してのものである。
現に喰わせたのは、サラシのずっと手前、その一見して何も無い部分であった。
サラシの泡による 「カモフラージュ効果」 は効いてはいなかったと思われる。


正直、何も特別な操作は必要なかった。
普段の、自身の 「手癖」 のままに泳がせればヒットしてくれた。


はたして、私の仮説通りであったかは不明だ。
たまたま、喰い気のある魚が回ってきただけかも知れない。
勿論、僅かに一回の結果で判断できるものではないのである。



だけど、真実はどうであれ、釣れたという喜びに掛け値はない。
もっと大きな魚を、朝の短時間で効率よく釣ってみえる方もいらっしゃる事だろう。
私は下手だからこそ、長々と粘るし、自分の妄想を大きく広げてしまう。
これからも、こんな条件でも釣れたという経験を増やせていけたらと思う。









後編に続く。




それでは








My Tackles


Rod   SAURUS ZY ZEROS 120H
Reel  DAIWA SALTIGA Z6500 EXP With 5000GT Spool
Line   YGKよつあみ PE #4
Leader   SUNLINE NYLONE 80LB






逃す

3月18日、19日の日記











今週も磯へ向かいました。
実生活がメインなのか、磯がメインなのかよく分からない日々であります。



適当に仕事も忙しく。
必死に働いては夜な夜な深酒。
休みとあらば釣りです。
もう、まともに寝ていません。

いいのですよ。
独り身ですから。



何とか、まだ身体も動きます。
どうせ、何をしていても。
人は日々、生命を削っているのですから。


破滅的に見えるかもしれませんが。
熱く、燃えていられる事が生きている証かなと。



重ったるい書き出しとなりましたが。
ロックンロールフィッシングいきます!






















「もう、セピア色した想いでになったよ。」

そう、Taka氏は呟いた。

確か、それは釣行直後だったろうか。






勿論、氏の冗談である。

悔しさは、すぐに情熱へと転換するのだ。








今回、Taka氏とご一緒させて頂けるのは初日だけとなる。
忙しい中、氏も熱く燃えての出撃なのだ。

天気予報では 「南の風、10メートル前後」 との予測である。
表磯に立つ以上、おそらく、その風や波をかわせる磯は無いに等しいだろう。
それでも、幾分かは直撃を免れるであろうポイントを考えた。



そしてまた、魚に出会う可能性が高くなくてはならない。

自身の釣行、そして、素晴らしき仲間達のお話から居場所は分かっている。
ただし、喰わせるのがとても難しい状況である。
真相は分からないし、魚の気持ちも知らないのだけど。
自分なりの解釈として、ベイトの種類、サイズ、そして何よりもその数ではないかと考えていた。


問題はそれをどう攻略するか。
そしてまた、荒れた時に良いという噂を検証してみたくもあった。
はたして、うまく行くかは分からない。
それは何より、釣り下手の自身ゆえの事だから。












駐車スペースへと辿り着く。
車から降りて、すぐさま怒号の様な波の音が聞こえる。

いけるのか!?

ここまで来たら行くしかないだろう。
Taka氏の覚悟は完了している様だ。
波、上等である。(誤解の無い様に言いますが、2ステップ位の逃げは想定してあるのです)








ほどなくして、目標の地点に到着する。
ヘッドランプの灯りには、まるで霧雨が降る様に潮が舞い光る。
暗闇に黒くうねり狂う海。
釣りになるかどうかは明けてからしか分からない。
何故なら、シモリが点在し、波の方角によってはルアーを泳がす事が困難だから。
経過時間は約10分。
すでに、舞い散る潮によってどこも濡れていないところなどなかった。






そんな折、ふいに、Taka氏が呟く。

「俺、どうかしてるわ・・・。」



どうやら、荷物の全てを車に置いてきてしまったとの事。



自身は 「二人」 の安全を確保する事だけを考えていた。
氏の荷物まで、とても見る余裕は無かったのである。
仕方なく元来た道を歩みゆく氏。
真っ暗な中、氏のヘッドランプの灯りだけが小さく揺らめいては山を登って行った。


独りになり、途端に孤独を感じる。
見えないのだが、ふいの大波にそこで一番高い場所が濡れて行った。
氏を待つ間、波に三度ほど頭を叩かれる。
おそらく、夜が明けたら、一瞬だけ今よりも静かになるだろう。
それがもし、無いのなら潔く撤収する。
明け方のジレンマである。















やがて、氏も戻って準備を整えて行った。
まず、私が結んだのは、昔から好きなトッププラグである。
今季の状況を垣間見て、自身なりに手を加えたものであった。


コイツで勝負してみて、反応が得られないのならば。
極端な言い方かもしれないが、今の私の釣りは全てゼロの地点に戻ると思う。


それ位に自分の信じる釣りを研ぎ澄ませて考えていたのだ。
直ペンでもシンペンでもミノーでもない。
それに今の状況を集約していたと思う。
分からないが、それが魚から見て、一番らしい疑似餌だと確信していた。


間違いならばどうか!?


そんな事は知らない。
どうせ私の釣りだ。
私の釣りが間違っていれば、困るのは自分だけなのだ。
そろそろ、自分も信ずるルアーに生命を吹き込まなくてはならない。














数センチ単位にて、僅かに波をかわす地点を見つけて立った。

より、足場の高い。
「釣れる」 可能性が高い場所。
そこへ、Taka氏に立って頂く事にした。


類まれなる才能を持ってみえる氏とはいえ。
荒磯の洗礼をより多く受けているのは、氏よりは、自分に間違いないのである。
未来ある氏に何かあっては、彼の家族に何も言えないではないか。
だからこそ、氏にはより安全な一点に立ってもらう様にした。


そこはそう、私だって、危険なだけで釣れない場所を選びはしない。
無駄とも思える釣行回数にて少しばかりは見れていると思う。















問題となるのは 「風」 である。


先程から、予報など、可愛いほどの強風が真正面からブチ当てている。
誠に残念であるが、私の信ずるそれはこの風を切り裂いては行かない。
ふいに投げて、10メートルにも満たない海に不時着するルアーであった。

そこは、瀬際のサラシのちょうど切れ目。
そんなところに魚は居ない。
分かりきっている。








今は飛ぶルアーを結ぶ時ではない。

だからこそ、それが停滞するその一瞬を待つのだった。

荒れているから、見渡す限りに魚はウロウロしているか!?

どこに投げても喰うだろうか!?



少なくとも、今の海にそんな事は無いだろう。

昔とった何とか・・・か。








喰う一点がある。




業界用語を借りるならば、フィーディングスポットとなるだろうか?



おそらく、必ずそこで喰う!










そこを狙って、物陰に隠れてじっとしているかどうかは知らない。


遠くから、そこで、我を失う餌を伺っているのかも知れない。


たまたま、通りかかって、泳げなくなった餌を襲うのかも知れない。





そんな事はどうでもいい。

喰うか喰わないか。


そこだろう。




















風を待ち、波が立たないその一瞬を待った。


結果、辿り着き、ワンアクションで大型のメジロが躍る様に出た。






しかし、ここからが、実に私らしい部分なのだ。




身体を丸出しにして、横向きになってルアーにかぶりつくメジロ。


水面にて、何故かモゴモゴとして一向に沈もうとはしない。



昔見たあの瞬間である。













かぶりついたは良いが、フックがイガイガして痛くて、気持ちよく飲み込む事が出来ないのだろう。

離そうとしても、口にそれが突き刺さる。

四苦八苦して、餌かと信じたイガグリに悶えているのであった。






そこで何も出来ないのが、Rockbeachらしい!!


これまた、いつもの様にフリーズとあいなった。


フッキングを入れようとして、じぃぃぃーっと固まったまま傍観してしまうのである。





やがて、イガイガから解放されたメジロは消えて行った。


波も風もどんどんと勢いを増す。
もう、どこも、波を被っていない場所などない。



Taka氏は、ふいの大波を全身全霊で受けていた。
あやうく、氏のギャフが海の藻屑と消えそうであった。


そんな頃、一人のアングラーがより高場へと立つ。












全くもって、私のルアーは飛ばなくなった。
仕方なしにプランBへと移行する。



それは、荒れているならば、活性の高い個体がウロウロしているのかを探るもの。
まず、他のピンスポットを、可能性の高い順から撃ちまくってみたのである。




ルアーの動きはかなり落ちる。
しかし、勝負出来ない程ではないだろう。
魚が居たら、迷わず喰うだろうという動きは出したつもりだ。



結果、全くもって無かった。
Taka氏も、後で入られた方も、充分に魅力的なアプローチをしてみえたと私には見えた。
しかし、まったく無かった。




おそらく、きっと、そこに居る魚が少なかったのだろう。
そしてまた、荒れているからこそ、定める捕食ポイントがとても狭い。
荒れ過ぎているから、そこにいるベイトは僅少であった。
そんな感じだと思う。



身の危険を感じる程の状況が好機とはならなかったと言える。
少なくとも、私の歴史ではそうだ。
あなたの釣りの歴史とはまた違うかも知れない。
だからこそ、断定するものではないのであしからず。
















少し、粘りすぎる位にやった。
安全を確保できなくなる少し先までやった。
しかし、もう限界だろう。



やはりというか、後からみえたその方もリュックを背負われた。
言わなくても、Taka氏も時を分かっている様だ。
すぐに避難場所へと逃げる。


道具を片付けながら、ふと、帰られるその方を見た。

大先輩である、M氏であった。

状況が状況なのと、遠目だったのでよく分からなかったのである。
たまに横目でチラ見していたが、彼のその動きには全く無駄が無かった。
間違いなく 「釣る人」 だとは認識していたが、氏と分かって納得であった。


しばし、お話をさせて頂き、車へと戻るのだった。
道具を積み終えて再び氏に話しかける。
まだ時間もあるし、少し魚を探してみると氏はいう。
勿論、我々もそのつもりだ。
探すエリアを大きく隔てお別れをした。


















数時間後、再び氏と出会う。
勿論、その間、連絡をとっていた訳ではない。
巡り巡って、ある地点で出会ったのである。



その後も別々に巡ったが、局所、局所で再会した。



私は、私のルートを、Taka氏と巡っているだけであった。

M氏はエキスパート。


誰に教わるでもなく、自らがチェックしてきた場所にてお会いする。


それが、本当に嬉しかった。
ありきたりなものかも知れない。
でも、尊敬する氏と同じ風に動けているのだ。
自分を信じて、間違って、間違って。
迷いながら来た事が少し明るくなった気がした。
本当、私なんて、こんな素晴らしい釣師とお話しが出来る事すら今でも信じられないのである。


































P1030254













この時点で、僕は 「青物」 を諦めていました。

持って降りたのは、磯鱸に向けての道具でした。

Taka氏は青物を。

立ち位置を違えて挑みます。


























P1030257













私の磯鱸用の竿です。

基本、古いものが大好きです。

























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自分なりにやり込みましたが・・・。

何も起こせませんでした。

良い時期となって来た様ですがとても難しいです。

ミノーさえもちゃんと泳がせる事が出来ません。




















これにて、一日目の、Taka氏との釣りは終わる。

何も無かったので、とても申し訳なく思った。
自然相手だから仕方ないのだろうけど。
友人との釣りでは、やはり、何かあって欲しいと願う。
Taka氏、誠に申し訳ない・・・。
















二日目。



前日の状況からもう決めていたのだ。


波、風とも、幾分かは落ちると予想する。
独りであるから、余計にそれをシビアに見た。
波にさらわれれば、ほぼ確実に助かる見込みは無い。
そんな海域で竿を出そうというのである。














陽が昇り、そろそろ魚が来るかなという頃。
やはり、昔の記憶で、そのフィーディングスポットを盲信し確定する。
どこでもない、そこしか考えられない場所。



結果。

やはり、ワンアクションにてルアーが消えた!




渾身のフッキングを入れ、一気に巻き殴って行く。
いきなり、下へ下へとつんざく魚。

いくら、瀬だらけとはいえ、この動きは普通ではない。





我を忘れて闘った。

ドラッグは出ていないだろう。

もしかして、それさえも感じる事が出来なかったかも知れない。


風と波の轟音で、そんな小さな音など聞こえはしないのだ。

ポンピングなど入れている余裕はない。




「綱引き」 を織り交ぜながら、巻きに巻いた。
最期の最期まで執拗に潜る相手。
瀬際で、やっと、リフティングをするにいたったのである。





浮いたのは、鰤の様なシルエットをした 「80」 あるなしの魚だった。
沖に向けて、立ち位置よりも手前に瀬が張り出している。
だから、一刻の猶予も無い気がした。

そして、そのまま浮かせにかかった。



























ぽろり!
である。















二日続けてそのチャンスを無にしてしまう。






諦めずに投げたルアーは私が信ずるもの。

瀬のサラシの切れ目を引いて来る。


 
途端に 「黄色」 に見える青物が発砲の中から舞い踊った。



しかし、ミス!!






私のルアーがちゃんと泳がなかったから、うまく、餌と誤解したそれを頬張る事が出来なかったのだ。

本気で喰いに来ている魚を逃すのは自身の過ちでしかない。





その後、黒い魚がふいに躍り出て、執拗にルアーを追尾して喰い込んだ。



一見、何もなさそうな水面にヒラスズキが現れたのだ。




目を見張る程にデカかった。


それが最後であった。













それでは









真剣な釣り 後編

3月11日、12日の日記





前回の釣行の続きとなります。









珍しくも、早くに寝て。
余裕をもって、磯に向かえる様に早起きをした。
一日目が終わり、もう、後の無い我々にはこの朝が一番のチャンスとなる。


自宅から予想をして来て、ヤマ勘で磯に入った初日の釣りよりも。
おそらく、二日目のそれの方が、より、リアルなものになるだろう。


なにしろ、目で、肌で、磯のそれを感じる事が出来るのだから。
その意味では、土日など、二日連続でチャレンジできるアングラーは幸せだといえる。
とはいえ、なかなか自身はそのピントを合わせる事が出来ないでいるのだが。



心配したのは 「風」 だけであった。
立ちたい磯はもう決まっている。

そう、昨日、あまりの風にただ笑うしかなかったそこであった。
天気予報では風は少し落ちるとの事。
しかし、予報の風速など何の確証もない。
事実、その場に向かう、約15分間で激変してしまったばかりなのだから。

しかし、ただ心配をしていてもしかたがない。
とはいえ、読み間違えれば、この日の最高のチャンスタイムを棒に振る事となる。
釣れないのも残念だが、貴重な 「海況」 の答え合わせが出来ない事はもっと残念だ。

せめて、釣りが成立するギリギリの状況であってくれたならと願う。
ともかく、その海へと早速向かうのであった。










 しばらくして、いつも様子を見る地点へと到着する。
相変わらず、北西風が時たま唸りをあげてはいるが、おそらくやれない事はないだろう。



「Takaくん、行ってみようと思うけど、良いかな?」
そんな風に氏に伺ったと思う。




「ええんちゃう!? いこや!」



Taka氏の答えはいつも明確だ。
私の様にいつもウジウジと悩ましくない。
それが、何よりも有り難く、心強いのである。
















いざ、磯を歩き出すと、先程の感覚よりもう少しだけ風が強く思った。
打ちつける波の音もデカい。
きっと、良い感じに波が立っている事だろう。
険しい道を歩みながら期待に胸が高鳴って行く。
釣り座に着いて荷物をおろすのだった。




遠くの空が紫に染まり始めるまで、いつも、そっとしゃがんでその時を待つ。
吹き付ける風とは別の風が頬を撫でて行く。


ねっとりと湿るかのようなその潮の香り。

汗ばむ程の生温かさ。



まだ、真っ暗な空の下、そこに、聖なる潮の存在をまじまじと感じずにはいられない。










きっと、それが当ててくるだろうと信じていた。
勿論、明確な理由がある訳ではなかった。
ただ、その時の自身の直観だった。
今、まさに、それを肌で感じているのである。
磯歩きでかいた汗が一向にひいて行かない。
あついのは、気温だけのせいではなかった。

















空が白みだし、いよいよとタックルを握りしめて釣り座へと立つ。
刻一刻と迫るその時に向け、大きく深呼吸をした。

しかし、一向に胸騒ぎが止まらない。
徐々に徐々に、眼下に広がる大海原を見て、何度も動悸が激しくなる。


何という海だろうか・・・。
足げに通う自身でさえ、この様な海は滅多と見れるものではない。
どうしても、その興奮を抑える事が出来なかった。















力んだままでファーストキャストを撃つのだった。

暗闇がこの空から無くなる頃。

やっと、自身のルアーから目を離し周囲を見る事が出来る様になった。
暗くてまだよく見えない中、ともすれば、飛び出してしまいそうなルアーを目で追うのが精一杯だったのだろう。
そしてまた、今にも爆発しそうな水面を凝視していたのかもしれない。



ともかく、そこから目を離す事が出来なかったのである。






ふと、空を見上げると、どこからともなく水鳥達がやって来る。
あちらから、こちらから、いくつかの集団が飛来した。

気になって、それを目で追いながらある事に気付く。
いつまで経っても、それが終わらなないのである・・・。



そして、遠く彼方の沖を見てさらに驚く。
広大な、その海一面が似た状態なのであった。
あまりの数に、それらの行動の全てを目で追う事が出来ない。














そこで、比較的に近い、ある集団を凝視してみる事にする。

それは、昔見た光景と同じ様に見えた。
海中の何かを、鳥たちは凄い速さで追っているのである。



ふっと、一瞬その動きが変わった瞬間。

海面が炸裂した!!




比較的近いとはいえ、おそらく、300メートル以上は離れているだろう。
しかし、その水飛沫の飛散はハッキリとこの目に映った。
間近で見たら、いったいどれ程だろうか。



立て続けにはそれは起こらない。


だから、自身は 「ナブラ」 とは表現しない。
そしてまた 「ボイル」 であるとも言い難いのである。


まるで、火薬が爆発した様に見えた。
さながら、海上に仕掛けられた 「花火」 を見ている様であった。

ともあれ、凄い速さで、かなりの距離を飛んでそれは起きる。
(鳥の動きから、そう想像しているに過ぎないのだが。 )


もし、以前に見たそれと同じ類のものであるならば。
きっと、それに対峙するチャンスは来るだろうと思った。
また、その時は必ず来るのだと、自身に言い聞かせてもいただろう。
Taka氏と共にその光景を見ながらそう呟くのだった。














ただ、そんな様子だけをじっと見ていた訳ではない。
届く範囲にも、どうやら、少し前から何かの気配があるのだ。



だからこそ、自身が信じるルアーを丁寧に泳がせていた。
すると、どこからともなく、ギュンっと黒い影が後を追ってくる。

ガボッ!っとまるでジャレるかの様にまとわりついて水面を割った。
ルアーにもフックにもかすりはしない。
喜んで身を乗り出しただけなのだろう。
私の愛するヤツのご挨拶だ。



居たのか!!

嬉々として狙うと、不思議とその姿を見る事が出来ない。
瀬際に寄ったベイトがある程度集まるとガボッとまた顔を出す。
出ないか? と思いながら引いて来ると、また、どこからともなくルアーの後ろに着いている。


それでも、たとえ僅かでも、追って来てくれるのが嬉しかった。

追う事すら無い。
そんな日が、自身には殆どであるのだから。
やはり、今日の海は何かが違うのだろう。











自身はその後、ジグへと移行するのだった。
今一歩を踏み出させる事がどうしても出来ないからである。
足場が高いからか、潮が自身の手癖に合っていないからかは分からない。
どうしても、プラグをうまく泳がせきれないのもその理由の一つだろう。

一方、Taka氏はとても器用にペンシルを泳がせていた。
その場所から、いったいどうして、ダイビングペンシルを泳がす事が出来ようか!?
私の辞書にはない何かを持ってみえるのである。
それが釣りというものだろう。












自身のジグの釣りは、なかなか、すぐに結果となって出た試しがない。
投げて投げて、集中して投げ続けて。
いよいよ、集中力も枯れ果て、無心となってやっている頃にドスンっとやって来る。
思い返す程にそんな記憶ばかりだ。


この時、そんな過去のイメージが悪い方に行ってしまった。
あろうことか、集中しすぎていて、まわりを全く見ていなかったのである。
気付いた時には遅すぎた。
前途した様に、炸裂の主の足はとても速いのだ。











フルキャストして、やっとの事で着底させたジグを全速力で回収する。
海中から上げたジグを手にした頃。
それが、磯へと一番近づいた瞬間だった。











磯から、約100メーター沖にて、また鳥達が急にその動きを変えた。

一発! 二発!! 三発!!!と立て続けに飛沫が弾け飛んだ。


凄い炸裂だったが、そこに頭を出す奴は居なかった。
弾き飛ばされた、ベイトのシルエットを垣間見たが、予想していた大型のベイトではなかった。
おそらく、イワシの類の、小型の魚が何匹か吹き飛んだに過ぎない。
一瞬でそこまでを見て、Taka氏に向かって叫んでいた。








「届かんでええ! とにかく投げろ!!」










一瞬、氏の強烈なる殺気が私のすぐ傍を貫いて行った気がした。



現実的には、斜め後方、やや上段に立つ氏がキャストしたルアーがライナーで飛んで行ったに過ぎない。
だが、私にはそれがただのルアーとは思えなかったのである。






いつかの日の私と同じであります様に。
どうか喰います様に。




そう、祈りを捧げた刹那。

氏が絶叫した。














「ヒット! ヒット!! 喰ったぁぁ!!」








後方からハッキリとした糸鳴りが聞こえて来る。

振り向くと、焦るでも喜ぶでもない、氏の沈着冷静な顔がそこにあった。
クールだが、とても力強い印象の表情であった。
やがて、氏の声がトーンを下げて再び響く。










「ツバスや! 多分、ツバスやわ!」








いくらなんでもそんな事はないだろう!!

絶句している間もない。
その怪力によって、みるみると魚を寄せて来る彼。
嫌な予感でしかなかった。
やっと、身体を動かす事が出来た自身は咄嗟に磯を駆けあがる。








「やっぱ、ツバスやわ!」


少し笑みを浮かべて巻き寄せる彼。
その時、ふと、氏の持つロッドを見る。

凄いところからへし曲がっている・・・。
おまけに、有り得ない位に叩きまくっているではないか!!







そのまま、全力でギャフのある場所まで這い上った。
ギャフの柄を掴んだ瞬間、まるで悪寒が走ったかの様な身震いがやって来る。

再度、氏の姿を見下ろした。
一気に瀬際まで寄せて、ちょうど相手の反撃が始まったところであった。
それに全力で応戦する氏。


やはり、ツバスなどではない!!










強烈な潜航に何度かひるんだものの、渾身の力にてリフトをかけた氏であった。
魚も強いが、彼の力はもっと強い。
やがて、ためらう様にして浮いてくる魚。
もう少しだ。









おそらく、この時、彼からは見えていなかっただろう。
氏よりも、約2メーター程上から見下ろしていた私には見えたのである。



まず、頭が見えた。
大型のメジロのそれ位はあった。


体長にして、80センチは下らないであろう。
体高の高いそれは、白に近いグレーのただ一色に見えた。
水面下、約70センチ。


それが最後の姿であった。








ふいに、フッとテンションが消えた。
ガクンっともんどり打つ氏。
声にならない声が漏れる。
まさかのフックアウトであった。





未だ、それが何の魚だったかは分からない。
そして、本当にそれが 「炸裂」 の主であったのかどうかも。


たまたま、異種間で捕食の競合が生じたのかもしれない。
ならば、もしかすれば、普通なら 「出ない」 奴が我先にと喰い急ぐ可能性もある。



何にせよ、それが特別な魚であった事は確かであろう。




去年、氏との釣行で私もやっている。
氏と違い、私は掛ける事が出来なかったのだが。
もし、掛かっていたなら、そのまま磯に立っていれたかどうか自信が無い。




悔しいのは 「私も」 なのだ。
放心状態になったのは氏だけではなかった。








今、湿った気分で慰めるのは我々の間柄じゃあない。


去年、確か、彼からはこう言われたろうか。








「Rock君、巨大な爆発が起きてんのに、フッキングも入れんと、ピクリとも動かんへんし!!」


「なんで、何もせんかな~(笑)」


「ほんと、何してんの?かと思ったわ(爆)」







おそらく、一生忘れられない過ちなのだけど。

ふっと、楽になれた一言であった。

なので、自身もまた、興奮が冷めてきた頃にお伝えさせて頂く事にした。













「Taka君、さっきのはアカン奴やなぁ!!」





「誰でもが出会える奴やないで~」




「何年かに一回、あるナシの魚やできっと!!」












それをなぁ・・・




















































ポロリ って。













































ポ・ロ・リ











































無題






















ぽ  ろ  り ヽ(^o^)丿





















我ながら、謎の大物を 「ポロリ」 というセンスに脱帽である。









 








それでは




















追記


ポロリ をどうしても書いて欲しいという氏の大きさに、

感動すらおぼえました。




Takaさん、やっと書きました。





また  「UNLIMITED」  行きましょうね!!








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