2014年11月

巨魚

11月4日の日記











W氏との会話の中で、凄い話を聞かせて頂きました。

私自身、気になっていた磯でもありました。


また、仲良くして頂いております、WKI氏からもリポート頂いておりました。


行くしかありませんね!


思い入れたっぷり、今夜も南紀特急の始動です。


















やはり、出発が遅れて。

現地到着は午前2時をすぎた頃となった。

少しの休憩を挟み、現場付近へとハンドルを向ける。



早くから、磯へと下りている方々がいらっしゃる。
ポツリ、ポツリと。
ヘッドランプの灯が見えた。
どなたかが、目標の磯へと行かれるかと思ったが。
少し進んでは、後戻りされ、再び車へと乗り込まれた。


その隙に入るのは、自身としてご法度であると思った。
失礼ではあったが、夜分にお声をかけさせて頂くのだった。
別段、入る磯は決めていないと彼は言う。
入りたい方面をお伝えし、快く了承を下さった。
これにて、心置きなく釣りが出来る。













やはり。

リーダーと金具の結束が決まらない。


納得がいかないから。
またしても、現場でFGを組む羽目となる。


試行錯誤して気が付くと。
東の空が薄紫に明け始めた。
海はまだ真っ暗である。


この時間が大切なのだ。
自身の狙いはこの時であると思うし。
W氏のエピドードも。
この、僅か後であるとの事。












全くのブラインドにてキャストを開始する。


どこにルアーが飛び、どこを動いているのか!?


全ては勘の世界である。






見えないから、手元に伝わるものだけを便りとする。

あっ! 今、ミスアクションで海面を割った。

潮を掴みきれず、ルアーが暴れてしまった・・・。

等々。

なかなか、目の前の海に馴染ませる事が出来ない。












薄明るくなって来た頃、どうも、爆発力が欲しくて。

わざと荒ぶらせてみた。



























ドバン!!






















約20メーターほど離れた沈み瀬の真上で。

海面が爆発する!







なんというか・・・。


水面を  狂おしく、よじる様に  ソイツは追ってきたのだ。



言葉で、それは表現出来ない。


その姿、私は今まで見た事が無い。












まるで、海獣が迫りくるがごとくのそれを。

闇の中で、目を見開いて追った。



ルアーのおそらく、10メーターほど目前にて。

ヤツは潜った。




来る・・・。




そう直感して、二呼吸ほどしてリーリングを緩めた。

二回ほどジャークを入れ、喰わせるタイミングを入れたつもりであった。




着弾するかと思ったタイミングで。

虚しく浮かび上がるルアー。



いよいよ、喰いに来たはずであったが。

ヤツがあたる事は無かったのだ。
























止めてはいけない。






















私の釣りの 「基本中の基本」 を忘れてしまったのである。

その後、二度と現れる事は無かった。








手前の瀬の際にて。

青物たちが刹那のボイルを起こす。


全くの筋違いのルアーをそこに放り込んだ。

グン、グン、ツン!っと。

口だか、体当たりだかでそれに触れる。


しかし、フックアップは無かった。






それが、最後の事である。



陽が昇る前の刹那の事。



以降、何も無い海が広がっていた。














磯から上がり、数時間の睡眠をとった。

あらためて、その海域へと向かうと。

朝の磯は波の中にあった。





唯一、鏡潮が小さく広がるそこへと向かうが。

途中、予期せぬウネリを浴びてしまう。




まるで、身動きが出来ずに退却。

「ここならば」 という磯にて、高台から20分ほど海を眺めた。

下へと降りるまでには至ったが。



背丈ほどのうねりがやってきた。

波は崩れて、足元へと這い上がってくる。



もし、それ以上が来れば。

終わりだろう・・・。








二日目も休みではあったが。

家へ帰る事にした。







思い出して書けば、何て事は無い文章なのですが。


怖かったです。




事故の無いように。


十二分の判断を持てる様にと願います。








うまく書けなくて。
すみません。





それでは







平政

10月21日、22日の日記












次週の休みも連休となる。


とりあえず、南紀に釣りをしに行く。


そう思える事が。

実は、どれほど幸せな事かと。
日々、常々に思うのである。





様々な理由にて。
行きたくても、行けない方が多い事だろう。
仲間たちもそう。


私は無いものだらけなので。
行こうと思えば行ける。
本当は、今、やるべき事があるだろう。
だけど、それでも釣りを選ぶ。
刹那的衝動は、何も、今に始まった訳じゃない。















その日を、指折り数えて日々を送った。

天気予報を主軸として釣りを予想する。
嗚呼、今回ばかりは魚に出会えないかも知れない・・・。
確たる理由も無く、そんな気持ちが膨らんで行った。


本当のところは。
行ってみなければ分からない。

自身に積もってしまった 「澱」 がそう思わせるのだ。
分かっていても。
それを、打破する事は難しい。




最近、仲良くして頂いている、愛知のKN氏も出撃されるとの事。
氏との会話でも、今回は難しいかもとこぼしていたと思う。

しかし、憂いでいた天候は急変した。
出発の前夜、ふと見た予報でそれを知る事となる。
次の日、朝から、ずっとそのデータに釘づけであった。
午後を過ぎ、いよいよの感じになって来た。
自身の脳は180度転換する。




間違いない。




ブラックカレントの 「LINE」 でのグループトークでも。
その魚の名前が飛び出す。
おそらく。
先輩方も、ヤツの気配を濃厚に感じ取ってみえたのだと思う。




出発を前に、Taka氏にメッセージを送った。


「明日はヒラマサ狙ってくるよ。」



おそらく、そこにヤツはいる。
ただ、振り向かせる事に全力を注ぐのだ。























目的地まで、もう少しという頃になって。
予想だにしない腹痛が始まった。
普段からお腹が弱い自身だが。
それなりに 「気配」 というものが有る。
この夜、そんな兆候は皆無であった。


何故に今!?
冷や汗をかきながら、いつもの公衆便所へと走るのだった。
用を足すも、派手な事は何も無い。


安心して、磯への出で立ちへと着替えるとまた痛みだす。
急いでゴアを脱ぎ、再び座るのだった。
もう、大丈夫だろうと。
車から歩き出すと、またやって来る。
これには、大幅に時間をロスしてしまった。
最早、目指す磯は空いていないだろう。

そう思い、遠くの磯を眺める。
付近には、ポツポツとヘッドライトが光っていた。
しかし、そこには誰の姿も無かった。
お尻に力を込め、転がる様にして駆けて行く。
数奇なる運命であった。

















途中、濡れた磯へ足を踏み出した瞬間。
スパイクにて、掴んだ筈の岩肌はまさに氷の様であった。
スパン!っと一瞬で転倒し、まるで、柔道の受け身の様にバンっと右手で磯を叩く。
ひっくり返った事にではなく。
すぐさま、受け身へと転じた自身に驚きを隠せないでいた。
手にしたロッド、荷物にも衝撃は無さそうであった。
チびらなかった事も幸いである。





磯へと辿り着き、重たいリュックを小高い岩の上へと降ろす。

KN氏にメールを送るとすぐに返信があった。
氏にもまた思いがあり、少し離れた磯へと立ちたいとの事だった。
彼のご健闘をお祈りし、夜明けへと備えるのだった。

私的な備忘録とさせて頂くのだが。
この日も、金具への結束がキマらない。
失敗を重ね、どんどんとリーダーを切った。
結局、新たにシステムを組み直す羽目となった。
一発でキメねば、無駄に時間と労力を費やす事となる。
















うっすらと海面が見える様になって。
ファーストキャストを撃った。


波はあるが、ありすぎて無茶苦茶になるという感じではない。
瀬から広がるサラシも、おとなしいものであった。
波によって生じる、目に見えて分かるカレントも見当たらないのである。



パイロットルアーとして、ここ最近、ヒットを得ているものを結んだ。
数投して、思いのタイミングとは別の間合いでヒットを得る。
そこだと思う、ライン上で出たのだが。
まさかのヒットに困惑してしまった。



この魚には申し訳なかったが、
わざと、無理な立ち位置から雑に抜き上げてみた。
リーダーが瀬のエッジに干渉し、オーバーハングの内側にいる魚が閊えた。
魚を磯へと当てながら、それでも、反発力で宙を舞うメジロ。
一旦、瀬の上に置き、そこから、再度の振りで足元へと横たえる。
どうしても、確かめておきたい故であった。






二度目のヒットも。

自身のイメージとは違うものであった。
おそらく、魚は沢山そこに居るのだろうけど。
どうも、何かが噛み合っていない感じがする。

ヒットを得たのは、あまり、このルアーにて演出させないアクションでのものであった。
一匹目をヒントにして、あえて、その動きを入力していたのである。
しかし、えもいわれぬ 「生命感」 を感じていても。
反応は遠かった。
やっとの事でヒットしたのが、この二匹目の魚であった。





これでは、とてもではないが、ヤツをおびき寄せる事など出来ない。
その瞬間の率直な気持ちである。
何かがズレている。
運良く、風や波に助けてもらって。
やっと、合格点に達しているだけだと思うのだった。








そこで、あるルアーに目がとまった。


実のところ。

この数か月、日の目を浴びる事が無かったそれである。


事あるごとに。

そして、釣れている最中にも投入した。


けれど、どうしても反応を見る事が出来なかった。
何故かは分からない。
最早、私の手癖が変わってしまったのかとも考えた。


しかし、今、足りないものがある。
一瞬の瞬発力が欲しいのだ。


その予感は的中する。








換えた途端、バイトの嵐が巻き起こった!

派手に飛沫を上げて迫る魚達。
乗るかどうかは問題ではないだろう。
明らかに魚の反応が変わった。
ツバスをリリースしながら思った。










そして、ルアーを届けないでいた一点へと撃つ。

軽い、アクションを注ぐと。

静かにルアーが消えた。
































ジィッ!!!














ほんの僅かにドラッグが鳴った。
刹那、つんざくがごとくの衝撃。
瞬発的な暴威に。
あわや、海に落とされそうになる!




大きくバランスを崩しながら。
それでも耐えた。





ともかく、竿を立て、しっかりと曲げる!!

愛竿、レイジングブルがきしみを上げながら弧を描いた。
その隙をみて、体勢を立て直す。
穂先は 「怖ろしい程に」 動いていた。
グイっと入ったり、ガタガタとブレたり、大きく小さく、ヤツを追う。
そこで、確信に至った。
失敗が許されないヤツと、遂につながったのだと。












ドラッグが再び出る事は無かった。

そこにて、止めておく事が叶う。
されど、ハンドルを巻く事は出来ない。


右にも、左にも、沖へも走れない奴は思う。
唯一、何も邪魔されない向きがある事を。


僅かばかりの経験だが、ヤツが至極、冷静である事は知っている。
どこか、抜け道を探そうとするのだ。


そして、それを見出した。
走る事が出来るのは、私に向かってしか無い事を。












ヤツに術があり、クレバーである以上。
我々アングラーが出来る事は冷静になる事だろうか。

さっと、ラインテンションを失った時に思う。
私は落ち着いている。
ヤツの方から、あえて岸へと寄る事は、巻き寄せる手間が省けるという事だ。
やがて、テンションの均衡に辿り着いた時。
死にもの狂いで、浅場の沈み瀬へと行きたがる事だろう。

私はそれをただ阻止するだけだ。
どこに向かおうとも、それを竿先で追う。











やはり、足元向かって走った奴は想像通りの動きを見せた。

ラインが追いつき、
動けなくなると、執拗に右手の瀬へと行きたがる。

申し訳ないが、どこへも行かせない!
そろそろ、ヤツの体力が尽きる頃だ。
潔さもまた見事であると思う。

一気に力を失った奴が浮かんだ。











それでも、暴れたり、泳ぐ力はまだ残っている。

やはりと言うべきか、オーバーハングの奥へと向かった。

そこで、今度は緩める。



すぐさま、自由を手にしたヤツは沖へと向かう。

最早、抵抗する力は残されていないだろう。

すぐに、水面へとその体躯を横たえたのである。









とにもかくにも、針の掛りに目は釘づけになった。

上顎を貫いてはいたが、どうにも浅い様に見えた。
もう一つのフックは、ヤツの頬にかろうじて掛かっている。

勿論、足元にはランディングの為の道具を置いてはある。
はたして。
それを伸ばし、魚へと掛けるのに何十秒の時間を要するのか!?
無事に獲れる気がしない。

ならば、そのまま上げるしかないだろう。
それが私の結論だ。
それで、バラそうが、折れようが。
嫌でも、納得するしかない。




ラインを巻き込み、竿を曲げて。
呼吸を整え、一気に振り上げた。
ドスっと、湿った音が響く。
窪みへと入ったヤツは身動きすらしなかった。
遂に、我が手中へ。


















































これ3




















































これ














南紀 ヒラマサ 96センチ!! 

(4時間後に計測)



遂に、狙ったタイミング、磯にて出会う事が出来ました。
確信にも似た気持ちがありましたが。
いざ、こうして目の当たりにするとやはり信じられません。
動悸に咽び、真っ直ぐ、立っていることすらままならない。
震える指でシャッターを押しました。

やったね!!

































これ2













帰り際、先に頂きました二匹と並べて撮影。
〆た後にも釣りを続けたのですが。
魚信を再び得る事は出来ませんでした。









無我夢中で車へと戻る。
ブロックアイスを抱かせてはあるのだが。
それだけでは、心もとなかった。



道具をとりあえず詰め込み、急いで氷を求めて走る。
ふと、携帯電話を見ると着信履歴があった。
M氏からのお電話だった。
車を止めて掛け直すも、電波が悪く、途切れ途切れである。
すぐに、元いた駐車スペースに戻る事にした。
やがて、M氏のものと思われる車もそこに着く。




今日の氏の車はいつもと違った。
気付かなかったが、どうやら、ほど近い磯に入られていた様だ。
M氏は他の狙いものがあったそうで。
そちらの釣果を優先して磯を決められたとの事。
しっかりと幾つかの獲物を手にしてみえた。


私も状況をお伝えさせて頂く。
そうして、先程の魚を見て頂く事にした。
「良い魚釣ったね!」 と祝福して下さった。
名人にそう言って頂けるのが本当に嬉しかった。
そして、氏が何気なくおっしゃった言葉。

「こいつ、メーター近いんじゃないの!?」

それを聞いて、急に胸騒ぎを覚えるRockbeachであった。

「メーター」

その響きにまるで現実感が無い。
確かに、手持ちの発砲では収まりきってはいなかった。

氏は彼のお車の中を懸命に探して下さった。
探し物とはスケールの事。
こうなると、もう、どうしても図りたくなる。
しかし、見つけて頂く事は叶わなかった。





しばらくすると、KN氏の乗る車がおみえになった。
ご挨拶も手短に、トランクを開けてリュックを降ろされる氏。
とても重そうである。
なんと、釣ったばかりの魚がまだ入っている様である。
苦労して、リュックからそれを引き出そうとする氏。
氷満載のクーラーボックスへと、一本、また一本と丁寧に並べて行かれた。
良型も含め、合わせて7匹。
ご自身が信じたポイントでの素晴らしい釣果であった。
疲れてはみえたが、そのお顔は輝いていらっしゃった。
そのお姿に感動し胸が熱くなった。



M氏は私達二人に 「美味しく頂く冷やし方」 を授けて下さった。
楽しい時間は瞬く間に過ぎて行く。
それでも、まだ、釣りを諦めきれない時間だった。
私とKN氏は、より良く冷やす為に水辺へと。
M氏は魚を探しに向かわれた。





























20141021_144733













教えて頂きました手法で魚を冷やし終え。
ふと、予感がして海を覗き込むと魚影が見えました。
その群れは釣れなかったのですが。
すぐに穂先を曲げる魚がいました。
「アラハダ」 です。
しかし、二匹を上げたところでストップ。
今度は背の黒っぽいカマスが釣れ出しました。

写真はボトムを泳がせての 「オオモンハタ」 です。
KN氏には赤い、大きなのもチェイス。
色々な魚を楽しむ事が出来ました。





調子良く釣っていると。
突如として、大粒の雨が落ちてくる。
時計を見ると、10時を回っていた。
自身は近くのホームセンターへと向かった。
スケールを握りしめる。

店から出ると、そこにはM氏のお姿があった。
私の車を見て、寄って下さったとの事である。
雨が降る中、ヒラマサの測定にお付き合い下さった。
結果は堂々の96センチ。
改めて万感の思いがつのる。







その後、KN氏と食事をしてお別れした。
自身は再びカマス釣りへ。
沢山のおかずをゲットする事が出来た。
夜はアジを求めて徘徊したが。
出会う事は出来なかった。
あくる朝に備え、早めに就寝とする。










目覚めたのは午前3時。
着替え始めると、またしても大粒の雨である。
車を走らせる頃には豪雨となった。
パーキングへと到着するも、強い雨風に外に出る事が難しい。
こんな天候にも関わらず、周囲にはそれらしい車がいくつかあった。
明け方、嘘の様にピタリと雨が止んだ。
自身はyaku氏と一緒に磯へ下りた。
仲間も思い思いの場所へ。




























これ4













大荒れの中。
自身は熱くなって見失っていた。
それを、yaku氏は制止下さったのである。
すぐ後から、更にうねりは高く、激しくなった。
もし、氏の一言が無ければどうなっていたかである。





それでも、何とか竿を出したいと。

自身は湾内の奥まったところに釣り座を置いた。
ファーストヒットで走られ、ノサれぎみになってバラす。
茶色が何度も出たが、乗せきれない。
波高く、磯際に近づけない為のポロリが一度。
やっとの事で釣り上げたのがこちらの魚であった。














終わりに。

直近の海況をお伝え下さいました、ルアーマンK氏。
海でお会いした先輩方。
そして、KN氏とyaku氏。
ご祝福下さった全ての方へ。


誠に有難うございました。





それでは





My Tackles


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Twice

10月14日、15日の日記











二度目のタイミング。




先週とは違い、休みが一日早い。
誠、不思議な事に。
天候、海況もそうとなる。
もしかすれば、ドンピシャかも知れない。
あるいは、危険極まりないか。
一日目の釣りを前にして苦悩する。



インターネットごしに見るだけでは分からないだろう。
そう、行ってみなければ分からないのだ。
しかし、自身は行く事を躊躇う。
全くの勘でしかないが、安全に立てる気がしなかった。




結局、初日はゆっくりと自宅で目覚めた。
そして、準備をして午後から出発。
予定到着時刻は16時。
波を見て、行けそうならスクランブルをかける。
















思惑通り、16時にはいつもの高台へと辿り着いた。

やはりというべきか、ショアラインには不気味なうねりが連続する。
目標とする磯は波の中であった。
一か所二か所、頭から波を被ればやれそうな磯はある。
だが、今は朝ではない。
もうすぐ、日が暮れるのだから。
暗さはリスクを何倍にもする。
今はただ、この海を目に焼き付けておくのみ。
明日の朝に照準を絞るのだ。















とはいえ、釣りがしたくて仕方がない。

安全に楽しめ、かつ大胆で熱くなれる釣り。
「アジ」 を求めてみる事にした。

いつも、様々な魚種を狙って釣り人が後を絶たない場所。
時間にはまだ余裕があるので。
ハニースポットへと向かう事にする。
無事に釣り座を構える事が出来た。





この日のアジは難しかった。

縦の釣り。
横の釣り。
点の釣り。


全く一筋縄ではいかない。
スローフォールだと思えば、速巻きにしか喰わなくなったり。
ノンアクションかと思えば、激しいワインドだったり。
躍起となってアタリを取りに行った。
更に困った事に。
その 「アタリ」 が殆ど出ない時が多かった。
無論、しっかりとラインテンションを張ってはいるつもり。
それでも伝わらず、違和感程度の感覚に聞いてみると重みがある。
そしてまた、ルアーを咥えているのに反転の気配がない。
見えないから分からないが、まるでそこに立ち止まっている様な感じなのだ。


重みに気付いて、それからアワセてもことごとくバレた。
テンションを抜かない様に一気に寄せても。
鬼アワセを入れても。
最後の最後で必ず外れるのである。































20141014_215420













目まぐるしく変わるヒットパターン。
そして、タイミングが遅れてのバラシの多さ。
もう、無我夢中で数時間も没頭してしまいました。

アジフライに干物。
味噌煮も2つ。

大漁~です。
やったね!














数時間の睡眠の後、昨日見た磯へと向かった。
遠くの磯でもポツポツと灯が動いている。
夜明け前の一時間。
未だ私以外ここには居ない。
はたして、このまま独りで出来るものか。
朝のその時を前に不安と期待が交錯して行った。









釣りを始めてしばらくすると。
遠い沖に凄まじい水飛沫が上がった。
ボン、ボン、ボン!!!っと速いペースで海面が爆発する。
逃げ惑う大型のベイト達。
何かデカい奴がいる!
否が応でもロッドを持つ手に力が入る。
果して、この磯にもやって来るだろうか。






それから数投後、ファーストヒットを得る!
薄暗い中でもハッキリと分かる、白い飛沫が水面に散った。
いつもの自身ならば。
ここで、大振りなフッキングを入れるところである。
しかし、この日はそれを止めておいた。
思うところがあって、名人にもお話しする事があった。
イメージはとても難しいが。
数少ないチャンス、一つ一つに確かめるべきであると考えた。
よって、今回からの挑戦となる。






力強い引きをみせたのは、まるっと良く肥えた魚であった。
とても元気が良く、磯へと横たわって尚も暴れまくる。
すぐにタイドプールへと入れた。


二匹目も連続してヒット。
この魚の後から、ぐっとサイズダウンした魚達が回って来た。
秋らしいツバスの群れであった。
立て続けに三匹が舞い踊る。
地面につけず、竿でぶら下げたままで針を外す。
なるべく傷めない様にして海へと帰す。




そこで、フィーディングポイント、ルアーアクションを変えてみる事に。
今回もまた、これらの作戦は功を奏した。
チェイス、バイトは減ったが、ヒットがあると2サイズ良い型となる。
偶然かも知れないが、ココだと思うピンスポットで思った様に出る。
それはまさに快感であった。











キープ3本を得た頃、辺りに強烈な感覚が走った。

何か 「殺気」 とでも言うかの様な感じ。
まだまだ、薄暗い中での話である。


もしや、沖にいたヤツらがやって来たか?
私はそう思った。


それからすぐ、沖にある瀬の向こうで海面が膨れ上がった。
脈動する筋肉が見えるかの様なざわめきがある。
それは、瞬く間に磯へとやって来た。
何かを追っている!!
それだけは分かる。
いったい、何を追って荒ぶっているのだ!?










眼下には、見た事が無い光景が広がった。
わなわなと、下から湧き上がる様な黒い影。
あっちにも、こっちにもそれが生まれる。
ベイトが密集し、
ボール状となって防衛行動をおこしているのだろうか?

ベイト達のおびただしい群れは、時に黒い塊に見えた事があった。
しかし、今回はその黒さが違う。
暁の中にあっても、そこだけ、一段と濃く見えるのだった。
そのなかで、何かが襲う!
水面を割る事は無い。
大きな力が水を歪ませるのみであった。






二回、ペンシルをそこへと投げ入れる事が出来た。
分からないなりに、喰えと念じながら泳がせてはみたが。
魚は反応しなかった。
「二度」 それがあった。
いずれも、暗い内で、それが何か見えなかった。






それが去ると、また同じ様にしてヒットを得る。
何事も無かったかの様に・・・。

しかし、この日の魚は本当によく引いた。
明るくなって、ハッとしたのだが。
浮き上がってくる魚を見て息を飲んだ。
ヒラマサの色に見えたからである。
小さい方は、やけにクッキリと映えたイエローライン。
より大きい方は、あのグレー色に全身を輝かせていたのである。
混血種かと疑ったが、どうやら違った様だ。











































P1030417 - コピー (2)













グットコンディションなお魚さんたち。

やったね!!



先週とは違い、潮は深い群青色をしていました。
やはり、分からないものですね。
魚の色も。
もしかすると、潮色にも関係するのかも知れません。
ツバスも二本の追加があり、リリースとなりました。
素晴らしい海と魚達に感謝して納竿です。













後日談となるが。

I氏は例の 「黒い」 ものの正体をすぐに見破られた。
それだけではなく。
しっかりとそのパターンを攻略されて良い魚を釣られている。
また、大きく環境が異なる磯にて。
W氏もご自身の方程式にて攻略された。
まったく、お見事というほかはない。



黒いものとは 「墨」 である。




ルアーの泳がせ方、動かし方一つで可能性が開けるのだ。



いつの日か自身も。




それでは







My Tackles


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