11月8日の日記


趣味で釣りをする自分にとって釣りとは遊びである。
遊びではあるが、私には全力を注ぐ価値のあるものだ。
他の道でも同じであろうが、辛く苦しい日々もある。
今の自分を越えたその先に、さらなる喜びや楽しさがあると信じている。
だがしかし、苦しい修行だけでは息が詰まってしまうというもの。
たまには肩の力を抜いて、のんびり行くのも悪くはない。


この日は、しばらく前に知り合った大阪のTO氏とご一緒させて頂く事となった。
氏は私が愛するサーフの釣りのエキスパートであり、過去にはメートルにほど近いフラットフィッシュも捕ってみえる。
また、ショアからのヒラマサ、110センチをゆうに超えるブリも!!
この春には三重の漁港で3.8キロのアオリを仕留められた。
私にはそのどれもが夢の様な話。
今回は、そんな大物達に魅入られたTO氏とのRock'n'Roll Fishingスタートである。


早くから氏は南紀入りされると連絡があった。
前夜は日曜という事もあり、サービス業の私は少し残業である。
帰宅後、急いで準備していると氏はもう到着されたとの事。
出発は22時。
いつもより早い時間の為、けっこう車が多いが、予定より少し早く合流する事が出来た。
5か所ほど立ちたいポイントを絞ってはあった。
早速、向かう場所を相談する。
しばし悩んだが、ゆっくりやれ、また夢に近い場所で決まった。
沖磯を選んだ二人であった。

ゆっくりと準備を済ませ船着場に到着。
出船を前にして、大物に縁があるTOさんですからね、今日は何が起きるか分かりませんよ!なんて話をしながらその時を待つ。
港内を眺めていると水面を勢いよく魚が走る。
あっちにも、こっちにも凄い数のベイトが朝の一時を楽しんでいる。
TOさん、こんなのいつも見ないですよと私。
空を見上げると水鳥が何羽も旋回していた。
ただならぬ雰囲気の中、数人の釣り師をのせた船はスルスルと走りだしたのである。

スロットルを全開にする船!咆哮するエギゾーストノート!!
すこぶるパワフルな船はウネリをものともせずに、キンっとした朝の冷気をつんざいて疾走する。
辺りが開け大海原が広がった!!



なんだこれは・・・。



いったいなんという生命感だ!
一瞬にして体で感じる感覚であった。
海からは表現しようのないザワメキが伝わってくる。
空を見上げると、見た事もないほどの水鳥の群れ。
ただ舞っているのではなく、完全に標的をロックオンした様に見えた。
来る、何か来る!!

そう叫んだのが速かったろうか、目の前の海が爆発した!
バッシャバシャバシャ!!!
一緒に乗った餌師達は何が起きたか理解していない。
何だアレは!?
それが魚であるのは分かるが、あまりの勢いに何が起きたか理解出来ないのでいるのだった。
TO氏、そして私には刺激が強すぎる。


ナブラである。


こんな破壊力のあるナブラは滅多にはお目にかかれない。
磯では約一年ぶりの出来事であった。
あまりの勢いに船は止まった。
しばらくして、再び走り出す船。
最初の釣り師の渡礁の為、船は磯につけたのだが、その間もあちこちでナブラが出ていた。
あまりに刺激的な光景であった。

ほどなくして目的の磯に到着する。
この日は釣り師も少なく、我々と上物の方が一名である。
秋の好シーズンには珍しいのかもしれない。
早速、タックルを準備する二人。
十二分に期待は高まっているのだが、そこは先ほど見た海とは全く別に見えた。
風向きのせいだろうか、潮は速く流れてはいるが波気が無い。
ベイトのザワメキも確認出来ず、ただただ平和な海がそこに広がっていた。

とはいえ、何があるか分からないのでキャストを始める。
一投一投と確かめるように探って行く。
しかし、目に見えて分かる変化は起きない。
しばらく頑張ってみたが、どうやら朝のチャンスタイムは終了の様だ。
焦ってみても仕方ないと、途中のコンビニで購入したドリンクをゴクっと飲みほす。
ぷはあー!!!っと二人(笑)
元気!?が出たところで長期戦を覚悟してボチボチと打って行くのであった。

トップ、ミノー、そしてジグと自身に出来る限りの、あらゆるレンジ、アクションで探ってみた。
しかしながら、全く何も反応が無い。
いよいよ、リーリングを続けていると自然に目が閉じてくる。
あかん!
最近、いろいろと忙しく殆ど寝ていないRockBeach。
そろそろ限界が来た様である(笑)
よし!!
タックルを磯に立てかけ、ふいの波を妨げる岩の前に腰掛けてみた。
さあ本気で寝てやる!
恐れ多くも、一級磯にて横になってみる。
Zzzzzzzzz.........

いったい何時間寝ていたのだろうか!?
TO氏はずっと釣りをされてみえた様子で、まだうまく目が開かない自分に何か言ってみえる。
んんん!? 何かこう手を大きく広げて・・・魚が何とか・・・。
まだまだ眠たすぎて意味が分からない。
んん!? それから氏の開く手がどんどん大きくなって行く。
ちょっと待って!! 大きすぎでしょ!?

やっと目が覚め、氏の話を聞いてビックリした。
今、あっちでこんなクエが上がったよ!
そこで、こーんなカジキがジャンプしたよ!!!
しまった、そんなのは滅多に見られない(笑)
残り二時間を切ったし、いよいよ頑張ろうと再び戦線復帰となった。

海を見ると全くベイトがいない。
グレさえも見えず、濃い黄色のチョウチョウと金魚みたいなのが泳いでいるのみである、
何げに沖に目をやった瞬間、素晴らしい巨体が宙を舞った!

何キロではない。
何十、いや何百だろうか、巨大なマグロがフルキャストで届くわずか先でジャンプしたのだった。

それからしばらくし、さっきまで強く吹いていた風が急に止まった。
みるみる潮が入りだし、海の様子が全く違って行く。
空は一気に真っ暗になってきた。
何か起きるならば今しかないと予感が走る。
すると、さっきまではいなかったベイトの気配が沖に出てきたのだった。
海面がザワめく。
すると当たり前の様にバシャっと何かが水面を割った。
しかしまだ届かない。

もっとこっちにオイデっと祈る。
すると磯際でもゴボっと何かが出た。
何かは分からないが、想像するよりうんと足が速い!
いよいよとタックルを握りしめると、急に沖からベイトが必死に飛びながら磯をかすめて行くのだった。
細いの、平たいの、様々なベイトが息も絶え絶えに逃げている。

何度もこういう経験をしていると、下手な自分でさえ慣れるのだろうか!?
意外と落ち着いて進行方向に向かってキャストをする。
一投目はカラ振り(笑)
再度、落ち着いてキャストをする。
「喰いなさいっ」っと念じるとゴゴッ!!
乗りましたがな

急いで巻くとブルルルルっと小刻みなバイブレーションが手元に・・・。
くすぐったい!!!
よいしょ!っと抜きあげると、45センチ程のパンパンのスマガツオだった。
サッサとシメて、キンキンに冷やすので撮影はナシ。
帰宅後、刺身で食べたが甘くて極上であった。

どんどん雰囲気は良くなってきていたが、今にも泣き出しそうな空となってきた。磯上がりまで約十分、そう思ってラストチャンスにかけてみるつもりであったが、凄い速度で船頭が迎えにみえた。
おそらく、すぐに荒れるのだろう。
必死に荷物をまとめ、ゴミを回収し何とか船の到着までに準備が出来た。すぐさま船に乗り込むのだった。

本当に絶妙のタイミングであった。
磯を離れ沖に出る頃には、まるでバケツをひっくり返した様な雨が降ってきたのだった。
その勢いはまるで、南国のスコールさながらである。
GORE-TEXを着ていてさえ、中までビショ濡れになる程であった。
他の渡船で磯に渡った釣師は磯上にてズブ濡れになっている。
それでもまだ迎えの船は来ていない。
同時に凄い風も吹き出し、大きな波が磯をかすめていた・・・。

無事に帰還した二人だったが、忙しく片付けをして行く。
何故なら、まだ二人とも諦めてないからである。
少し移動し、海を眺められる高台に来てみた。
アソコがどうでなんて話をしていると、岸際から少し沖に違和感が見てとれた。
おかしい!?っと思っていると、また凄まじいナブラが沸いたのだった。
その大きさは何と、小型の体育館ほどの規模であった。
いったい、どれだけの青物が群れになっているのだろう。
猛ダッシュで付近の磯に向かったのは言うまでもない(笑)

しかし、夕マズメを今か今かと待ちながらキャストをしてみたが、結局、そのナブラが再び起きる事は無かった。
真っ暗になるまでお付き合い頂いたTO氏とももうお別れである。
自身の読みの甘さで残念な結果に終わったのが申し訳なかった。
それでも、終始、楽しく釣りをさせて頂きましたTO氏に感謝。
有難うございました。またイキましょう!

それでは