2月23日の日記


このブログでは、釣れていない時も更新しています。
おそらく、多くのロックショアアングラーの方々のブログ、HPでは釣果を得られた時か、もしくは特別な事があった場合にしか更新はされていないかと思います。
勿論、中には釣れ過ぎて、更新など面倒だと言う方もみえるでしょう!!
見て頂いている方には、「何だ、またボウズか!!」、っとせっかく見て頂いたのに、面白くない思いをさせてしまい誠に申し訳なく思っています。

何故、それでも更新するか?
正直、それは自分の為なのが一番の理由です。(スミマセン)
記憶力が乏しいので、年間のシーズナルパターンを忘れてしまうので。
また、その当時、何を自分は考えていたか明確に分かるからです。
そんな私も、他のアングラー様のブログ等を拝見させて頂くのは大好き。
でも、釣れた時しか更新されていませんから、ああ、この方は本当に毎回釣ってみえるんだなーっと勘違いしてしまいます。
本当はきっと、釣れなかった時にこそ大切な事があるのではないか。
そんな気持ちで日々過ごしているRockBeachです。


前回の釣行では全ての歯車が噛み合わず、また、自身の不甲斐なさで全く釣果に結びつかなかった。
正直、相当ショックで自身の釣りが分からなくなった。
当然、自然が相手なのだから、どうしても駄目な時はある。
しかし、同じ条件にて、釣ってみえる方々は確実に存在するのだ。
その方々に釣れて、自分には釣れない・・・。
即ち、それは自分の釣りが間違っているか、何かがズレているのではないだろうか。
今回はダメだった、次回は頑張ろうと素直に思えないのだった。
南紀からの帰宅途中、その日の釣行について猛烈に反省した。
また、家に帰っても、次の日も、またその次の日も反省し、考える日々が続いたのである。
本来、楽しいはずの休日の釣りで、何故、そこまで苦悩するかと疑問に思われる方もみえるだろう。
それはおそらく、きっと自分に負けたくはないからだろうか。


ある程度、自身の釣りの軌道修正を済ませた頃、同時に次回の釣行のプランを立て始めた。
最近は、結構な広範囲のエリアに実際に行ってみて、その海の情況を見てくる事が多い。
釣行は週に一度か、多くて二度である。
また、チームなどに席を置いていない自分には、一日に広範囲の多くの情報を得る事は困難であるからだ。
そしてまた、ある特定のエリアに重点を置き、そこでしっかり釣りをする事によって、身でその海を感じていたのである。
では、現場に向かえない時はどうするか?
可能な限り、自身のセンサーに触れる情報を探したりしている。


そんな中、小さな小さな情報を得た。
この一年数か月の経験から、その情報を仮定し、分析して行く。
ともすればそれは盲信であり、危険極まりない邪教の信仰と変わらないだろう。
しかし、それに自身のここ数週間の経験を重ねて行った。
他人から見ればそれは妄想であろう。
しかし、私にはそれは確信であった。
いつも、結構な疑問符を残す自らの読みであったが、今回だけは心の底から間違いないと断言出来たのである。
皆様には理解しがたいだろうが、仲間の数人に御一緒出来ないかとお誘いをした程であった。
皆、仕事が忙しく休めないのは分かってはいた。
それでも、もしかしたらと連絡させて頂いたのである。
私にも一応プライドがあるので、やっぱりダメでしたでは辛い。
要するに、それ程に確信に満ちていたのだった。
残念ながら、やはり友人達とは都合がつかなかった。
独りが心細いのではない。
普段通りの事であり、勇んで南紀に向けて出発したのだった。
今回、どうしても粘ってみたかったので、職場の上司に頼んで連休をもらった。


初日である今日の目標は、「沖磯」、である。
この、渡船区の船を利用させて頂くのは初めてだった。
場所により、同じ渡船でも大きくルールは違うものだろう。
初めてで、それがよく分からないので当然に船頭に電話をする。
ルアーで青物を狙いたい事を告げ、念のために予約を入れさせてもらう。
現地到着は午前4時であった。
しばし休憩を取り、受付を無事に済ませて準備を整えて行った。
出船は午前6時20分との事だった。
港の船着き場には、驚く程の寒グレ師達でごった返していた。
一応、身なりはさほど変わらない。
しかし、「持ち物」、は明らかに違った。
不思議そうにみる者、また、あからさまに笑う者もいた。
様々な夢を乗せて船は港を出て行く。
今日の予報では波高3メートル、そして大きなウネリとの事だった。

港から出て沖に向かうと、すぐさまその予報が間違っていない事を悟る。
波はそうでもないが、大きなウネリによって凄まじい力で潮が磯を叩きつけているのだった。
少し進むと、グレ師のグループが湾内の磯に渡った。
そこから、遠くに目標の磯が見てとれた。

うわあ・・・。

思わず声が漏れてしまった。
いったい、何という雰囲気なのだろう。
轟々とうねり波飛沫を上げるその磯の周りには、おびただしい海鳥が舞っているではないか!
低空飛行にてホバリングする集団、また、海面に何度もダイブを繰り返すものまで、合わせてざっと数百を越える鳥達が見えた。
もう、今にも海面が爆発しそうな感じだった。
そこで、無情にも船頭からマイクを通じて宣告がなされた。
「今日は沖は無理や!! 波に気つけて岸寄りで頑張ってみてや!」。
落胆したのは私だけではない。
船頭の決定は何にも勝るのを知ってか、皆声には出さないが、その表情は一気に曇って行くのだった。
結局、自身の渡礁は一番最後になった。
それまでにも、十分、雰囲気の良さそうなポイントはあったのだが、どこも多くのグレ客が渡っていたのである。
「悪いなあ、今日はココで勘弁してな」、っと船頭。
初老のマイペースなグレのカゴ師と一緒に、何と湾内の静かな地磯に渡る事となったのである。

思わず、その方と顔を見合わせてしまった。
お互い言葉にはしない。
おそらく、前日の同地域における不幸な事故でナーバスになってみえるのだろう。
また、上客である上物師に迷惑がかかる事があってはならないという配慮かもしれない。
また、新規客ゆえの事かもしれなかった。

期待が大きかった為に余計にこたえた。
ショックで一気にモチベーションが下がり、しばし途方に暮れてしまった。
しかしながら、これが現実である。
たったそれだけの事で、今日一日の釣りを無駄にする事は出来ない。
そう思って無理矢理に自分を奮い立たせた。
しかし、落ち着いて海を眺めると、実はそんなに悪くない事に気付く。
足元には大きく沈み根が張り出しており、浅深の地形の変化も見られた。
また、沖からは磯に向けしっかりと潮が当たってきており、磯の脇からは逆に沖に向かって払い出す潮も見てとれた。
湾内の地磯だけあって、ここでは全く波も無いのだった。
ただし、ウネリが大きい為、時折、大きく潮が打ち寄せ波飛沫を上げている。
更に海面を凝視してみると、手前の少し潮が緩んだ場所にどうやら、小さいベイトが集まっている様に見えた。

じっとしていても仕方ない。
早速、タックルを組んで行くのだった。
今日、結ぶルアーはもう決めていた。
完全なフローティングのトッププラグである。
気持ちを込めて、まずは沖の潮の流れにフルキャストする。
約50メートル程飛んだろうか、静かにルアーは着水した。
まずは様子見と、活性の高い奴がいないかと連続して速いピッチで探ってみる。
2投、3投と繰り返し様子を見るが何も無い。
やはり、手前約20メートル付近にはベイトが密集している様だ。
ルアーがそこを通過する度、体長約3センチ程のシラスがピチピチと飛び跳ねている。
思わず笑みがこぼれる。
今日、選んだルアーを試すにはもってこいの情況に思ったからだ。
ゆっくりとしたペースで、気になる箇所を攻めて行くのだった。

ここで一気にルアーのアクションを変えてみる。
おそらく、魚は遠くからでもルアーには気づいているはずだ。
それでも何も無いのは、おそらくルアーのアクションが気に入らないからではないか!?
そう思い、今度はとてもゆっくりとアクションさせて行った。
確かそれを3投ほどしていた時だろうか、頭上の鳥、そして海に一瞬の変化があった様に感じた。
んん!? その時はその位にしか感じていない。
気にせず、そのままのペースでゆっくりとアクションさせ巻いて来た時、ルアーのすぐ後ろが青く見えた気がした。
その時であった!


ガバッ!!!


音と共に何かが全身をあらわにして飛びかかって来たのだった!
一瞬の事で姿形までは見えなかった。
ただ、薄いエメラルドグリーン色をした何かが水面を割っているのだ。
直後にルアーは水中に消し込んだ。
来た!!
わずかの瞬間ではあるが、落ち着いて竿で聞いてみる・・・。
おかしい、多分、乗っていない。
そう思うのと同時にルアーが浮いた。

くそ!! やっぱり乗ってない。
しかしまた、おそらくその魚にはフックは刺さっていないだろうと直観する。
瞬時にルアーにパニックモードの動きを送る。
もう一回喰いにこい!!!
祈りにも似た気持ちでアクションを入れた瞬間だった!


ゴバアッ!!


そのファイターは更に猛烈にアタックしてきたのだ!
再びルアーが消え、今度は即座にラインが入った。
よし! 乗った!!
まずはスイープに力強くアワセを入れる。
すぐさま、二度目のアワセを鋭く入れてファイトが始まった。

最近、どうにもバラシが続いたせいもあって、ドラグは随分と楽な設定にしていた。
無理をせず、魚に合わせて走らせて獲る作戦であった。
しかし、これは間違いであった。
ファイト開始とともに、奴はまず沖に走った。
そうかと思えば右に走り、今度は足元めがけて突っ込んで来たのだった。
ドラグが緩すぎてロッドでさばこうにも止まらない。
縦横無尽に走るのだった。
時すでに遅し、一気に沈み根に向けて突っ込む奴はラインが根に触れると、何と!今度は真横に向かったのである。
たまらず、ガガガガガッ!!っとラインが根に擦れた。
まるで、ラインの切り方を知っているかの様な動きであった。

切れる・・・。
一か罰かベールをフリーにする。
これは本当に心臓に悪い行為だが、そのまま切られるよりはマシだ。
幸運にも魚は沖に向かって走った。
水面に向かうラインの角度にてそう判断する。
すぐにドラグを強く締め込み、ラインスラッグをとる。
やはり、ラインに干渉するものは無くなっている。
一気に勝負だ!!
ガンガン巻いてやると、意外にもあっけなく浮いて来た。
まぎれもない青物であった。
しかし、驚くほどサイズは無い。
いったい、コイツのどこにそんなパワーがあったのだろうと思いながら一気に抜きあげた。



どこか、いつもと色が違う様に見えた。
小さいのにこの精悍な顔。


















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急速に胸騒ぎがしてくるRockBeachであった。
自分は実物を見た事が無い。
しかし、いつまでも磯の上で暴れさせては可哀想である。
美味しく頂く為にも、とりあえず昇天して頂く儀式を行った。
ここで、いつものデジカメが不調となった。
SDカードの不具合の様だ。
すぐに携帯電話のカメラにスイッチする。



撮った写真を、信頼している先輩お二人に送る事にした。
お二人にジャッジを委ねる事にしたのだった。
ほどなくして、先輩からはほぼ同時にメールのご返信があった。
メールを開けてみる。


おめでとう!!
やったね、ついに獲ったね!

「ヒラマサだよ!!」。


途中までメールを読み、心から熱いものが噴出して来て涙しそうになった。
ヒラマサ・・・夢にまで見た魚。
こいつに出会いたくてどんなに頑張っただろうか。
何度も死にかけ、震える身体で磯に立ってきたか。
追いかければ追いかけるほど遠い存在。
どうしても南紀で会いたい、遠征ではなく南紀で出会いたかった。
私にとって特別な存在であった。
半泣きになりながら、関係者の皆さんにメールする。
仕事中にもかかわらず、沢山の方々からすぐにお祝いの言葉を頂く。
至福の瞬間であった。











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残念ながらシメた後の撮影である。
おそらく、皆様が普段、目にする色に変わって行った。
上あごの端は少し丸みを帯びている。







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胸びれよりもお腹のひれが後ろにある様である。








DVC00015
サイズは50cm程度であった。
見慣れたツバスほどである。
その引きは重量感、トルクこそ無いが、一瞬の瞬発力はメジロに負けないものがあったと思う。
もう、私にはサイズなどどうでも良かった。
小さくても、南紀で出会えただけで十分であった。


今回、目標の磯には渡れなかったが、自身が絞りに絞ったエリアで出会えた事も嬉しかった。
また、自身の釣りに再び戻り、ナブラもボイルもない海で、また、何も無い所から誘い出して食わせた事も本当に嬉しかった。
ここ数週間、通いつめ、数多くの失敗、バラシともう一歩の所で苦汁を味わって来た末の事で、本当に言葉にならない感動があった。
実に、約4ヶ月もの間、青物を釣ってはいなかったのである。
今までご指導頂き、時に励まして下さった関係者の皆様。
本当に有難うございました。
RockBeachはまだまだ夢を追って行きます。
本気で願うならば、きっと夢は叶うと信じています。
いつかきっと、海は微笑むのだと。

それでは




タックル

Rod   MC Works RAGING BULL 100XF-1
Reel  DAIWA SALTIGA Z6000
Line  YGKよつあみ  PE #4
Leader VARIVAS NYLONE 80LB