4月6日の日記


以前の様に釣りに通う事も、道具を購入する事も出来なくなりました。
しかし、そんな中でも釣りへの情熱は冷める事はなく、むしろ燃え上がるかのような日々を過ごしております。
休日には時間こそあるのですが、節約しないとなりません。
三重南部、そして南紀への釣行は最低でもガソリン代という出費が生じます。
幸いにして、私の住まいから近くの海までは車で約15分。
海が遠い場所にお住まいの方からすれば実に恵まれた環境にあります。

今ではこうして海のルアー釣りを楽しんでいる私ではあります。
しかし、お恥ずかしながら、ソルトルアーの代名詞とも言える、シーバス釣りを殆どした事がありません。
海のルアー釣りに興味を持った小学校低学年の頃より、シーバスはいつも憧れの的ではありました。
父親と釣りに行っても、すぐにウロウロとしてルアーを投げてはシーバス釣れないかな!と釣りをしていた記憶があります。
だけど、どうしても釣れない。
今思えば、まったく的外れな海でやっていたのでしょう(笑)
しかし、少年時代に心に残した苦手意識、トラウマは相当な物です。
結果、私の中では釣れない魚ナンバーワンとなってしまいました。
こうして、三重南部、南紀に通う様になっても釣れてくるのはヒラスズキ。
いわゆる、マルスズキの方は本当に縁がありませんでした。
そんな中、やっとスズキと呼べるサイズを釣ったのは2009年の終わりでありました。
それも、当時、情熱を燃やしていた、ヒラメ狙いの外道としてでした。


屈辱的な事がきっかけではありますが、いち釣師としては、これを前向きにとらえなくてはなりません(笑)
そうです、今こそ本気でシーバス釣りの扉を開くチャンスかと!
いささか無理矢理ではありますが、近場で出会えるモンスターを夢見てシーバス釣りの挑戦を始めました。
全く分からない釣りではありますが、諸先輩のアドバイス、そして自身の今までの他の釣りを生かしてチャレンジしています。
今のところ・・・。
こんな可愛いセイゴちゃんしか釣れてはいません。





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嗚呼、何とルアーが大きく見えるのでしょう・・・。






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しかもスレやし


まあ、それでも凄く嬉しかったりするのです
もう少しちゃんとした釣りが出来る様になったら、また、コチラの釣りの方も更新して行きたいと思います。
どうぞ宜しくお願いいたします



さて、四月に入りやっと待望の連休がやってきた。
命が燃える磯に行きたい!!
もう、我慢の限界であった。
しかし・・・南紀通いをストップしている私には海況がさっぱり分からないのであった。
ネットからの得られるデータ、そして情報では微細な海の変化、生き物の変化を感じとる事が出来ないのだ。
やはり、現場で自身で体感した事が一番の情報である。
わずかながら、こんな私に親切にも状況をお伝えして下さる方はみえる。
しかし、それも数日前の事なのだ。
噂では紀伊半島のずっと遠い場所では連日、好釣果で賑わっているとの事である。
勿論、釣れたら嬉しい。
しかし、それは私の獲物ではないと考えない様にした。
たとえ釣れなくとも、私の好きなフィールドで釣りがしたい。
何の確証もないが、それがRockBeachの釣りであるとハンドルを切ったのであった。



現場到着は午前4時半。
驚いた事にすでに数台の車が停まっていた。
準備と体調不良の為、予定時刻をかなり過ぎての出発となった。
残念ながら結果は大きな遅刻となった。
すると、ここに来るとよくお会いする年配のアングラーが到着。
悪いが今回は先に行かせて頂く。
しかし、いざ磯を歩くとみるみる内に追いつかれてしまう。
結局、ポイントにはほぼ同時に到着するのであった。
先行者は二名、ご挨拶を交わし、どこに立たれたいかお聞きした。
幸い私が立ちたい場所ではないとの事。
すぐにタックルの準備にかかる。

一通りの準備を済まし、いざ海を眺める。
まだ真っ暗な空ではあるが、目が慣れてくるとかすかに海面が見えてくるのだった。
天気予報では凪の予報であった。
しかしどうか・・・。
ほど良いウネリが入り、滅多に見る事がない程、潮が複雑に動き絡んでいる様に見えた。
これは凄い・・・いやおうなしに気合が込み上げて溢れそうになってくる。
周りのアングラー達はのんびりと夜明けを待つ様子だ。
冗談じゃない!!
今がジアイだと不思議と直観したRockBeachだった。
すみませんが、早速始めさせて頂きますとお伝えする。
快くどうぞ!とお応え頂く。
久々のRock'n'Rollのスタートだ。


どのくらいまだ陽が昇っていないのか!?
上手くお伝え出来ないが、フルキャストした先のルアーは全く見えず、ルアーが生み出すスプラッシュも見えない。
約20メートル程手前にルアーが来て、ようやくそのスプラッシュがかすかながら見える光量である。
手前に来てもルアーのシルエットは全く見えない。
非力ながら重いタックルを使用する私である。
いきなりペースを上げるとすぐに筋力のデッドポイントに到達してしまう。
ゆっくり、そして身体から思い出させる様にウォーミングアップをして行く。
確かキャスト開始から五投目ぐらいだったろうか。
うっすらとそのスプラッシュが見てとれる距離の事であった。
アクション後、すぐにポーズを入れた所で海面が割れたのである!
不自然に水面を乱すその波紋の大きさ!!
直径にして2.5メートル程だったろうか。
今まで見た事もないほどの大きさに息を飲んだ。

ウワッ!!
目が捉え、それを脳に伝達し、次の行動に移るまでにいったい何秒かかるのだろうか!?
次の瞬間、もう無我夢中でロッドを渾身の力で振り上げていた!!



ブウン!!



無残にも空を切るレイジングブル・・・。
すぐさまルアーにパニックモードの動きを与える。
しかし、残念ながら今回は追い喰いは無かった。
あんな水面の割れ方、そして波紋は見た事が無い。
瞬間的にその光景が頭の中で何度も繰り返される。
途端に込み上げる激しい動悸、心拍数は一気に限界まで高鳴って行った。


しかし、その後はまったく後が続かない。
とてもじゃないが冷静な判断が出来ないのだ。
キャストで届くあらゆる場所にルアーを送り込む。
どんどんと空は明るさを増して来る。
込み上げて来る焦りはやがて心の悲鳴へと変わって行く。
このままでは終わってしまう!!
少し離れた場所のアングラーが掛けた様であった。
スルスルと寄せてポンっと抜きあげている・・・。
どうやら、今日のこの場所にはハマチも混在している様子だった。
それを見ながら手を休め、今、必要なのは冷静になる事だと自分に言い聞かせて行く。



暗闇の中ではトップに反応した。
しかし、陽が昇ってからは全く反応が得られない・・・。
もしかしたら、水面に出たくない気分なのか!?
そしてまた、フルキャストしても何の感触も得られない。
真っ暗闇の中、キャストして届く場所に奴らはいた。
明るくなった今、はたして同じ場所にいるのだろうか!?
もしかしたら、もっと、ずっと近くにいやしないだろうか?
そんな風に仮定してみたのである。



深呼吸をし、もう一度、落ち着いて海を眺めてみた。
光量の変化によって、潮の流れの見やすさは変わってはいる。
しかし、よく見ると流れが少し変わっている様であった。
きっと、コレかもしれない!!
足元、その磯際を見ると左手から沖に向け、磯に沿う様な強い流れが出ているのだった。
おまけに、打ち寄せるウネリで薄いサラシも生まれている。


結んでいたトッププラグを外した。
再び結んだのはお気に入りのシンキングペンシルである。
約12センチ、定番のシンペンSSよりシルエットは細く、更に重量もある。
それをまずはフルキャストしてみた。
今、まさにルアーの背後に忍び寄る魚を連想してアクションを入れて行った。
遠くのルアーが、自分の思う様に動いているとはとても思えない。
自分の腕においては、よりルアーが近づく程、イメージ通りの動きが出来る事を理解していた。
だからこそ、いつも磯際から僅かな距離でチェイス、バイトがあるのではないかと仮定していたのである。
勝負は手前20メートルを切った所からだ!
そこで寄せて、魅せて、狂わせてやる!!
ルアーは磯際から10メートルを切り、いよいよ足元での演劇となった。
磯際5メートルに差し掛かり、ようやく先ほどの流れにルアーが乗った。



ここで、冒頭の近場でのシーバス釣りをフィードバックさせる。
川という絶え間ない流れ、さらにそれに増す引き潮の流れ・・・。
自身が経験した事の無い流れがそこにはあった。
その流れにルアーを噛みあわせ、馴染ませて泳がせて行く。
リトリーブ無しでルアーを魅せた初めての経験であった。



足元の流れに馴染ませ、弱いトゥイッチをゆっくりと入れてやる。
漂いながらも流れにしっとりと乗るルアー。
その瞬間、どこからともなく真っ青な影が突っ込んできたのだった!
何の躊躇なくルアーめがけてアタックしている!!
しかし、足元から約50センチの事なのでタイミングが分からない。
ヒットから約1秒だけ我慢してみた。
半信半疑であわせを叩き込むのだった。





ガン!!!






強烈な衝撃がロッドを伝って腕に響いて来る。
次の瞬間、奴は一気に足元めがけて潜り、更に横に走った。
ギギ、ギギッっと一瞬だけ出るドラグ。
今日もいつもの様に約10キロ程かけている。
ドラグが止まった瞬間、その負荷と衝撃がロッドにかかる。
ガクン!! ギギ、ギギ!!
凄まじいパワーである。
両手でロッドを固定するのが精一杯だ。
とにかく巻け、巻くのだと!リールのハンドルをこじ巻いて行った。
しかしどうだろう・・・。
いくらドラグが出ないからといって、フルでそのパワーを受けているとはいえ強すぎるのではないか!?
落ち着いて見る事など出来ないが、今まで体感した事が無いほどにロッドが曲がっている感触があった。
巻くに巻けないから、全身を使ってリフトする。
少しでも奴に間をやれない状況なのでポンピングなど出来ないのだ。
とにかく、ロッドに全体力をぶつけ浮かせる事にした。


急な走りをいなし、時にパワーで抑え込み、一瞬だけラインをやって根ズレだけはかわした。
しかし、まったく弱る気配を見せない。
本気でヤバイんじゃないかと思ってきた頃、ようやく見える浅さまで浮いてきたのだった。
それは予想通りただのメジロである。
おまけにサイズは70後半で何も特別な事はない・・・。
しかし、いったい何というパワーであろうか。
逃げれる可能性を見つけた時、奴らはいつも想像以上の力を出す事はあった・・・。
しかし、今回はそれとはまったく別のパワーなのだ。
レイジングブルがこんなにも弧を描いている・・・。



更に浮かせ、それが何故なのか何となく分かった。
ルアーがあるべき場所に掛かっていないのである。
おそらく、アワセを入れるのに躊躇した僅かな時間の間に、少しだけズレてしまったのだろう。
よく分からないが、その時の自分にはそうとしか思えなかった。
だからとて、今のファイトをやめる訳にはいかない!
浮いても尚、凄まじい力で走る奴。
もう、これ以上時間をかけられないと判断した。
水深、約70センチから一気にパワーで抜きあげる。




パン!!





奴が水面に出た瞬間に一瞬で負荷が消えた。
切れたのか!?
それは違った。
可哀想な事をしたが・・・身切れをしてしまったのだ。
何故、もう少し慎重になれなかったかと後悔がのしかかる。
しかし、それも自身が判断した事。
マグレなど無い陸釣りの掟ではないか。



その後、まったく反応が消え、やっと落ち着いて煙草に火を付けた。
隣にみえた気の良さそうなアングラーが話しかけてくれた。


「いやー、さっきのファイトは惜しかったですね!!」
どうやら、恥ずかしい一連の事を見ていてくれた様である。


「大物だったんじゃないですか!?」
よくいる70後半の普通のメジロだったんですと私・・・。


「そうなんです? ロッド、バットから弓なりに曲がってましたよ!!」
・・・。
・・・。
RBなんですと小声で呟くのが精一杯であった。


少しだけ粘ったが、もはや何も起こせない海に変わっていた。
悔しい・・・。
再び、夕マズメに戻る事を決意しその場を後にした。



その後、街まで戻り少し眠った。
とてもじゃないが、他の釣りを楽しむ気にはなれない。
ぼんやりと海を眺めているとすぐに再び向かう時間になった。
夕マズメ・・・私はあまり信用はしていない。
しかし、これにかけないならば、明日の釣りのモチベーションは保てない。
いつもの事だ。
広い海に、一匹だけでも奴がいてくれさえすれば良い。
後が無いのだから、その可能性にかけてみるだけである。
こうなるともう、精神論、気持ちの問題である(笑)
絶対い獲る!!
覚悟を決めて向かった。


いよいよという時間になってきた。
今朝、出会った方々もやはり戻って来ていた。
皆んな心は一緒だ。
徐々に陽がかげり出した頃、キャストを再開して行くのだった。
今朝の情況では陽がある内はトップは無視された。
水面直下、今日はこれで行く!
朝のヒットと同じシンペンではあるが、カラーを変えて違う番手のフックにしてみた。
これで大きくアクションが変わるし、魚への刺さりの深さも変わる。
しばしキャストを繰り返すが、まったくアタリは無い。
やはりもう回遊は無いのだろうか!?
そんな不安がよぎる。


気持ちをリセットし直し、流れをしっかり見てキャストポイントを決めた。
ゆっくり、そして丁寧に、そのルアーが一番魅力的に動くであろう泳ぎを生み出して行った。
確かめる様に、何度も丁寧に泳がせ時に横を向かせて行く・・・。





ジュボッ!!






とても小さい飛沫があがる!
広い海を見渡しながら操るその時には、それはただの違和感でしかない。


波飛沫か!?
一瞬、そう感じたがラインが少しだけ入った!
鋭角的にロッドを振り上げる。




ゴン!!





来た! 来た! 来た!!
ラストチャンス・・・ふいにそう頭をよぎった。
疲れた体に鞭を打ち、全力で巻きあげる。
朝の感触は幻であったのか?
気が付けば何の抵抗も無く足元で浮いていた。
波のタイミングを見計らい、ロッドの反発で抜きあげた。












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よく太ってはいるが長さは無い。
爽やかなハマチであります。














P1000906

生きている魚を撮るのは本当に難しいです。
これも尻切れトンボです。
すみません。






サイズは小さくなってしまったが、何はともあれ、一本でも何とか獲れた事がとても嬉しかった。
本当に有難い海からの恵み、謹んで頂戴する事にいたしました。
全く分からない海況で出会えた事は幸運であった。
気配など全く無い海がただ広がっている。
おそらく、一年前の私にも、いつもこんな海が目の前にあったのではないだろうか。


二日目の釣行はまた後日。
それでは。


タックル

Rod   MC Works RAGING BULL 100XF-1
Reel  DAIWA SALTIGA Z6000
Line  YGKよつあみ  PE #4
Leader VARIVAS NYLONE 80LB