8月16日、17日の日記






前回の釣行で見た、黒い怪物。
帰宅した後も、脳裏に焼き付いて離れないのでした。
確かに自身のルアーを喰ったのです。
しかし、その口元にフックを掛ける事は出来ませんでした。
まさか、狙いに行って、すぐに出るとは思ってもいなかった。
しかし、冷静になって考えると、おそらく何年かに一度あるかどうかの事だったろうと。
はたして、それを体験したのが幸運だったのかは分かりません。
正直、また頑張ろうという前向きな気持ちではなく、どうしてあの時失敗したんだと、後悔する毎日でした。



次の釣行に向け、タックルやルアーの準備を整えて行きました。
そして毎日、周辺の海況を見て行く毎日が続きました。
気象の事を知らない私には理由は分かりません。
来る日も来る日も、強い西の風が吹く毎日でした。
西向きの風、約5~7メートル。
天気予報でのそれは、おそらく磯に立てば10メートル前後となるでしょうか。
時折、南西や西南西の風も吹きつけています。
この風が吹くと、このポイントに立つ事は絶望的とも思えました。
結局、釣行前日までこの状況が変わる事はありませんでした。
だが、行ってみなければ分からない。
様々な状況に対応出来る様、入念に装備をし南紀に向かいました。









今日も南紀到着は午前3時すぎであった。
最近、走行ペースを約2時間半から、3時間少々に遅らせている。
安全運転はもちろんであるが、ACをかけている為、燃料消費が著しいからである。
勿論、単独釣行の為、釣行費用をワリカンにする事は出来ない。
独りは好きだが、つまらない事にも苦労は多い。



午前4時すぎ、馴染みの渡船屋に向かう。
自身の盆休みを終えていた為、すっかり忘れていたのだが、
世間様はまだお盆の真っ最中なのだ。
驚く程の車の数にやっと気づいたのだった。
しばし様子を見ていると、殆ど全てが底物師の方々であった。
それも、何度もお見かけする常連さんのコアアングラーばかりである。
ざっと人数を数えながら、知っている底物ポイントを思い出して行く。
どう考えても定員オーバーなのである。
おそらく、この風、海の音を聞く限り、目標の磯には立てそうもない。
そこがダメならば、また多くの底物師もあぶれてしまう。
そう思っていた矢先、一台のワンボックスが到着した。
一見して分かるルアーマンの車であった。
それを見て移動を決断する。
申し訳ないと、おかみさんにお詫びしてすぐに南紀特急に乗り込んだ。
時間は午前4時半をまわったところである。
大急ぎで次なる候補地に向かった。








午前4時50分、何とか目的の渡船屋に到着する。
出船は5時との事で、大急ぎで受付を済ませ準備をして行った。
他には三名の餌釣りの方が待っていらっしゃる様子だ。
何とか5時までに用意を終えたが、ここはいつもノンビリしている。
船頭とそのお客さんが談笑した後、ゆっくりと船のエンジンがスタートした。
陽はもうずいぶんと登っていたが、今日の海には好都合だろう。
ここでも強い西風のせいで、海はかなり時化ているのである。
外洋向きの荒磯に一人立つのだから、何よりも安全の確保を重視したい。
ゆっくりと、港を出て内湾を進む船。
黒い怪物は見送る事になったが、新しい期待に胸が高鳴って行った。





もし、本命の場所に立てないならばと、他の場所にも魚を探してはあった。
前回の釣行の際にも自分なりに調べていたのである。
仲間内にもその情報は伝えてはいたが、自身がまだ竿を出してはいなかったのだ。
おそらく、魚がいるのは間違いない。
しかし、自身が体験してないならば、ただの口先ダケ男になってしまうだろう。
冒険や夢と言って、幻の大魚を追っているのも悪くはない。
だがしかし、中身の無い情報発信者にはなりたくはない。
そんな事を思い出しながら渡礁の時を待った。
狙うは、シオ、そしてカンパチである!






ここは磯というよりは、小さい島の様な感じである。
潮の当たる外洋向き、そこから続くワンド、また静かな内湾向きと、
およそ、歩いて行けば様々なポイントを狙う事が可能なのである。
まず、穏やかな内湾向きからそっと渡礁する事となった。
高台に荷物を置き、まずはポイントを見て回った。
外洋向きの先端では、すこぶる潮が当てており、青々とした潮色をしている。
雰囲気は申し分ないのだが、時折、足場は波に消えてしまうのだ。
潮位も高く、風も強い為、それら外洋向きのポイントは諦めた。
凪いでいる内湾向きでしばらく探ってみる事にする。
潮は当たらず、波気もないが、なかなかどうして、しっかりと水深はありそうだ。





まずは、ミノーから始めてみる事にした。
陽は登り行き、光量も十分にある。
既に魚は瀬際に寄ってやしないかと、まずは小さなサラシを狙ってみた。
ゴンッ、ガツっとすぐに当たってくる。
オキザヨリではなく、正真正銘のダツの皆さんであった。
より小型で口が細いのでまずフッキングはしない。
リーダーの傷みを点検しながら、ダツをかわしそれでもサラシを狙ってみる。
しかし、どうもダツ以外の魚は反応してくれない。



続いては、朝の豪快なジャンプが見たくなってトップを大遠投してみた。
シイラはいてくれるんじゃない?
しかし、この期待はすぐに消えてしまった。
全く、何の反応も見られないのである。
少しスローに、水面直下をチョンチョンっと探ってみたり。
出そうで出ない海が広がっていた。
これはプラッキングでは難しいかもと、いきなり本命のジグを結んで行った。
まず、100グラム程のジグで様子を伺う。
フックは先日、自作してみたSJ-43 7/0を使用する。
ちょっと小型には辛いかなって大きさだ。


開始早々、ゴンっとした魚信が伝わる。
すぐに合わせをいれると何か掛かった様だ。
ヨシヨシっとニヤケ顔で巻き上げてくると、何と!チョウチョウ魚のスレであった。
ゴメンな~っとすぐにリリースして再開する。
しかし深い!
ラインがいくらでもスルスルと海中に入って行くのだ。
最近、比較的シャローエリアばかりで釣りをしている為、懐かしいこの感覚に少し戸惑った。



いつ、魚達のスイッチが入るだろうと気長にシャクリ続けてみる。
海中で群れるベイト達を、遠巻きに見ているヤツらがそう簡単に捕食モードとなってくれるとは思わない。
こちらの操るジグの動きだけで、そのスイッチを入れる事は難しいのではないか。
自身はその様に思っている。
海中での何かの変化、そしてその際の魅力的なジグの動き、それらがプラスして結果が出る気がしている。
だから私は、その時が来るまでノンビリとやってみる。
どれだけ経った頃か、シャクリ上げ、止め、再び落とすという一連の動作に違和感を感じる。
ガツンとか明確なアタリではないのだが・・・。
フワっとしたり、モワっとしたり、ぐーっと重くなったりがあった。
アワセを入れてはみるが何も掛かりはしない。
潮の加減か、それともストラクチャーなのか。
はたまた、フックが大きいのか、結局はヒットには至らなかった。






この時点でもう、午前11時前となっていた。
随分と粘ってシャクッていたのだろう。
照りつける太陽に負けずに頑張っていた。
少し休憩を挟み、外洋側へとタックルを持って歩いて行く。
潮位も下がり、波の勢いも弱まって、先程よりは幾分とマシに見えた。
それでも、先端はやはり波を被っている。
少し奥まったワンドに入ってみる事にした。
先程までの内湾と比べると浅い様子だ。
おそらく、いつもよく釣りをする水深10メーター未満に思われた。
大きく波がアップダウンしていてトップは難しい感じである。
おそらく、風速10メーター近い風が沖から真向に吹いているのだ。
トッププラグならば、この風を突き抜け、狙いのポイントに届けれる物もある。
しかし、それではミスアクションが多発してしまうだろう。
よって、波が高い時の切り札のミノーを二つ取り出した。
問題はどちらを選択するかである。

飛ぶが、複雑な潮流の中では泳ぎきらないもの。
飛ばないが、ほぼどんな流れの中でも安定して泳ぐもの。



今回はそんなに肩肘張ってはいない為、結局はどちらも投げてみる事にした。
やっぱり、やってみないと分からないからである(笑)
まず、飛ぶが、泳ぎが不安定なミノーから始めた。
やはり、しっかりと泳いではくれない。
流れをみて、こちらが積極的に操作してやらないと泳がない。
そして、おそらくは遠投しても魚はいない感じに思えた。
そのルアーのまま、手前にある根の周りを丁寧に探ってみる。
上手く流れを掴み、何とか綺麗に泳がせた瞬間、どこからともなくグレーの影がやって来た。
サラシも無く、比較的クリヤーな潮色の中、全く何の躊躇なく喰ってくれた。
























P1010043

シオが釣れました
朝からなかなか厳しかったので嬉しかった~
すぐにシメて大切にキープする事に。
カンパチとはとても呼べないサイズですが、
お刺身にする位の肉厚はあります。














今度は、飛ばないが、安定して泳ぐミノーにかえてみた。
やはり、どの様な難解な流れの中でもしっかりと泳ぎきるのであった。
すぐに、同サイズのシオがすっとんで来て、またもや何の躊躇も無くヒットした。
残念ながらこちらは掛かりが甘く、すぐにフックアウトしてしまった。
どうやら、シオはある程度、群れている様である。
何投かしているとまたヒットした。
先程よりも少し小さいが美味そうなのでキープする。
今が時合いかと急いで戻った。
しばらくして、少し良いのが喰ったが、これも残念ながらすぐに外れてしまった。
少し反応が遠退いたので、ジグを結んでみる事にした。
約15メーター程投げてボトムをとる。
そこから、一気に表層まで引いて来る。
それを繰り返し、足元までシャクリ上げてみると、ワラワラと小型のシオが数匹追って来た。
どうやら、群れは底付近にいて、活性の高い少し大きな奴だけが表層にプラグを追ってくるのかもしれない。
4~5回、同じ様にジグでやってみたが、チェイスは確認出来るものの、フックアップする事は無かった。
今一歩のアクションでしかないのか、はたまた、フックが大きすぎるのかとても難しい。
再びミノーに戻すが反応が薄い様子であった。
少し立ち位置を変えて、様々な箇所を狙ってみるが、どこからも魚は出てこない。
今日のこの海況では、魚が着く場所は決まっているのかもと思った。
打ち続けるのも何なので、しばし休憩し場を休ませる事にした。






小一時間くらい休ませて再び再開してみる。
同じ様なラインをトレースして来て、手前にある流れにそっと乗せる。
するとどうだろう、やはり、どこからともなく現れ、一気にルアーに喰いついて来た。
やはり、何かの法則性がある気がしてならないのだった。
ギュン、ギュンっと竿を締め込む感じ。
やはり、小さくても、カンパチのDNAである。
最高の瞬間に暑さも、時間も忘れ夢中になった。

























P1010045

今日イチのシオです。
40センチちょっと
それでも、ST-56 の1を丸のみにしてくれました。
ミノーのお尻から吸い込んだ感じでした。
喰い気満々だったのかな?
小型でしたが、とても楽しく満足できた瞬間でした。
やったね!











次の日、8月17日は、三重の熊野の大花火大会である。
いつもの時間まで釣りをしていては、おそらく渋滞に巻き込まれてしまうだろう。
今日は比較的、短期決戦とした。
磯上がりは午前10時とした。
しかし、この日は魚の姿を見る事は無かったのである。
昨日にも増して、海は時化模様であった。
いたる所に真っ白なサラシが生まれ、波は大きなアップダウンを繰り返す。
サラシは魚の警戒心を解き、目の良い奴らを誤魔化す事もあって好きではある。
しかしながら、そこには何故か魚がいなかった。
サラシが悪いのではなく、それ以外の現象が邪魔をしているかもしれなかった。
目が良くて、ルアーをよく見切るシオ。
今回はサラシの無いクリアーな場所で鋭い活性で喰って来た。
しかし、サラシていると全く何も無い。
不思議な体験であった。
海で体験する全ての事が貴重である。



それでは





タックル

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