8月24日の日記







前回の釣行もまた、自身の釣りにおいてとても貴重な体験となりました。
しかしながら、やはり、あの黒い怪物が頭から離れませんでした。
帰宅してまた、様々なデータを見て行く毎日となりました。

勿論、今の私には学者の様な専門知識はありません。
むしろ、感覚的な事や経験を頼りに、勘で行動する事が多いと思います。
分からないなりにも、様々なデータと自身の経験、そして仲間の経験を重ねて行く。
そして魚を探して行く。
今まさに、そういう事がとても楽しく面白いのです。
そして、魚に会えた時、その喜びは更に大きくなります。






実は今回、黒い奴とは別の魚達も意識してはいた。
それはまた、大きく離れた地域の事であった。
さかのぼる事、約15日ほど前よりその傾向は見られた。
今回の釣行日が近づくにつれ、更に状況は好転している様に思えた。
南紀の西側と比べ、数度低い水温で安定していた様子であったが、
ここに来て、ふっと黒潮の影響が強まったと思われる。
詳しい理由は分からない。
しかしそれは、単純に水温が上昇したというものではないだろう。
その潮、水質自体に何か理由があるのかもしれない。



釣行日の前々日まではこの地域を調査するつもりであった。
何かしらの発見があると思った。
勿論、魚と出会える可能性もある。
しかし、釣行前日となり、急遽予定を変更するのであった。
南紀の風が変わる予報となったからである。
私が通ったエリアでは、実に三週間以上も強い西風が吹き続けていたのだ。
しかし、ついにこの夜から全く違う風が吹く。
真逆の東、北東風に変わるとの事なのだ。
波高2メートル、東の風3~5メートル。
おそらくは凪すぎだろう。
しかし、どうしてもこの大きな変化がある海を見ておきたかった。
可能性は極めて低く、全く博打の釣りである。
再び、「Black Monster」、に挑むのだった。








お盆を過ぎると急に色々な事が変わる気がする。
この日もそんな事を思うのであった。
少しではあるが、日の出が遅くなって来ている。
自ら歩いて行く、地磯の釣りではさほど影響はしないだろう。
その時刻に合わせ、スタンバイしていれば良い。
しかし、渡船となるとそうはいかないのだ。
船頭の気分次第である。
本当はもう釣りをしていたい頃、まだ船のエンジンさえ始動してはいない。
乗船前に船頭が皆に言う。
潮が止まったと。
ここで言う潮とは俗に言う、下り潮の事である。
ルアーマンは私一人であったが、落胆の声をあげたのは大勢いた餌師の方々であった。
それ程に大きな影響力を持つのであろう。
はたして、この風向きの大きな変化が原因かは定かではない。





渡礁後、すぐにキャスト体勢に入って行った。
僅かな時間さえ惜しいので、ローテーション予定のルアー達は全てポケットに詰めていた。
結束金具を結びすぐにキャストして行く。
前途した様、ルアーマンは私だけなので広範囲に打つ事が出来た。
しかしながら、困った事に流れらしい流れが全く見当たらない。
おまけに、風波さえも立たず、ベタ凪の海が広がっている。
こうなればもう、届く範囲全てにキャストして行くしかない。
どこで出るか見当もつかないし、また、何が起きるか分からないからだ。



絶対的な信頼をおいているポッパーにて一通り探ってみる。
ここ最近、今位の時間になると一気に沸いてくるシイラ達の姿も無い。
やはり何かが違うのだろう。
そのかわり、小型のダツが大量に群れていた。
大型のオキザヨリではなくダツである。
これもまた何度か経験していた。
経験からの固定観念ほど恐ろしいものはないだろう。
意識的にその感情を振り払って行く。





しばらくキャストを続けて行くと、やっと4~5匹の小型シイラ達が寄って来た。
約70センチ程の群れであり、一瞬にしてルアーを奪い合っている。
一匹がフックアップして、そっとリリースした。
先程の群れがまだウロウロしているので、ここでルアーを交換する。
結んだのは、ローデッドの180mmであった。
フックの選択を換え、その魅力的な泳ぎにしばし見とれていた。
しかし、次にキャストしたその時、悲劇は起きたのである。
振り抜きざまに、バン!!っとした破裂音が響き渡った。
すぐに衝撃が手から腕にまで伝わる。
やってしまった!
愛竿、「RAGING BULL 100XR-2」、が無残な姿となっていた。
緩かったジョイント部分から破損したと思った。
しかし違った。
ジョイントよりまだ少し上の方から、真っ二つに折れてしまったのである。
ショックであった。
金銭的な損害よりも、このロッドには数々の思い出が詰まっている。
それは、ブランドイメージでも、スペックでもない。
自分らしさかもしれない。



しかし、起きてしまった事はもう仕方がない。
出来るだけ飛散した欠片を集め、そっとロッドケースにしまって行った。
それでも、しばらく呆然として海を眺めていた。
半ば無理矢理に気持ちを上げ、スペアである、XR-1ともう一台のリールを組んで行く。
ルアーも再び交換し、執拗に水面を躍らせて行くのだった。






最早、シイラさえも寄らない海となってしまった。
時折、棒キレの様な小さいダツが遠くから、ピョンピョンっと近づいてくるのみである。
おそらく、今日はトップ及びサブサーフェスには出ないだろう・・・。
そんな気がしてならなかったが、それでも更に続けて行った。
ヤツの行動などとても読む事など出来ない。
何度ももう潮時だと思ったが、あえてまだ続けて行ったのである。
開始から三時間が過ぎる頃、ついにヤツとトップで出会う事を諦めた。
ならばと、自身の感覚に正直になってみる事にする。



大きな影響力を持つ潮が流れていない。
皆が言う様にダメだと諦めるのは簡単だろう。
潮の変動が激しいエリアだからこそ、ここの魚達が潮に敏感なのは百も承知だ。
何故、厳しくなるか具体的な事は分からない。
分かるのは、猛々と沸き上がるかの様な潮に包まれた時、
そこに見える魚達全てが嬉々として見える事だけである。
ならば、もしかすれば、そこに魚がいないのではなく、いるレンジが違うとかまったく覇気が無いかではなかろうか。
真相は深い海の中ではあるが、釣りに来ている以上、出来る全ての事をしたい。
そう思い、これならばというジグを結んだ。
そしてまた、この動きならばというアクションだけで行く。





一投、二投と真剣に攻める。
時に執拗すぎる程に細かく、狭く、ジグを見せて行く。
ボトムから表層まで、くまなく探って行った。
しかし出ない。
もう少し、もう少しと続けるが、次第にやはりかという諦めの感情が顔をのぞかせる。
負けるか!という気持ちは強いのだが、それは油断となり心の隙となったのだろう。
ボトムから引いてきて、宙層でステイの間を置き、表層で最後のアクションを入れ回収に入ろうとした時であった。

ガバッ! バシャッ!!


水面から体半分くらいを出し、身をよじらせながら飛びかかってきたのである!
良型のメジロほどの大きさ、そして肉感。
少し茶色がかったグレーの姿。
カンパチのアタックであった。



しかし、ジグが既に水面から出ている為、上手い様に喰う事が出来ない。
フロントにシングルでフックを装着しているのみなのである。
手元に衝撃が伝わる事は無かった。
残念ながらフックには触れなかったのだ。





もちろん、その魚がいたであろう部分にも、何度も好みそうなプラグは通してはいる。
表層まで出せない程の水深がある訳でもないのだ。
しかし結局、こうして出たのである。
それも水面を割って。
やはり、厳しい状況でも何が起きるかは分からない。
そしてまた、もしかすれば、プラグでは釣れない魚がいるのかもしれない。
それを再び、心に刻む出来事であった。
おそらく、何度となく経験し感じている事ではある。
しかし、通い込む程、固定観念に縛られてしまう。
その殻を破らなければ、更に先には進めないのかもしれない。





















P1010069

余談ですが、最近は自作のアシストフックを使用しています。
タイトに攻める為、ご覧の様にささくれ、すぐに傷んでしまうのです。
ちなみにこの時は、ザイロンノット40号、SJ43 5/0を使用しています。
改良が必要でしょう。
動きが妨げられない程度に、何か保護する物が無いか模索中です。










磯上がりの15時まで粘ったが、シイラを一匹だけ追加して終わった。
精神的にとても辛い一日となった。
陸にあがって、すぐに食事をして眠りについた。
南紀特急の屋根を、激しく叩きつける雨の音に夜中に目を覚ます。
大粒の雨が降っていた。
天気予報を見ると明日も強い雨との事。
次の日も休みだったが、そのまま帰宅する事にした。

次の日の夜、体調が急に悪くなって行った。
激しい嘔吐、下痢、胃痛、そして発熱。
あまりの苦しさに二日間も会社を休む事になってしまった。
まさに本末転倒である。


それでは



タックル

Rod   MC Works RAGING BULL 100XR-2(殉職)
Reel   DAIWA SALTIGA Z6000 with Dogfight spool
Line    YGKよつあみ PE #6
Leader  VARIVAS NYLONE 130LB


Rod    MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel    DAIWA SALTIGA Z6500EXP
Line     YGKよつあみ PE #5
Leader  VARIVAS NYLONE 100LB