1月25日の日記






今回の釣行記をアップする事には未だに迷いがございます。
釣れていない時も、ずっと、それを日記として綴って来た私。
最早、釣果の無い事に抵抗は感じません。
しかし、さすがに今回は別です。
結論から申し上げますと、釣れたのにその証が無いという事。
少なくとも、釣りのブログを書いている者にとっては致命的でしょう。
まさに、「ブロガー失格」、であると自分でも思います。


その時の記憶は私の中には残ります。
しかし、写真すら無い。
私とそこに居合わせた人以外、知りえない事なのです。
こんな、胡散臭いハナシはありませんよね。
ですので、ここから先はそれでもという方のみお読み頂けると幸いです。
尚、またいつの日か、過去を振り返る時の為に残そうと思います。
誠に申し訳ございません。








前回の釣行では素晴らしい魚に出会う事が出来た。
自然界の様々な事象から、時は来た!との思いで向かった先での釣果であった。
しかしながら、はたして、それが誠であったかは自身としても半信半疑である。
たまたま釣れたのかも知れない。
今回、休みはこの日一日限りである。
資金的にも苦しく、最近では連休とならない限り、南紀への釣行は控えているのだ。
しかし、どうしてももう一度確かめてみたかった。
また、正直、あの感触が今も手から離れようとはしない。
まるでそれは熱病の様なものである。
社会人失格のその行為を自ら止める術を知らないのであった。







現場に到着したのは、午前5時すぎの事。
車を停めるとすぐ、一台の車から、初老の方とおぼしき人影が駆け寄って来た。
そしていきなり、我が南紀特急の窓ガラスを叩いたのである。
どうやら、県外ナンバーの私に牽制のジャブを打ちに来たのではと直観する。
案の定、やはりその様子であった。
どこに立つつもりだ!? 何釣りか!?
その物腰こそ柔らかではあるが、そこはどうして目は笑ってはいない。
自分は地の者であると強く主張されるのだった。
ルアーにて青物を狙いに来た事をお伝えすると、半ばまくし立てる様におっしゃったのである。
少し先の〇〇には回遊があり、ここ最近、何匹かの良型の釣果がある。
また、少し戻った〇〇でもナブラが沸き、年末にはヒラマサやカンパチも回っていた。
自身、アジの泳がせにて、80センチのカンパチを釣ったとの事であった。
なるほど、その話しの数々に嘘は無い様である。
「話し」、として自身が知っている数々の事に相違は無かった。
しかし、親切心からだけの言葉であるかは判断がつかない。
そしてついに、ここでは釣れないと断言されるまでとなった。
続けて、何週間も青物が釣れていないという事を力説されて行く。
〇県と〇県の兄ちゃんが〇人入り、朝から晩まで投げ倒したがダメだった云々。
ブラーブラーブラー
そのお話は止みそうも無かった。
おじさん、ご親切にどうも有難うございます!
ボクはここが好きだから空いている所でさせて下さい。
そう笑顔でお応えするのであった。








ポイントに到着し、一通りの準備が整った頃にその方が到着された。
念の為、その、「地の釣師」、のご希望の場所をお聞きする。
結果として、かなり離れた場所に入れて頂く事となった。
さらにお言葉をかけ、少しジアイが早いと思うので、先に竿を出させて下さいとお願いをした。
どうぞどうぞ! まあ頑張ってよ、でも釣れないよと彼。
有難うございますと磯際に向かった。
まず、何から投げるか?
少し迷ったがミノーから始めてみる事にする。
何投かして、後ろが騒がしくなったので振り返って驚いた!
何と!私が荷物を置いているすぐ傍で焚火をしているではないか!
強風にあおられて火の粉が飛び散っている。
・・・・・。
また騒がしくなってもう一度振り返ると、猛々と燃えた何かが私の道具の上に舞っていた。
急いでそれを消しにかかる彼。
燃え盛るそれと一緒に私の道具を足で踏みつけている。
もうまったく釣りに集中できやしない!
老体にはさぞやこの冷え込みは厳しいだろう・・・。
そう思う事で何とか納得しようとした。
結局、この最中は全くもって釣りに集中する事が出来なかった。
貴重な時間を棒に振ったのが誠に残念に思われる。






さらにお一人増え、やがて彼等もまた釣り座に立って行った。
やっと気持ち良く釣りが出来る様になった。
そこですぐに、自身が好きなルアーに結び換えるのだった。
まずは、広範囲にランダムに誘って行く。
もしかしたら、そこに居るかもしれない奴に気付かせるのが目的である。
くどくならない程度にそれを終え、幾つかの違和感のある部分に狙いを定めて行った。
自身の経験では、このルアーにおいて、着水後、割と早い段階でのヒットが目立つ。
何故か、手前まで引き寄せてのヒットは殆ど無いのである。

もしかして今日もそうかと思った。
その後、ルアーの後ろに小さな波紋の様なものが見えた気がした。
波によるものか? その時点ではそれは僅かな違和感でしかない。
身勝手にも、それは魚ではなかったか?と思う事にした。
ならば、追っては来たが、出るまでには至らなかったのだろう。
そのアクションは違うとすぐに回収した。
次の一投、それに勝負をかけた。
このルアーにヒットがあった時、いつも自分はその手をどう動かしていたか!?
遠い記憶を呼び戻して行った。
こんな感じだったかな?
手が覚えている微かなそれを入れた瞬間だった。
遠い彼方にあるそのルアー目がけ、全身を露わにして奴が襲いかかってきたのである。
ルアーの進行方向の真横から飛びかかって来た。
赤紫色に霞む空にハッキリとその姿が見えた。
出るかもしれないと思っていたとはいえ、その興奮たるやたまらないものがある。
ふいに目で見てアワせそうになる自分を堪えた。
一呼吸置いて鋭くそれを一発。
さらに追いアワセを入れてファイトを開始した。






今日のドラグは少し控えめとし、約6キロほどとしていた。
着水後すぐのヒットである為、かなり沖に魚がいるが、反発も無くスルスルと寄って来る。
問題はここからだろう。
案の定、沈み根にさしかかった頃から強い抵抗が始まった。
ジッ、ジッっと小刻みに出るドラグ。
少し気を許すならば、ジィィィーっと勢いに乗って走って行く。
前回の事もあり、今日は無理にドラグを締めたりはしない。
もちろん、根は怖いのだが、ここで試さないなら何時、それを経験するかである。
そこで、自身が意識したのはロッドを立てる角度であった。
上手く説明が出来ないのだが、巻き寄せる際、ラインに対し極力ロッドが真っ直ぐになる様にすると楽である。
ラインとガイドとの干渉は僅かであり、それらの抵抗が少なくなるのが要因の一つだろうか。
いわゆる、綱引きファイトのフォームを思い浮かべて頂くと想像しやすいと思う。
逆に、魚が真下に向かって潜って行った際には、それを浮かせて来るのは相当に辛いものだ。
ラインとガイドの抵抗が増大し、時としてリールだけでは巻けない時もあった。
ドラグを一定にしている以上、止めたり出したりを任意に行うにはどうしたら良いか!?
スプールを手で握って調節するのも悪くはないかもしれない。
実際、ベイトリールを用いる餌師などは、それをフリーにしておいて、親指のサミングだけでコントロールしてみえるそうである。
今回、それは考えない様にした。
何となく集中出来そうに無かったからである。



走られると、グッっとロッドを起こし立て気味にしてみた。
それで意外にも魚は止まったのだった。
今度は出したいところで、そっとロッドを寝かせてみる。
案の定、楽に魚は出て行くのだった。
幸いにして、今日の魚にはそれらの行為を覆す様なパワーは無い様子である。
ショア、オフショアを問わず、沢山の釣りの経験を積まれてみえる方。
また、素晴らしい師匠や先輩から教わってみえる方。
そんな皆様からすれば、当たり前の事だと笑われる事だろう。
しかし、自身にはその様な豊富な経験も無いし、また、誰かにファイトを教わる事も無かった。
フルロックのガチンコ勝負、または楽に出して魚を怒らせない等々、お話やエピソードを聞かせて頂く事はあっても、そこから更に突っ込んで教わる事は無かったのだ。
だからこそ、無い頭を絞って自分なりに試すしかない。



磯際での攻防にヒヤリとする事もあったが、適度に出してテンションを緩める等の経験も出来た。
過去にはその強引すぎるファイトゆえに、何度か、身切れでのバラシに泣いた事もあった。
やがて、観念した奴は一気に浮上して来る。
潮位は十分であり、打ち寄せる波に乗せて磯上に魚を乗せた。
波が下がるのを待ち、余裕を持ってそこに降りてキャッチ。
喰わせからファイト、そしてランディングまで、その一連の流れを自身の思い通りに展開する事が出来た。
自分なりのベストな釣りに、充実感に包まれた一瞬であった。









問題はここからである。
尾ビレの付け根を握りしめて持ち、荷物のある場所へと戻るのだった。
ボディフックである、ST56 1/0はしっかりと貫通しており、最早、ペンチを使わないと外れない程である。
柔らかいファイトのおかげか、フックの曲がりは一切無かった。
釣れた魚は、大メジロかブリだったと記憶している。
撮影も計測もそこではしなかった。
目測では約90センチ、重量感は先日の魚よりは軽く感じた。


何故、急いで撮影するなり、測るなり、もしくはすぐにシメなかったのかである。
一つは、先程の餌師のお二人が見に来たから。
色々と言われる事に、正直、もうウンザリしていたのだった。

もう一つは、スケベ心が生まれたからである。
もしかして、もう一本とか出たりしないかい!?
欲の権化と化していた事だろう。
実は、以前にも一度やらかしている。
その時はちゃんと撮影をして、釣れた魚をすぐにタイドプールに泳がせていたのだった。
波の高い日であり、気がつけば忽然と魚は姿を消してしまっていた。
お土産が無くなった事に酷く落胆はしたが、それでも、デジカメにその姿が残された事で何とか平静を保つ事が出来たのである。
その時の事を教訓として、今回はストリンガーを用意して来ていたのだった。
波の無いタイドプールであれば大丈夫だろう。
それは間違いであった。
結果、ストリンガーを破壊して海に帰ってしまったのである。
血抜きの為に刃を入れる事もしなかった。
やはり、私は抜けているのだろう。






あまりに情けなくて、結局、日没まで、ほぼ休まずに投げ続けるのだった。
しかし、それ以降、再び反応を得る事は無かったのである。
残念な結果となったが、きっと悪い事ばかりではない。
少なくとも、丸一日、そこで海を眺める事が出来たのである。
目に映るその海は、まさに氷山の一角でしかないだろう。
広大な海のほんの僅かを垣間見たに過ぎない。
あまりに分からない事ばかりなのだ。
だからこそ、また海へと向かう。
近道は無い。



それでは