4月2日の日記









やっと自由な時間が取れたので行く事にしました。
向かうは南紀。
渇望しているのです。
















今回もどこへ向かうかは曖昧に決めていた。
通う様になって、人並みにポイントは知って来たとは思う。
しかし、結局、よく入る場所は僅かである。
それは、自身が不器用な事が一つの理由だろう。
とてもではないが、その場その場にうまく合わせる事は出来ない。
よって、立つ磯も限られてくる。











釣れているかどうか!?
それも、殆どどうでも良い。


今釣れていないから良い場所でないか!?
それは違うだろう。



海は何が起きるか分からないものだ。
可能性に夢をみて釣りをする。
例え、今日、自身がダメであっても。
明日は分からない。
通うほどに実感する。














久々に夜から入った磯だったが、陽が昇っても他に人は来なかった。
闇の中、腰かけていて聞こえるのは大きな波の音だけである。
おそらく、それも、夜が明ければ静かになるだろうと煙草に火をつける。
久々の釣りで、夜明けがいつなのかが分からない。
今はただ、気持ちを落ち着かせるのだと竿袋の紐を解いて行く。


遠くの空が濃い紫に滲む頃、ポケットにルアー達を詰め込んで行った。
ライト無しではまだ足下も見えはしない。
そんな頃、水辺に立つ。
それが自身の釣り。
独りならばそれが出来る。











開始から数時間経ったが何も無い。
魚は居るだろう。
ただ、自身のルアーに興味が無いだけなのだ。
今日は何が正解なのかと、あれこれと変えてはみた。
その全てが的外れに終わる。
今の自分に縁のある奴とは巡り合う事は無かった。














天気予報通りならば、おそらく、目覚める頃には荒れているだろう。
今日は雨の予報であった。
それなりに強い風も出そうだ。
寝不足続きでもう目がもたない。
静かな漁港の片隅に車を止め横になった。


目覚めるとやはりであった。
沖には白波が立っている。
腹が減ったので食事に向かう事にする。
窓から見える海を横目にこれからを考えていた。










食事を終えて再び運転席に座る。
空は暗く、雨風が南紀特急を揺らしている。
もう少し海が見たいと、雨具も持たずに高台へと立った。
海岸線近くの磯はどこも真っ白な波の中だ。
沖には不気味なうねりも見える。
釣り人の姿はどこにも無い。
漁船もいない。







無理をしてはいけない。
最近、常に思う事である。
何かあってからでは遅いと。
こんな日に無理をして、もし、トラブルがあった時。
いったい誰が助けに来てくれるか?
誰もいない。
誰も気付いてはくれない。
身動きがままならなくなった時、いったい独りでどうするのかと。









少しだけ釣りをして帰ろうと思った。
岸に近い浅瀬にて、平師の真似事をしてみるだけでも満足だろうと。
そうだ、そうしよう。
しかし、どうにも次の一歩が踏み出せない。
せっかくここまで来て、本当にそれで良いのか!?
青物に会いたくて来たのではないか。




もう一度、冷静になって考える。
風は強いが風向きはどうか。
潮位はどの位であり、今後、どう移り変わって行くだろうか。
雨で滑りやすい岩肌に対し、手持ちの磯靴で臨めるだろうか。
後は・・・。
少なからず、場を踏んで来た勘を頼りとするだけ。
よくよく海を眺め決めた。
これは 「無理」 ではないと。
















ポイントまでは至極慎重に向かった。
一歩一歩、確かめる様に岩に体重を乗せて行く。
突風が吹けばしゃがみ込む。
両手両足で掴む様に進んで行った。

やがて、ポイントまで来ると、思っていた通りの波に安堵する。
うねりは大きくてパワーもあるが、きれいに抜けて行ってくれている。
強い風が味方になってくれているのだ。
とはいえ、いつもの立ち位置は波の中にある。
もう一段、否、さらにもう一段高く足場を決めた。








思う所があり、まずはミノーを投げて行く。
ともかく、丹念に瀬際を通して行く。
何も無いからとすぐに止めはしない。
充分に粘った末、次はとトッププラグに換えてみる。
しかし、出ない。




決めた。
もう、好きなジグで通す。

一投、一投と潮を確かめて行った。
僅かに、1メーターほど着水点が違うだけで全く潮流は違っている。
ある部分では、100グラムのそれが全く沈んで行かない。
少しだけズラせると、真っ直ぐに底へと到達する。
探すそこはいったいどこなのか?
落ち着いて探して行った。




やがて、着底させる事が可能なギリギリの点を見つける。
そこから、中層までシャクリ上げ、再びフォールさせると沖に向かう流れに乗る。
そんな潮に着目するのだった。

どの位までシャクリ上げるかは、どの位流したいかが尺度。
見誤れば、シモリの先を大きく通過して回収でラインを傷める。
無論、何度かはそうなった。
やがて、何となく間が分かって来ると、流したジグをサラシのずっと下にやれる様になった。
そこから上に上に巻いて来る。
出ないか!出ないか!!
祈る様にジグを泳がせて行った。







やっぱり無理か?
諦め、リーリングに移ろうとしたその時に違和感を感じた。




























ゴッ!!













シャクる手がそのままアワセとなった。
一瞬だけきいてみるが、伝わる感覚は大したものではない。
いつもなら、強引に巻き上げているだろう。
しかし、今立っている場所ではそれが難しいのだ。
もう少し、降りながら瀬際へと移動しないと出来そうもない。
速く動きたいのだが、動こうとすると足元が滑る。
落ちたら終わりだ。




結局、もたもたと降りた頃には奴は流れに乗ってしまった。
どんどん手前へと寄って来て、今度は岩壁に沿って潜り始めるではないか。
瀬際はぐんっと張り出しており、海中に向かってえぐれる様な形状をしている。
すぐに、メインラインがエッジ部分に干渉し始めた。


いつも通りにベールを起こしてやる。
これで魚は沖へと出るだろう。
しかし、そんな淡い期待は裏切られる事となる。
あくまでも、真下に真下に、垂直に潜って行くのだった。
指でラインにブレーキをかけながら考えていた。
心なしか海中に刺さるラインの角度が変わって見えた。
おそらく、奴は潮に乗り、シモリの向こう側へと行こうとしている。
もし、完全に向こう側へと行けば引き寄せる事は出来ないだろう。









急いでベールを戻した。
ラインは磯に触れっぱなしだ。
もう、どうやったってそれをかわす術は無い。
こうして、久々につながったブルーランナーを獲る事は出来ないのか!?
こんな時、不思議と自身は冷静になって来る。
勿論、取り乱す様な一大事とは無縁であったのだが。
おそらく、どうしようもないので腹を据えるのかも知れない。


この時、自身には他に思い浮かばなかったのである。
ラインはオーバーハングのエッジに触れっぱなしだった。
ならばと、ラインの強度を信じるしかない。
竿を動かさず、リールの巻きだけで寄せるならば、
おそらくは糸が擦れている強弱の感覚が分かると思った。








































20130402_153323













静かに、ゆっくりと巻き上げ続けました。
竿に伝わる、その擦れの感覚が少しだけ緩んだ瞬間に一気に勝負をかけました。
爽やかサイズでしたが、久々のジグでの獲物はとても輝いて見えました。
諦めてしまいそうな攻防にも勝てて嬉しかったです。
やったね!!










数枚の写真を撮り、ゆっくりと昇天の儀式を進めて行った。
全てを終えたのは、約15分程後だったろうか。
再度、ジグをキャストして行く。
三投程でたらめに投げて思う。
やはり、先ほどのパターンかも知れないと。
すぐさま同じ点にジグを撃つ。



幸いにも潮はまだ同じ風に流れていた。
先程の間を思い出し、シャクリ上げて流して行く。
いよいよ、ここかなという点に来る。
確かこんな感じで・・・。























ズドン!!












まさかの事にニヤケが止まらない。
いや、ちょっと待ってくれ!
さっきは全く出なかったドラグが鳴り始めた。
ガンガンと叩く様に穂先を絞り込んで行く。
どうやら同じ群れの魚ではない様だ。





出してたまるか!
今度は逆にスプールを鷲掴みにして止める。
っと、今度は少し沖に向かい、激流へと突っ走るではないか!
ラインをやってはいないのだが、潮に乗り、魚はあらぬ方へと向かって行く。
今度は少し先のシモリにラインが触れた。
もう時間は無い。
更なる干渉を避ける為、半ばしゃがみ込む様な態勢をとった。
そのまま、右斜め上へとロッドを持ち上げる。

よし!


そのままの勢いでショートポンピングで巻き上げた。
ラインこそやってはいないが、そもそもが喰わせたのが結構な深さであるのだ。
流れに乗り、それがそのまま横へと行っている。
これでもか、これでもかと巻き寄せて来るがなかなか浮いてはこない。
強い引きに、所々リールのハンドルが動かなくもなる。
右腕の力だけでリフトするには強すぎるのだ。
あと、少しの所で瀬際のエグレに魚がダイブしてしまう。
今思えばとても冷静ではなかったのだろう。
力勝負へと出てしまったのである。
結果、魚の姿を見る前に、身切れによるフックオフで幕を閉じたのだった。


逃がした魚は何とやら。
両手が小刻みに震えていた。
再度のヒットを願い続投したが二度とは無かった。






磯から上がり、ズブ濡れで冷え切った体を温泉で温めた。
フックオフは悔しいが、何より魚に出会えた事が嬉しかった。
無理をしてはならない。
それは当然である。
どうやら、いつしか、自身の心は軟弱になりすぎていたのかも知れない。
無謀との紙一重の狭間の事。
独りでの釣りをよく考えねばと思う一日だった。





それでは




My Tackles


Rod  MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel  DAIWA SALTIGA Z6000
Line   YGKよつあみ PE #4
Leader VARIVAS NYLONE 100LB


Rod  MC Works RAGING BULL 100XF-1
Reel  DAIWA 10 SALTIGA 5000
Line   YGKよつあみ PE #4
Leader VARIVAS NYLONE 80LB