3月11日、12日の日記





前回の釣行の続きとなります。









珍しくも、早くに寝て。
余裕をもって、磯に向かえる様に早起きをした。
一日目が終わり、もう、後の無い我々にはこの朝が一番のチャンスとなる。


自宅から予想をして来て、ヤマ勘で磯に入った初日の釣りよりも。
おそらく、二日目のそれの方が、より、リアルなものになるだろう。


なにしろ、目で、肌で、磯のそれを感じる事が出来るのだから。
その意味では、土日など、二日連続でチャレンジできるアングラーは幸せだといえる。
とはいえ、なかなか自身はそのピントを合わせる事が出来ないでいるのだが。



心配したのは 「風」 だけであった。
立ちたい磯はもう決まっている。

そう、昨日、あまりの風にただ笑うしかなかったそこであった。
天気予報では風は少し落ちるとの事。
しかし、予報の風速など何の確証もない。
事実、その場に向かう、約15分間で激変してしまったばかりなのだから。

しかし、ただ心配をしていてもしかたがない。
とはいえ、読み間違えれば、この日の最高のチャンスタイムを棒に振る事となる。
釣れないのも残念だが、貴重な 「海況」 の答え合わせが出来ない事はもっと残念だ。

せめて、釣りが成立するギリギリの状況であってくれたならと願う。
ともかく、その海へと早速向かうのであった。










 しばらくして、いつも様子を見る地点へと到着する。
相変わらず、北西風が時たま唸りをあげてはいるが、おそらくやれない事はないだろう。



「Takaくん、行ってみようと思うけど、良いかな?」
そんな風に氏に伺ったと思う。




「ええんちゃう!? いこや!」



Taka氏の答えはいつも明確だ。
私の様にいつもウジウジと悩ましくない。
それが、何よりも有り難く、心強いのである。
















いざ、磯を歩き出すと、先程の感覚よりもう少しだけ風が強く思った。
打ちつける波の音もデカい。
きっと、良い感じに波が立っている事だろう。
険しい道を歩みながら期待に胸が高鳴って行く。
釣り座に着いて荷物をおろすのだった。




遠くの空が紫に染まり始めるまで、いつも、そっとしゃがんでその時を待つ。
吹き付ける風とは別の風が頬を撫でて行く。


ねっとりと湿るかのようなその潮の香り。

汗ばむ程の生温かさ。



まだ、真っ暗な空の下、そこに、聖なる潮の存在をまじまじと感じずにはいられない。










きっと、それが当ててくるだろうと信じていた。
勿論、明確な理由がある訳ではなかった。
ただ、その時の自身の直観だった。
今、まさに、それを肌で感じているのである。
磯歩きでかいた汗が一向にひいて行かない。
あついのは、気温だけのせいではなかった。

















空が白みだし、いよいよとタックルを握りしめて釣り座へと立つ。
刻一刻と迫るその時に向け、大きく深呼吸をした。

しかし、一向に胸騒ぎが止まらない。
徐々に徐々に、眼下に広がる大海原を見て、何度も動悸が激しくなる。


何という海だろうか・・・。
足げに通う自身でさえ、この様な海は滅多と見れるものではない。
どうしても、その興奮を抑える事が出来なかった。















力んだままでファーストキャストを撃つのだった。

暗闇がこの空から無くなる頃。

やっと、自身のルアーから目を離し周囲を見る事が出来る様になった。
暗くてまだよく見えない中、ともすれば、飛び出してしまいそうなルアーを目で追うのが精一杯だったのだろう。
そしてまた、今にも爆発しそうな水面を凝視していたのかもしれない。



ともかく、そこから目を離す事が出来なかったのである。






ふと、空を見上げると、どこからともなく水鳥達がやって来る。
あちらから、こちらから、いくつかの集団が飛来した。

気になって、それを目で追いながらある事に気付く。
いつまで経っても、それが終わらなないのである・・・。



そして、遠く彼方の沖を見てさらに驚く。
広大な、その海一面が似た状態なのであった。
あまりの数に、それらの行動の全てを目で追う事が出来ない。














そこで、比較的に近い、ある集団を凝視してみる事にする。

それは、昔見た光景と同じ様に見えた。
海中の何かを、鳥たちは凄い速さで追っているのである。



ふっと、一瞬その動きが変わった瞬間。

海面が炸裂した!!




比較的近いとはいえ、おそらく、300メートル以上は離れているだろう。
しかし、その水飛沫の飛散はハッキリとこの目に映った。
間近で見たら、いったいどれ程だろうか。



立て続けにはそれは起こらない。


だから、自身は 「ナブラ」 とは表現しない。
そしてまた 「ボイル」 であるとも言い難いのである。


まるで、火薬が爆発した様に見えた。
さながら、海上に仕掛けられた 「花火」 を見ている様であった。

ともあれ、凄い速さで、かなりの距離を飛んでそれは起きる。
(鳥の動きから、そう想像しているに過ぎないのだが。 )


もし、以前に見たそれと同じ類のものであるならば。
きっと、それに対峙するチャンスは来るだろうと思った。
また、その時は必ず来るのだと、自身に言い聞かせてもいただろう。
Taka氏と共にその光景を見ながらそう呟くのだった。














ただ、そんな様子だけをじっと見ていた訳ではない。
届く範囲にも、どうやら、少し前から何かの気配があるのだ。



だからこそ、自身が信じるルアーを丁寧に泳がせていた。
すると、どこからともなく、ギュンっと黒い影が後を追ってくる。

ガボッ!っとまるでジャレるかの様にまとわりついて水面を割った。
ルアーにもフックにもかすりはしない。
喜んで身を乗り出しただけなのだろう。
私の愛するヤツのご挨拶だ。



居たのか!!

嬉々として狙うと、不思議とその姿を見る事が出来ない。
瀬際に寄ったベイトがある程度集まるとガボッとまた顔を出す。
出ないか? と思いながら引いて来ると、また、どこからともなくルアーの後ろに着いている。


それでも、たとえ僅かでも、追って来てくれるのが嬉しかった。

追う事すら無い。
そんな日が、自身には殆どであるのだから。
やはり、今日の海は何かが違うのだろう。











自身はその後、ジグへと移行するのだった。
今一歩を踏み出させる事がどうしても出来ないからである。
足場が高いからか、潮が自身の手癖に合っていないからかは分からない。
どうしても、プラグをうまく泳がせきれないのもその理由の一つだろう。

一方、Taka氏はとても器用にペンシルを泳がせていた。
その場所から、いったいどうして、ダイビングペンシルを泳がす事が出来ようか!?
私の辞書にはない何かを持ってみえるのである。
それが釣りというものだろう。












自身のジグの釣りは、なかなか、すぐに結果となって出た試しがない。
投げて投げて、集中して投げ続けて。
いよいよ、集中力も枯れ果て、無心となってやっている頃にドスンっとやって来る。
思い返す程にそんな記憶ばかりだ。


この時、そんな過去のイメージが悪い方に行ってしまった。
あろうことか、集中しすぎていて、まわりを全く見ていなかったのである。
気付いた時には遅すぎた。
前途した様に、炸裂の主の足はとても速いのだ。











フルキャストして、やっとの事で着底させたジグを全速力で回収する。
海中から上げたジグを手にした頃。
それが、磯へと一番近づいた瞬間だった。











磯から、約100メーター沖にて、また鳥達が急にその動きを変えた。

一発! 二発!! 三発!!!と立て続けに飛沫が弾け飛んだ。


凄い炸裂だったが、そこに頭を出す奴は居なかった。
弾き飛ばされた、ベイトのシルエットを垣間見たが、予想していた大型のベイトではなかった。
おそらく、イワシの類の、小型の魚が何匹か吹き飛んだに過ぎない。
一瞬でそこまでを見て、Taka氏に向かって叫んでいた。








「届かんでええ! とにかく投げろ!!」










一瞬、氏の強烈なる殺気が私のすぐ傍を貫いて行った気がした。



現実的には、斜め後方、やや上段に立つ氏がキャストしたルアーがライナーで飛んで行ったに過ぎない。
だが、私にはそれがただのルアーとは思えなかったのである。






いつかの日の私と同じであります様に。
どうか喰います様に。




そう、祈りを捧げた刹那。

氏が絶叫した。














「ヒット! ヒット!! 喰ったぁぁ!!」








後方からハッキリとした糸鳴りが聞こえて来る。

振り向くと、焦るでも喜ぶでもない、氏の沈着冷静な顔がそこにあった。
クールだが、とても力強い印象の表情であった。
やがて、氏の声がトーンを下げて再び響く。










「ツバスや! 多分、ツバスやわ!」








いくらなんでもそんな事はないだろう!!

絶句している間もない。
その怪力によって、みるみると魚を寄せて来る彼。
嫌な予感でしかなかった。
やっと、身体を動かす事が出来た自身は咄嗟に磯を駆けあがる。








「やっぱ、ツバスやわ!」


少し笑みを浮かべて巻き寄せる彼。
その時、ふと、氏の持つロッドを見る。

凄いところからへし曲がっている・・・。
おまけに、有り得ない位に叩きまくっているではないか!!







そのまま、全力でギャフのある場所まで這い上った。
ギャフの柄を掴んだ瞬間、まるで悪寒が走ったかの様な身震いがやって来る。

再度、氏の姿を見下ろした。
一気に瀬際まで寄せて、ちょうど相手の反撃が始まったところであった。
それに全力で応戦する氏。


やはり、ツバスなどではない!!










強烈な潜航に何度かひるんだものの、渾身の力にてリフトをかけた氏であった。
魚も強いが、彼の力はもっと強い。
やがて、ためらう様にして浮いてくる魚。
もう少しだ。









おそらく、この時、彼からは見えていなかっただろう。
氏よりも、約2メーター程上から見下ろしていた私には見えたのである。



まず、頭が見えた。
大型のメジロのそれ位はあった。


体長にして、80センチは下らないであろう。
体高の高いそれは、白に近いグレーのただ一色に見えた。
水面下、約70センチ。


それが最後の姿であった。








ふいに、フッとテンションが消えた。
ガクンっともんどり打つ氏。
声にならない声が漏れる。
まさかのフックアウトであった。





未だ、それが何の魚だったかは分からない。
そして、本当にそれが 「炸裂」 の主であったのかどうかも。


たまたま、異種間で捕食の競合が生じたのかもしれない。
ならば、もしかすれば、普通なら 「出ない」 奴が我先にと喰い急ぐ可能性もある。



何にせよ、それが特別な魚であった事は確かであろう。




去年、氏との釣行で私もやっている。
氏と違い、私は掛ける事が出来なかったのだが。
もし、掛かっていたなら、そのまま磯に立っていれたかどうか自信が無い。




悔しいのは 「私も」 なのだ。
放心状態になったのは氏だけではなかった。








今、湿った気分で慰めるのは我々の間柄じゃあない。


去年、確か、彼からはこう言われたろうか。








「Rock君、巨大な爆発が起きてんのに、フッキングも入れんと、ピクリとも動かんへんし!!」


「なんで、何もせんかな~(笑)」


「ほんと、何してんの?かと思ったわ(爆)」







おそらく、一生忘れられない過ちなのだけど。

ふっと、楽になれた一言であった。

なので、自身もまた、興奮が冷めてきた頃にお伝えさせて頂く事にした。













「Taka君、さっきのはアカン奴やなぁ!!」





「誰でもが出会える奴やないで~」




「何年かに一回、あるナシの魚やできっと!!」












それをなぁ・・・




















































ポロリ って。













































ポ・ロ・リ











































無題






















ぽ  ろ  り ヽ(^o^)丿





















我ながら、謎の大物を 「ポロリ」 というセンスに脱帽である。









 








それでは




















追記


ポロリ をどうしても書いて欲しいという氏の大きさに、

感動すらおぼえました。




Takaさん、やっと書きました。





また  「UNLIMITED」  行きましょうね!!