6月17、18日の日記













迷いの中にいた。


通う程に分からなくなる。
楽しいというだけではない。
想いが深いからこそ辛い。
しかし、考える事を止められない。


嫌々ではないのだ。
それは、心が求めるから。


悔しいからこそ。
行き場の無い感情があるからこそ。
次の休みに向けて研ぎ澄ませて行く。


自らの釣行と。
そして、偉大な仲間たちのそれを差し引きして行く。
予感とか直観とか、そんな恰好の良いものではない。
ただただ、自身が竿を出してみたいという衝動に正直になってみただけの事。
思い返しても、それしか言えない自分がいる。












沖磯へ渡りたいと思った。

もしかしたら、私が好きな魚達の4~5種類のいくつかに出会えるかも知れないから。
あの磯ならば、あれとあれが有るかも知れない。
また、あそこならば、沖の潮が突けばあの魚が有るかもと。
夢想だけが輪をかけて膨らんで行く。


しかし、夢を求めているのは我々だけではないのだ。
ここに来る、全ての釣師の胸にそれがある。
餌とか、ルアーだとかは、全く関係が無い。
今日、釣りをしたいと思う方が何人いらっしゃるか?
残念ながら、自身にはそれを読む事は出来ない。



故に、更に掘り下げて立つ磯を考えた。

それは、今まで行きたいと思った磯ばかりではなかった。
人が良いと評判しないから、B級、C級か?と言えばそんな事はないだろう。
そもそも、この海域こそが超一級なのだから。
コツコツと機会がある度、自身が感じた事で絞って行った。

最終的には、お客さんの数と当日の海で決める。

それもまた運命である。



















今回も、良き相棒で、良きライバルである、Taka氏がおつきあい下さった。

スッキリしない予定につき、確実にヤれるのは釣行初日だけとの事。
それがまた、行先選びの良いプレッシャーとなる。
渡船屋に着き、とりあえずは店内に入る事にした。


まず、真っ先に目に飛び込んで来たのは、
以前にお会いしたベテランのルアーマンの方々であった。

三名ほどいらっしゃるご様子である。
ご挨拶をして、立たれたい磯をご確認させて頂いた。
もし、我々を含めると既に5人となる。
もう、狙いはこの時点でアウトである。




他にお二人、それらしき人がいらっしゃった。
お声をかけると、この方々もルアーで夢を求めておみえになったらしい。
おそらくは、あの魚とあの魚、もう一つはあの魚狙いであられるのだろう。
ならば、きっと行きたい磯はそこに違いない。





ふいに醒めて行く自分。

予想よりは多いものの、当然に想定した状況であった。
だからこそ、プランBも、プランCも練って来たのである。
更に言うと、今、皆が目指している磯に渡れる保証は全くない感じであった。

時化てはいない。
嫌な風があるとかでもない。

おそらくは 「潮流」 なのだろう。
潮が強いからこそ、それが瀬に強く当てているのだろうか。
もし、そこがダメならば目も当てられない。
狙いを定めた、底物の方もいらっしゃる事だろう。
ならば、良くて、定員オーバーにてA磯。
あぶれれば、地磯で頑張って欲しいと言い渡されるのみだ。
それを鑑みてこそのチョイスであった。




「Takaさん、あの磯とその少し隣が見える?」

そんな切り出しにて、彼とのこれからを相談して行く。


二つに一つ。


自身の胸にはもうそれしかなかった。
あとは陽が昇り行くのを待つだけ。
微かに見える水面にて決める。






出船間際になって、最終的な決断を船頭にお伝えする。


「厳しいとは思うが、頑張るのはお前ら自身やでな。」



船頭はそうおっしゃった。

本当に有り難い!!
乗ったらええやん!と言ってもらえる事。
ただのサービス業なんかではないと自身は思う。



「金を払うのはこっちだ!」



そんな思考をする方々には分からない事。
きっと、通い続けないと分からないものがある。







































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ひとえに。
この潮の中で、Taka氏に竿を出して欲しかったのです。

過去のあの日。
先輩は私を連れて行って下さいました。
その衝撃は今も消える事はありません。

相棒と共にその中で釣りが出来る事。
これからの数時間、夢に向かって一直線でいられる事。
それだけでも意味があると思いました。













いつもよりもゆっくりと準備をして行った。
磯の上には我々しかいない。
急ぐ理由も無いだろう。
否、それよりは、広がる海に目と心を奪われていたというべきか。
凄いなと共々の口からそれが漏れる。



「Takaさん、まずは何結ぶの?」


そう聞くと、予想通りの答えが返ってきた。
それは、これから私が投げようとするものと同じであった。
一緒に通っているのだから、そんな感性が似るのも当然かも知れない。
うん、今はコレしかないよな!
そう言って、ほぼ同時にファーストキャストを撃った。

















一投目にヒットを得たのは自身である。

少しだけダイブさせ、その身をくねらせた瞬間のバイトであった。
派手な水飛沫が上がる。
グンっと腕ごとひったくるその感じ。
リーリングを止めればヤツも止まる。
懐かしいこの感じはシイラに間違いはないだろう。



続いて、Taka氏にもヒットする。


「Takaさん、シイラ来たかい!」


何の疑いもなく、ダブルヒットを喜んでそう声掛けをしたつもりであった。


いつもなら、即答する氏の声が聞こえない。








二呼吸ほど後、堰を切った様に氏が叫んだ。



「何かコイツ潜るで! 青もんや青物!!」



正直、マジかと思った。

私は掛けたシイラを寄せている最中だ。
気になるので、無我夢中でリールのハンドルを巻く。

横目で彼の方を窺った。
やはり、ラインの角度は鋭角的であり、氏の持つロッキーショアがしっかりと曲がっている。
どちらにせよ、早く自身の魚を取り込まなくてはならない。


ギャフなど用意している間が惜しい。
抜くのが怖いサイズではあったが、そこは勢いに任せ躊躇なく抜いたのだった。
一瞬だけ磯上に置き、すぐさまロッドにて宙吊りにする。

何よりも魚を傷めたくない故の事。

そして、ルアーを強打させる事を防ぐ為である。
かなり、ロッドに無理をさせているのだが、そこは出来る限り譲りたくない部分なのだ。
しかし、激しく暴れる魚に手元が狂ってしまう。


結果、魚を捉えていない針が私の太ももへと突き刺さった。
そのままで暴れるシイラ。
早朝から一人、オッサンが黙って白目をむく。
運良くも、もう片方のフックがライフジャケットのポケットに刺さってくれた。
かろうじて、負荷と痛みが軽減する。




その間、Taka氏もしっかりとファイトをされてみえた。
まったく、チラ見しか出来ないのではあるが。
やみくもに竿を曲げる事なく、時に強引に、時に緩やかにと攻めてみえた。
やがて、海面へと伸びるラインが間近へと迫る。
氏はちゃんと勝負どころを知ってみえる様だった。
瀬の内側へと潜ろうとするヤツに全く妥協を許さない。
ふいに、まるで諦めた様に抵抗をやめる魚。
ポッカリとその姿を海面へと見せたのだった。










Taka氏の場所からは未だ見えないはずだ。

まず、私がそれを見た。
グレー色の魚体にやけにクッキリと見える黄色のライン。

もう、見間違う訳がないじゃないか!


私は叫んだ。

そして、それに驚いて氏も叫んだ。


青物だと、冷静沈着に対峙していた姿はもうどこにもない。

当たり前だろう。

我々には幻の魚なのだから。









すぐに駆けつけてやりたかった。
ギャフを持って走りたかった。
しかし、自身は今尚、腿にシイラをぶら下げたままなのだ。
メーターは下らず、ポケットで分散されているといっても。
6キロ強のめかたを身で吊るしているのである。
そして、激しく暴れる。
全く動けなかった。



氏の魚ももう限界だろうか。
否、氏の精神力がそうであったかも知れない。

やむなく、私は氏に向けて言い放った。


「抜いてくれ。もう、抜くしかない!」




静かにそれを行ったのが余計に現実的に思えた。
胸の鼓動は限界へと達していたろう。
いったんは磯上へと登る。
しかし、暴れるそれは再び海へと落下した。
そして、細い岩のくぼみへと挟まってしまう。






今の彼にはもう無理だろう。

そう思い、まず、我が身を引きちぎった。
ライフジャケットは、貫通したその二点をハサミにて切断した。
痛みと興奮で朦朧としながら、ギャフを片手に氏の場所に歩み寄る。

魚は既に海からは上がっていた。
しかし、そのくぼみには魚が大きすぎるのだ。
ギャフを掛けようにも捉える事が出来ない。
魚は動き、ズリ、ズリっと下へと滑り落ちて行く。
万事休すであった。


やがて、しっかりと貫いていたはずのフックが抜けた。
それでも、まだ、そのくぼみには魚が残っていた。
身を投げるかの様に磯を駆け下りようとする氏。
その瞬間、魚は海へと帰ってしまった。











二人して、まったくの放心状態に落ちる。
しかし、次の瞬間には互いに我にかえっていたろう。
まだ、1投、2投しかしていないのだ。
あまりの事に真っ白にはなったが、間違いなく、釣りは始まったばかりなのである。



そして、釣りを再開した。
2投目、3投目にも私にはシイラの激しいバイト。

しかし、氏は違った。

強烈なランをするりと交わし、まるで、遊ぶ様にして寄せて浮かせる。
腕っぷしが強すぎて、はたからはそう見えてしまうのだろう。
今度こそ逃さない!
持っていたタックルを放り投げてギャフを掴んだ。
二人で、息を合わせて激流の中にタイミングを見る。
そうして、一撃で貫く事が出来た。















































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南紀 ヒラマサ 82センチ!!!


Takaくん。

まさかだったよな・・・。

手も、足も、全身が震えていたよな。


本当におめでとう。
交わした握手、今も忘れへんよ。
手首掴みやがってー(笑)
















私も負けてはいられない。

自身の信ずる動きで誘う。
チュボっと小さく、波飛沫がごとくのバイトが立った!
遅らせ気味にフッキングを入れる。


ギャッ、ギャギャッ。
ドラッグが強すぎるのか、気持ちよくそれが出てくれない。
滑りやすく、また、平坦なところが無い今の場所ではそれは命取り。
のされて、もし、バランスを崩せば海へと落ちる。
ふいに怖くなって、ドラッグノブを逆転させて行った。
それに手こずり、気持ちよりも多く糸を出しすぎてしまう。
私には、Taka氏の様に怒らせないファイトも。
彼の様な強靭な肉体も無い。
必死で寄せるも、足下にうっすらと見える沈み瀬へと行かれてしまった。








デスダイヴ か!?

そう思う程に魚は動かなくなってしまう。
そして、いつもの様に覚悟する。






今まで。

根に巻かれたり、瀬に入られて来た事は幾度かあった。
それが、ツバスだった事さえある。
サイズに関係なく、いつも、壮絶な気分でただ全力で挑んで来た。


獲れた魚はおそらく。
我が 「気持ち」 だけで獲ったのだと思う。

もちろん、最初は経験など無かったのだ。
分からないから無理をした。
強引に勝負を掛け、身切れさせてしまった事もある。
かろうじて、ラインブレイクだけは免れていた。




動かなくなった魚とつながりながら、そんな、あの時の記憶が甦る。
駆け引きなのだ。
文字通り、それしかない。

止めたり。
弱く出たり。
時に強く行ったり。


リーダーだけではないだろう。
この深さならば、ほぼ、間違いなくメインも擦れているはず。


今までやって来た事を。
実釣も、自宅での釣りも、その全てを信じるしかない。
私だけのその組み合わせに。







































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20140617_081127 - コピー















獲った!!


魚が死んでいて。
リアルタイム感に乏しいのは、携帯カメラが不調だったからです。

本当は満面の笑みで最初の一本を抱いていました。
クーラーへとおさめてから、しばらく経って撮れていない事に気付いたのです。
残念ながら、その身体は曲がってしまいました。
けっして、奇形ではありませんのであしからず。









ヒラマサ 77センチ 80センチ !!!







二本ともが同じ様に沈み瀬へと行ったのです。
その存在は初めから分かっていました。
それが、Taka氏と来た、僕なりの釣り座の選択でした。
厳しい勝負に打ち勝った末の釣果。
感無量でした。




やったね!!










いつもの様な順序とは行かないのだが・・・。


一本目を獲った時点で、ステラに巻いているラインもリーダーもささくれ立ってしまう。
換えスプールは未だ持ってはいない。
新たに、結び直している、時間的な余裕も無いと思った次第である。
故に、愛する、ドッグファイトにて更なる勝負を挑んだ。






次も同じルアーでは面白くない!

これは 「二本目」 を目指すのには、まさに断腸の思いであった。

何かは分からないが、今日の状況に合っているからこそのヒットであろう。
間髪入れず、急にパターンが変わるという事は稀ではないか。

しかし、こんなチャンスは滅多とないのだ。
少なくとも、私にはまったくヒラマサに縁が無かった。
だからこそ、確かめておかなければならないのだ。










結果、15センチ~18センチまで、選んだルアーの全てにヒットがあった。
僅かに、レンジも変えてみた。
アクションに関してはかなり違えたつもりである。


厄介なのは、シイラとヒラマサが混泳しているという事。
おまけに、チェイス、バイト時のヒラマサは、
その色といい、バイトの出方といい、シイラのそれにソックリだ。


掛けるまでは分からない。



激流の中、シイラを掛ければ取り込みには時間を要する。
運良く、海の中でリリースが出来ればまだ救いだ。
抜けないサイズならば、ギャフを用意してのランディングとなる。
シイラにも申し訳ないし、その時間が惜しい。



そこで、W氏のエピソードがふいに脳裏をよぎる。
彼は実際に、ハマチの群れの中でブリばかりを目の前で釣り分けて行かれたのだ。
はたして、磯の王者を相手に、私がそれを出来るものだろうか?






結果、驚くべき事に、掛けたのは全てヒラマサであった。
しかし、分からないからこそ、1テンポ、2テンポ遅れた対応になる。
フッキングを入れてしまっては、それをランディングするしかないだろうと。
だから、潜るその時までは入れないでいたのだ。

まさか、思いつきでやった事がそんなにもハマると誰が予想できよう。

2テンポほど遅れ、つんざく様にして底へと走り行く魚。

ランが収束した途端にフッとテンションが消えた。



獲れなかったヤツを二度掛けた。

そのパワーは、運良く手中に収まったヤツらの数段上であった。


シイラとの混泳、奪い合い。
後ろ髪引かれる気分だが、それなくしては出会えなかった魚達であろう。
誠、貴重な体験をさせて頂いた。





































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ヒラマサが消え、ジグにてアプローチをする二人でした。

表層にはシイラが殺気立っています。
もし、あるならば、彼らのその更に下の層でしょうか。


Taka氏はここでも冴えわたります!
ジグでの初の釣果となるメジロ。
潮に合った、スローなロングジャーク!!

この人は本当に凄いですね。

おめでとうございます。

ヒラマサ、メジロを獲っても。


永遠の
 「ハマチ野郎」 でいて欲しいものです。



心からそう願います。

































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イエーイ!

僕はやっぱりシイラさんばかり。

そこで、潮の緩みをそっとネチコク狙ってみたんです。



チカメキントキさんの仲間ですかね!?
































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はっっ!!


シャッターを押すと急に色が変わりました!


綺麗な赤ですね~


煮付け。
最高レベルの旨味でした。


やったね!

































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どうしても、Taka氏が書いて欲しいというので。


ジグにて三連発あったのです。

まず、ボトムにてドスン。
落ちそうになりました。

急激に走り込んで、パッとフックオフしてしまいます。
私はついにヤツがやって来たのだと思いました。
二投目も同じ感じでした。


最後の一発がこの写真です。
ドラッグを様子を見ながら絞り込んでみました。
最終的にはロッドのグリップから曲がっていました。
これ以上、力を掛けることは無理でしょう。
やむなく、ラインをカットせざるを得なかったのです。


おそらく、正体は爬虫類であったと思います。
海面には見た事もないほどのそれが浮いていました。

少し沖ではイルカが乱舞しています。
まったく、さながらシーワールドの様でした。

そして、三人態勢での謎の漁船が近づきます。
先端の方は大きなモリを持って何かを目で追っていました。
そんな船が二艇。
時に、エンジンを全開に咆哮させて何かを追うのです。


イルカとのダブルパンチ!
三時間ほど、シイラまでもが消えてしまいました。
我々が居ても、瀬際までおかまいなしです。
誠に残念な気持ちになりました。


































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沈み瀬から引き出した後の姿です。

驚くべきは、リングの曲がりです。
「106lb」 のそれをもってしても。
この様になってしまいました。



柔と剛。

来たるべき時に備え、家での釣り、そして、実釣を精進してまいりたいと思います。








沢山書いたので二日目は後日。




それでは









My Tackles


Rod   MC Works WILD BREAKER 103HS
Reel  SHIMANO 13 STELLA 10000PG
Reel    DAIWA SALTIGA Z6500 DOGFIGHT with Z6000GT Spool
Line   YGKよつあみ PE #4 (STELLA)
Line    YGKよつあみ PE#5 (DOGFIGHT)
Leader  SUNLINE NYLONE 80LB (STELLA)
Leader   SUNLINE NYLONE 100LB (DOGFIGHT)