6月17、18日の日記

後編










磯あがりは午後2時であった。

本当は1時に上がろうと話していたが、来るだろうと思っていたお迎えが来る事は無く。
更に30分ほど竿を出していたのだった。
チェイス、バイトがあるのはシイラのみ。
Taka氏も自身も。
シイラを傷つけるのは、もう、十分だと力が出なかった。









ここ最近、自身は某メーカーの 「56」 から、それの後継?へと換え始めていた。
知識に乏しく、サッパリ分からない私。
良いかも知れないから、ただ、試してみようという気持ちであった。
やっぱり、使ってみてのちゃんとしたコメントは残せそうにない。



ただ、自身が言える事といえば。






シイラさん達のナチュラルリリースが困難になった。

それ位である。










適度にラインを張り、わざとジャンプさせる様に導く。
以前のモデルであれば、それで、結構な確率にてフックアウトへと誘えたのだ。
今回は、それが、なかなか叶わなかった。

どういう事かは分からないが。
良き方向へと向かっているのかも知れない。







ともあれ。

興奮して叫び過ぎて、声が枯れてしまった。
おそらく、人生の中でこんなにも 「ヒラマサ、ヒラマサ!」 と言った事はないだろう。



何度も述べるかも知れないが。
私には、本当に縁が無かった魚である。
先輩や釣友の釣果を聞き、本当に羨ましかった。
教えてもらって、ほど近い磯へと立った事もあった。
それでも、彼らに出会う事は無かった。




今回の題名である 「Livin' On A Prayer」 であるが。
単に、大好きな BON JOVI の曲であるというだけではない。




私は祈りながら毎日を生きている。
少なくとも、自身は幸運の下に生まれた訳じゃない。



持ってもいないし。
釣りの技術も半人前。





ただ、南紀の海が好きで。
自分なりに近づきたいと努めているだけだろう。


痺れる様な魚に出会いたい。
そう、強く祈る!
そんな想いから、そう題名させて頂いた次第である。















誠に残念な事に。

Taka氏との二日目の釣りは叶わなかった。
ここに残りたいと思う、氏の気持ちは嫌という程感じていた。
そもそも、普通ならば来れないところを合わせて頂いたのだ。


それは単に、Taka氏が釣りをしたいからではないだろう。
危険な釣り、厳しい磯であるからこそなのだ。


独りではなく。

互いに力を合わせ、リスクをより少なくして楽しめたら。
そんな、想いで考えていて下さる。
だから私も。
彼の安全と彼の釣りを第一に思う。
出会えた縁を大切にしたい。

















仲間達もまた。

我々の釣果を祝福して下さった。
何よりも嬉しい。



出来る事ならば。

仲間の全てとそれを分かち合いたい。
しかし、現実には、なかなかそうも行かない。



明日は朝から雨模様。

おまけに。
低気圧だか、温帯低気圧だかが、珍しくも 「台風」 へと再び姿を変えるそうだ。

天気予報はもちろん荒れ模様。

スマートフォンから分かるのはそれ位の情報しかない。


素人だからこそ、それにビビッテしまう。
明日は渡船も欠航ではないだろうか。




否。

きっと、そんなのは関係がない。


地にはたして立てるか!?


身体を休め、薄れゆく意識の中でそれを思うのだった。
懸念していても仕方が無いのである。
目覚めた時、海がどうかでしかない。













予定通りに起きる事が出来て。
いつも通りの朝の儀式を済ませて行った。
荒れている海は怖い。
怖いながらにどこか立てそうな場所は無いかと思う。
私、独りの釣りとはこういう感覚なのだ。











いつもの駐車スペースまでたどり着くと。

彼の車が停まっていた。
特攻隊長のものである。





嬉しいので、そのままご一緒させて頂く事にした。

しばし、これからの磯を思う。
大雨にも関わらず、海は静かなもの。


悩んでみたものの。
私には閃かない。
有りそうで無さそうで。
朝二、朝三の回遊もふまえての磯へと下りるのだった。













しかし。
いったい、なんという寒さなのか!!



思えば、車中泊の最中も震えて毛布にくるまっていたかも。

使い古した、ゴアという高級素材は何ら機能してはいない。
合羽が濡れると同時に、冷たいものが身へと触れて行く。
それでも、磯を行けば、当然に汗ばむのだ。

少し休み、タックルを紐解いた時にはもう寒い。
そんな中で、今日の釣りがスタートする。













W氏のキャストと共に今日が始まった。

ここでの、氏との釣りはおそらく初めてだったろうか?

「引出し」 なんて言葉を使いたくないほどに、それを持ってみえる氏である。
勿論、ファーストキャストは何をどうするかは気になるのだった。









私はといえば。

あまり考えず、好きなルアーを結んだのみである。
欲しいのは、あの魚とあの魚。
あの魚よりは、血の気が多いアイツかな~なんて魂胆。
状況をかえりみる事無く、自身の欲求にただ素直になるだけである。













W氏にも。

私のアプローチにも。

何かの魚は反応した。











ヒットこそなかったが、モジリだか、そのチェイスを垣間見る。
それ以上に。
バイトもあった。
しかし、掛けるまでには至らなかった。








間断無き、まとまった雨。
強く当てる北東風。
気持ちよりも先に。
その手を止めてしまう寒さを芯から味わったのだ。



今は無くとも。




この先、何があるかは全く分からない。
そういう場所へと来ているのだ。



しかし、その気持ちを削ぐほどの天候。
私だけなら我慢したかも知れない。









否、自身が、ただ、思いつめただけだろうか?
W氏の事を案じると、我慢するだけでは行かない自分がいた。

氏の心中を、全て察する事は叶わないだろう。
ただ、顔色を伺う事しか出来なかったかも知れぬ。
おそらく、先輩もまた私を気遣っていて下さる。







今日はもう潮時かなと。
そんな風に思って、自身は 「気」 を捨てる事にした。
このスーツ、ライフジャケットを脱げば、おそらく、もう次は無いだろう。
冷水を浸し切ったそれをそっと見た。











それでも。
その場を分かれてからも、互いに可能性を探そうとしたのだろう。
めいめいに気になる場所へとハンドルを切った。


私が向かった方面には。
あらためて、装備するだけの気持ちを得られない水面が広がっていた。
そこで、殆どの気持ちを 「帰路」 へと移転させる。





さあ帰ろう。

そう思った時、朝から見えていた、白長靴の二人が目に入った。







あれは。

きっと、懐かしい友の姿に違いない。
急ハンドルにてそこに入る。
降り注ぐ雨など、おかまいなしにドアを開けて向かった。











やっぱりそう。

いつかのお二人がそこにいらしゃっるのだ。

おもえば、もう、三年と少しぶりであろうか?
周参見の磯で初めて出会った二人。
嬉しくも、驚いてしまったあの時である。













お互いに物書きなのだから。
今は躊躇なく言える。






ヒロさんとチョボさん。








磯好きのあなたも、きっと、インターネットごしにその名を見た事があるのではないだろうか。












あれから、彼らはどうしてるのかな?

うとい私はそう思っていた。

「彼女」 のブログを知ったのは最近である。





嬉しかった。

二人の情熱は、途切れる事が無いでいる。






そして。

羨む様な魚と出会われてみえた。

しっかりと釣ってみえる。






僕は迷いながら今を生きているけども。

はたして、ずっと、磯に想いをはせてはいなかったかもだけど。





その一つ一つを、お二人で積み重ねていらっしゃった事。










それが、本当に嬉しかった。

厳しい天候の中。
ズブ濡れになりながらも、嬉々として光るその笑顔が物語っている。


















 Livin' On A Prayer





釣れなくとも、弛む事なき様に。
愛する、南紀の海での一期一会の出会いを信じて。






自身同様の。



駆け出しのロックンローラーに届けばと。








お二人の日記を。


敬意をもって、LINKさせて頂きます。







それでは