9月10日の日記









「一週間」



おそらく、これほど長く感じた事は無いだろう。







先日の釣行の最中からも。

そのカウントダウンは始まっていたと言っても良い。



まさに 「ピンスポット」 となった、その情報の正確さに驚きを隠せない自身であった。

そして。

どうしても、その場で。

感じておくべきだった獲物の話。


何故、あの時にそれに向かわなかったのかと。

幾重にも幾重にも、後悔が訪れたのである。












前々回の釣行で。

あろう事か 「三度」 もいっぺんに敗北を喫した。
何も出来なかった!といった類のブレイクではなかったのだが。
ベールを返し、ラインをやるという自身の判断ミス。
経験則から、安直にそれを選んだ自身が悔しくて仕方が無かった。

こんな私でも。
誰かと比べてではなく。
自身の釣りへのプライドはある。


フックアウト等で敗れた事は数知れないのだけど。
本気の攻めに、ラインを切った事は一度しか無かった。
鮫や爬虫類を除き、純粋なる魚相手の話しではあるのだが。
おそらく、強靭なタックル、太いラインでの過信が、その誤った判断を生んだのだろう。
メインラインがヤラれれば、ひとたまりもない。
至極単純な事なのだ。
自ら、そうならない様なファイトの 「真逆」 を選択したと言える。
もし、擦れても、ガリっても、喧嘩上等の判断であったならばどうだったろう?
いわんや、後の祭りであるのだが。









よって。

前回の釣行もまた、更に強気に出る事にしたのである。



タックルはそのままとして。
メインには6号。
リーダーには某V社の 「同じ号数表記でも著しく太いもの」 を選んでみた。

試行錯誤して通ってみえる皆様の中には。
きっと、多くの方が、
メーカーの違いによる、実際の 「太さ」 の相違に気付いてみえる事かと思う。


ちなみに。

私は鮫肌にてそれを痛烈に感じたものである。
知らないが、引っ張り強度などは問題ではなかった。
ヤスリの様な肌にいかに耐えられる事が出来るか?

はたして、それが1秒なのか。
5秒もつのか、10秒、20秒と耐えれるのか。


畑違いの事ではあるのだけれども。

海で。

そして、釣りで。


感じた何かは無関係だとはとても思えない。

全ての釣りは繋がっていると信じてやまないからである。


たとえ、それが岩などが相手であっても。

素材自体の丈夫さと。

いかに直径が太いかだと思うのである。


硬く、より太いものであるならば。

きっと、僅かばかり、破断するまでに時間が掛かるだろうと。













しかしながら、そんなにも簡単に行かないところがもどかしい。

例えば。

トップガイドの外へと出した、垂らしの部分に選んだならば。
300lb も問題無く、キャスト出来るだろうと思う。

しかし、それでは長さが足りなすぎる。





長さをどれだけとるか。

そして、それは大きな障害なく、ガイド間を無事に放出されるのか。

はたして、キャストが出来たからといって。

ルアーアクションはどうだろうかと。



獲る事ばかりを優先して考えて。
肝心要の 「掛ける」 という事を忘れてはいないか?


そして、ドラッグをどうするか。

出さないファイトには必ず限界がある。



それら全てを。

自身の中でうまくバランスさせる、
極めて、狭い一点こそに妙があるのだろう。

おそらく、そこに自身の 「釣り」 というものがあるのだと思う。

分からないながらも。
一つ一つ、探して行くという事。
一生を捧げる価値がある営みなのだろう。


















前置きがとても長くなったが。

これらは、前回の釣行のテーマでもあった。
悲しいかな、うまく、魚と対峙出来ないならば。
ただの、キャストテストと変わりはない。





「一週間」




もう、私にはチャンスは無いだろうと覚悟した。


一日、一日とカウントダウンにて灯は消える。


消える?

消えるのか!?


全てはベイトの動向と共に。


諦めかけた今、ラストチャンスの言葉が脳裏を駆け巡るのだった。

















こんな事、我が南紀人生で初めての事だった。



怪物だ。



驚くほどの巨体へと到達する青物において。
自身はモンスターだなどと表現はしないでいる。
今回ばかりは、そう言っても罰は当たらないだろうか。
知らない私だから問題はないだろう。









釣りである以上、結局は釣り手の技量なのだろう。

沖磯にて。
7メーターからのロングロッドではあるものの、いわゆるフカセに近いタックルにて。
メーターを超える、スジアラを激流下において足下まで浮かせた方を見た。
詳しい事は知らない。
でも、そういう事なんだと思う。




腕が無い自身は。

ひとまず、全てを道具に依存してみようと考えた。
この際、体力なども度外視である。


どうせなら。

もう、とんでもないものをと思ったのである。
細かい微調整はとても難しい。
思い切り、果てしない幅でぐっとゲインを上げる。
ROCKの音作りでも自身はそうしてきた。
それでこそ、分かりやすい事もあると思っている。






ともかく。

まず、調べに調べた。
他人様による、試行錯誤の歴史を即席で紐解いて行った。
意味があろうが無かろうが、正直、そんな事は気にしない。
今までだって。
どんな釣りを独りで始めるのだって。
名人の術を分かる範囲で模倣してきたろう?
それでいいのだ。
自身の成長元年である。
ブチ壊し、真っ白にしてみて。
それから、今までの事と照らし合わせてみたらいい。









正味、二日間にて。

多忙な時間の合間に奔走した。
まず、行きつけの店にて。
買えるだけの強力な素材を買いあさったのである。
実際、3店舗巡るだけに。
一日一時間、二日間の時を要した。

そして。

見よう見まね、想像やオリジナルも合わせてシステムを編んで行った。


勿論、不器用な私に組める訳が無い。

何度も何度も何度も。

結んでは切るという作業に明け暮れた。

まず、見た目がきちんとなっているか?


強度などを求めるのはその次だ。
結果、そろえたスットックはほぼ底をついてきた。
組めるのはきっと、あと、5回か6回だろうか。
実釣の前に最低でも投げておきたい。


全力をかけて、破断試験を行う。
次は実際のキャスティングだ。
恐ろしいシステムを組んではみたものの。
投げるルアーはその釣りとは似ても似つかないものだろう。
おそらく、その、半分の重量にも満たないものを結ぶ。
その、ミスマッチ、アンバランスさがまたたまらないのだ。
抜けるものも抜けない。
しかし、諦める訳にはいかない。







結果、真夜中の津の海へと向かった。
釣り人らしき方が来た時にはドキっとした。
勿論、恥ずかしくてである。
210lb、10ヒロからテストを開始。
6ヒロにて安全圏へと入り、4ヒロで実釣可と判断するに至った。
尚、当日のチェックにて判断しようと竿を置いた。












仕事等の心労。
こうした、夜を徹した家での釣りによって。
おそらく、私の身体は衰弱して行ったのだろう。
あろうことか。
仕事中、意識が遠くなる。
耳が遠くなり、顔の半分が熱くなった。
目が回り、平衡感覚が無くなって行く。
最後にはまともに立っている事すらままならない。
這う様にして、南紀特急のシートへと横たわるのだった。
あろうことか、待ちに待った夜を失った。

















火曜の夕方。

無事に南紀へと辿り着いた。
まだ、陽は沈みきってはいない。
おそらく、初めての試みだったろうか。
ポイントを調べに下りてみた。

思う、釣り座は全部で四か所。

我が目線にて、その二十分に全てを注いだと言ってよい。
明朝、どこに立つか?
全身全霊で考えた。
結果、あえて、ルアーアクションは二の次とした。
「角度」 と 「足場」。
そして、沖の瀬へと思いは巡る。
まったく、状況など分かってはいない。
はたして、フィーディングスポットがどこなのか?
分かろうはずもないのだ。
掛けれなければ、試合すらもが始まらないのである。
「獲る」 という事だけに執着するパラドックスに飲まれそうであった。
否、自問自答を繰り返しても。
ここであると心の声がした。
一瞬の煌めきにかける。









漁港へと移動して、最終のチェックに入った。

はたして、リーダーをどれだけとるか。
瀬ズレの恐怖が幾度も脳裏をかすめたが。
リアルタイムでのライントラブルほど痛いものもないだろうと。
最終的に3ヒロ強、約、5メーターを巻きこむ事にした。

ここで、システムのノットにとめどもない不安が沸いて来る。

唯一、納得がいかなくて妥協点とした部分があった。
破断テストにおいては、15キロ程かけたがブレイクは無かったのであるが。
瞬発的な引きに対してもつかは不明であった。
もう一度、詳しく、詳しく、文献を読み進めた。
その結果、自身が大きな勘違いをしている事に気付く。
私が思っていたそれは。
実は誤った結束法であった。
根本から違う。
同じネーミングでも、解釈は二通り以上が存在している風であった。
これにより、全ての素材は底を尽きる。
今巻いているものと。
かろうじて、換えスプールに巻いたものが最後であった。

















夜が明け。


両隣の方々にバイトが相次ぐ。
ブルーランナー達は一つではなかった。
混在、混泳して喰らうのである。

あまりの興奮に時系列が曖昧だ。


yaku氏は掛けた。
それは、まぎれもない青物であった。

もう片方のアングラー達もあった。



そして自身は。

ペンシルを魅力的に泳がせる事が出来ない!

おそらく。
それは、想定範囲の外ではなかった。


だからこそ。

どうしてもと、道中にルアーを仕入れてあった。


ゴン!っと喰らう。




ハマチ!?だとうそぶいた刹那。

苦慮の末に決めたドラッグが火を噴いた。






狂おしい程の音を立て。

逆回転して行くそれを半ば冷静に見る。

ランの最中、いかように瀬に触れているか。


二度、三度と違和感はあったが。
気になるものではなかった。


やがて、その走りを竿で静止させて反撃を開始。

一気に浮かせた。


しかし、残る力で右手のお二人の前へと流れた。



本当に申し訳なかった。

貴重な時合を奪ってしまった事に。



水面へと浮かせる頃に勝利を確信する。

















姿を見て。

全てを悟るのだった。



鮫であった。







抜けている。

夢中であった私には分からなかった。


ただ、ご迷惑をかけただけの事に。



そして。

鮫を傷めてしまった事に。




心の底から落ち込むばかりであった。












反省すべき事は全てだ。

1000歩譲って。


肯定的に思うならば。



チャレンジ出来た事だろうか。


皆はブルーランナーを手にされた。


破天荒な釣りをした自身だけが無かったのである。




同じ様なルアーを。

同じ様に動かしているつもりでさえ。

僅かの差に妙があるのだ。





今回、身につけた事。
そして、全力でトライした記憶。

あの日を思い出すには充分すぎたのである。






















































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初めて、磯に立ったあの日。

分からなかったけど、精一杯で挑んだでしょう?










忘れてはいけない本当の事。





それでは