2月10日の日記














船からの
ルアー釣りをしてみたい。

どうにも、そんな気持ちが生まれる。










子供時代、父親に連れられて。
沖へと向かった事はあった。


昨今、流行のカヤックなど、まだ見ぬ時代の話である。




たまに見かけるのは。
リョービか何かの、小さい、黄色いボートが僅か。
それ以外の 「マイボート」 は殆ど無かった。


今思えば、父は先見性に優れていたのだろうか。



おもむろにディスカウントショップに出向き。
安価だが、とても丈夫そうに見える、アキレスの四人乗りを買ってきたのである。
それは、ゴムボートであった。









親子ともども、何も知らないままに初の航海。

運良くも、越冬ギスの溜り場を発見する事が出来た。
「ヒジタタキ」 をこれでもかと!得る事が出来た。

我々のその姿を見て。
遊漁船たちがそこで釣りをさせたし、一艇、また一艇と同じ様な船が増えて行った。

私にとって、親父はヒーローであった。














とはいえ、自身はその釣りの度に船酔いする。
湖畔の様な海面でさえ酔った。
船は底なしの可能性を秘めていると思いつつも。
その辛さに、いつしか、同行する事も無くなっていったのであった。










三重、南紀での釣りをする中で。
度々、昔の記憶が甦る事はあったのだが。
やはり、その辛さを思い出してしまう。

有り難い事に。
磯渡しの 「渡船」 では何とか踏ん張っていられた。
磯へと渡してもらう為、幾度となく魅惑的な海へと出たが。
その度、あぁ、ここで竿を出してみたら面白いだろうなと思う事があった。








おそらく、そんな想いが、少しずつ積り重なって行ったのだろう。
沖でルアー釣りがしたい!
それが、急加速をして行く。


















自分なりに少しずつではあるが、オフショアでの釣りを調べてみた。

実際に経験する前の事であるから。
それは、全くのイメージでしかなかったのだけど。
少しずつ知る程に。
やりたいという気持ちが増す一方で。
とても、抵抗を感じるというのが 「素直」 な気持ちであった。










所謂、船頭に釣らせてもらうという感覚。
独りで陸を駆けずり回って、少しずつ、少しずつ、自分が釣れる魚を探して来たから。
船に乗っても、せめて、その様でいたいと思うのだった。




そこで、気持ちと、手段が闘う。
昔の親父の様に。
自身の船を手に入れ、沖にと出れればどんなにか幸せだろう。

悲しいかな。

今の私には、その様な財力は全くない。






調べ行くうちに。
レンタル船というものの存在を知った。

紐解けば、かなりメジャーな釣りであり、多くの方が楽しんでみえる様であった。
安堵したのも束の間の事。

目指す沖に向かう事の出来る、船外機がついた船を利用する為には。
船舶免許が必要と知った。


今、思えば、当たり前の事だろう。

それでも、無知な私は気付かなかったのである。






それを知った時の落胆ぷりは。
目の前が真っ暗になる程であった。
オーバーだが、全くの事実である。
















ある日、仲間たちとのライントークにてその話をした。

南紀で知り合った、KN氏が言う。


「僕、持っていますよ!」 っと。


それは、稲妻を見るかのごとく。
光明、否、地獄に差し延べられた 「蜘蛛の糸」 であった。


そして、その頃から。

沖釣りに向けての道具を揃え始めるのだった。













前置きが長くなったので、ここから先は簡潔に記したいと思う。

中古中心で揃えたものの。
かなりの散財をしてしまった。

なにはともあれ、一つの新しい釣りの局面が開かれる。



































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予想の水深は100メートル以上。

未体験の深さを求め、KN船頭に舵を向けてもらう。



っと、進行方向に海鳥の不穏な動き!!

ただ、座っているだけの私は。

いつもの目線でそれを追った。










静かに、地味に、潮のゆらぐその沖にてざわめきが見えた。


出る!


そう、予感して更に凝視する。
数秒後、ポップに弾ける様な飛沫が上がった。














まさかである!

おそらく、キャスティングは、まず無いのでは!?とタカをくくっていたのだ。

道具を揃いきれず、念の為に持って来た、レイジングブルは未だ竿袋の中である。



すぐさま、船頭にナブラの発生を伝えた。

おそらく、借りたのは俊敏なタイプの船ではなかったろう。
潮を見て、流れを計り、KN船頭が最短で近づく術を見出そうとする。
久しぶりの操船との事ではあったが。

何も分からない自身には、ただただ、感心するばかりであった。







僅かな時間で。
私にとって、絶好の間合い、タイミングを与えて下さった。





ショアで投げてきたそれより。
30mm ほど短い、お気に入りのルアーを出した。
結んだ先には、新しい、ジギングタックルがある。
スミスのデッドストックを安価で購入する事が叶った。



およそ、6フィートのその先にしっかと結んだ。


そして、いつもの様にフルキャストする!


間違いなのは、百も承知の事。

良いんだ。


僕の釣りはいつも、間違いからスタートしている。













2キャストの後、シュバッ!っとルアーが消し込んだ。

予想だにしなかった展開。












そうして、始まり。

一瞬にして、帰港の時間となったのである。





























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無我夢中で糸を垂れた。

分からない全てが、キラキラと音をたてて輝いて流れて行く。



魚探は、深いそこを明確に映し出す事はなかった。





KN氏と二人。


文字通り、糸を垂れて、それで魚を探して行く釣り。






一生懸命になって。

やりきった。






まだ、やっと、扉に手をかけたばかり。

この釣りも、いつかの日を夢みて。













終わりに。




自身の釣りを我慢して、船頭に徹して下さったKN氏。

船酔いへの対策を丁寧にお伝え下さったKYN氏。





素晴らしい釣りを有難うございました。








それでは