南紀

初のアブラ狙い

2016年 6月1日の日記









ホームに 「アブラ」 という魚がいる事を知ったのは、
もう、随分と前である。
よく乗った磯で、初めて、その名前を聞いた。
なにしろ、美味しい魚であり。
強い引き、釣り味の方も格別だとの事であった。
その数こそ少ないが、専門で狙う方もみえるという。
まだまだ、知らない、面白い魚がいるものだなと思った。



標準和名は 「フエダイ」 というらしい。
特に、西日本においては。
それら、土地独特の、呼び名が数多く存在する。
ましてや、この手の魚は種類も多く。
よく似た形であっても、まるで違う種であったり。
判別が難しい。
よって、自身は最初に聞いた 「アブラ」 という名前で認識している。


今回はそのアブラを狙ってみたい。






実を言うと、一足早くに、先輩のK氏がこの魚を手にされてみえた。
自身も狙ってみたいとお伝えすると。
快くも、詳細をお教え下さったのである。


夜の釣りがメインになるとの事なのだが・・・。
再三にわたり、言ってきたことではあるが。
私は夜の釣りがとても苦手である。
とにもかくにも、心霊系が恐くてしかたがない。
やってみたいが、いざとなると足が向かない。
磯に下りる段になって、引き返した事さえある。
それが、この魚を狙う事を遅らせた、最大の理由でもあった。



当日は昼過ぎに現地に到着する。
ゆっくりと前準備をして、明るい時間から磯へと向かう。
そうする事で、少しでも怖いのを減らそうという魂胆だ。
まずは、エサを購入する事から始める。
飲料水などの購入も済ませ、用意は万端なはずなのに。
やはりというか、その一歩が踏み出せない。
車で何度も周辺をグルグルして。
海を眺める。
明るい時間だけであれば、すぐにでも、鼻歌まじりで下りているけども。
本番は陽の暮れからであるから。
やっぱり、怖い。


そうこうしていると、天候も移り変わり。
強い南風が吹いて来る様になった。
すぐに波気が出だし。
強い潮流が生まれて行く。
これで、波まで気にしなくてはいけなくなった。
行きたい、行けない。
自問自答は二時間にも及ぶ(笑)
その間、知人にその胸中を電話する。
そして、また、葛藤するのである。
結局、釣りしたい気持ちが少しだけ恐怖を上回った。
海は荒れ、轟々とした波の音が聞こえる。
いざ、決めてしまえば。
それで怯む事はない。
大急ぎで磯へと下りるのだった。









なにぶん、初めての挑戦なのだから。
仕掛けと、エサに関しては半信半疑であった。
先に、クエから始めた事で。
仕掛けについては、そう悩む事はなかったのである。
ワイヤーや瀬ズレといったものも、もう、初めてではなかった。
ただ、はたして、それで釣れるかは分からない。


ある程度、遠投が必要かと考え。
瀬ズレの部分は竿の全長を踏まえ、極力、短めに作って来た。
ハリスにはワイヤーを使用して、気持ち長めにとる。
点在するシモリをダイレクトに狙ってみたいが故に。
針の選択には慎重になった。
よくある、タマン針の使用も考えたが。
より、ネムリの大きい針をメインと考える。
手にしたもので、サイズ、軸の太さなど、自身の感覚に合ったものは。
「キハダ針」 である。
他には、クエ針の方もいくつかと。
そういったものを組み合わせ、数セットを作って持って来た。
なにしろ、根ガカリは避けて通れそうもないので。
仕掛けや錘のストックは気持ち多めにする。


エサに関しては、これも、複数を少しずつ持って来た。
その日、その時々、きっと、好みは変わるだろうから。
反応を見ながら換えて行くつもりである。





私の中の夕マズメの時間帯だけ。
少しだけ、ルアーを投げた。
潮はガンガンに当てて。
ところどころ、渦になったり、鏡の様になったり。
今にも、どデカイヤツが飛び出して来そうなんだけど。
何にも起きなかった。
竿を置こうとすると、少し離れた磯へと。
お一人の方がいらっしゃった。
この方の存在はまさに神であった。
遠いが、とりあえず、人がいるのである。
たったそれだけで、オバケも出にくいだろうという勝手な判断。
ともかく、ちょっとでも安心出来るという。
メンタルの部分の話である。























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急いで、竿をセッティングする。
ただ、もう一本竿が増えるだけで。
きっと、可能性は二倍プラスαになるのではないかという。
浅はかな自身だ。
広い海ではあるが。
おそらく、魚はどこにでも居るとか、やって来る訳ではないだろう。
見えない海底を糸を通じて探り。
気になる部分へとエサを置く。
あとは、信じて、魚が喰らいつくのを待つ。
それが楽しくもあり、間違ってやしないかと。
自問自答の連続なのだ。








激震までには、そう時間はかからなかった。
何の前触れもなく。
一気に穂先が真っすぐになる。
ピトンはきしみ、更に竿は伸びて行った。
走って竿に駆け寄る。
無我夢中で大アワセを入れる!
ガッツリとした手応えを感じた。
そして、全力でリールのハンドルを回す。

強い!!

距離がある分、魚に少し余裕があるのだろうか。
まるで、根を縫う様にして走る感覚が伝わってくる。
時折、ラインがゴリゴリと擦れたり。
根か穴に張り付いたりして。
巻けなくなった。
止めていたり、ラインをやったりして。
動き出すのを待った。

そんな事を繰り返し、とうとう、足下まで寄せて来る。
暴れる魚。
持ち上げようとすると、意外な重量感であった。
もう一度、水面へと戻し。
一気に抜く。






















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感激である!!

まさか、釣れるとは思っていなかった。
なんとなく、その姿を見て。
恐竜っぽいなと。
そう思ったのを、今でも覚えている。
まだ、明るい時間によく見れた事が幸運であった。










もしかしたら、時合いかもと。
そんな風に思う。
どこかから、群れで巡っては来ていまいかと。
急いで、エサを付け直して。
先ほど投げた方角に向かってフルキャストをした。
まさかである。
投げ直したその竿に。
再び、激震が走ったのであった。


竿にたどり着く間もなく。
曲がった竿が反発力で跳ね返って。
ガクガクと揺れている。
一瞬の事で、何が起きたのか分からなかった。
急ぎで竿を手にすると。
まったく、抵抗が無くなってしまっている。
すぐに回収して息を飲んだ。
まさかである。
ワイヤー製のハリスは。
無残にも、途中で引きちぎられてしまっていた。
エサを付け替えた際、傷みはよく確認したはずであった。
本当、とんでもないヤツがいる。






しばらく間を置き。
今度は、もう片方の竿に反応が出る。
ガツン、ガツっと。
叩く様に当たったかと思えば。
少し間を置いて、一気に突き刺さって行った。
この感覚、やみつきになる!


























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たまたま、最高の日に当たったのかも知れない。
陽が落ちる前に二枚も。
ブチ切られてから。
両手、両足ともガクガクと震えを繰り返している。
恐怖にも似た気持ちと。
単純明快なる興奮。
これから、夜を迎えるとどうなるのだろうと。
様々な感情が交錯し、目が霞む様であった。





更に打ち返して行く。
怒涛の勢いはおさまり、何もない海に戻っていた。
時折、ケミホタルを揺らすのは。
小型のウツボが悪さをするくらいの事。
いよいよ、日没の頃となって。
得も言われぬ、違和感を感じる。
もしかしたら、誰かにずっと見られている様な感じ。
最初、気のせいだろうと気にしないでおいたが。
どうにも、変な感覚がする。
ふいに、少し上の方に目をやって。
驚いて、声を上げてしまった。
二度見して、更に恐怖は増し。
腰が抜けそうになる。


普通はあり得ないと思う。
まさかの場所に。
男が独り、体育座りをしてぼんやりと空を眺めていたのである。
そこは、断崖絶壁という言葉がピッタリの場所だ。
一般的に人が降りて、僅かのスペースにしゃがみ込む事なんか・・・。
はたして、あり得るのだろうか!?
とりあえず、足がある事はこの目で確認は出来たけども。
服装はそこへ行くには・・・軽装すぎるし。
なにか生気が無くて。
青白い、うつろな顔をしていた。
生きている人であれば良いのだけど。。。






















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夜と呼べる時間となったが、アタリはまったく止まってしまう。
どんどんと、風は強まり。
海も更に荒れだした。
もう、怖いのは通り越した感がするので。
粘ろうかとも思ったけど。
急いで、クエ師も片づけを始められる。
そして、すぐに撤収をされて。
やっぱり、なんだか上がった方が良いかもと。
竿をたたみ、最後にストリンガーを水から上げるのだった。






















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本当、運が良かった。
初にして、素晴らしいアブラを手に。
K先輩、詳しく教えて下さって。
誠に有難うございました!

やったね!!












次の日、無理を言って、様々に料理してもらった。






















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おそらく、自身が食べた 「白身」 のお造りでは。
最高峰だと思う。
上質な脂が口の中に溶ける。
いくら食べても全く嫌味が無かった。





















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簡単に塩で焼いてもらう。
だけど、とんでもなく美味い。
一気に晩酌が進む!!





















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煮付けがまた最高なのである。
この浮いた脂が物語っているかもしれない。
けれど、しつこくはない。
最後、これでしっかりとご飯を食べて。
最高の夕食は過ぎて行きました。






また、出会える事を願って。


それでは












半夜とルアーと。

2016年 5月25日、26日の日記






夜の磯で狙ってみたい。
そんな、欲求が膨らんではいたものの。
なかなか、一人では動けなかった。
夜の海が自分は怖いのである。
とにもかくにも、心霊系が怖い。


思い悩んでいた頃、KN氏も釣りにいかれるとの事であった。
怖いので、ご一緒してくれませんか。
快くご返事下さり、この日の釣りが叶った次第である。






残念ながら、当日は雨であった。
波も出てきている感じなので。
安全面の方でも気をつけなければならない。
本当は夜を通して狙ってみたかったのだけど。
しとしとと降る雨は肌寒かった。
まだ、明るい頃から入り、ほどほどの時間まで・・・。
持っていくエサは三種。
タックルも狙う魚ごとに二つを用意する。
荷物がとても重い為、今回は最小限、エサも道具も控えておいた。






















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そんなこんなで、17時頃にセットが完了した。
暗くなるまで、まだ、少しあるなと。
楽な気持ちで第一投を底に置いたのだけど。
それは、こちら側の勝手な都合であったのだ。
予想に反し、しょっぱなから海に向けて竿が絞り込まれる。
油断していて、反応が遅れた為に。
竿に手を伸ばそうとした頃には、魚はエサを離してしまった様であった。
ガチャン!!っという音と共に跳ね返った竿がグワングワンと揺れた。

二投目もなにやらアタリが出る。
こちらの釣りでは、30センチほどのトビウオとムロアジを用意して来た。
アタリが止まり、仕掛けを上げると。
素針である。
まったく、きれいにエサだけが無かった。
ワイヤーの曲がりや結び、キンクは無い。
そのサイズのエサをきれいさっぱり、素早くかすめ盗るヤツがいる。









日没を迎え、しばし、何のアタリも無くなってしまう。
何かの切り替わりの時間でもあるかの様に。
驚くほど、サッパリと反応が消えるのだ。
そして、しばらくして、強烈な舞い込みがやってくる。
今度は掛けた。
否、かろうじてと言えようか。
海底よりずいぶんと上げて来て、海面が近づくとヤツは強烈に抵抗した。
そこで、ふっと何もなくなってしまったのである。
バラシであった。


まだ、早合わせの癖が抜けていないのだろうか。
竿が刺さり、もう良いか、もう良いかと我慢しながら待って合わせたはずなのに。
それでも、簡単にバレて行くのである。
気を取り直し、エサを打ち返した。
三度目の正直、完全に竿は刺さり、ピトンは今にも飛んでしまいそう。
やっと、やっとの事で海面に浮かせる。

























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姿を見てガックリであった。
今夜のエサ盗りはウツボではなかった。
この、サメ達であった。
せっかくだしと、KN氏がシャッターを切って下さった。
意外に嬉しそうなRockbeachである。



その後はもう、まさに沸いているという感じ。
クエ竿にもけっこう当たってくるし。
狙いの違う、ルアーロッドでの釣りの方にもよく掛かった。
そちらは、小イカの丸掛けである。
生エサならば何でも良いのか!?
闇夜の強いファイトは怖いのだけど。
何本と上げてはリリースを繰り返す内に。
それなりに慣れて、余裕も出てきたのであった。
他の魚は一切なし。





次の日は久々の磯に。
午後からルアーで下りたのだけど。
青物はいた様であったが。
反応させる事は出来なかった。






この日より、もうすぐ一年の今ではあるが。
もちろん、今も夜釣りが怖くて躊躇している。
行きたいんだけどなぁ。







それでは
























好きな磯と憧れ

3月24日、25日の日記










かなり釣行を重ねていますが。

忙しい時期で日記が書けませんでした。

空いた日は南紀へと。

帰ったら疲れて寝て、また、次の日からは激務。




ここらで、たまった日記を書いておくことにします。

殆ど覚えていません。

それだけ、報われなかったのです。












この日は自身の中で浪漫の場所へ。



しかし、朝から何も起きない。




天気予報とは違い、奇妙な波があった。




そんなに風も無いし、波が出る原因が分からない。

しかし、変なウネリがある。



何か、春先はこういう謎の海がある様に思う。

おそらく、そんな日こそ危険なのだろう。











昼までやって、その足で違うエリアに向かった。

時期的にも、自身の記憶をたどるとある気がしたから。



しかし、予想した事は全く起きない。


見えている海は申し分のない感じだった。


プラッギングを修行したこの磯ならば・・・。





そんな想いも無常に砕け散る。











夕方からは、憧れの赤系に的を絞った。

潮がガンガンに飛ぶ。

必死になってエギを送った。



出るなら今じゃないか!?






一度、ジャーク中にガツン!!っと触った。


うお!っと、ビックリあわせを入れると一瞬のためらい。


掛からず、ぐったりとしてエギを回収して絶句する。


触腕の吸盤のわずかがカンナに残っていた・・・。









気持ちを振り絞り、再度、続けて行くとボトム近辺にて違和感がある。





























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違う!!

でも、かなり嬉しかった(笑)

半透明のパラソルさんゲット!

あくる日の夕食は豪勢なお造りとなった。
















目覚ましをかける気にもなれず。

6時頃に目を覚ます。

一服して、そのまま帰宅するのであった。





なんか、気持ちが乗らない。







それでは
















リハビリ

11月26日、27日の日記










心のリハビリ。

そして、感覚の薄れた、
磯の釣りのリハビリの為に今週も南下する事にいたしました。
前回、気になった事を試したくもありました。






























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まず、出発前に新しい糸へと巻き換えてみます。
久々の使用となります。













出発前の天気予報では、
朝から、かなり強い風が吹くだろうとの事であった。

現地入りしたのは午前3時頃だったと思う。
海辺に来てみたが、まだ、大した風は吹いてはいなかった。
夜明けまではまだ時間があるので仮眠する。
しかし、アラームにて目覚めた頃にはビックリ!
予報通りの様相となっていた。


今回、スタートの釣りは、餌でのハゲ釣りを予定していた。
一応、ルアーロッドも持って行く。

実はこの一週間、ハゲ釣りをしたくてたまらなかったのだ。
爆釣を予想し、使い慣れないブロックを2つもバッカンに押し込んだ。
後は、ロープが付いた水汲み用のビニールバケツも買った。
きっと、コレは重宝するだろう。
重い荷物を背負い、長い道のりを進んで行った。













磯に降り、まずは風が避けられる様な場所に荷物をおろす。
僅かではあるが、ちょっとした岩壁がそれを防いでくれている。
うむ、水色も良い感じだ。
そんな事を思いながら、磯竿を伸ばして行った。
それに結ぶのは、市販のハゲ釣り用の仕掛けである。
胴付きのもので、三本針の標準的なタイプである。

自身はとても下手なので、
少しでも、アテ潮等の状況だとすぐに根がかりさせてしまう。
ハリスから切れてくれればラッキー。
下手をすると、一番下の重りのみ失ってしまう事も多い。
どうせ、2匹、3匹と一荷で釣れる事など殆ど無い。
だから、針は一本でも構わないのだが、
その度に結び直すのが面倒で複数針を選んでいる。
どちらが効率が良いかは微妙なところである。











釣りを始めてしばらくは餌取りに遊ばせてみた。
手返し良く打ち返す事で、コマセを打たなくとも魚が集う気がしたからである。
やはり、加速度的にその攻撃が増して行った。
狙いとするタナまで送り、僅か3秒でさえも餌が持つ事は無い。
まさに猛攻である。
あまりのスピードに刺餌が間に合わない。
気温が低い為か、冷凍ブロックの解凍がとても追いつかないのだ。
海水に浸けようが太陽にあてようが同じであった。
もっと早くに餌を買っておくべきなのだろう。













やがて、本命と思しきアタリが出る様になる。
しかし、この頃から風が更に強まって行った。
長い磯竿がしなり、穂先はぶんぶんと風に揺られてしまう。
これでは、繊細なアタリをとてもではないが拾えない。
仕掛けの投入位置を変えたり、糸の張り方を変えたり。
また、重りを置いたり、浮かせてみたりと色々とやってはみる。
しかし、アタリが伝わらないままに餌だけが無くなって行った。
かなり、イライラとする時間だけが過ぎて行く。
少し離れたところでは、前回と同じ様にナブラが出てはいた。
しかし、今はそれどころではない。
熱中すると見えなくなってしまう。
良くも悪くもといったところだろうか。












結局、やっと本命のハゲが釣れたのは風が緩んだタイミングであった。
どうしてみても、風には勝てなかったのだ。
酷い時には波飛沫が舞っていた。
小さな三角の波が無数に生まれ、まるで川の様に流れて行く。
ナブラ撃ちの船もいたが、エンジンを止めると凄い速度で流されていた。
この頃には竿は 「く」 の字となっていた。
隣に入ったフカセ師はそれでもコッパを数釣っている。
さすがだなと思った。
何とか、ナイスサイズのハゲを二枚追加する。
良いサイズのサンノジが一気に竿先を絞り込む。
3号竿はそれをものともせずに浮かせていく。
面白いな。
これはこれで最高だ。


納竿直前、小さなアタリを捉えた。
サンノジかと信じて疑わなかったのだが、
やがて浮いて来たのは、小さな黄色い魚であった。
手に取ってビックリ!
20センチに満たない 「タマミ」 の赤ちゃんであった。
いったい、何というパワーだろう!
撮影しようとシャッターを押すがどうもおかしい。
あろう事か、バッテリーを充電器から外すのを忘れてしまったのである。
電源の入らないそれを見て心が折れた。
この風ももう限界だ。




























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港近くのスーパーにて精根尽きる(笑)
とても天気は良いのですが、繊細な釣りはどうにも出来そうにありません。

食事をして、しばし休憩をとる事にしました。
ともかく、休みながらも、磯の見えるところに行こう!
そうでないと、夕方まで寝てしまいそうな自分が居ました。














ウトウトしながら約2時間を過ごす。
きもち、風も緩んで来た様子であった。
プチ時化といった感じで波はある。
しかし、風向きは北の方角からのもの。
この感じなら安心して立てそうである。
夕暮れまでの数時間にかけてみる事にした。


駐車スペースまで来ると、お一人の方がいらっしゃった。
お声をかけさせて頂くと、朝もその磯に立ってみえたとの事であった。
快く、自身が向かう事を了承して下さった。
後で向かいますとその姿を見送るのであった。










ポイントへ辿り着いた頃には、
先行の方は既にキャストをされてみえた。
邪魔にならない様、なるべく隅に入らせて頂く。
再びご挨拶させて頂くと、
驚いた事に 「こちらでやって下さい!」 と場所を空けて下さった。




「私は今日はここからしか投げません、ですから、どうぞそこで。」



そうお告げになり、サッと釣り座を空けて下さったのである。
風向きを見れば妥当な事なのかも知れない。
しかし、ここでその場所を譲って下さったのには驚くばかりであった。




よくよく見れば、ウエアから装備、タックルまでも洗練されてみえる。
ロッドもリールも、この私のよりずっと大きかった。
そして、その立ち振る舞い。
おそらく、誠、紳士な磯のスペシャリストの方だろう。
自身もいつかこんな風になれたら。
そんな事を思いながら、有り難くも立たせて頂くのだった。










海の雰囲気は十分であった。
いつ、何が飛び出してきても不思議ではない。
平和とは真逆の違和感に胸が締め付けられそうになる。

まず、自身は瀬際、そして広がるサラシにミノーを泳がせて行った。

どこからか突っ込んでは来ないか?
下から喰い上げては来ないか?

高鳴る鼓動とは裏腹に何も無くルアーは帰る。






隣へと目をやると、その方はトップを撃ち続けてみえた。
この風によるラインのたわみを思うと、自身がそれをうまく泳がせるのは難しいだろう。
潔くもそれを諦め、ジグの釣りへと移行する事にした。
しかし、それでも素直にジグは沈んではくれない。
ラインを出しては巻き取り、そして止めてまた出して行く。
そうして、深みへとそれを送り込んで行く。
そんな事をしながら、なるべく軽いもので探ってみたい。
何故なら、風は強いが、肝心の潮は強くは流れてはいないからだ。
より重いものでは、とても泳がせきれないだろうと。








夕暮れ迫り、茜色に染まる空の下で無心になって行った。
この感覚だ。
これが最高に気持ちが良い。

依然としてバイトは無い。
しかし、それはさして重要ではないのだ。
この陶酔感と高揚。
それこそが自身の磯の釣り。
真っ暗になるまで夢中に竿を振り続けた。
心と身体が大自然にシンクロして行くかの様だった。



















磯から上がり、再び食事をとる。
アジでもいないかと水際に立ってみる事にした。
1投目から幸先よくヒットしたが後が続かない。
場所を変えてもそれは同じであった。
ヤエン師の方々も多く、迷惑となってはと思い諦める事にした。
そうだ、明日の朝は三重の磯に行こう。
久々のその磯へと心弾む。
すぐさま北上し、パーキングエリアにて眠るのであった。































あくる朝、まだ暗い内から山へと入る。
既に何台かの車が停まってはいたが、
年配の餌師の方々がゆっくりとその準備をされてみえた。
真っ暗な山道は怖い。
とても苦手な自身なのだが、この日はそれより少しワクワク感のが勝っていた様だ。
ところどころ、小走りにて山道を駆けて行った。
あと、もう少し!
やがて視界が開ける。
なだらかな崖を下り、目指す位置まで岩を飛び越えて行く。
そこまで来て、遠くの空が紫色にと変わり行くのだった。
今日の釣りが始まる。





























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未明の内はミノーで通しました。
瀬際に特徴的な流れが生まれており、水面にベイト達のざわめきがあったからです。
おそらく、魚がやって来ればそこに向かうのではないか。
徹底的に瀬際を狙ってルアーを引きました。

薄明るくなった頃、しびれを切らしてポッパーへと移行しました。
その数投後、意識していた流れの中で何かが捕食したのです。
大きなボイルと共に一瞬だけ見えた黒い姿。
僅かに一部分だけでしたが、それが大きい事は分かりました。
ボイル後も数秒はそこにいた様子で、ゆらりと海面が動いていました。
慌ててポッパーを送りますが反応はありません。
もう少し粘るべきだったのでしょうか。

































20131127_072103










朝日がとても気持ち良くて。
タックルを置いて深呼吸します。
やっぱり、磯は心地良いですね。
もうひと踏ん張り、ガンバリます!















静寂を破ったのはそれからすぐであった。
沖から小魚がまるで打ち寄せる波のごとく飛び跳ねて来る。
まるでベイトの絨毯だ。
異常を察知して、静かな小魚たちがざわめきたった。
しかし、逃げ惑うそれを追う影が見当たらない。
上空の鳥に驚いて逃げたのか!?
空を見上げたがその姿は無かった。



跳ねては静かになるベイトをずっと眺めていた。
やがて、やっと水飛沫が舞う。
やはり、何かのフィッシュイーターがその後を追っているのである。
しかし、なかなかその顔を見せる事はない。




しばらくして、
それは隣の磯で投げてみえた方の射程圏内へと入った。

もちろん、すぐさまキャストされるその彼である。
しかし、数投してもヒットは無い様子であった。
逃げ惑うベイトはとても小さい。
はたして、ルアーのサイズとかけ離れているのだろうか。
遠いこちらからでは、その全貌をうかがい知る事は出来ない。








そこで、一念奮起して移動する事にした。
様子を見ていると、
どうも、その彼のまだ更に向こう側の磯に気配がある。

直線距離で約250メーター程の距離だろうか。
しかし、磯上をそのまま行く訳にはいかない。
再び山道に入り、元来た道をずっと戻らなくては行けないのだった。


息も絶え絶えに走った。
背丈の高い藪に入り、イバラのトゲに刺されもした。
あまりの暑さに、ヒートテックを着てきた事を後悔する。
10分、15分か?
やっとの思いで磯へと出た。







まさにお決まりのパターンとなる。
来てみたら、喧噪の終わった海が広がっているだけであった。

しかし、このままでは終わらない。
待つ、ともかく待つ。
気配を殺し、じっと待ち続けた。


すると、かなり沖にて、一匹のベイトが飛び跳ねた。
それは、先程までのマイクロベイトではない。
遠い為、正確には分からないが、15センチ~20センチはあったと思う。
それが、とても特徴的な姿で逃げ惑っているのだ。





それを皮切りにして、再び海が騒がしくなって来る。
とうとう、ハッキリ見える範囲でもマイクロベイト達が逃げ惑う様になった。

もう少し、もう少しと寄るのをひたすら待つ。

ボゴッ! ガボッ!!

あと少しで正体が分かるはずだ。
そして、瀬際にほど近いところにてやっと頭を出した。
その立派な頭。




否、おでこ・・・。
































シイラ の皆さんであった。
                      それも 「ペンペン」 である!











この時のガックリ感は表現し難い(笑)
いや、冬にこうして出会えているのは嬉しい事なのだが。
ブルーランナーかと信じて疑わなかった自身には相当にこたえた。
いやいや、海は面白いではないか。












磯から上がり、ゆっくりと休憩をとった。
最後に向かったのは 「湾奥」 であった。
良いナブラを期待してのものである。


自身はナブラ撃ちがとても苦手である。
釣れた事なんてほんの僅かしかない。
磯に拘る様になってから、更にそのチャンスも減ったと思う。
磯でそれに出くわす事は殆ど無かった。



今年は苦手なそれを少しでも克服したいと思った。
前回の日記にも述べた 「柔軟性」 はその一環であろう。
故に人工建造物から狙う事も良しと考えた。











一回目の 「爆発的」 なナブラには手も足も出なかった。

餌の方に呼ばれて、
焦ってタックルを手にした瞬間、シンペンのフックが腕にグサリで終了である。
嗚呼、何と情けない。





夕方になり、かなり沖でナブラが出始めた。
先程とは違い、今度のそれは海鳥とコラボレーションしているタイプ。

遠目には鳥が突っ込んでいる飛沫なのか、魚が突き上げているそれなのかが釈然としない。
目を凝らしていると、ボコンっとたまに頭が出る。
そんな感じであった。


それは少しずつ移動しながら、約5分ほど沸き続けたのである。
ただ、指を咥えて見ているしかなかった。
群れの本体から少し離れた場所で、明らかに迫力の違うボイルが出る!
あれは何だったのだろう。






チャンスがやって来たのは日没より少し前である。
一気に押し寄せて来て、小魚がザーっという音と共に逃げ惑って来た。

鳥も無く、ドカンっと爆発という感じでもない。
派手なボイルの連発というイメージだった。


結果として、2度だけそこに投げ入れる事が出来た。
焦っていて、群れの良いところに入れるのが精一杯。
とてもじゃないが、落ち着いてアクションなどは出来なかった。


群れが去った後、苦し紛れにルアーを引いていると、
回収寸前にドボっと出た。
後にも先にもそれっきり。
やっぱり、とても難しいと実感したのであった。
頑張ろうっと。








それでは






混沌

11月12日、13日の日記。












依然として、辛くて、頭も気持ちも回ってはいませんでした。
三重エリアが良い。
断片的ですが、そんな話が聞こえてきます。


シーズナルな事もあるでしょう。
そして、もしかすれば、黒潮の離岸傾向も影響しているのかも知れません。




分岐流だか、反転流だか、
その潮が当たっているのかも知れないと思いました。
残念ながら、自宅でのデータでは読みきる事は出来ません。
今はまだ、想像の域を超えるものではないのです。















しかし、そのエリアに固執する事は無いのでした。
確かめてみたい事が山ほどあるからです。
釣りたいのは勿論の事。

ですが、現実の釣りは皆さんにお任せしましょうか。
自身は夢を追う。
ゆえに行先は決まっているのです。
南紀へと。



















その時、狙って向かったのは昔懐かしい磯である。
何故にここか!?
信じる者のみぞの世界である。























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遅めに入りましたが、夜明けには間に合いました。
少しだけ、思った立ち位置からはズレたのです。
それは、先行の釣り師がおみえになったからでした。











空いている場所で最良と思われる立ち位置を決める。
そして、その時にそなえる。





そんな、当たり前の事が、この日はうまく行かなかったのだ。
いざ、やり始めようとした頃であった。
ご夫婦と思われる釣り人がひょいっと顔をのぞかせた。




唐突に話を始め、「邪魔にならん様にするから入れてくれ!」 と強要する。
同じ釣り人として、それをむげに断る事は難しい。
次の瞬間、有り得ない程の至近距離に荷物を置かれてしまった。









「すみません、私はルアーですので、誤ってオマツリするかも知れません。」
「もし、気になる様でしたら、少し離れた場所でされる方がよろしいかと。」








確か、そんな感じで 「お願い」 させて頂いたと思う。
他にもスペースは空いているのに、どうして、そんな距離感かと神経を疑った。
礼儀を持って丁重にお断りを述べたつもりであった。
しかし、次の瞬間、信じられない言葉を返されたのである。












「兄ちゃん、ルアーやったら早よう帰るんやろどうせ!?」
「だったら、ごちゃごちゃ言わんと入れてくれや!!」



大阪弁とは違う 「関西弁」 であった。

まあ、そんな感じである。












どうしても投げたい時間帯であったので、無視をして釣りを続けようとした。
小声で奥さんに酷い事を言うそいつ。
まる聞こえである。

回収地点まで浮きを平気で流す。
精神的な余裕など、その時の自身にあろうはずがない!
どんな思いで、今、この地に来ているかと怒りが込み上げてきた。










衝動にのっとり、罵声をあびせ、胸ぐらをつかみ海に突き落としてやるのは簡単な事だ。
当たり前にやってしまいそうな自身を客観的に見ていた。
いくら、自身の心が荒んでいようとも。
落ちきって、狂ってしまう事は更に自身を追い詰めるだけである。
精一杯に我慢した。






「こんなの磯で初めてですよ。」
「後から来て、それは無いでしょう?」
「気になって仕方ないですから、私は空いている場所に移ります。」





そうお伝えし、荷物をまとめ移動する事にした。
空いているのは、ストラクチャーも狙いの潮も当らない位置。
ただ、ベイトだけは、まるで絨毯の様に海面に敷きつめている。
足りないのは、ブルーランナー達の回遊のみであった。
ここでは着き場も何も分からない。
衝動性を期待し、ただ、誘い出すのみであった。



























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何もないまま時間だけが過ぎて行きました。
やがて、その雲は雨を運んでくるのでした。
出鼻を挫かれ、最早、集中する意味もない。
大降りになる前にと退散するのでした。
























漁港の一角に車を停めて思う。
いくら、南紀に来ても、自身の心からは逃げきれないと。



何の為、こんなにも辛いのに竿を振るのか。
ただ、ひたすらにルアーを投げているのか。
一瞬、何もかもが嫌になった。




目をつぶる。
自然と出る溜息を止める事が出来ない。
様々な感情が交錯し、結局はその一点へと帰結する。
堂々巡りのらせん。
釣りを続けられない。
目を閉じたままに自由の世界へと旅立った。

















虚夢から目覚めると陽は傾き始めている。
今の心では青物は無理だ。
しかし、この南紀まで来て、この時間を無駄にしてはいけないと思った。
迷った時は元に戻る事だ。
昔にかえろう。
気持ちのタイムトラベルは可能なはず。








































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磯に立ちました。
それも、青物の磯に。
とても強い横風が邪魔をします。
そんなものは、我が人生の暴風にはおよばないのです。

いつか、晴れる日は来る。
いつか、叶う時は来る。


せめて、せめて、
釣りだけはそうであって欲しい。
真っ暗な磯で独り祈るのでした。




















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最後の最後で。
ライフジャケットのポケットから、それが磯へと落ちて叩きつけられたのです。
飛び跳ねて転がって、行く末はタイドプールでありました。

























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携帯電話が終わりました。
ここには述べる事はない、不思議な同時多発性を経験した瞬間でもありました。





















その後、食事をとり、シメであるアジ釣りへと移行する。
結論から言って、自身のスタイルではこの夜、バイトを得られるのは一点のみであった。

他にはない。


そしてまた、年齢を盾に強要してくる釣り人が来る。






どけ! どけ!!
我の釣果の為、お前などどかしてやる!!



どれだけ上手く取り繕っても、今の私にはその本心はお見通しなのだ。
そしてまた、その餓鬼に釣り座を譲ってやった。
くたばれ!


























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結局は自身の気持ちとの闘いでしかない。
有り難い釣果ですから撮影いたしました。


















翌朝は更に夢を求めて磯へと向かった。
目標の場所は夜釣りの方でアウト。
そして、懐かしい場所へと向かった。






ここでも 「強要」 がやってくる。

精一杯に 「共存」 しようとした。




ご理解ある方達で、何とかそれは果たせたと思う。
彼らはそこで立派なムロアジを釣った。






居るのだ。
奴らの好むベイトは居るのだ。











私も、彼らに上物の情報をお伝えさせて頂いた。
地元ならではの、ブルーランナーの動向とシーズナルをお教え下さった。
始まったか。
弩級のアレがな・・・。




気持ち良く、最後の最後に心通えたと思う。
ならばと、
早く帰って、携帯を復旧させるのみだろう。
帰りの道、ここらしい虫と出会う。
























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君たちからも学ばせてもらってるんだね。












ここにしかない夢がある!
心が闇に覆われていても負けない!!











それでは





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