去年の10月30日。
それは自身が初めてロックショアに立った日である。
それから約一年、はたして自分は何か成長出来たろうか。
今回の釣行は実質的に、一年生最後のものになる。
偶然にも連休となった。
今回も釣りに行く数日前から頭の中でプランを練る。
どうやら、先週に引き続き天候が思わしくないのだった。
自身の力に見合った、安全に、また余裕を持って釣りが出来る場所を絞って行くのだった。
そんな中、仲間のM氏より一通のメールが届く。
メッセージを開くと一枚のフォトが添付されている。
それは立派なメジロを写したものであった。
そして、更なるM氏の話に携帯を持つ手が震えた。
メジロは何本か釣れたのですが、デカイ奴に二回やられました・・・。
「その内、一匹は何もさせてもらえずラインブレイクしました。」
かなり良いサイズの魚でも、M氏はゆらりと上手くあしらい、ものの数十秒で簡単に抜きあげてしまう。
そんな彼がただ、何も出来ないまま切られた魚がいる・・・。
退屈な週末を一変させる出来事であった。
後ほど、より詳しい話をM氏、そして同行したTK氏にも聞いた。
どうやら相当な状況であったのだという。
今回はそんなお二人にあまえ、自身初の場所に立つ事とした。
天気予報では台風14号の発生を知らせていた。
釣行前夜の天気予報では、風速7~9メートル、波高3メートルとの事。
前回の風の経験をもとに考えてはみるが、まあ、しかしながら実際にその場に行ってみないと分からないものである。
しかし今回は厳しいだろう。
自宅にいてさえ風が轟々と音を立てている。
とにかく自宅を出発しなければならない。
そんな心配が天に届いたのだろうか!?
車を走らせる内に、どんどん風は静かになって行った。
ポイント近くまで来て少し仮眠する事にした。
二時間の睡眠の予定だったが、一時間も寝坊してしまう。
目を覚ますと遠くの空が赤くなって来ている。
急いで準備を済ませ、更に険しい道をひた走る。
車から降りると身体を冷気が包む、どうやらこの秋一番の冷え込みの様だ。
ふいに懐かしさを感じる。
しかし、今は感傷的になっている場合ではない。
ヘッドランプがいらなくなった空の下、急いで磯へと続く山道に入るのだった。
しばらく山中を歩くと小高い場所に出る。
なるほど・・・そこから辺りを見回し、入る場所を探す。
予想よりも風はずっと収まり、波もまるで無かった。
小さいうねりはあるが、拍子抜けする位の感じである。

美しかったので写真を一枚。
早速、釣りの準備にかかる。
今回もタックルには悩んだが夢を見ることにした。
RB XR-2と6500Hにかけてみる。
PE5号にリーダーは130LBの組み合わせである。
下手だからこその選択であり、デメリットもまた大いにある。
本来なら、80g~100gのプラグを結びたいところではあるが、それでは自身の釣りが成立しない。
ゆえに飛距離と動きを大幅に失う事になるのだ。
目立った潮の変化も無いが、まずはキャストして行く。
ペンシルの様な動きも出来るポッパーにて手返しよく誘ってみる。
数投したがどうにも馴染みが良くない。
続いてはシンキングペンシルを投げてみる。
時折、宙を舞うくらいの速い動きで引いて行く。
アチコチでダツが反応してはジャンプしながら向ってくるのだが、本命がいる様子は無いのだった。
一通り探ってみたところで、今度は軽くジグを泳がせてみる。
ジグイコール、着底させてシャクリあげてというイメージが強いが、自身の中ではそれは一つのパターン。
ミノーの様に泳がす事もあれば、シンキングペンシルの様に探る時もある。
漁港で3グラムのジグで遊ぶのも、磯で120グラムをブン投げるのも、私の中ではそんなに変わらない。
リールが強いので引き重りが半端ではない。
軟弱な我が腕はすぐに悲鳴をあげてくる。
しかし、楽をしたいから釣りをしているのではない、と自分に言い聞かせるのだった。
その後も、様々な引き出しを開けて探ってみたが反応は無い。
今か今かと、海の状況が一変するのを待ちながら投げ続けるものの、何も起きないまま時間だけが過ぎて行った。
しばらくすると、沖で数匹のトビウオが必死になって逃げている。
おそらく、結構な大きさの何かに追われている様子だが、近づいてくる事は無かった。
結局、昼頃まで粘り続けてみたがノーバイトに終わる。
いよいよとタックルを片付けていると、どこかで聞いた懐かしい音がする。
ドボッ、ゴボッ!!
足元まで2~3匹の群れが獲物を追ってきたのだろう、捕食が終わると勢いよく沖に消えて行った。
残念ながら、今回夢にみていた奴ではなかったが、情けないがこんなものだろう。
釣り人がよく言う殺気・・・アルのかもしれないなと苦笑いしてその場を後にするのだった。

恥ずかしい話だが、半日も荒磯で重いタックルを振りまわしていると、精神的にも体力的にもボロボロになる。
エラそうな事を書いてはいるが、ナイーブな初心者であるのだ。
鉄のハート、身体を持つ仲間や先輩達とは違う。
夕まずめを再び狙う気力は残っていないので、そのままの足で癒しを求めて漁港に行ってみる。
さすが、秋という感じになってきた。
水温も少しずつ下がり、色々な魚達が楽しそうに調和している。
エギングロッド片手に自分も馴染んでみる。

ギュイーンっと竿を絞ったのは良い型のカマス。
スイッチが入れば入れ食いにもなるが、渋い時は本当に難しい。
40センチ以上のアラハダもヒットしたが、バラシも多くキャッチ3匹。
不思議と海が変わる一瞬には、持ち前の獰猛性をフルで発揮し、携帯サイズのアオリイカを捕食していた・・・。
脂がのって最高の味であった。
マズメに本気でやれば(笑)
気まぐれな青物相手なんだから、当たり前かもしれないが、変な気負いがあるのか酷く落ち込んでしまったRockBeach。
小物との楽しい一時を終え、食事を済ませそのまま眠ってしまった。
目を覚ますと18時。
辺りの雰囲気は一変してどんどん荒れてきている。
このまま一夜を過ごし、再び明日も磯に立つか!?
南紀特急の中で一人、グラグラと気持が揺れた。
おそらく相当なシケになる・・・はたして釣りきれるか。
しばらく考えたが答えは出ない。
外はどんどん荒れて来る。
今、やれる事はあるはず!っと急いで風裏に向かった。

抱いてくれて有難う

思わず熟〇の様な台詞が出てしまう。
今夜は激しいね(笑)


全部400~500グラム位かと。
青物ダメでアオリってワンパターンですが、同じ命、有り難い海の恵みと感謝せずにはいられない。
その後は大風が吹き、漁港でも頭から波をかぶる様になって、帰宅する事にしました。
これでとうとうロックショア一年生が終わって行きます。
この一年、いったい何を学んだろうか。
膨大な時間を費やし、生命の危機を何度か経験もした。
勿論、釣った魚はわずかでしかない。
キレイ事を言うのは嫌いだけど・・・。
大した成長は無かったけど、沢山の素晴らしいアングラーに出会えたのは宝であったのではないかと思う。
仲間がいるから頑張れたし、先輩、そして目標のアングラーがいるからキャストし続けれたのかもしれない。
今回の釣行では少し、いやかなり落ち込んでいます。
ロックショア二年生となってまた頑張って行きます。
様々なデータを読んだり、様々なルアーや操り方を学ぶのも大切かと思いますが・・・。
なによりも、もっと自然に同化したいなと思うのです。
不思議な、不思議な海、そして生命、けっしてデータには表せない事。
それを肌で感じられる自分になりたいです。
それでは