2014年05月

Recall

5月13日、14日の日記









この二週間ほど、ずっとある海を思い続けていました。

主として、ベイトの事を考えていました。

ベイトとなる魚達は複数存在している。

それは間違いない事でしょう。





はたして、それらのベイトが、どの様な条件によって磯へと近づくか?

私には全くもって分かりません。

もしかすれば、的確に見出す事は出来ないのかも知れません。




もし、それが無理だったとしても。

それを意識して行こうと思います。

















釣行日を前に。
いつも通りに天気予報を伺う。

幸か不幸か?

最近、休みの度に時化る事が多い。
この感じ、あの日と酷似している。
記憶から呼び覚まし、プランを練った。

しかし、手離しにて、その状況を喜ぶ訳ではなかったのである。
前途した 「ベイト」 の事が引っかかっていたからに他ならない。




あくまでも、自身の予測に過ぎないのだが。
ある、嬉しいベイト達は、最早、沖へと出て行ってしまったと読んでいた。

他にも、何種類かの小魚はいるだろうが、主となるのは春に多くみられるあの魚だろう。
おそらく、こと磯においては。
その魚でさえ、安定して回遊がみられるといった事は無いと考える。






そこで、ベイト達の接岸の条件の一つを。
この天候に鑑みて思う事にした。

何も難しい事を考えたのではない。
世間的によく言われている事を思い浮かべただけだ。





「荒れの風、波が、ベイト達をある場所へと押し寄せる」







あまり、自身は意識したりは無かった事。
しかし、経験豊かな人達が言うのだから、きっと、そんな事もあるのだとは思う。
もしかすれば 「ある場所」 となるかもしれない磯。
そこに焦点を定めるのだった。
















自身は未だに天気というものを知らない。

大雨が降り、強い風が吹き荒れる。
おそらく、低気圧なのかな?と思う程度でしかない。
理由は分からないが、とりあえず、以下の様なものの予報を見る事は出来る。




波が何メートル、風が何メートル?



波の向き、風向き、また、潮回りと潮位はどうか?





あくまで、それは 「予報」 に過ぎないのは誰もが知るところである。

ならば、なるべく、精度の高いものに頼る他はないだろう。
その上で、現地にて感じ、修正をはかるのみだろうか。


この日の予報では、とても強い南風、波高4メートル。
そして、大潮であり、スタート時にほぼ満潮といったものであった。







道中は凄まじい雨の連続であった。

殆ど前が見えない。
横風に真っ直ぐ走る事すらままならない。



あとは祈りである。



どうか、朝になって、風と雨が弱まります様にと。


不思議とそれが現実となる。





















磯へと降り立つと、そこに、いつもの景色は無かった。

荒れ狂う波によって、あるはずの瀬が消失している故である。
やけにスッキリと見えるそこにあるのは、真っ白な波だけである。
まだ、薄暗い中、響き渡る、怒号の様なそれに足は震える。







怖い。








生まれる、そのピュアな感情に正直になる。
何度、経験しても私は怖い。

それ故に、自身がとる行動が決まるのだ。


水辺にはすぐに近づかない。

嫌と言う程に様子を見る。


そうすると、大丈夫かな?と思った場所が波に飲み込まれて行く。
近づく事が出来るまで、ただ、ひたすらにそこを動かなかった。











やっと、瀬際よりあと少しという場所に立てたのは、陽が昇り始めて約一時間が経過した頃であった。


沖に浮かびあがる、巨大なウネリを見ながら釣り座へと立つ。
今の感じでは、30秒~60秒程度の周期でデカい波が押し寄せてくる。


一投しては避難する。
時折、二投目を撃てる事もあるが、最後までちゃんと引き続ける事は出来ない。
途中で、ベールをフリーにして、一目散に逃げるといった風であった。
無論、波が気になって、釣りに集中する事は出来ない。
その殆どを退避して過ごすのであった。







やっと、釣りとしてやれる様になったのは、それから更に一時間後であった。

その間、可能な限り、ベイトの姿を探していた。
見て分かるそれは、瀬際のサラシにいるマイクロベイトだけであった。
ルアーを激しく巻いても、それに怯えて逃げる小魚の姿も無い。
はたして、見えない深みに泳いでいるかは不明だ。


表層を波風に負けて漂う小魚を確認は出来なかった。
波打ち際のマイクロベイトでさえ、強い潮流と打ち付ける波の中を自由に泳いでいた。
もしや、ここには、ベイト達は押し流されては来ていないのではないか?
不安は膨らむばかりであった。










レンジが違うのかと思い、シンペンやミノーに換えて探ってみる。

しかし、全くもって反応は無い。
足下近くまで探って、今度は、すぐに浮かせて行った。
もう一つ、瀬際のサラシを探ってみたかったから。


浮かせて止めて、引き波へと乗せようとしてみる。
しかし、うまく潮が流れず、止めたままで泳がせる事が出来ない。
そこで、僅かだけリーリングしながら、竿を引いて動かしてみる事にした。
更に、最後の最後だけ、まったく止めてみる。



すると、バチーン!とした衝撃と共に、ミノーが宙高く弾き飛ばされてしまった。
黒い影が一瞬にして消える。
どうやら、ヒラの仕業であった。












再び、トップへとルアーを戻す。

先程より、更にアピールの高いであろう動きを織り交ぜて行った。
数投後、白波の立つ中でも、ハッキリと見える派手な水飛沫があがった。














































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よかった~

もう、完全にハズしたかと思い始めていた頃でした。
メジロさんに感謝です。

やったね!






タイドプールの中にてフックを外すのに手間取る。
暴れた拍子に、針先が腕へと突き刺さり悶絶。
激しいヘッドバンキングを押さえ込む事が出来ない。
血だらけになったのは、魚ではなく私の方であった。
気にせずに続投する。








何度か投げていると、今度は、飛沫をあげず、静かにルアーが消えた。

ガツっと掛かったが、不安だったので、強い追いアワセを二度入れてみた。
結果、フックオフさせてしまう。
掛かりが浅かったのか、身切れさせてしまったのか。
結構な重量感であった為、とても残念に思った。
貴重な一匹を逃してしまう。
案の定、そこからはピタリと反応が無くなってしまった。
そこで、休ませておいたサラシに再びトライしてみる。












































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全部、同じ魚の写真です。

嬉しくて、思わず連写してしまいました

本当、久しぶりとなります、御ヒラ様が釣れました。













続けてやっていると、ふいに、サラシの向こう側にざわめきが生まれた。

目測にして、12~14センチ程度。
細く、黒く見える小魚達が何匹も滑る様にして泳いでいるではないか!


その姿、とてもではないが、荒れ狂う海に負けている様には見えない。
魚種は不明だが、悠々として泳ぎまわっているのである。
海面へと浮き上がったかと思えば、嬉々として、群れにて海中深くへと潜って行く。
黒く見えるとはいえ、コッパグレなどの磯魚ではない。
おそらく、背の青い魚には間違いなさそうであった。






すると、まず、先に狂いだしたのは、サラシに潜むヤツらであった。
釣れたばかりのサラシから、何匹もが躍り出てベイトを追い回し出したのだ。
いかに、自身のルアー操作が甘いかを痛感させられる。
しかし、狭いそこにはいったい、何匹ものヒラが身を潜めていたというのか。
驚くべき光景であった。






続いては、少し沖にて見慣れたボイルが巻き起こる。

おそらく、ハマチ艦隊がやって来たのだろう。
結んでいたミノーをそのまま投げると一発で喰って来た。
しかし、それ以降は後が続かない。
ボイルもあるし、魚がそこに居る事は間違いないのだ。
されど、なかなかアタリは遠かった。


ここぞとばかり、持って来たルアーを順番に試して行った。
様々なアクション、レンジを刻んでみる。

結果、程よい大きさのトップにチェイス、バイトが増えて行った。
なかなか喰わす事は出来ないが、ポツリ、ポツリとヒットがあった。
まだまだ、ジアイは続くと思われたが、先程より太陽が顔を出し、ジリジリと磯を照らしている。
残念だが、せっかくの獲物が傷むと思い納竿とした。































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最高のひと時でした。

ほぼ、釣りにならず、約二時間待ったのも昔の事の様に感じました。
ベイトがハマチ達に追われて入ってきたのかどうかは分かりません。
もしかすれば、波風によって、押し寄せられたプランクトン等を追って、ベイトもまた沖からやってきたのかも。
少なくとも、絡む様な激しい潮流、高い波の中でも、まったく自由に泳いでいる風に見えました。








磯上がり後はゆっくりと眠る事にした。

再び、目覚めたのは、午後4時前であった。
まだまだ、寝れそうであったが、もう少し釣りをしたいので磯に下りてみる。
眠ったおかげで足取りも軽く。
思いの外早くに釣り座へと着いた。






本日のラストは、お気に入りのルアーの2本だけでやってみる。

ポッパーの方はどうにも違う気がしてすぐに置いた。

残されたペンシルで通す事に。








変化を見たのは、それから、三十分ほど後の事だった。
ヌラヌラと泳がせていたそれの、真後ろの海面がモワっと膨れ上がる。
ハッ!として、パニックアクションを演ずるもその先は無かった。
魚はそこに居る。




次の瞬間、届かない沖で、3~4発のボイルが密集して起きる。
ふっと、海面を飛び出し、滑空してその場から逃れようとする。
トビウオであった。




全力にてキャストを撃った。
自身の手癖によるアクションを刻む。
二度、三度と繰り返して行く。
そして、ここぞと決めた点へとルアーを届ける事が出来た。
着水後、初めて入れたジャークに海面が割れた。










































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久々に、トビウオを追う魚を仕留める事が出来ました。

最高です!


やったね!!









その後、沖の瀬に当てる潮のヨレへとルアーを入れる事が出来た。
驚くことに、またも、先の魚と同じ様にファーストアクションにて喰らう。
しかし、またしても、追いアワセにて魚を失ってしまった。
おそらく、それが強すぎるのだろう。
海から頂いた貴重な魚に感謝すると共に。
自身の不甲斐なさをあらためて反省するのであった。















二日目も同じ磯へと下りた。


トビウオが入っていた為、もしかすればと夢を描いてそこを選んだ。
しかし、そこにトビウオの姿を垣間見る事は叶わなかった。
トビウオは居たかも知れないが、それを脅かす存在は遠かったのだろう。
海面より出ずる事も、その華麗な飛行も見る事は無かった。



代わりに挨拶してくれたのは、4~5匹のハマチ達であった。
勇敢にアタックを仕掛けてくるが、きっと大きく何かがズレているのだろう。
それらを乗せる事が出来なかった。




足下まで寄せては来るものの。
最後のあと一歩がどうしても詰まらない。
何故にか、思う様にルアーを操れないのだ。
回遊は瞬く間に終わってしまった。
巻き寄せたそれを手に取って愕然とする。




























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透明だからこそ、自身にも気付く事が出来たのでしょう。
ルアーの中をご覧ください。
どこからか、海水が入ってしまったのです。
不思議と、ルアーを振っても、水は一切抜け出る事はありませんでした。
おそらく、別のルアーにも同じ様な事が起きているかも知れませんね。
これほど、大きく変わるバランスにも気付かない。
本当に情けないです。






























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最高の釣りを楽しませてくれたお礼に。
一緒に連れて帰る事にしました。

美味しく食べて、その使命をまっとうさせてあげたいなと。
焼いて頂きましたが、とても肉厚でうまかったです。
また、見かけたら買って帰ろうっと











今回、幸運にもまた魚と出会う事が出来た。
貴重な体験に本当に感謝が込み上げて来る。

自分をみがきたい。
もっと魚の事を知りたい。




それでは






My Tackles

Rod  MC Works RAGING BULL 100XR-2
Reel  DAIWA SALTIGA Z6500EXP with Z6000GT Spool
Line   YGKよつあみ PE #5
Leader SUNLINE NYLONE 100LB










2014 GW

5月5日、6日、7日の日記











2~3年程前より、職場の事情が少し変わりました。
「交代にて」 ではあるのですが、
人並みに、大型連休にまとまった休みを頂く事ができる様になったのです。
本当、嬉しいですね




何も、人が多いゴールデンウィークに行かなくても!と思う方もいらっしゃるかも知れません。
でも、平日が休みの私には 「会いたくても会えない」 釣師がおみえになるのです。
一年の中でも、滅多とお会いできるチャンスはありません。



とりあえず行く事。
筋書きはありませんが、良い時を過ごせたらと連休をフルに使う事にしました。
大量の着替えを持って出発いたします。


















仕事が長引き、おまけに用意もままならずに出発が遅れる。
高速に乗ると、さすがに行楽ムードの車が多かった。

新しくできた道は、ほぼ片側一車線の道のりである。
楽しい旅行への旅路に、前を行く車は制限速度よりもずっと控えめだ。
抜きたくても抜けない。
パッシングポイントでさえも、右側をお構いなしである。
遅れに遅れ、南紀へと到着したのはギリギリの時間であった。






この初日。
有り難くも、W氏、IGK氏のお二人がお誘い下さった。

先行して、M氏と、H氏が入られてみえるとの事。
やはり、良い季節ゆえ、前日から磯へ向かわないと釣り座は得られない。


皆さんは、何時間も何時間も、まだ肌寒い磯にて待機していらっしゃった。
私は着いて、ポンっと良い時間に入らせて頂く。
誠に申し訳ない気持ちでいっぱいであった。
それにも関わらず、好きな場所に立ってね!っと寛大なお言葉を頂く。
いつの日か必ず、恩返しをしたいと心に誓う。







釣果は残念ながら無かった。

届かない沖では、たまに何かのボイルが巻き起こった。
GWだから尚更だろう。
プレジャーも多かった。

魚がキャスト範囲に居たかどうかは知る由もない。
私は駆け出しだが、同じく、キャスト&リトリーブを繰り返すのは猛者ばかりである。
その攻め手は、昨日今日のものではない。
しかし、どうしても無かった。





一通りの時間が過ぎ、一人、またお一人とロッドを磯に置いた。

M氏はあと少し粘られるとの事。
それに、後ろ髪ひかれる思いではあった。
しかし、体調が芳しくなかった自身は、他の皆さんと共に磯上がりを選ぶ。
駐車スペースにて、W氏、IGK氏とお別れとなった。
もう少し一緒にいたかったが、致し方ない事だ。




そこから、少し離れた場所にある南紀特急まで、H氏が愛車にてお送り下さった。
道具を積み下ろしながら、氏とお話しさせて頂いた。

自身にはこれといった記憶は無かったが、今まで、何度かお会いしているとの事であった。
恥ずかしいアプローチや、ファイトの一部始終をも見られていたそうである。
これには本当に驚くばかり。
気が付けば、かなりの時間を話させて頂いていた。
急に激しく降りだした雨。
ご親切にして下さった氏ともそこでお別れをし、自身は近くのレストランへと食事に向かった。






席につくと、懐かしい方々が食事をされてみえるのに気付く。

以前、周参見の磯にてお会いした、仲睦まじいお二人の釣師であった。
びしょ濡れで汗だくで、そして睡眠不足で。
半ば放心状態のこの私。

ここは磯ではない。
失礼があってはいけないと 「メガ」 ではない天丼を静かに頬張るのだった。
よほどハードな釣りを続けないと、おうどんと丼ぶりを完食する事は自身には難しい。
紫蘇や蓮根の天麩羅がとても美味しいのだ。
もちろん、ちゃんと鮪天も入っている。
Rockbeachのお気に入りである。

































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食事を頂き、倒れ込む様にして眠りにつきました。
再び、目覚めたのは夕方でした。
雰囲気まんてんの海でしたが、どうにも気合いが入らず動けません。
体力を温存して、明日へと挑みます。





























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夜になっても。

ずっと、雨が降り続けていました。
小降りとなった時、もう、辛抱たまらずに磯を目指していました。
気温は低く、朝まで、体温を保つ為にお酒を持って行きました。


明日は、私の夢がまた一つ叶うのです。

磯に立ちたい、立ちたいと胸を膨らませて行った原点。
氏のご活躍を知らなければ、正直、無かったかも知れません。
あの日、私は稲妻の様な衝撃にうたれたのです。


I氏とご一緒させて頂ける。


そして、いつもフレンドリーに話しかけて下さる、N氏もまたご一緒下さる。


もう、眠れる訳がありませんね(笑)



極寒の闇夜の磯は、瞬く間に朝をむかえるのでした。
お二人がお聞かせ下さった、沢山の貴重なお話。
素晴らしく、本当に楽しかったです。
誠に有難うございました。




あれよ~あれよ~っと。
磯にはなんと! 7~8人ものアングラーが入ってみえます。
少し離れた場所の方を加えれば、
我々三人を含め、総勢、15~16人はおみえになったでしょうか!?
久しく見ない光景でした。


































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私も、何とか出会えました。



不慣れな 「SHIMANO」 のそれに、ファイト開始と共にドラッグがジィィ~っと

焦ってノブを絞めるも締まらず

隣の、N氏に精一杯の笑みで照れ隠し(笑)
W氏より、教わったランディング法でなんとか無事に獲る事が出来ました。


やったね!












何も無くなってから、寝不足の頭で海をずっと眺めるのだった。

かすかなボイルを捉えて、プレジャーの方が掛けた。

磯からでは、沖の詳細まで伺い知る事は出来ない。
長い間格闘され、残念ながらフックオフ、もしくはブレイクとなった様であった。
同じ?ルアーマンとして、とても残念に思った。


楽しい時間は瞬く間である。
両氏ともお別れの時となった。


















その後、自身は来たるべき時を思い、未だ立った事の無い磯を探索してみる。

餌木道具とキャスティングタックルを握りしめて向かった。
結局、紐解いたのは烏賊の方だけ。

急に吹きだした西の風で波立って行った。
いやおうなしに帯びてくるベイト達の息吹。
今にも、ブルーランナーが巡ってこんばかりの状況ではあった。



しかし、それ以上を進める気は起きなかった。

それよりも、気になったのは潮である。
あまり下りる事はない方面ではあるが、今まで、こんな潮を見た事は無かった。

様子見の為、高台から見渡す常を思い返しても尚であった。
それはまるで、南の彼方のあれを見るかのごとくであった。
これが、今回の一つの 「KEY」 となる。






























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南の夕昏。


実動時間は短い。
疲れや加齢に甘んじて、楽ばかりしてやしないか?


俺よ。



朝から晩まで竿を振り続けた日々を思い出せ!

明日は独り。

いつもの自分に帰るのだ。


























20140507_045319

























真夜中から動き出した。

思う場所に来ると、誰の車もそこには無かった。
勇み足で先端へと向かう。

しかし、そこには、お二人の先行の方がいらっしゃった。
聞けば、違う場所にお車を停めてみえたとの事だった。
私の入らせて頂く場所は無い。

故に、すぐさま、Uターンとなった次第である。
幸い、夜明けはもっと、ずっと先である。










ここで、感情が 「直感」 の邪魔をしたのだろう。


後になって、思い返して、やっとそれを思った。
前途した 「KEY」 の事である。



きっと、今の海況ならば、こちら側にこそ 「熱い潮」 が当てていると思った。

そして、深みをただやってみたいという願望。

状況を垣間見ず、したい釣りを優先したのも過ちであったろうか?



これは、GW以降の釣りで感じた事と言える。

この時、それにはまだ気付いてはいない。































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必死になって、海の変化を捉えようとはしました。


僅かな流れ、違和感にも、本気のキャストを繰り返しました。
見えない、深みの潮をたどってもみました。


持っている、全ての引出しを使いきったと思います。

粘りましたが、どうしても魚からの反応を見る事はありませんでした。













三重への帰り道。

N氏からご連絡を頂く。
それは、まさかの答え合わせであった。

まさに 「KEY」 の話題となったのである。
そうして、自身の過ちを学ぶ事となった。












このまま帰っては、きっと後悔するだろう。



三日間を充実して過ごし、今は、それなりに満足している状態なのは間違いない。

心地よい疲れと共に、帰宅して。

ほっこりして酒を飲む。





しかし、明日になればどうだろう!?



あの時、どうしてもっと投げなかったのか!



きっと、それが頭をループするのが、目に見えているではないか。

後悔はしたくない。





よって、気持ちを整理させ、紀東のとある磯へと立った。












結果、何もヒントを見出す事は叶わなかった。


慣れない重量のルアー、足りない足場の高さ。
そして、嫌な風と、噛み合わない潮。



それでも、気持ちが求める、その沖に届けたいと精一杯に無理をした。

結果、右腕に強烈な痛みを残す。








書いている今、それから、二度の釣行を重ねているが。

未だに治る気配は無い。







それでも投げる。

行くことが 「許されなくなる」 その日まで。

痛みなどこらえよう。






きっと、我が人生は長くは無い。

輝くのは刹那。



だから、今日も海を想うのだ。













終わりに。



仏縁に心から感謝しています。









それでは






My Tackles


Rod   MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel  SHIMANO 13 STELLA 10000PG
Line   YGKよつあみ PE #4
Leader   SUNLINE NYLONE 100LB








Dizzy 後編

4月30日、5月1日の日記








無事に磯から魚たちを運び終えました。
氷を持っていなかった私に、W氏は大量の氷をわけて下さいました。
そしてまた、飲み物まで下さいました。
南紀特急の荷室に腰掛けて二人で乾杯。
ホッとしながらも、更に熱い釣りのお話を聞かせて下さる氏。
本当に何から何まで、お世話になりっぱなしの朝でした。
あらためてお礼申し上げます。















さて、氏とお別れしてから、自身のクーラーボックスを見てみる。
勢いで魚を詰め込んでみたが、蓋は閉まらないし、満足に冷やせているとは思えなかった。
何しろ、Rockbeachのクーラーボックスは小振りなのである。
これでは、おちおちと眠る事が出来ない。




町へと赴いて、らしい店を何件かあたってみた。
探しているのは、通称 「箱屋」 である。
漁業が盛んなこの地域ならではだろうか。





数件の業者の方に聞くと、あそこならば 「シビ」 でも入る箱を持っているだろうとのお声。
ここで言う 「箱」 とは、魚を運搬する為の発砲スチロールのボックスの事である。



ある、お店の店主に紹介され、向かった先は大きな倉庫の様な建物であった。
作業中の方にお声をかけると、一瞬、怪訝そうな表情であったが、話が分かるとすぐに上の階へと案内して下さった。

そこで、南紀特急の荷室に合う、丁度良い大きさの 「箱」 を求める事が叶った。





1,600円(税込)






安いか高いか?は別として、喜んでわけて頂いた。
せっかく頂いた海の幸、出来る限りの鮮度にて持って帰りたい故である。

とり急ぎ、エサ屋さんで、大き目のブロックアイスを更に追加する。
そして、それが済むと隣町へと急行した。
ルアーやフックなど、その殆どを朝の釣りで失っていたからだ。

探していた商品は無かったが、これならば、動かし方次第で何とか似た事が出来る。
そんなルアーを三つほど購入した。
後はリーダーも追加する。
これにて、やっと、安心して寝むれるという感じであった。





































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夜になって、少し移動して漁港を訪れました。

豆アジが釣りたい!
そんな風な気持ちで。

しかし、そんなに甘くはありません。
何故か、海面にはおびただしい程のウミヘビの姿が。
粘りましたが、全くアタリを得る事は出来ませんでした。

W氏と共に鰤を見つけてこられた、IGK氏からもご連絡を頂いておりました。
今日の釣果を一緒に喜んで下さり、
「明日、ご一緒にどうですか?」 とお誘い頂きました。

氏との釣りは、年末以来の久々のもの。
喜んでお返事させて頂きました。


















また、遠くで鳴っているメロディーが聞こえる。

何の音だろう?
そうして、段々と覚醒してくる。
ハッと飛び起きて携帯を探す。
急いで電話を手に取った。
寝ぼけていて、ディスプレイをうまくフリック出来ない。



やっとの事で受話器をとると、電話口に出て頂いたのは、N氏であった。
氏もまた、近隣の磯へと立たれる予定であった。
いつまで経っても、姿の無い私を心配して電話を下さったのである。
これには、本当に助けて頂いた。

おそらく、氏からの電話がなければ、そのまま深い眠りに落ちていた事だろう。
ソファーシートから起き上がると身体が痛い。
ほぼ、全身の筋肉が悲鳴をあげていた。
思えば、こんなにもブルーランナーを釣った事は無い。




自身の 「朝の儀式」 も行わぬままに約束の磯へと向かった。
まだ、陽は昇り始めたばかりである。
IGK氏は、同行の方と目的の場所に到着されたとの事。
朝の下痢を我慢しつつ、息も絶え絶えに磯へと転がるのであった。

















何とか、朝のチャンスタイムが来る頃には間に合った。

ともかく、時間が無いので、再会のご挨拶は手短とさせて頂いた。
お連れ様にも会釈し、良かれと思う釣り座に立つ。
ゴアのレインスーツを着こんでいる私は波を受ける場所に。
はたして、今日はどうかと結ぶルアーに悩んだ。
第二幕のスタートである。














まず、自身はローライト時でも目立ちやすい動きが出るフローティングタイプをチョイスする。

しかし、数投するも反応は見られない。
その内、グイっと立ち上がったウネリが少し先に立つ。
後退りする間も無く、勢いのある波が磯を打った。
ドスンっと腹を直撃するボディーブローである。

弾けた波が顔面を洗う。
チロっと舌を出して味わうが、黒潮特有の塩分濃度の濃さを感じなかった。
おそらく、昨日までの雨が沿岸部の潮に溶け込んでいるのだろう。
もう少しで、水潮といった味わいだが、こうした事も自身の大事な日課である。


もし、これで、魚があったならば、また一つ、積み重なるという事だ。
あまりに波の直撃が酷い為、少しだけ立ち位置を換えてみる。
それに合わせ、幾分かレンジを深くとってみた。











ゴゴンっとすぐに結果となる。


昨日の今日で、それを、まだ体が覚えている為焦りはない。
抜き上げには少し手こずったが、幸先よく一本を手にする事が出来た。

良かった。
今日も魚はそこに居る。













IGK氏、そしてお連れ様も同じくして魚を掛けて行かれた。

元の立ち位置へと戻り、再び、フローティングへと換えてアプローチして行った。
しばらくして、二本目の魚を得る。


もう、最高である。


1日目だけではなく二日目までも。

もう、心から満足だ。



正直にそう思った事を打ち明けたい。














この海を前にして、今のままのアプローチを続ければ更なる追加があるだろうと。
嬉しい反面、何故かとても申し訳なくも思った。

ならば、狙いを変えつつ、難しいのでは?というアプローチへと転換してみようと考える。
最近、どうにも不発で、力を発揮する事がない、自身のオハコへと結び換えるのであった。

しかし、思いとは裏腹にそれが炸裂する。










魚は昨日ほどは多くはない。

終始、落ち着いて海を眺める事が出来たが、自分なりの目線でココかも!?という流れでやはり出た。
もちろん、ずっと、そこに定位している訳ではない。
他の魅力的な流れにも、当然に移動しながら餌を求めているのである。
故に隣でも、そのまたとなりの磯でもヒットがあった。
しばらく待っていると、やはり、狙い目となる流れに新たな魚が舞い寄る。
投げ続けていなくとも、少し待って投げるとすぐに反応を見るという状況であった。









新たに結んだそのルアー。

魚からの攻撃は、先程よりも一層増えたのでは?と思わざるを得ない。
ここ数か月にわたり、自身が感じ、体験してきた事がひっくり返る様な衝撃であった。

しかし、チェイスやバイトが増えたのは間違いないが、うまく乗せるという事が難しくなった。
ひとえに、オーバーサイズ以外の何物でもないのだろう。
本気の捕食でない限りは、フックが僅かにその身をかすめるだけという事となった。

「ST56 3/0」 は、そう、おいそれとは良き場所に入ってくれなかったのである。













更に輪をかけて酷いのが、自身のファイトとランディングスキルであった。

魅せて惑わし、やっとの事で掛けるものの。





例えば、追いあわせの入れすぎで身切れさせてしまう。





また、瀬際でうまく浮かせる事が出来ず、魚に瀬を当てる。
そこを、強引にポンプアップしてのフックオフ。





抜き上げ、ズリ上げの要領の悪さによるポロリなど。






いかに、自身の腕がともわないかを痛感する次第であった。

この日、たまたま、自身の手癖での惑わせがピタリとはまったのだろう。

人並みには掛けれたのだと思う。
逃す内、先程までの遠慮は全く心から消えてしまった。

獲りたい!と心から思った。




「こうか?こうか!?」 と試して変えて挑むも、どうにも釣り上げる事が出来なかったのである。





その場で止めてもみた。



いなしたつもりが、瀬へと当てて慌ててベールを返した。



テンションを張らずに竿であしらい、頭がこちらに向かずにラインを傷つけもした。



最終的にはどうしようもならず、かの 「応援団ファイト」 までをも行うに至ったのである。








周りにはおそらく、Rockbeachは遊んでいる様に見えただろう。
当の本人は、いたって真剣だったのだ!
情けないが、正直に告白しておきたい。





















局所、局所で少し離れた隣を見る。

IGK氏のお連れ様は殆ど経験が無いそうであった。
私からは、それを微塵も感じる事は出来なかったのだが・・・。
聞くに、行っても、年に数回との事である。
年齢もまた、私よりもおそらく、ひとまわり以上は上の方であったろうか。
しっかりと喰わせ、着実に釣り上げてみえた。







何よりも凄いのは、IGK氏である。

自身の釣りをしながら、お連れ様にヒットがあるとすぐにアシストへとまわられていた。
まったく、動きっぱなしの様に見えた。
そして、自身も釣りきる。

ある時から氏を振り返る事が多くなった私だが、まさに見る度に竿を曲げられていた。
そのペース。
おそらく、ワンキャスト、ワンヒットかも知れない。
少なく見積もっても、スリーキャスト、ワンヒットはあったろう。



ファイトがまた凄かった。

あれよあれよという間に魚を寄せ、そしてしっかりと浮かせてみえる。
そして、何の力みも無くそれを抜き上げてみえるのである。
磯に上げられ、暴れ狂う魚をヒョイと持ち、彼のタイドプールへとスムースに運んで行かれる。
刃をたてるのも一撃であった。
そして、まさに電光石火にて復帰される。
以下、それの反復なのである。





凄い方々とご一緒させて頂いているのだと改めて実感するのだった。
私は本当に幸福だと思う。
そしてまた、いつの日か近づきたいと心から誓った。





































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IGK氏の炸裂です。
もし、お連れ様へのアシストが無かったら???

その場にいさせて頂いた私には分かります。

お連れ様も素晴らしい四本。
6キロオーバーも。


お二人ともおめでとうございます。


あの雄叫び、次回は是非ともご一緒いたしましょうね!!

IGKさん、誠に有難うございました。






































20140501_072801













何とか、獲る事が出来たお魚さんたちです。
ありがとうね。

キッチリ、鮮度バンバンで津まで帰るからね~

やったね!












IGK氏とは、魚を運びながら海岸線にてお別れとなった。
ゆっくりとお話しが出来なかったのが少し心残りだった。

その後は帰路へと。














途中、氷が心細くなり、前に先輩に教えて頂いた場所にて氷を補充する。

クーラーボックス三個分、小銭を四つほど投入して完了した。
最後の一個を持ち上げて積み込むと、ある異変に気付いたのである。
一個では?と心配になって、家を出る前に追加した発砲クーラーであった。
今まで、それを置いていたシートが冷たく濡れていた・・・。
ハッとして掌で触る!



















Oh My Gosh !!!




















シートも床も水びたしではないか!


そっと、手を鼻に近づけてみる。



























F@ck !!!

























はっ、、ハマチ汁が、隅々まで行き届いて染みわたっているではないか!!









ご飯も食べず急いで走って。





































20140501_121635













まさか購入するとは思っていませんでした。

不可抗力?のおかげで迷わず購入させて頂きました。

「嶋勇」さん、いつも有難うございます。






それからは、南紀特急の全ての窓ガラスを全開!にしながらの帰宅。
職場に寄って、希望者に鰤とハマチをおすそ分けして釣行を終えた。



普段、魚をもらってもらうなんて出来ない事。

鰤を前に写真をとったり、みんな、目が輝いていてとても嬉しかった。

誠、有り難き幸せである。












それはそうと、、





「Igloo 120 qts」






この先、いったい、どうする!!











それでは







My Tackles

Rod  MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel  DAIWA SALTIGA Z6000 with Z5000GT Spool
Line  YGKよつあみ PE #4
Leader SUNLINE  Nylon  100LB







Dizzy

4月30日、5月1日の日記










仕事中、ずっとめまいがしていた。
それにともなう吐き気。
朝から、何度か危ない瞬間があった。
どうか、夜までには治って欲しいと願う。
明日は釣りに行く日である。





そんな中、ビッグニュースが飛び込んで来た!
先輩の、W氏、IGK氏の両名が凄い魚を釣ってみえたのである。

長さは無いが、ともかく、太くて重い!!
具体的な数値にてお伝え下さったのであるが、正直、ピンとこなかった自身であった。
春のこの時期に、いったいどうした事だろう?
私には、産卵をひかえ、やせ細ったイメージしか思い浮かばなかったのである。
誠、無知というものは恐ろしい。









明日の天気予報は雨。

続けて、W氏は出撃されるとの事であった。
自身も釣行予定である事をお伝えさせて頂くと、是非、ご一緒しましょうとお誘い下さった。

とても有り難いのだが、即答が出来ない・・・。
午後を過ぎても、夕方になっても、めまいと吐き気が収まる事は無かった故である。
本当にまいった。

帰宅後、すぐに横になったのは言うまでもない。
数時間後、その最終決断を下す頃。
やっと、回復の兆しが見えたのである。









用意をしながら、窓を叩く雨風の音がどんどん増して行った。
体調不良、そして、内地にいてもの悪天候である。
おそらく、まともな神経ならば行く事を躊躇するだろう。
天気予報を開け、更にその思いが巡って行く。

「強い南風、雨、波高4メートル」

磯に立つ事すら叶わないかも知れない。




最早、私はどうかしているのだろう。
家族には 「深夜の雨のドライヴ」 に出掛けると告げた。
無いだろうと思いつつ、発砲クーラーをもう一つ余分に積み込むのであった。












道中は困難を極めた。

ガラスを叩く豪雨にまったくワイパーが追いつきはしない。
前も見えず、轍にたまった雨水でハンドルが逆を向く。
おまけに、強い横風に、半車線ほど吹き飛ばされるといった具合だ。
法定速度の半分をも満たせない。
高速を走るのは仕方なしのトラックだけ。
跳ねあげる水飛沫が更に到着を遅らせて行く。









現場に到着したのは空が白みだす頃であった。
ドアを開けると不気味な風が舞い込む。
南紀特急から降りると、今度は恐ろしい波の音が聞こえてくる。
W氏の到着はまだ少し先。
もう少し、もう少しだけ明るくなってから出よう。


怖いという心に素直になる。
そんな、待ちの時間もつかの間。
月明かりほどの太陽が昇る頃に歩き出した。
山道はどこも、ぬらぬらと艶めいている。
フェルトピンスパイクではまるで氷上の様。
どんどんと大きくなる轟に胸騒ぎがする。
最後の茂みを抜け、目にうつったのは見たことが無い大波であった。




やっぱり駄目か・・・。





暗闇にもはっきりと浮かび上がる真っ白な水の塊。
波飛沫なんてものではない。
それが磯をかき消している。

立てる訳がない。


それが自身の決断であった。
すぐさま、独り、元来た道を再び歩む。
山道を行き、出るのは溜息ばかりであった。








その後、すぐに車を走らせる。

夜が明けた海はどこも真っ白であった。
唯一、立てそうでいて、陶酔しそうな程のオーラを放っている磯を垣間見る。
パーキングに車を入れそうになり、ふいに様々な事が頭をよぎった。
おそらく、死ぬ。


大袈裟だろう。
はたして、本当にそうだろうか!?
良い日にまた釣りをすれば良い。
何も無ければ、また、次の釣りがあるのだから。




何か所かを巡っている内、忘れていたはずのめまいが再発した。
もう、限界だ・・・。
漁港の片隅に車をとめて眠りにつく。
ウトウトして、遠くに行きかけた頃。
どこかで聞いたメロディーが鳴っていた。
それが、携帯の着信だと分かるまで、どれほどの時間を費やしたろうか。
ディスプレイを見ると、W氏からのコールであった。



「しばらく待ってみて、立てるところは無いかと探しました」

「何とかやれる場所があり、釣れましたが来ませんか?」



確かにそんな内容だったと思う。
氏もまた磯へと下りられ、彼の尺度にて、釣りが出来るか否かを見定めてみえたのだろう。

辛かったので、私はそのまま眠る事とさせて頂いた。
せっかく、こうしてお伝え下さるのに・・・。
とても、申し訳ない気がしたが、どうにも身体が動かない。









再び、その音に目覚めたのは、それからどれくらい経った頃だろう。
氏からの電話が鳴っている。

いつも優しく、人を思いやる氏である。
よほどの事なのだろうと飛び起きた。
寝ぼけた頭では、お話の全てを理解する事は出来なかった。

「ともかく、もし、来れるなら来てください!」


その言葉だけが耳に残っていた。
少し眠ったおかげで、耐え難いめまいは収まった。
全力で磯へと向かう。






















その磯は真紅に染まっていた。



まるで、丸太の様な魚が暴れている。



この様な光景を見た事が無い。






釣り座を譲って下さり、息も絶え絶えにキャストを放った。



気持ちが焦るばかりで、まったく、どうして良いか分からなかった。




やがて、ヒットする!




重すぎて抜けない!!




最初の魚は、W氏がランディングして下さった。




アドレナリン、エンドルフィン、ドーパミン等々・・・。




おそらく、脳内麻薬の全てが出尽くしたに違いないだろう。




奇跡の海であった。
















































P1030312













信じられない事が目の前の海で起こっている!
三十分、一時間と過ぎる内、だんだんと目が変になって来ます。
それでも、この一本には思わず唸り声をあげていました。


何という太さでしょう!!

もう、私の中ではこれはです!

信じられません。


やったね!!































P1030313













後で判明しましたが、これはオスの個体でした。
拳よりもずっと大きく膨れ上がった胃には、これでもか!という位の数のベイトが詰まっていました。
それでも、貪欲にルアーを襲う。
まるで、喰える時に喰っておかなければと言っている様に思いました。

それは、我々も同じ気持ちだったでしょう。
何ヶ月も通い続け、やっと、一本の魚に出会う。
私にはそんな日常なのです。
釣れる時に精一杯に釣っておく。
海が与えてくれた最高のプレゼントを有り難く頂きました。












メインラインの高切れ。
リーダーブレイク。

それらにともなう、ルアーのロストが相次いだ。
魚がデカく、半端なく重い。
海は荒れ狂い、ランディングには一刻の猶予も無いのである。
掛けては、一瞬にして寄せて浮かせる。
そして、躊躇なく抜き上げる。


きっと、思うよりずっと、大きな負担が掛かっていたのだろう。

ラインシステムだけではなく、金具やフックなど、結んでいた全てに支障が出た。



私は、上記した、その一連の動作が全くうまく出来なかった。
力や重さによるものだけではなく、根ズレによるラインブレイクも多かったと思う。
瀬際まで浮かせても、うまく抜き上げたり、ズリ上げたりする事が出来ない。
怖々とそれをやるものだから、ロッドはもう折れんばかりであった事だろう。
バラシやポロリも多かった。










ラインを新しく結ぶ中、やっと冷静になって状況を見る。

W氏は殆どバラシは無かった。
物が破損した事で、いやおうなしに逃してしまうのみだったろう。

そして、氏が掛けるのは、きまって鰤であった。
目の前の海には、おびただしい程のハマチが狂喜乱舞しているのにである。
ちなみに、私はそのハマチ達へのフッキングミスに悶絶していた。

その様な中、まるで、鰤だけを絞り出すかの様な釣りをしてみえたのである。
使ってみえたその多くは、誰のルアーケースにも一つは入っていそうなルアーであった。
ひとえに、アクションが違う。








おびただしい数の荒ぶる魚達を見て、今回、特に思った事がある。

それは 「魚の色」 であった。

今まで、まじまじとそれを見れたのは 「シイラ」 の姿くらいであったろうか。

気持ちによって色が変わったりは、熱帯魚を飼育していても垣間見る事だろう。



この日、ハマチ~鰤まで。

本当に驚くほど色が違った。

ある時は黒く、また、茶色い魚がルアーを追ってくる。

一瞬、ヒラスズキか!シオか!っと驚いてそれを凝視した。

しかし、それはハマチであり、鰤なのであった。
 



最終的には、尾びれは真っ黄色となって行った。

チェイスする姿にハッとする。

水面に浮かせた個体は金色に光り輝いて見えた。

まるで、キハダマグロを思わせる様な色であった。







































P1030318













先輩方に釣らせて頂いた魚たちです。

誠に有難うございました。

素晴らしい体験が出来ました。

































P1030315













W氏の圧巻の釣果です。
凄まじいの一言ですね!

おめでとうございます。







あれだけ苦しんだめまいもどこへやら。
脳内麻薬のおかげでしょうか。
魚を運ぶ三往復にしっかり汗をかきました。



後編へと続く。



それでは





My Tackles

Rod  MC Works RAGING BULL 100XR-1
Reel  DAIWA SALTIGA Z6000 with Z5000GT Spool
Line  YGKよつあみ PE #4
Leader Prosele nanodaX 80LB












死闘

4月15日、16日の日記








Rock'n'Roll な仲間の、TNK氏が先に釣りに行かれていました。
事前情報など全く無い中、氏の思い入れのある磯へと立たれたのです。
そこはそう、まさにパラダイスでありました。

狂喜乱舞する魚達。
逃げまどう難しいベイト達。
魚が捕食している以上、喰わせられないパターンなど無いのかも知れません。
試行錯誤の末、彼はついに素晴らしいメジロを仕留められました。
私も、Taka氏もまるで自分の事の様に喜びました。



TNK氏は私達だけでなく、私の尊敬してやまない大先輩達にもそれをお伝え下さいました。
先輩方もまた、気難しい魚達に奮闘されて貴重な釣果を得られたそうです。





知る限りですが、私はその難しいパターンを経験した事がありません。
釣果を得たいからではなく。
純粋にそれに挑みたいと思いました。
TNK氏の場所に急行するのでした。
















それはまさに 「急行」 であった。

仕事は遅くまでかかり、おまけに何の準備も整ってはいない。
他の青物釣りもまた想定し、やっと用意が整ったのは午前2時前であった。
マズメに間に合わないかも知れない。
まだ、不慣れな新しい道路を南下して行く。









現場の駐車場に着いたのは午前4時過ぎであった。
曇り空が、僅かに日の出を遅らせてくれていた。
急いで磯へと立ったが、そこはまだ暗闇が支配していた。

そんな闇の中、一度しか来た事のないそこをめざす。
約一年前の記憶を呼び覚ましていた。
あるはずの岩がそこに無い。
あるべきものは白い波の中に沈んでいた。







天気予報では確か、波高1.5メートルの穏やかな海であった。
いったい、何がどうしてそうなのだろう?
東の方角からは、絶え間のないウネリが不気味にかたちを変え打ち寄せて来る。
大潮で潮位も低くはない。
立てるか、立てないかではなかった。
しつこい様だが、立つべき岩は水の中なのだ。



あと、約25メートルが足りない!
夜明けと共にそれは始まった。
振りぬいた、ロングキャストはまるで心の叫びであった。
PEの鳴き声が響く。
どうしても、あと少しが届かない。


少しでも寄る様にと祈るが、その思いも届かなかった。
キャストで届く場所にも魚達の荒ぶりは無くはなかった。
しかし、それはおそらく違う魚だったろう。

茶色に見える謎の魚達が激しく水面を割っていた。
この時、それが何なのかはさして重要ではなかった。
立つべき場所の沖、約20メートルで起こっている事。
届かない夢にただ下唇を噛みしめるしかなかったのである。










陽が昇って急に我にかえる自分が居た。
強烈なボイルはとどまる事を知らず。
そのベイト達が沖へと行くにしたがってそれも遠ざかって行く。
自然の摂理を覆す事は不可能なのだ。

釣りに 「たら、れば」 は無い。
知らなすぎる磯へ来るには遅すぎた。
それだけである。
天気予報は絶対ではない。
あくまで現場の空気なのだ。













座り込み、自身の甘さに打ち震えたのはいうまでもない。
そのまま、車の中で眠って全てを忘れてしまいたかった。
でも、目が覚めればまた。
それを思い出して悔やむ事だろう。
一週間、考えて考えて、想いを巡らせて来た事を何も出来てはいない。
次へと向かわなければならない。
海へと来たのだから挑戦するしかないのだ。














ヒラマサを求めて。
想い出深き磯へと向かった。
車を停めてすぐ、朝に釣りをしてみえたであろう方とご挨拶をする。
聞くと、やはり大波に苦戦された様だが、メジロを数匹仕留められたとの事。
陽は昇りきってはいるが、見える海に終わった感じは無い。
湾の奥まで白波が打ち寄せている。
水色もすこぶる良かった。
転がる様にして先端に立った。

































20140415_103303













熱く燃える心にあっては金銭感覚など消失してしまうのです。
探し求め、貴重な竿を手に入れる事が出来ました。

旧ガイド仕様のデッドストック。
ライントラブルは自身の腕とシステムの調合でしょう。
好きで選んでいるのだから気になりません。
買いたくても買えない。
私にはいつもそんなものばかり。
運命と出会いではないでしょうか。

































20140416_164652













これらの組み合わせに感動が込み上げて来ます。
私の新しい歴史の第一歩でしょう。
残念ながら、魚を引き出す事は叶いませんでしたが。
これだからこそ、生きる局面がきっと来るでしょう。
通って通って、その場に立つしかないのです。







闘いきった後は狂った様に食を貪った。
そして、死んだ様に眠った。

明日、駄目だったと簡単に言う訳には行かないのだから。
精一杯やっても、駄目なら仕方ないだろう。



すぐに反応が無いから心折れる?
折れても折れても、少し休憩して、思い直して。
そして投げ続けたい。


独りだからこそ、出来る事なんだろう。
それが出来ないなら。
僕は楽しく、仲間と釣りをする価値は無いと思っている。
病気も死も突然にやって来る。
元気な今、しっかり釣りをしておきたいのです。

















夜中から先端をめざした。
他の釣りの、熱い想いの方がやはり同じ様に向かう。
エサもルアーも関係ない。

夢を思い描く気持ちには変わりはないのだ。
磯に立って、お互いの気持ちや歴史を語り合った。
夜明けまでの 「時間潰し」 ではお互いなかったと信じたい。
三重のベテラン底物師。
石物を狙い、さすらうその気持ち。
違いはないだろう。
少なくとも自身はそう信じた。








トップを引き、水中にもプラグを魅せて行った。
違う気がして、何度もそれを交換しては投げて行った。
ベイトは見えない。
鳥もいない。


少し前には良かった海。
そんなものは幻の様だった。
いつまでも同じで、それが続く事など有り得ないのだから。


何の約束も無いのだ。
深い海の中の事。
気配など微塵も感じる事は出来ない。
信じるしかない。
自信も無いし、間違いの釣りをただただ続けているだけかも知れない。
それでも、信じるしか他に道は無い。








何度、心折れたろうか。
もう帰ろう。
何度、そう思ったか覚えてもいない。



あと一回、もう一回。
その 「一回」 のキャストが全てを変えるのを知っている。



本当に燃え尽きるその時まで。
やりきって、駄目ならば・・・。
その時じゃない!?
きっと、燃え尽きた先には、違う喜びが待っている。


それは、ドラマでも何でもない事。
一瞬の回遊、一瞬の魚の本気を。
ただ、自身の分身がちゃんと海の中を泳いでいるかどうかじゃないだろうか。




























ズバッ!!














フルキャスト。
ミドルより少し下の出来事だった。

潮と魚の重みに耐えられない。
浮かせて寄せる!
頭が少し別を向いたまま変えられない。
それに気を取られてラインが磯に噛んだ。





外れなかった。
どうしても外れなかった。

切れない様に糸をやった。
そして巻いた。
ひとところで擦るのだけはどうしても避けたかった。

魚は小さくはない。
やっとの思いで掛けた奴。
絶対に諦めたくはなかった。










結果的に。
潮位に助けられたのだろう。

情けないが、禁断のあと一歩を踏み出したのであった。

そこには乗らない!

自身の決まりを破った瞬間であった。
どうしても獲りたかった。
どうしても。














































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気が付けば、石物師までもがそこを超えて駆けつけてくれていた。
私からは届かないギャフを握りしめて。


本当に涙が出るほどに嬉しかった。
抜く力も、気持ちも、もう、私には残されてはいない。
心が高ぶってその後の記憶が無い。





































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ただただ、死闘を演じた相手を楽にさせてやりたかったのです。




リリースなど有り得ない闘い。






ヒレを見て頂きたい。
丸くなって無くなっている。
身体もズタズタになっている。


この様な血みどろの写真となってしまいましたが。
それは彼に感謝の気持ちを込めてのもの。
祈りながら命を絶ちました。










自身の釣りが下手で、体力が無くて。
魚を苦しめたのだけど。
あなたが居なかったら、僕には前進は無いのだろうと。



魚が大好きだから釣りをしたいと思った。
ギャップ、そして、どうしようもない矛盾。

せめて、美味しく食べて 「有難う」 と祈る事ではと思っています。










本当に嬉しかった。
この歓喜は誰しもに伝わるものではないだろう。
ヘビージギングを愛する者に。
届いて欲しいと願う。





それでは






My Tackles

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Reel  DAIWA SALTIGA Z6500EXP with Z5000GT Spool
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