寒いので、風邪をひいたり、治ったりの繰り返し。
胃腸の弱い私は、ずっとお腹が痛いです。
天気の方も優れず。
休みの度に風が出てしまいます。
風裏や湾内磯には立てるのでしょうが。
どうにも、気が乗りません。
行くか行かないか、考えている内に嫌になってきました。
あくる日は遅くに起きて近所の温泉へ。
ゆっくり湯に浸かり、身体を癒します。
どうも、ヒラがしたくなって、消耗品を買いに店へ。
良さげなルアーも買ってみました。
とはいえ、メインはやはり青物です!
立てるかどうか分かりませんが。
好きな海へと向かうのでした。
パーキングに到着すると車が停まっている。
中に人は居ない様子であった。
車から降りると、強い北風が吹きつける。
この風により、幾分か波を殺してくれていれば。
淡い期待が脳裏をよぎった。
立てなかった時の事を想定して、少し早めに向かう。
高台から見下ろして海を見てみる。
真っ暗で沖のウネリまでは見えなかった。
砕けた波だけがぼんやりと白く映る。
それさえも、木々や岩が邪魔をしてハッキリとは見えない。
波の音は遠かった。
聞こえない事は無いが、身震いする様な迫力は無い。
それが、とりあえず、下りてみるかという気にさせた。
磯を歩いて行くと、どんどんと波音が大きくなって行く。
おまけに。
北の風が、西からへと変わってしまった。
向きが違えただけでなく、より、強い風となってしまう。
やがて、海が見えるところまで来て足を止めた。
「無理をすれば行けなくはない?」
見たすぐはそう思ったのが正直なところである。
しかし、冷静になってそこに留まった。
ほんの僅かの時間にも、海はその姿を変貌させる事があるから。
やはりと言うべきか。
否、その身替わりの速さに驚くばかりであった。
今まで無かった場所に大きな波が盛り上がる。
それが、どんどんと速さと力を増して瀬に叩きつける。
5分、10分、きっとそんな時間の経過でしかなかったろう。
もう、みるみる内に変わってしまったのである。
そこで、何時かの日に波を避けて立った瀬へと移った。
そこでさえ、何とかギリギリといった感じだ。
以前とは少し波の向きが違い、結構な高さの場所までも波が来る。
釣りにくいが、もしがあっても大丈夫な高さに釣り座を置いた。
遅い夜明けを今か今かと待つのだった。
いつもより、かなり遅れて瀬際へと立つ。
明るくなってきても、どうにも、海が見難いが故であった。
足元から沖まで、嫌な感じのサラシが広がっている。
サラシと言うべきか、洗濯機でかき混ぜたかの様な感じ。
何か釣れるサラシではなさそうに思う。
しばらくキャストを続けてみたが、魚が出る事は無い。
そこで、少し立ち位置を変え、白い泡の無い方面へと投げてみる。
こちらはうまく波をかわすのか、強い流れだけが生まれていた。
沖からゆっくりと丁寧に泳がせ、瀬へと近づくにつれて止めを入れてみる。
正に瀬際という所まで来て、ジュボンっとルアーが消えた。
ふっと、竿を立てると、カツっとした手応え。
しかし、すぐに何も無くなってしまった。
水の中が見えるまでは、まだ、明るくはない時間の事。
何が出たかは分からなかった。
再び元の場所へと戻り、今度は沖にある瀬を狙ってみる事に。
タイミングによっては、ウネリが緩まって良さそうなサラシが広がる。
その、僅かな時に魚が出ないか。
そんな風に思い確かめてみる。
何度目かの時、ふいにトップルアーを追って黒い影が浮いて来た。
まぎれもなく、スズキのシルエットをしている。
おそらく、70あるなしの磯鱸であろうか。
残念ながら、鼻先まで寄ってスッと消えてしまった。
これが、最後の魚の反応であった。
青物の姿を見る事は無かった。
更にウネリが酷くなって来たので退散する。
この海で釣る方もみえるのだろうが、自身にはどうにも荒れすぎに思えた。
何か違う感じがするのであった。
軽食をとり、漁港の片隅で眠る事にした。
気力、体力が少し回復した午後。
少しエリアを変えて、ヒラを狙いに下りてみる事にする。
とはいえ、ヒラの釣りは殆ど経験が無い。
青物を狙っていて、たまたま、サラシから飛び出して来たとか。
沈み瀬から出てきたとか、それがキッカケでミノーを投げる位。
ヒラだけを求めて釣りをしたのは数える程しかない。
よって、ポイントも殆ど知らない。
過去に出た場所は、はたして、今の季節にも当てはまるのか?
そういう事がまったく分からないのである。
ともかく、竿を出してみなけらば分からないと。
記憶をたどって磯を決めた。
以前、釣れたポイントは徹底的に探ってみた。
タイミングが悪いんじゃないか?
意外とルアーが見えなかったんじゃないか?
そんな事を考えながら、同じシモリに違う角度からアプローチ。
レンジをかえ、スピードをかえ、シルエットもかえた。
考えうる、全ての事を試したが出ない。
こんな事をいくつも磯をかえて続けて行ったのである。
波は怖いものではなく、良さそうに見えるサラシはあった。
ともすれば、青物がさして来そうな強い潮さえも当てている。
しかし、どちらも無い。
見えるベイトの姿は無かった。
瀬際に泳ぐ、何かの稚魚さえもが無い。
潮の色は悪い様には見えない。
沖にはうろついている鳥もいた。
かなり、頑張ったつもりだ。
知らないなりに、色々な事を考えて試したと思う。
そして、かなり粘った。
それであるからこそ、ふつふつと疑問が沸いて来る。
はたして、そこに魚は居たのかと。
居たのに釣れなかったのか。
居なかったから、釣れなかったのか。
笑ってしまいそうな事だが、何度も何度もそんな想いが込み上げて来た。
きっと、その当時、よく釣れている海があったと思う。
知人の幾人かも、連日の様に良い魚を手にされてみえた。
沢山釣れる理由はよく分からない。
腕前もだし、きっと、魚も多く入っているのかも知れない。
教えてもらって行けば。
もしかしたら、反応くらい見る事が叶うかも知れない。
でも、何か自分の足で探してみたい気がした。
喉から手が出るほど、知りたい事もあるのだけど。
訊いて、教えてもらうのはもう少し先かな。
それでは