今回も、初日はKN氏との釣りである。
最近、氏はいくつかの釣りを模索中だ。
それは、ルアーだけに止まるものではない。
彼の探究心、行動力には目を見張るものがある。
まったく、天晴れな一匹狼であると言えよう。
この日のプランは夜釣り。
後、ルアーをやったりであった。
夢を抱いて向かった先はホーム。
中でも、自身には手強い磯に下りる事にした。
KN氏にとっては初の場所。
無事、安全に立てるか。
最善の配慮で先を歩いた。
この一年ほど、精力的に各地の磯を開拓している。
そんな、彼にとって。
過剰な心配は無用であったかも知れない。
しっかりとした、足取りで後を来られた。
暗闇の磯は不気味である。
何故か、一人でも近くに居ると安堵する。
はたしてそれは、現実のヒトであるかは分からないけども。
氏はこの日、強い磯竿にて準備を開始された。
確か、4号竿にステラの組み合わせ。
糸はナイロン12号だったか!?
かなり、イカツくて恰好イイ。
そんな、タックルの根底に流れるテーマは。
「するするスルルー」 との事。
様々なものに触れ、新しい世界を開く彼ならではと思った。
自身は道具屋にて、大型の飛ばし電気浮きを買って来た。
いつもなら、胴つきのブッ込みとなるところであるが。
夜の水面に漂う、何とも言えない光の風情を味わいたかったのである。
これに、適当な錘を垂らし。
針にはジギング針を結ぶ。
エサはもちろん、生エサを刺した。
狙いはデカイ方が良い。
少し遅れて、自身も釣りを始める。
海は凪いでいるが、さすが、潮はよく効いている。
投げる場所を間違うと。
一瞬にして、右から左へと、仕掛けは流れて行く。
何となく、流しながらも。
止まる所へと仕掛けを送った。
早々にKN氏にはヒット。
メンドリや赤い魚がポツポツとキャッチされて行く。
自身にはアタリは無い。
頻繁に仕掛けを回収し、少しでも傷んだらエサをかえた。
付いていたエサは足下へとチャポン。
撒餌となれば幸いである。
おそらく、フエダイ科の見た事の無い魚を氏が釣った。
とても美味しそうであり、逃がそうとする氏を止める。
丸々と肥えており、肉厚が凄い。
おそらく、結構な引きを味わったのでは。
やはり、私には何も起きない。
どうやら、完全に釣りを間違えている様である。
ズボをしたかったが、生憎、そんな錘は持って来ていない。
そろそろ、ルアーの準備をしようと思い始めた矢先であった。
少し移動した、KN氏の浮きがスパっと消えた。
アワせると、綺麗にロッドが弧を描く。
パワーギヤにものをいわせ、強引にシモリから引きはがす氏。
足場は高いが、一瞬だけタメ、一気にブチ抜いたのである。
下に居た、私には見えた。
その魚が、宙を舞う頃に吐き出したものを。
それは、自身が足下に撒き続けた、エサであった。
後で拾ってみたが、ジギング針が貫通した跡が確かにあった。
氏が手にしたのは、立派なハタ族であった。
この種が夜間にも活動すると。
垣間見れたのは、誠に幸運であった。
本命が無くて、がっかりする氏ではあったが。
数々の釣果は素晴らしいと思った。
朝のルアーは全くであった。
この時期ゆえの、夢の出会いを期待したのだが。
陽が昇り、まったくの凪になった海には何も無い。
ダツ、オキザヨリすら反応なく。
残念な結果に終わった。
その後、磯をあがり。
ゆっくりと朝食を頂く。
疲れがたまっているのか。
仮眠は本気の眠りとなってしまった。
再び、竿を持つことなく、この日を終える。
翌日、自身は好きな磯へ立った。
何もアタらなかったが。
遠い沖には、大型のベイトが高速で逃げ惑う。
あのシルエット、そして、あのスピード。
おそらく、アレに間違いはない。
時折、ドカンっと大きな爆発も見える。
後で伺ったが、どうやら、サンマの第一便であった様だ。
近くに漁船、キャスティング船は居なかった。
刺激的なものを見て、溜息をついて磯をあがる。
まぁ、自身の釣りの殆どはこんな感じ。
その後、三重まで大きく戻った。
気になる場所があり、どうしても、そこで狙ってみたかった。
良かれと思い、揃えて来たルアーを持って立つ。
それは、自身の思いで選んだもの達。
実績のある、ルアーやリグではない。
先行者のとても親切なダンゴ釣りの方がいらっしゃった。
いくつか、お話をさせてもらいながら。
黙々と釣りをした。
ガツン、ギューンと走るのは大型のエソ。
残念ながら、エソしか反応してくれない。
ダンゴの方、朝は良いハタマス釣れたぞ!と。
少し、ヤル気が続く事を教えて下さるのだけど。
やはり、釣れてくるのはエソばかりである。
その内、ダンゴの方の竿がブン曲がった。
マジか!?と思う様な壮絶なファイト!
やっとの事で浮かせたのは、まぎれも無いアイツであった。
居るだろうと、自身が信じて来た魚。
そう、九絵である。
取り込んでからも、傍らで見させて頂いたのだが。
この方、特に驚く様子もなく。
静かに絞め、血抜きと、儀式を進められてみえた。
おそらく、初めてではないのだろう。
慣れた手つきである。
ヒットこそ無かったが、居る事が分かった事は幸運であった。
はたして、反応させる事が出来るかは別の話だが。
夕方となり、お誘い頂いていた、ボートアジングへと向かう。
今日も、O船頭、W氏にご一緒させて頂く。
本命ばかりではなく、良いサイズの太刀魚も回っているとの事。
少しだけ、それ用のルアーもバッカンに入れた。
結果的には、太刀魚の巣窟であった。
自身のフロロリーダーは立て続けに切られる。
見かねて、W氏がお手製のワイヤーリーダーを貸して下さった。
有り難く、それで、やっと手に出来た。
良いサイズのそれは、自身のハードなアジ竿をこれでもかと曲げた。
本命アジは釣れなかったが、クーラーはしっかり満たされた。
お誘い下さり、本当に有り難いと思う。
また、大の釣り好きのお二人との。
真剣に釣りをしながらの、様々なお話が面白くて仕方がない。
素晴らしい時間をいつも有難うございます。
いつも、面白い事を考えている。
そんな、先輩、仲間たちに囲まれて。
自身はとても幸せです。
私も負けない様な、面白い事を開いていかないと。
今回も誠に有難うございました。
それでは