10月4日、5日の日記







ここ最近、色々と苛立つ事の多い毎日を過ごしています。
経済難の中での南紀特急の故障。
それも、さらに苛立ちに拍車をかけていました。
そんな中、Taka氏より釣りのお誘いを頂きました。
本当に有難いです
前回、急な仕事が入り、途中で帰宅となったのが悔しかったと氏は言います。
今回はしっかり仕事を調整し、万全の態勢で釣りが出来るとの事。
幾つかの釣りの道具を持って旅立つ事にいたしました






私にとっても、約20日ぶりのロックショアの釣りとなる。
先輩方から海況は聞いてはいた。
しかし、私自身が通っていないから、身で海が分からないのである。
通い続け、それで得た物をデータと照らし合わせて予想する。
そんな自身の方法がとれなくなっていた。

無いモノは仕方がないので、釣行土壇場になって調べる事も止めた。
情報が全く無い訳ではないのだが、それを信じ、釣れなかった時にダマサレタと感じるのは好きではない。
ダメだった事を誰かのせいにして逃げたくないからである。
よって、今回はシンプルに行く事にした。
秋の青物シーズンを楽しもうと。
あわよくば、ヒラマサに出会えたら嬉しいなと。
気ままに秋の海を満喫したかった。





いつもながら、Taka氏の運転で南紀までの道をひた走る。
道中は話しに花が咲き、気が付いたら県境を過ぎている感覚である。
この日もすぐに新宮の街に入ったのだった。
それからしばらくして、安い氷を買って氏の大型クーラーに詰めて行った。
そんな事をすると釣れないよと半分本気のジョークで笑う。
おそらく、よくあるワンシーンではないだろうか。
南紀に到着し、早く寝なければならないと思いつつも話が済まない!
これから向かうポイントがなかなか決まらないのだ。
色々と悩んだのだが、最終的には沖磯を選ぶ事にした。
氏の、「物凄い」、タックルの初デビューに相応しいという事が理由であった。
勝算など気にせず、気楽に竿を出すのも面白い。





渡礁後、準備をしながら海を見る。
今日は小潮である。
潮位は干潮にほど近く、波も無く全く穏やかな海が広がっている。
とはいえ、意外にも潮はよく動いている様に見えた。
まず、準備を終えた私から立ち位置に向かった。
最初に結んだのはやはり好きなポッパーである。
ウォーミングアップのつもりでゆっくりとキャストした。
スルスルとラインがスプールから出て行く。
しばらくすると、硬くなったラインの抵抗で、飛んでいるルアーが失速して着水した。
私から、約50~60メートル先まで到達した様だ。
早速、ゆっくりとしたテンポにてポッピングを始める。
目に見える範囲ではよく潮が流れている。
しかし、水中はどうだろう?
そんな事を考えていた時であった。
ドバン!!っといきなり水柱が立った!
ハッとして聞いてみる・・・。
しかし、ラインの先に獲物の手ごたえは無い。
再びアクションを続けて行くとその理由が分かった。
不穏な空気を感じる。
っと、水面から黒い三角のそれが浮き上がった。
サメであった。
どうやら、ポッパー好きのサメを呼び寄せてしまった様だ。
気持ちが急速に萎えて来る。
すぐにペンシルに交換してキャストを再開して行った。
サメはどこかに消えて行ってしまったが、魚からの反応も無いままであった。
眼下に広がる海には、浮きグレの群れしか見えていない。
とても厳しいスタートとなった。




Taka氏は二刀流のタックルで挑んでいる様だ。
すこぶる強力なそれでは大型のペンシルを、また、少しライトな方ではミノーをといった選択である。
私はといえば、不精な性格であるので、一つのタックルで色々とやっている。
個性が出る部分だろう。
その後は互いに、手を変え品を変えて投げ続けて行った。
しかし、全く反応を見る事が出来ない。

そこで自身は気分転換にエサを取り出した。
カワハギ仕掛けをそっと沈ませてみる。
するとどうだろう、着底を待つ間も無くアタリが出るのだ。
これは楽しい!
ギュンっと、ヒラ竿の穂先が入ったので鋭くアワセてやる。
ググググッ、凄いパワーで突っ込んで行く。
思わずヒザのバネを使って応戦する。
何の魚かは分からないが、カワハギでないのは間違いない。
ロッドをバット部分から絞り込む程の力を見せる魚。
懸命に応戦したのだが、足元の根に入ってしまった。
少し待っていると、グングンっと動きだし根から出た様であった。
今だ!と一気にリフトさせようとするとパスっとテンションが途切れてしまった。
PE2号ラインの高切れである。
これは面白い!
急いで仕掛けを作り直し、再度、投入するとまたすぐに当たった。
しかし、これもファイト中に切れてしまった。
あまりにおかしく思い、ガイドを確認して行くと案の定である。
その一つにクラックが入っていた。
今度はジギング竿に結びやってみる。
アタリは分かるのだが、それを掛けるのがとても難しい。
仕掛け投入と共に喰う、まさに入れ食い状態なのだが・・・。
何とか工夫してやっていると、ポツポツと小型の磯魚が釣れる。
主にベラの類だが、そのサイズには驚いた。
尺はあろうかという魚が釣り上がってくるのだ。
逃がそうとすると、底物師が欲しいと言う。
どうやら、魔物の餌にするつもりの様だ。
魚には可哀想だが、そのロマンに捧げる事にした。
しばらくエサを楽しんだが、アタリが乏しくなって来たので竿を置いた。
やはり、エサで釣れる魚達も潮にはとても敏感な様子である。

すると一人の初老の底物師が竿を曲げた。
すぐに浮かせ残念そうな表情を見せる。
「ヒブダイやあアカンわあ」、っと苦笑いしていた。
針も飲まれてしまったと嘆いていた。
欲しかったらあげると言ってくれた。
そのままリリースしても長くはないだろう。
有難く頂く事にした。
見るとヒブダイではない様に見えた。





















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多分、イラという魚だと思います。
40センチ以上あるんですよ。
口からワイヤーが出ています
美味しく頂く為にすぐに昇天の儀式をいたしました。
帰宅後、煮付けにして頂きましたが、とても美味しかったです。
綺麗な白身であり、その感じはタラによく似た風だと思いました。







少し休憩を挟み、またショアジギングに戻る。
Taka氏はずっと投げ続けていた。
しかし、自身はどうにも集中力が続かないのだ。
通えば通う程に、この様な悪い感覚が芽生えてくるのだろうか。
いわゆる、釣れる気がしないというものである。
頭では分かっているのだ。
投げ続けるならば、何が起きるか分からないという事を。
海の中にルアーが無ければ、その僅かな可能性さえも放棄した事となる。
それを分かっていて尚、どうにも気力が起こらない事に苛立つのだった。
最近、釣りとは自身の軟弱な精神との闘いであると感じている。

見える範囲には全くベイトがいなかった。
ミノーを巻いてすら、オキザヨリ、ダツのバイトも無い。
池の様な海が広がっているが、それでも潮だけはよく動いていた。
午前11時、自身の引き出しの全てを使い果たした。
何をやってもダメなのである。
こんな時、大きな気分転換の為に眠る事にしている。
勿論、短時間の眠りで身体が休まる事は殆どない。
しかし、不思議と精神的にとても軽くなるのだ。





小一時間ほど眠りを貪っただろうか、眠気眼で、Taka氏を見ると真剣な顔で投げていた。
聞けば、全く休む事なく振り続けていると言う。
この気持ちが欲しいと心から思うのであった。
それから、磯上がりまでの三時間、投げに投げ倒したが何も起こす事は出来なかった。
あえて、私が普段、口にしない様にしている言葉がある。
「魚がいない」という台詞だ。
深い海の中の事、勿論、釣れないから魚がいない訳ではない。
いないかもしれないが、それよりは自身のルアーでは誘い、喰わせる事が出来なかったと思う様にしている。
しかし、この日、さすがにその言葉が頭に浮かんで来た。
Taka氏はずっと休む事無く、キャストを続けてみえたのである。
自然に互いの口から洩れた。
それは思いやりであると信じたかった。





磯から上がり、すぐに車に道具をしまって行った。
ここで、この日の釣りが終わるならば、おそらくは時間をかけて道具を整理したであろう。
しかしながら、自身も、また、Taka氏も全くそのつもりは無い様である(笑)
車に積め込むだけの最低限の整理に終わった。
とり急ぎ、空腹を満たす為、街のファミレスに向かった。
すぐに食べ終わり、一服しながら話す。
互いの口から自然に言葉が出た。
「アソコ行こか!」
日中にはまだ汗が流れるほど暑い日もあるが、やはり秋は深まって来ているのだ。
陽が沈み行くのがとても早くなって来ている。
満腹で苦しいお腹を抱かえて磯にダッシュするのだった。
氏の名誉の為に書くが、お腹を抱かえたのは、Rockbeachだけだと思います。

十分ほどで先端に着いた。
早速、マシンガンの様にキャストを連射して行った。
狙いも何も無いのだ。
扇状に届く範囲に全て投げて行く。
私はこの時、あえて苦手としているシンキングペンシルを用いた。
着水すると穂先を上げ、全力でハンドルを巻き続ける。
水面をスプラッシュを上げながら高速で引くのである。
確かにとても有効な誘いであるのだが、普段は殆どしない釣り方である。
もう、どうしても魚の反応を見たかったのだ。
しばらく投げ続け、やっと殺気が消え始めた頃であった。
沖からずっと引いてきて、足元から張り出す沈み根に差し掛かった頃であった。
いきなり水面が割れ、ゴン!っとロッドを引っ手繰られる。
あまりに突然だったので、何も出来なかった。
水面に生まれた大きな波紋だけが残された。
次の瞬間、Taka氏に向かって吠えていた。
しかし、氏は爆笑している。
どうやら、私の表情が鬼神の様であったらしい。
そんなの自分じゃ分かりません!
笑いながら氏がミノーを投げると、ゴン、ゴン!っと二回当たった。
しかし、うまく乗らないのだった。
その後、真っ暗になるまで投げ続けたが、二度とは出なかったのである。





磯から上がり、ほとんど休む間もなく次の釣りに向かった。
今回は秋イカをのんびりやってみたい気分でもあった。
磯に立っているのだから、アオリも磯で楽しめば良いはずである。
しかし、私は結構、漁港での釣りも好きなのだ。
何といっても、そのお気軽さが良い。
食後の軽い散歩といった雰囲気が心地良いのです。
向かったのは、あえて激戦区の堤防であった。
入れ替わり立ち代わり、一日中多くの人に叩かれ続けている所。
なかなか、イージーには抱きついてくれない。
キャストを開始してすぐ、テンションフォール中にビュンっと持って行かれた。
こういう感じでは、とても小さいイカの時が多い気がする。
それ以降、しばらく全く反応が無い。
あれこれと、持てる引き出しを開けて誘ってみる。
どうやらこの日、ジャーク中に乗せるのが自分に合っていた様だった。
エギを動かしている最中にバチっと来て乗って来た。
まるで魚のヒットの様であった。
まず、300gくらいの小イカが釣れた。
すぐに同じ風にヒットする。
グっと竿がしなると、あの気持ち良い感触が伝わって来た。
グイングイン~っと穂先が上下する。





















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700gは無い位かと思います。
久々に気持ち良かった一杯。
やったね!












その後、すぐに潮が緩んでしまった。
しばらく粘ったが、二人とも全く反応が無くなる。
明日に備えて納竿する事にした。
とてもお腹がすいたので、軽く夜食をとる事にした。
パワフルなTaka氏は二人前位の弁当を購入してみえる。
寝場所に移動し、まずは乾杯をした。
翌朝、運転する事の無い私はワインボトルを買った。
色々と話す内に、すぐにボトルがカラになってしまった。
気持ち良く就寝Zzzzzz







翌朝、4時の目覚ましで起きるも、二人とも二度寝してしまう。
確か、氏の寝息が先に聞こえた気がした(笑)
まっイイかっと再び落ちる。
次に目が覚めたのは、6時を大きく回った頃だった。
急ぐ事なく、コンビニで缶コーヒーなどを買う。
前日、あまりにベイトの姿が見えなかった為、大きく移動してエリアを変えてみる事にした。
磯に着くとすでに何人かの方が投げてみえた。
邪魔にならない様、更に歩いて誰もいない場所に向かった。
おそらく、二時間ほど投げ続けたろうか。
やはり、ここにも見えるベイトはいないのである。
全くもってアタリも無い。
やがて、何人かが帰られたので、空いた場所に移動した。
投げ始めるとすぐ、一人の方が磯際で竿を曲げている。
何かを外そうと一生懸命に見えた。
しばらく見ていると少し竿が動いている。
不思議に見ていると、どうやらその先に魚が掛かっている様だ。
ほどなくして、40センチを超えるナイスなシオが引きずり上げられた。
とても羨ましく思えた。
しかし、我々には全く何も起きない。
もうすぐお昼となる頃、諦めて納竿としたのであった。




僅かなものかもしれないが、久々の磯の釣りにかなり感覚が遠く感じた。
いったい、今までどれだけのキャストを繰り返したか分からない程ではあるが、
少しでも間隔をあけると、何かぎこちない感じがするのであった。
もともと、釣りが下手だからであろう。
釣れないがとても楽しい二日間であったが、それにも増して悔しさを噛みしめる事となった。
帰り道、たまらなかった。
その気持ちは他の何でも掃えない。
そう、釣りでなければ。
近い内に必ず戻る、そう強く決意するのだった。



それでは