南紀

有給消化の三連休

1月15日、16日、17日の日記



時代は変わったようで、今は『有給』をちゃんととらないと怒られるようだ。
ずいぶんと遊んできた半生だったが、有給をとった事が無い。
ケガとか入院とか、それで有給を使っただけかな!?
まあ、そういう事で、有給をとってください!と強く言われた次第である。

前回の釣行にて、左手首を痛めたのであるが、1週間経ってもほとんど変わらないでいた。
極力、重い物を持つとか、大きく負担の掛かる事は避けて生活したのだけど。
一週間、手首をかばったが痛いままだった。



釣行前夜、あまりの眠さに夜中の出発は控えた。
潔く、早めに布団に入った。
朝から釣りの準備をして、なんだかんだで南紀に着いたのは15時を回った頃だった。
実のところ、久々に降りてみたい磯があったが、大潮で今から満潮をむかえるとの事で、現場まで見に行って降りるのを諦めた。
おそらく、ルートがこれから水の中に沈む。
もう、日没まで時間がないので、ダッシュで行ける磯へと南紀特急を飛ばした。
久々に転がるようにして先端へと到着する。


どうやら、この日は今までに雨が降っていた様子であった。
私が着いた頃には雨は止んでいたが、結果、ものすごい風が山側から吹き荒れている。
今日の風向きでは、沖に向かって、真横から強風が吹きつける方角に磯は存在する。
急いでいて、そこまで計算できていなかった。
陽が傾くにつれ、どんどんと強くなる風。
もう、真っ直ぐ立っている事すら厳しくなっていく。
ミノー以外、どうしてもルアーを泳がせる事もできなくなってきた。
よって、まだ陽はあるが、無念の撤退としたのだった。

手首にはロキソニンテープを貼り、串本の薬局でテーピングを買って巻いた。
それでも、リールを回転させる度に痛みが走る。
なんとも辛い連休初日がこれにて終わる。














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就寝に備えてテーピングをほどく。
湿布が剥がれないように、ソックスをカットしたもので代用した。




2日目


昔、南紀に通い出してすぐ、よく訪れた方面へと足を伸ばしてみる事にする。
現役トップランナーのN氏から魅力的な釣りもの情報をお伝えいただいてもいたので、朝の内に磯をやって、ゆっくりしたいと思ったのだ。














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磯の釣りの方はまったくの完全試合で終了。
余談だが iphone15 Pro Maxで撮影すると
夜でもこの様な画像となる。



この磯でもそうだったが、夜が明けて、なんとかヘッドランプの灯り無しでルアーが見えるようになる頃から、磯際の流れの中に湧きグレが群れだした。
そして、磯の周囲も沖も、おびただしい数のボラの大群に埋め尽くされる。
湧きグレは前からよく見たが、それでもこんなには居なかったと思う。
ボラに関しては、ほとんど見た憶えがない。
ボラの群れはペンシルを引いて来てもガツンと当たるし、ミノーにいたっては、スレ掛かりも頻繁に起こる。
可哀想だし、まともに釣りができない。


磯から上がり、着替えて漁港へと向かった。
ライトゲームの好敵手が回遊しているそうである。
港に着くとすぐに魚影は確認することができた。
やはりというか、まるでルアーには見向きもしない。
あまりにも釣れないので、昼食がてら少しドライブをする事にした。
良い物が手に入った。
















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ジグヘッドに刺して〜ムフフフと妄想しながら戻ったが
なんと!群れが居なくなってしまった。
種類もサイズも変わってしまった様子である。
ジグヘッドキビナゴ、2時間に一匹とかしか釣れない。
なんてことだ。


日の暮れに急に活性がアップした。
キビナゴだけかと思ったが、ちゃんとルアーにも同じく反応してくれる。
とても風が強く、難しかったが、なんとか釣果を得る事ができた。
実にほぼ2ヶ月ぶりの釣果であった。
やっぱり、ポンポンと調子よくイージーに自分は魚を手には出来ないな。
粘って粘って、なんとかって感じ。
釣りは難しいね本当に。
兎にも角にもN氏にこころより感謝する一日であった。



3日目



せっかく来たのだからと、岬にほど近い磯へ降りてみることにした。
ベタ凪かと思いきや、少しウネリがあるようで、時折り波飛沫があがる。
あたりまえなのだけど、カメラを濡らしたくないので今は気をつかう。
右手の方角より潮はゆっくりと流れて、良い感じに見える。
なにより、ここ最近、海の色が良いなと感じるのだ。
なんとなく、昔のような濃い群青色に見えなくもない。

しかし、いかにも釣れそうな雰囲気の海は甘くはないのだった。
まるで、青物の気配を感じない。
ここでも、湧きグレとおびただしい数のボラの大群ばかりである。
磯際の小魚も見えない。
数時間粘ったが、何も無く終了となった。

















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正直なところ、長いブランクで相当、自身の釣りが失われてしまった様に思う。



確かに、以前は自身が思い描く泳ぎを、ルアーにさせることが出来ていたはずである。
記憶もあるし、ちゃんとそれをイメージする事も出来るのだけど、今はルアーはその通りには動かない。

直立ペンシルを一つとっても、ほうきを履く様なフォームでルアーをグリュグリュグリュと潜らせて泳がせる、基本的な動きをミスせずにこなすのに精一杯なのだ。

下手をすれば、ルアーはすぐに水面から飛び出してしまい、フロントフックがリーダーを捉え、泳ぎが破綻してしまう。

水飛沫も上げる事が出来ず、グリグリと泳ぎ、止まってピョコンと立って…
あまり釣れるイメージがわかない、簡単な動きすら、ミスせずに繰り返すのが難しくなってしまった。
もっと、狂おしいほどに、18センチのペンシルを暴れさせていたはずなのに。


もしかしたら、魚は回遊しているかもしれない。
この程度のルアーアクション、泳ぎでは反応しないだけかもしれない。
居たら狂うやろ!という確信のそれがあったはずだ。



ともかく、この手首の状態では、まともに釣りをする事もままならない。
腕も肘も肩もガタガタになっている。
休息してたら治るのかな。
微妙だな。



それでは










































故障

1月7日、8日の日記




大晦日の夜はふて寝をした。
釣れなかった3日間に人並みに落ち込んだわけだが、
新年は早々に仕事のため、リベンジというわけにもいかなかった。


昨年の12月に入った頃、なんとなく、しばらく釣果を得られないかもしれないという予感が頭をよぎった。
近場でのサーフの釣り、河口の釣り、また南紀のヘビーからライトなものまで、色々な釣りをしたのだけど、
コツリとも魚信を得ることは無かった。


その時々、真剣に釣りをしているはずなんだが、まったく不思議なものである。
なんとなく、私には「幸運の釣果」の数が決まっているのかもしれないと、昔から思う事があった。
自分で言うのもなんだが、釣りの腕、テクニックは平均以下だと思う。
引き出しも少ないし、僅かな事を繰り返しているに過ぎない。
大の「太糸派」でもあるしね。

もしかしたら、ただ、気持ちだけで釣りをしていて、僅かな自身の幸運のストックを釣果にしている様なものかも知れない。
ま、いわゆる、釣り運を使い果たしてしまったのかも。



当日の予報では夜間は雨であった。
朝にはあがるそうだが、かなり強い風が吹く感じである。
道中、眠くて仕方がなかったので、あともう少しの距離まで来て仮眠をとった。
年々、夜中の走行が辛くなっている。


うっすらと明るくなった頃、車を走らせ海の様子を見る事にする。
潮岬まで行ったが、時化の海が広がっていた。
とてもではないが、釣りができる状況には思えない。
暗い内に降りていれば、かなり怖い思いをしただろう。
これは外磯は無理かもしれないと、第二のプランで考えていた磯へと行ってみる。
十年ぶりとかなので、まるで新規の場所へ行く感覚だ。










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ここなら大丈夫だろうと思っていたが、かなり怖い思いをしながらの実釣となった。
時折、すごいウネリがきて怖い。



トップもやったし、しっかりとジグで探してもみた。
しばらくして、リーリングする左手首に鈍痛をおぼえる。
ジグをジャークさせる度に痛みが少しずつ増すのだった。
それでも、昼過ぎまでここでは釣りをした。
まったく、かすりもしなかった。



その後、漁港にて遠投サビキの釣りをしてみた。
おそらく、10メートル近い横風にてんやわんやであった。
アミエビのあの汁が防寒のズボンをベタベタにした。
そして、なんとボウズである。
小アジさえもが喰わないのである。


それから、急いで磯へと向かった。
年末の釣行で夕まずめ、アオリをねらっていた場所だったが、完全に暗くなる前の一瞬、ガバガバ!!っと青物が沸いたのだった。
釣り納め三日間の唯一の青物の気配だった。
もしかしたら、その時間に差してくるのではないか。
そう思って、日没の頃を釣りしてみようと思った。
しかし、結果は何も無かった。
海の雰囲気は素晴らしいものだったが、どうしても魚信が無い。




明日の予報も強い風が吹くとの事だったので、諦めて三重へと帰ることにした。
朝だけ、帰りの道中でやってみようと。
結局、ここでも山側からの強風に苦戦することになる、
時折、ブハッと絡んだPEラインがガイドを鳴らして飛んで行くのだった。
注意してやっても、三度もなった。


ブルーランナーはそこに居た。
磯の際にいる極小ベイトめがけて、ガボガボと荒ぶった。
トップやミノーにはまるで反応しない。
何度も足元での捕食は繰り返されたが、私のキャストするルアーに反応することは無かった。
懐かしい敗北感であった。










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釣りを終えて、少し話して帰路へと着いた。










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その夜、手首が腫れた。
加齢とはおそろしいものだ。




今、南紀にてこれを書いている。
便利?な世の中になったなあ。


それでは


























若きアングラーとの出会い

2024年12月31日の日記




前日の夕方の釣りの後、軽い吐き気が出て、一気につらくなってしまった。
食事と運転以外は水辺に居た一日だったが、これも加齢のせいだろうか。
昔は寝ずに釣りをしても平気だったのに。
なかなか、無理はできなくなってきたようだ。
食欲もなかったし、19時過ぎには南紀特急の中で横になった。


眠りに落ちる間際にiphoneを開く。
この後、夜半より雨が降るとの予報だ。
朝まずめは雨かもしれない。
長いブランクがあるせいで、風や波がどう変化していくかが読めなくなった。
頼りにしていた天気予報のサイトも無くなってしまった。
だから、十二分にマージンをとった場所を考える。
あとは起きた時の状況次第。


目覚めは3時半頃だった。
やはり、しとしとと雨が降っている。
体調はなんとか回復したようで、軽食と朝の儀式を済ませて準備をした。
年末で人が多い事もあり、少し早いが、ポイント付近の駐車スペースへと向かうことにする。
到着すると、先行者の車が一台停まっている。
まだ、中で待機してみえる様子だった。
私も駐車して、荷物を出し始めると、その方も車から降りてみえた。
挨拶を交わし、目的の場所をお聞きする。
希望の磯は同じであった故、自身は違う場所へ降りる事とした。
暗くてよくわからなかったが、声の雰囲気からして、とても若い方に感じた。


釣りの方は特に変わった事は無かった。
ポッパーをキャストして、ミノーで追ってくる魚の姿を探した。
その後はペンシルを投げて、スイッチが入らないかと淡々と続ける。
陽が完全に昇ってから、沖の潮目で少しだけ小さな飛沫が何度か見えた。
今日で3日目となるが、行く先々で「沸きグレ」の姿をずっと見ていた。
もしかしたら、グレが水面を割ったのかもしれない。
気持ちよりもさらに長く粘ったが、魚からの反応を得ることは叶わなかった。
一歩ずつ確かめながら、ゆっくりと磯からあがった。












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車に戻ってすぐ、先行の方も帰ってみえた。
荷物を片付けながら、互いの状況を交換する。
少し、話しをせてもらったところで、気になって、年齢をお尋ねした。

23歳です! とお答えいただいた。


もう、なにか、無性に嬉しくなってしまった。
自身としては珍しく、とても、長く話してしまった。
職場の上司の方が、以前、ここに通ってみえたそうだ。
また、ご本人も秋に良い釣りが叶ったそう。
ともかく、何故か嬉しくなってしまって、ベラベラと昔話をしてしまう。
1人っきりで釣りに来て、自分と同じように、ずっと、ロッドを振り続けていた事も印象的だった。


「昔は凄かった!」
「ヒラマサが!カンパチが!」
「20本、30本の祭りが!」


そんな思い出を話していたと思う。
しかし、あとで振り返って、とても申し訳なく思った。
私はいまだ過去を生きているのだろう。
彼は現在を釣りしているのだ。

私は過去の自身の「トロフィー魚達」の記憶にすがっているだけかもしれない。

その全てが、かけがえのない、素晴らしい記憶や経験であるけども。

帰宅して、元旦の日に強くおもった。
違うのだと。


もう一度、最初からはじめなくてはならない。
大きく離れてしまった潮流など、海は変わってしまった。
今を受け入れ、また一から挑むしかなない。
リアルタイムの南紀の海を釣るのだ。


若きアングラーには申し訳ないことをしてしまった。
誠にすみません
しかし、お陰で リ・スタートラインに立てたろうか。
もし、今度、磯でお会いする機会があれば、
新たな自身として、ご一緒できれば幸いです。














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えらく老け込んでしまったな
問題は山積みだけど
やるしかないな



それでは


















































2025年元旦 ブログリスタート!!




初めてここで記事を書いたのは、2010年の元旦のことだった。
15年前の今日、元旦のことである。

15年前の初めての記事(押すとタイムスリップするよ)



それから、2017年の最後の記事まで、およそ8年間ほど書いた。
もう、随分と前なので、やめてしまった頃のことは覚えていない。
ただ、嫌になって、やめてしまったのではなかったと思う。
おそらくは、磯釣りに夢中になってしまい、ここで書くのは少し違う気がしたからだったろうか。
また、SNSの広がりや、投稿の手軽さもあったと思う。


読者様の中には、私、Rockbeachが釣りをやめてしまったと思われた方もいらっしゃったかもしれない。

前途したように、しばらくは餌釣りに夢中となった。
クエ釣りや石鯛釣りといった底物、また、グレなどの上物釣りにも挑戦した。

その後、少年時代に好きだった、渓流のトラウト釣りにスイッチが入る。
海から帰ってくる鱒族にロマンを求め、ノボリ釣りも始めた。
思いはサツキマスだけにとどまらず、とうとう、サクラマスにも挑戦することとなる。

ロックショア青物をずっと追いかけ続けてきたこのブログである。
まさかの淡水の釣り、さらに日記を書きづらくなった。



去年の春くらいだったか、妙に磯でのルアー釣りを懐かしく思うようになった。
あの頃、ご一緒させていただいたアングラー達はまだやっているだろうか。
もう、ほとんど誰とも連絡をとっていない。
私もずいぶんと歳をとった。
体力もぐっと落ちたし、当時より、20キロ近く体重も増えている。
はたして、険しい磯での釣りなど、再びすることができるだろうか。

















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あまり考えず、とりあえずやってみるタイプの人間なのだろう。
やめておけばよいのに、よりにもよって、35度とかの真夏の日に磯へと降りた。
帰りの山道では意識が飛びそうになった。



まあ何より、久しぶりの磯でのルアーフィッシングが、素晴らしく気持ちよかった。
ルアーも道具もラインも当時のまま。
現代のロックショアの釣りとは全然違うかも知れない。
ともあれ、この夏の日を境に、また磯へと通うこととなったのである。
















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年末の納めの釣行では、特に思い入れの深いこの磯へと降りた。
7~8年ぶりで道を覚えてるか不安だったが、まさか身体が覚えていたのである。
体が重すぎるので、さすがにスリットを飛び降りることはできなかった。
夜明けから正午くらいまでやったが、魚信を得ることは叶わなかった。




昨年の晩秋くらいから、なんとなくこのブログをまた意識し始めていた。
再開するか否か、まだ、全然リアルではなかったけれども。
そしてまた、あまり何も考えず、元旦の今日に書き始めた次第です。


明けましておめでとうございます

それでは






初のアブラ狙い

2016年 6月1日の日記









ホームに 「アブラ」 という魚がいる事を知ったのは、
もう、随分と前である。
よく乗った磯で、初めて、その名前を聞いた。
なにしろ、美味しい魚であり。
強い引き、釣り味の方も格別だとの事であった。
その数こそ少ないが、専門で狙う方もみえるという。
まだまだ、知らない、面白い魚がいるものだなと思った。



標準和名は 「フエダイ」 というらしい。
特に、西日本においては。
それら、土地独特の、呼び名が数多く存在する。
ましてや、この手の魚は種類も多く。
よく似た形であっても、まるで違う種であったり。
判別が難しい。
よって、自身は最初に聞いた 「アブラ」 という名前で認識している。


今回はそのアブラを狙ってみたい。






実を言うと、一足早くに、先輩のK氏がこの魚を手にされてみえた。
自身も狙ってみたいとお伝えすると。
快くも、詳細をお教え下さったのである。


夜の釣りがメインになるとの事なのだが・・・。
再三にわたり、言ってきたことではあるが。
私は夜の釣りがとても苦手である。
とにもかくにも、心霊系が恐くてしかたがない。
やってみたいが、いざとなると足が向かない。
磯に下りる段になって、引き返した事さえある。
それが、この魚を狙う事を遅らせた、最大の理由でもあった。



当日は昼過ぎに現地に到着する。
ゆっくりと前準備をして、明るい時間から磯へと向かう。
そうする事で、少しでも怖いのを減らそうという魂胆だ。
まずは、エサを購入する事から始める。
飲料水などの購入も済ませ、用意は万端なはずなのに。
やはりというか、その一歩が踏み出せない。
車で何度も周辺をグルグルして。
海を眺める。
明るい時間だけであれば、すぐにでも、鼻歌まじりで下りているけども。
本番は陽の暮れからであるから。
やっぱり、怖い。


そうこうしていると、天候も移り変わり。
強い南風が吹いて来る様になった。
すぐに波気が出だし。
強い潮流が生まれて行く。
これで、波まで気にしなくてはいけなくなった。
行きたい、行けない。
自問自答は二時間にも及ぶ(笑)
その間、知人にその胸中を電話する。
そして、また、葛藤するのである。
結局、釣りしたい気持ちが少しだけ恐怖を上回った。
海は荒れ、轟々とした波の音が聞こえる。
いざ、決めてしまえば。
それで怯む事はない。
大急ぎで磯へと下りるのだった。









なにぶん、初めての挑戦なのだから。
仕掛けと、エサに関しては半信半疑であった。
先に、クエから始めた事で。
仕掛けについては、そう悩む事はなかったのである。
ワイヤーや瀬ズレといったものも、もう、初めてではなかった。
ただ、はたして、それで釣れるかは分からない。


ある程度、遠投が必要かと考え。
瀬ズレの部分は竿の全長を踏まえ、極力、短めに作って来た。
ハリスにはワイヤーを使用して、気持ち長めにとる。
点在するシモリをダイレクトに狙ってみたいが故に。
針の選択には慎重になった。
よくある、タマン針の使用も考えたが。
より、ネムリの大きい針をメインと考える。
手にしたもので、サイズ、軸の太さなど、自身の感覚に合ったものは。
「キハダ針」 である。
他には、クエ針の方もいくつかと。
そういったものを組み合わせ、数セットを作って持って来た。
なにしろ、根ガカリは避けて通れそうもないので。
仕掛けや錘のストックは気持ち多めにする。


エサに関しては、これも、複数を少しずつ持って来た。
その日、その時々、きっと、好みは変わるだろうから。
反応を見ながら換えて行くつもりである。





私の中の夕マズメの時間帯だけ。
少しだけ、ルアーを投げた。
潮はガンガンに当てて。
ところどころ、渦になったり、鏡の様になったり。
今にも、どデカイヤツが飛び出して来そうなんだけど。
何にも起きなかった。
竿を置こうとすると、少し離れた磯へと。
お一人の方がいらっしゃった。
この方の存在はまさに神であった。
遠いが、とりあえず、人がいるのである。
たったそれだけで、オバケも出にくいだろうという勝手な判断。
ともかく、ちょっとでも安心出来るという。
メンタルの部分の話である。























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急いで、竿をセッティングする。
ただ、もう一本竿が増えるだけで。
きっと、可能性は二倍プラスαになるのではないかという。
浅はかな自身だ。
広い海ではあるが。
おそらく、魚はどこにでも居るとか、やって来る訳ではないだろう。
見えない海底を糸を通じて探り。
気になる部分へとエサを置く。
あとは、信じて、魚が喰らいつくのを待つ。
それが楽しくもあり、間違ってやしないかと。
自問自答の連続なのだ。








激震までには、そう時間はかからなかった。
何の前触れもなく。
一気に穂先が真っすぐになる。
ピトンはきしみ、更に竿は伸びて行った。
走って竿に駆け寄る。
無我夢中で大アワセを入れる!
ガッツリとした手応えを感じた。
そして、全力でリールのハンドルを回す。

強い!!

距離がある分、魚に少し余裕があるのだろうか。
まるで、根を縫う様にして走る感覚が伝わってくる。
時折、ラインがゴリゴリと擦れたり。
根か穴に張り付いたりして。
巻けなくなった。
止めていたり、ラインをやったりして。
動き出すのを待った。

そんな事を繰り返し、とうとう、足下まで寄せて来る。
暴れる魚。
持ち上げようとすると、意外な重量感であった。
もう一度、水面へと戻し。
一気に抜く。






















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感激である!!

まさか、釣れるとは思っていなかった。
なんとなく、その姿を見て。
恐竜っぽいなと。
そう思ったのを、今でも覚えている。
まだ、明るい時間によく見れた事が幸運であった。










もしかしたら、時合いかもと。
そんな風に思う。
どこかから、群れで巡っては来ていまいかと。
急いで、エサを付け直して。
先ほど投げた方角に向かってフルキャストをした。
まさかである。
投げ直したその竿に。
再び、激震が走ったのであった。


竿にたどり着く間もなく。
曲がった竿が反発力で跳ね返って。
ガクガクと揺れている。
一瞬の事で、何が起きたのか分からなかった。
急ぎで竿を手にすると。
まったく、抵抗が無くなってしまっている。
すぐに回収して息を飲んだ。
まさかである。
ワイヤー製のハリスは。
無残にも、途中で引きちぎられてしまっていた。
エサを付け替えた際、傷みはよく確認したはずであった。
本当、とんでもないヤツがいる。






しばらく間を置き。
今度は、もう片方の竿に反応が出る。
ガツン、ガツっと。
叩く様に当たったかと思えば。
少し間を置いて、一気に突き刺さって行った。
この感覚、やみつきになる!


























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たまたま、最高の日に当たったのかも知れない。
陽が落ちる前に二枚も。
ブチ切られてから。
両手、両足ともガクガクと震えを繰り返している。
恐怖にも似た気持ちと。
単純明快なる興奮。
これから、夜を迎えるとどうなるのだろうと。
様々な感情が交錯し、目が霞む様であった。





更に打ち返して行く。
怒涛の勢いはおさまり、何もない海に戻っていた。
時折、ケミホタルを揺らすのは。
小型のウツボが悪さをするくらいの事。
いよいよ、日没の頃となって。
得も言われぬ、違和感を感じる。
もしかしたら、誰かにずっと見られている様な感じ。
最初、気のせいだろうと気にしないでおいたが。
どうにも、変な感覚がする。
ふいに、少し上の方に目をやって。
驚いて、声を上げてしまった。
二度見して、更に恐怖は増し。
腰が抜けそうになる。


普通はあり得ないと思う。
まさかの場所に。
男が独り、体育座りをしてぼんやりと空を眺めていたのである。
そこは、断崖絶壁という言葉がピッタリの場所だ。
一般的に人が降りて、僅かのスペースにしゃがみ込む事なんか・・・。
はたして、あり得るのだろうか!?
とりあえず、足がある事はこの目で確認は出来たけども。
服装はそこへ行くには・・・軽装すぎるし。
なにか生気が無くて。
青白い、うつろな顔をしていた。
生きている人であれば良いのだけど。。。






















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夜と呼べる時間となったが、アタリはまったく止まってしまう。
どんどんと、風は強まり。
海も更に荒れだした。
もう、怖いのは通り越した感がするので。
粘ろうかとも思ったけど。
急いで、クエ師も片づけを始められる。
そして、すぐに撤収をされて。
やっぱり、なんだか上がった方が良いかもと。
竿をたたみ、最後にストリンガーを水から上げるのだった。






















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本当、運が良かった。
初にして、素晴らしいアブラを手に。
K先輩、詳しく教えて下さって。
誠に有難うございました!

やったね!!












次の日、無理を言って、様々に料理してもらった。






















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おそらく、自身が食べた 「白身」 のお造りでは。
最高峰だと思う。
上質な脂が口の中に溶ける。
いくら食べても全く嫌味が無かった。





















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簡単に塩で焼いてもらう。
だけど、とんでもなく美味い。
一気に晩酌が進む!!





















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煮付けがまた最高なのである。
この浮いた脂が物語っているかもしれない。
けれど、しつこくはない。
最後、これでしっかりとご飯を食べて。
最高の夕食は過ぎて行きました。






また、出会える事を願って。


それでは












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